■ 23節が終了 23節が終了したJ2。51試合のリーグ戦はそろそろ半分を過ぎようとしている。湘南、C大阪、仙台、甲府の上位4チームが5位以下のチームを引き離していて、「4強」となっている。
順位 | チーム名 | 勝点 | 試合数 | 勝数 | 引分数 | 敗数 | 得点 | 失点 | 得失点差 |
1 | 湘南ベルマーレ | 50 | 23 | 15 | 5 | 3 | 46 | 22 | 24 |
2 | セレッソ大阪 | 49 | 23 | 15 | 4 | 4 | 48 | 27 | 21 |
3 | ベガルタ仙台 | 48 | 23 | 15 | 3 | 5 | 40 | 16 | 24 |
4 | ヴァンフォーレ甲府 | 48 | 23 | 14 | 6 | 3 | 39 | 17 | 22 |
今季はJFLから栃木SC、カターレ富山、ファジアーノ岡山の3チームが昇格。2008年にJ2に昇格したロアッソ熊本やFC岐阜を含めて、フレッシュな顔ぶれとなったが、その分、上位クラブと下位クラブの間には、かつてないほどの格差が生まれており、取りこぼしの少ない上位4チームが例年以上にハイペースで勝ち点を重ねている。
現状、4チームが3つの椅子を争っている状況であるが、7月に行われる6節全てで上位チーム同士の直接対決が組まれていて、しかも、4チームが総当たりで対戦するという、まさしく『神日程』となっている。
第25節 セレッソ大阪 - ベガルタ仙台 (長居スタジアム)
第26節 湘南ベルマーレ - ヴァンフォーレ甲府 (平塚競技場)
第27節 セレッソ大阪 - 湘南ベルマーレ (長居スタジアム)
第28節 ヴァンフォーレ甲府 - セレッソ大阪 (小瀬競技場)
第29節 ベガルタ仙台 - 湘南ベルマーレ (ユアテックスタジアム)
第30節 ヴァンフォーレ甲府 - ベガルタ仙台 (小瀬競技場)
各チームは最低でも「1勝1敗1分け」で乗り切りたいと考えているだろうが、そう簡単に行かないのが面白いところであり、昇格争いから脱落するチームがでてくる可能性がないとはいえない。
■ 勢いがあるのは甲府 当然、ホームで2試合を戦うことが出来るC大阪とヴァンフォーレ甲府が有利なのは間違いないが、現在のチームの勢いを考えると、4チームの中では甲府の好調さが目立つ。
ここ8試合は6勝2分け。8試合で22ゴールを挙げている。攻撃的なチームというイメージの強い甲府だが、23試合で17失点は仙台に次いでリーグ2位の少なさ。ここまで全試合に先発フル出場しているGK荻晃太の成長が大きく、DFダニエルの加入も守備力強化に効果的だった。
MF藤田健を中心とする中盤はもともとJ2では屈指のものがあり、ここにきて、FW金信泳とFWマラニョンがゴールを量産している点も心強い。
■ 2位につけるセレッソ大阪 甲府と同じくホームで2試合を戦うことが出来るC大阪はやや調子を落としている。MF香川が日本代表召集のため3試合を欠場したこともあるが、ここ6試合で2勝2敗2分け。MFマルチネス、MF香川、MF乾にイエローカードがたまってきて、怪我人も増えてきているので、ベストメンバーで戦えない試合が増えてきている。
朗報は怪我で戦列を離れていたFWカイオの復帰が目前に迫ってきていること。ギリギリで上位対決には間に合いそうな情勢で、FWカイオの復帰で攻守ともにアグレッシブさを取り戻す可能性は高い。また、MF香川、MF乾、FWカイオ、MF黒木と20歳前後の若い選手が多いことは、暑い時期は体力的な面でアドバンテージになり得る。
MFマルチネス、MF香川、MF乾ら中盤の選手には代えの利かない選手が多いが、攻撃力はリーグ随一。FW西澤という経験豊富なジョーカーを持つことも心強く、停滞した試合であってもゴールをこじ開ける事の出来る爆発的なパワーを備える。
■ 3位のベガルタ仙台 仙台はここ3試合で1勝1敗1分け。その前の4連勝をしていた時期と比べると、やや調子を落としているが、リーグ最少の16失点と守備力は№1。特に、DFエリゼウとDF渡辺広大のセンターバックコンビの安定感はチームの大きな武器である。
課題といえる得点力については、開幕から調子の上がっていなかったFWマルセロ・ソアレスが第1クールの終盤からフィットし始めて18試合で9ゴール。高い技術と決定力が光る。コンディションの問題なのか、90分間フル出場が1試合のみということで連戦を乗り切れるのかは未知数だが、FWマルセロ・ソアレスの得点力にかかる期待は大きく、MF梁はコンスタントな活躍が期待できるので、FWマルセロ・ソアレスの出来次第といえる部分はある。
MF梁を中心とする中盤も武器であるが、何といってもホームのユアテックスタジアムの改修が終わって、26節から試合を開催できる状態になるのが大きい。ホームスタジアムの声援がチームの力になるか。
■ 状態が下降気味の湘南 首位を走る湘南であるが、ここ5試合は2勝1敗2分け。ここ5試合で11失点を喫しており、チームを支えてきた守備陣に疲労の色が見える。上位4チームの中では、もっともハードワークをして戦うスタイルであり、疲労がたまってくるこの時期に調子が落ちてきたのは、致し方ない部分もある。
攻撃はMFアジエルが中心。ほとんどの崩しはMFアジエルが絡んだものであり、もし、MFアジエルが不在になったときの影響は計り知れないが、MFアジエルがいれば、どんな試合でも相当数のチャンスを作ることが出来る。6ゴールのFW田原、9ゴールのFW中村、8ゴールのMF坂本、3ゴールのMF寺川とどこからでもゴールの奪える点が武器であり、相手チームはMFアジエルだけを警戒すればいいというわけではない。
■ 昇格のために・・・ 今シーズンは自動昇格が3チームということで、どのチームにとってもチャンスは大きいが、いずれのチームも、過去のシーズンで長丁場のリーグ戦を乗り切ってタイトルなり昇格なりを勝ち取ったという経験が乏しく、どちらかというと、苦杯をなめ続けたチームである。
そのため、より一層のプレッシャーのかかる状況になって、急激に失速するチームが現れないとも限らず、なかなか行方は見えづらい。
■ 5位以下のチームの浮上はあるのか? 5位以下のチームの状況は以下のとおりである。4位の甲府と5位の水戸との間に勝ち点で「12」の差が開いており、決して簡単な数字ではないが、大型連勝があれば4強に食い込むことが出来るギリギリの線である。
順位 | チーム名 | 勝点 | 試合数 | 勝数 | 引分数 | 敗数 | 得点 | 失点 | 得失点差 |
5 | 水戸ホーリーホック | 36 | 23 | 10 | 6 | 7 | 33 | 37 | -4 |
6 | 徳島ヴォルティス | 35 | 23 | 9 | 8 | 6 | 31 | 26 | 5 |
7 | 東京ヴェルディ | 34 | 23 | 9 | 7 | 7 | 27 | 25 | 2 |
8 | コンサドーレ札幌 | 33 | 23 | 8 | 9 | 6 | 31 | 28 | 3 |
9 | サガン鳥栖 | 33 | 23 | 9 | 6 | 8 | 27 | 26 | 1 |
注目はFW柿谷を獲得した徳島ヴォルティスとFWハーフナー・マイクとFW山瀬幸宏を獲得したサガン鳥栖。徳島はここ6試合で3勝1敗2分け。鳥栖はここ4試合で3勝1分けと白星が増えてきている。また、高木監督の戦術が浸透してきた東京Vは復活したFW大黒の得点力に支えられて、ここ12試合で5勝6分け1敗。上位チームにとって困難なチームになっている。
エースFW荒田を欠きながらも5位につける水戸は188cmの大型ストライカーのFW高崎の高さと強さが際立ち、何とか上位に食らいつこうとしている。失点数が「37」と上位争うをするチームの中では極端に多いが、木山監督の攻撃的なサッカーが補っている。
好調なチームとは対照的に、昇格候補の1つとされたコンサドーレ札幌は、現在8位。3位の仙台とは勝ち点「15」の差が付いており、もう取りこぼしはできない状況である。MF藤田、MF宮澤、MF岡本ら攻撃陣に若くて有能なタレントは多いが、その分、波があって、思うような結果が得られていない。
■ 躍進するカターレ富山 10位以下のチームの成績は以下のとおりである。
順位 | チーム名 | 勝点 | 試合数 | 勝数 | 引分数 | 敗数 | 得点 | 失点 | 得失点差 |
10 | ザスパ草津 | 29 | 23 | 8 | 5 | 10 | 34 | 35 | -1 |
11 | カターレ富山 | 29 | 23 | 7 | 8 | 8 | 20 | 24 | -4 |
12 | 愛媛FC | 28 | 23 | 8 | 4 | 11 | 30 | 33 | -3 |
13 | FC岐阜 | 25 | 23 | 6 | 7 | 10 | 21 | 30 | -9 |
14 | アビスパ福岡 | 23 | 23 | 6 | 5 | 12 | 18 | 35 | -17 |
15 | ロアッソ熊本 | 22 | 23 | 5 | 7 | 11 | 25 | 35 | -10 |
開幕3連勝を飾ったザスパ草津と愛媛FCは怪我人が増えてきたこともあって、負けが先行し始めている。昇格は難しくなっているが、今後、少しでも上の順位を目指して戦っていくことになる。
この中で目立つのは、やはり、昇格組のカターレ富山。栃木SCが16位、ファジアーノ岡山が18位と苦しむ中で、7勝8敗8分けとほぼイーブンの成績を残している。オフに積極的な補強を行った栃木や岡山と比べてほとんど新戦力はおらず、Jリーグ経験のある選手もほとんどいないチーム構成でのこの成績は称賛に値する。
カターレ富山は北陸(富山・石川・福井)から生まれた初めてのサッカークラブ。栃木や岡山と比べてもハンディは少なくないが、雪国のチームらしく(?)粘り強さが光る。昨シーズンまではアマチュアだったクラブが、プロの中に入って、これだけの成績を残しているという事実は、日本サッカーの奥の深さを感じさせる部分であり、地方のアマチュアクラブの中にも、実力のあるクラブや選手が少なくないことの証明である。
■ 2年目のJリーグ FC岐阜とロアッソ熊本は2年目のJリーグ。ここまでFC岐阜が13位、ロアッソ熊本が15位の成績を残している。
FC岐阜は財政難が表面化し、経営が苦しい中で、極端な若返りを断行。積極的に大学卒の選手を採用し、FW西川、FW佐藤、MF永芳、DF冨成、MF染矢、DF田中がすでにチームに欠かせない存在になっている。即戦力とはいえないものの潜在能力の高そうな選手を獲得し、試合に起用していくことで成長させようとしているが、これが予想以上にうまくいっている。
元日本代表のMF藤田を獲得した熊本は15位と期待にこたえられずにいるが、ショートパスをつなぐサッカーはかつてのジュビロ磐田の流れをくむもの。はまった時の爽快感はあるが、コンスタントに力を発揮できずにいる。
■ 下位に沈む3チーム下位3チームは以下の成績である。
順位 | チーム名 | 勝点 | 試合数 | 勝数 | 引分数 | 敗数 | 得点 | 失点 | 得失点差 |
16 | 栃木SC | 17 | 23 | 4 | 5 | 14 | 17 | 36 | -19 |
17 | 横浜FC | 15 | 23 | 3 | 6 | 14 | 18 | 30 | -12 |
18 | ファジアーノ岡山 | 13 | 23 | 2 | 7 | 14 | 12 | 35 | -23 |
この中では、横浜FCの不振が目立つ。2007年はJ1で戦ったクラブであるが、まさかの下位低迷。絶対的なストライカーがおらず、得点力不足は深刻である。42歳になったMFカズがもっとも目立っているようでは、なかなか先は見えにくい。
松田監督を迎えた栃木は16位。岡山は18位。思い通りに結果が残せない苦しい展開であるが、シーズン前から、「簡単に結果が残せない。」ということは分かっていたこと。焦らずに、落ち着いたチーム作りをしていきたいところ。逆に言うと、1年目のこの時期にしか出来ないことは少なくなく、2年目以降にどれだけの貯金が出来るか、大事な時期である。
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