■ きっかけをつかみたい両チーム17位と降格圏内に沈むジェフ千葉が、14位のヴァンフォーレ甲府をホームのフクアリに迎えたJ1第15節。
千葉は、DFストヤノフがアマル監督を批判したために、謹慎中。<3-5-2>で、水本・斉藤・池田の3バック。対する甲府は、FW茂原とDF秋本が出場停止から復帰。<4-3-3>で、茂原・山崎・宇留野の3トップ。DFラインは、山本・秋本・増嶋・井上。
■ 打ち合いの様相千葉は、前半15分に、カウンターで、FW新居からFW巻にパスがつながると、巻が、甲府のGK鶴田のポジションが前に出ていたのを見逃さず、ループシュート。軌道は、美しいものではなかったが、何とかネットに吸い込まれて、千葉が先制する。
対する甲府も、前半25分に、得意のショートパスをつないでゴール前に攻め込むと、最後は、MF藤田のパスを受けたMF石原が豪快に蹴りこんで同点に追いつく。
追いつかれた千葉は、前半38分、CKから巻のヘディングシュートで突き放すが、甲府も、後半5分、左サイドバックの井上のシュートのこぼれ球を、再びMF石原がゴールに押し込んで、同点に追いつく。
その後、千葉は、ややラッキーな判定から、PKを獲得するが、これをキッカーの巻が大きくふかしてしまう。さらには、相手GKと1対1になったシーンでMF山岸が決めきれず、別のシーンではFW巻のドフリーでのヘディングシュートも枠を外れるなど、嫌なムードが漂い始めたが、後半25分、相手のクリアミスを拾ったMF羽生が、ドリブルシュートを決めて勝ち越す。
その後は、甲府が圧倒的に押し込むが、千葉のGK立石が、再三のファインセーブを見せて、同点ゴールは許さず。3対2で千葉が勝利し、久々の勝ち点3を獲得した。
■ 原点回帰のジェフ千葉は、土曜日の試合で、当面のライバルとなる、大宮アルディージャや大分トリニータが勝ち点3を獲得しているため、どうしても勝たなければならない状況で、さらには、ストヤノフの騒動も絡んで、難しい試合だったが、何とか勝利することが出来た。
勝利の要因としては、やはり、ありきたりだが、チーム全員が、「戦う気持ち」を持っていたからだろう。特に、前線の2人の精力的な動きは、チームを活性化させた。
■ 持ち味を十二分に発揮した巻この試合で2得点を挙げた巻。これで、ようやく、シーズン合計では、3得点となった。現状では、まだ、ベストコンディションではないが、巻は、巻らしい動きで、チームに貢献している。
巻が持つ、「走れること」や、「頑張れること」や、「混戦の中に飛び込んでいけること」も、立派な才能である。簡単にはトップレベルのテクニックが身につかないことと同様に、これら3つの要素も、誰もが真似のできることではない。試合中に、頭部を出血しながら、それでも、ゴール前に飛び込んでいって、相手DFの頭の上から決めたゴールは、実に巻らしい見事なゴールだった。
試合後、巻に対しては、ジェフサポーターから大きな歓声が送られて、それに対して、巻が感極まってしまうシーンがあったが、この2ゴールは、吹っ切れるチャンスになるかもしれない。
■ ファインセーブを連発したGK立石巻以外で、千葉の勝利の立役者となったのは、GK立石である。試合終盤に、甲府の決定的なシュートを2度、神業のようなスーパーセーブを見せて、勝利をたぐい寄せた。
千葉のGKは、開幕から若い岡本が守っていたが、不安定さが目に付いた。シーズン途中で、立石が入るようになって、幾分かは改善されたが、依然として、ウイークポイントになっていたのだが、この試合の立石は、すさまじい活躍を見せた。
千葉のように、攻撃的なスタイルを貫きたいチームにとっては、決定的なピンチを作られやすいため、GKの活躍度が、チームの成績を左右する。今後、千葉が浮上できるかどうかは、GK立石の活躍にかかっているといっても過言ではない。
■ 減らせるミスが目立つ甲府甲府は、この試合でも、得意のショートパスを組み合わせた異質なサッカーで、2つのゴールシーンを含めて、多くのチャンスを作ったが、勝利には結びつかなかった。サッカーの内容は悪くないだけに、意識次第で減らすことが出来そうな軽率なミスが多く、それが、直接失点に絡んでしまっているのは、非常に残念である。
特に、この試合は、千葉の2トップが前線からのチェックをして、甲府のDFに自由を与えないようなプレーをしていたので、奪われたら危ないというという場面では、大きく蹴り出すことも必要ではないかと思われる。
何でもかんでも、大きく蹴り出してしまうことは、甲府のスタイルに反することだが、もっと、ロングボールも組み合わせて攻撃を行った方が、よりいっそう、甲府のショートパスをつなぐ攻撃も威力を発揮するのではないだろうか?もしかしたら、大木監督は、ショートパスとロングパスの使い分けはまだ難しいと判断しているのかもしれないが、少しの意識チェンジも必要とされる。
- 関連記事
-