■ 鬼武チェアマンのマニフェスト?Jリーグの3代目チェアマンに就任した鬼武健二氏が、以下のようなコメントを発している。
――Jリーグの開催時期を欧州のシーズンに合わせて秋開幕に変える案が出ています。 「変えるには、ファンを納得させる明確な理由を示さなければならない。メリットは、海外移籍と国際試合の日程を欧州に合わせられることだが、一方で課題は多い。1月から3月は、寒い中でお客さんはどうやって試合を見るのか。雪国ではドームスタジアムや屋内練習場が必要だろう。天皇杯の元日決勝は風物詩だが、シーズン途中になってしまう。他のアジアの国々との日程の絡みもある。詳細に検討する必要がある」このチェアマンの言葉からは、”秋-春制に変更する明確なメリットはないけど、何とかしてサポーターを納得させられるような理由を作って、どさくさまぎれに、日程を変えてしまいたい”という心が見える。
以下で、メリットとデメリットを挙げる。
■ 「秋-冬制」のメリット ・欧州リーグとカレンダーが同じになることで、FIFAからお褒めの言葉をいただける。→ FIFAは、世界中のカレンダーを同じにしたいようだ。
・野球のシーズンと時期がずれるので注目度アップ。→ ライバルスポーツと時期をずらすことで、Jリーグの注目度がアップするかもしれない。
・欧州組と国内組のコンディションの差がなくなる。→ ドイツW杯でも、シーズンを終えたばかりの海外組のコンディションは悪かった。
・国際大会の日程によって、Jリーグを中断せざる得ない状況から解放される。→ W杯やアジアカップ、五輪等の国際大会があるときは、長期にわたって、Jリーグを中断している。
・欧州に移籍する選手の負担が減る。→ 欧州リーグのシーズン開幕前に移籍する選手は、Jリーグで半年間戦った後に、移籍することになる。したがって、一年以上、オフがない。(とはいっても、今シーズン、欧州に移籍したのは、森本と小笠原の二人だけ。)
■ 「秋-春制」のデメリット ・試合内容の低下→ 真夏の試合は運動量が落ちるので、試合内容が低下するといわれているが、同じように、真冬の試合も、試合内容が低下することが多い。充実した試合を見せることは何よりも優先させるべきものだが。
・芝の管理はできるのか?→ 日本の技術があっても、真冬に、きれいな芝の状態を保つことは不可能。芝の状態は、試合内容に直結する。
・新潟や札幌のスタジアムのホーム試合はどうするか?→ ビッグスワンは、雪が積もると危険なので、冬場は使用不可能。札幌ドームも、同様に、使用不可能。これらのチームのホーム試合はどうするのか?
・観客動員の減少は避けられない。→ 寒いときは、家から出たくなくなるもの。観客動員の減少は、クラブの経営に直結する。
・新加入選手は、いつ入団するのか?→ 欧州では、9月に新学期が始まるので問題ないが、日本では、4月に新学期が始まる。
・季節感は無視する?→ これまではずっと、元日に天皇杯決勝があって、3月に開幕して、11月に優勝・昇格・降格が決まるという流れで進んできた。2月ごろになると、「そろそろJリーグが始まるな・・・」と感じる、Jリーグが中心で一年が回っているサポーターは多いはず。
■ 現状ではデメリットが大きい結論として、欧州のスケジュールに合わせた所で、現状では、メリットはほとんどなく、むしろデメリットが多い。(欧州のスケジュールと書いたが、欧州でも「春-秋制」の国は少なくない。)収入源は避けられず、また、施設建設のために余計な経費がかかって、クラブの経営を今以上に、悪化させるだろう。また、「秋-冬制」になれば、確実に、北のチーム(新潟・札幌・仙台・山形)は死亡する。
オシム監督就任時に、”オシム監督も「秋-冬制」に移行することを望んでいる”という報道があったが、日本の風土を完全に理解していない外国人を使って、世論を誘導しようとするのは、非常に不愉快だ。
この問題は、Jリーグの根本にかかわる大きな問題である。結論ありき(「秋-冬制」移行)で、先に進むのはありえない。とりあえず、地球温暖化の影響で、日本に雪が降らなくなるまで、「秋-春制」は、議論は凍結すべきだと思うが・・・。
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