■ 開幕まであと1週間 Jリーグの開幕が1週間後に迫ってきたが、この時期になるとJリーグの選手名鑑がいくつか販売される。ちょっと大きめの本屋に行ってみると、その隣にはプロ野球の選手名鑑もたくさん売られていた。プロ野球の方は10種類以上はあったと思うのでプロ野球との人気の差を痛感したが、書店に並んでいたJリーグの選手名鑑は全部で4つあった。そこで4つとも購入して「Jリーグの選手名鑑」を比較してみた。
2013年は
下の5つの選手名鑑を批評したが、昨年の末に週刊化から月刊化にモデルチェンジしたサッカーマガジンの選手名鑑はどうやら今年は発売されないようだ。また、コミックムックの選手名鑑も販売されない模様である。サッカーマガジンの選手名鑑については「毎年、欠かさずに購入していた。」という人がたくさんいると思うので、非常に残念な話である。
2013年 (候補1) 週刊サッカーダイジェスト (950円) 2月14日発売
(候補2) 週刊サッカーマガジン (950円) 2月16日発売
(候補3) エルゴラッソ (520円) 2月16日発売
(候補4) 日刊スポーツ (500円) 2月16日発売
(候補5) コミックムック (500円) 2月18日発売
一方で、エルゴラッソが従来のポケットサイズ(候補3)の選手名鑑だけでなく大型サイズの選手名鑑を作成して、大小2つで勝負することになった。ということで、2013年と比べると週刊サッカーマガジン(候補2)とコミックムック(候補5)の2つが無くなって、エルゴラッソ(大型版)が増えた。週刊サッカーダイジェスト(候補1)と日刊スポーツ(候補4)の選手名鑑は変わらないので、メジャーどころは全部で4つとなった。
■ 定価やページ数の比較 まず、本体価格・ページ数・付録などを比較すると表1のようになる。2014年4月から消費税が8%に変更となるが、それを見越してどの本にも5%の場合と8%の場合の2つの定価が表記されているが、ここでは税抜きの「本体価格」を記載している。大きさや重さは(候補1)と(候補2)がほとんど同じで、(候補3)と(候補4)がほとんど同じだった。(ここでは前者を大型、後者を小型を表現する。)
表1. Jリーグの選手名鑑(2014年)の比較
| | 大きさ | 本体価格 (税抜き) | ページ数 | 付録 | 発売日 |
1 | サッカーダイジェスト | 大型 | 905円 | 290ページ | クリアファイル | 2014/2/14 |
2 | エルゴラッソ | 大型 | 880円 | 278ページ | なし | 2014/2/14 |
3 | エルゴラッソ | 小型 | 520円 | 256ページ | なし | 2014/2/20 |
4 | 日刊スポーツ | 小型 | 509円 | 226ページ | なし | 2014/2/15 |
■ 1クラブ分と1選手分の基本スペースは? また、1つクラブや1人の選手のことにどれだけのスペースを割いているか?というのは選手名鑑を比較するとき、もっとも重要なポイントだと思うのでこれを比較するためにまとめると表2のようになった。J2の岡山など保有している選手数の多いチームに関しては、1人分のスペースがもっと小さくなってしまう。所属選手全員がこの限りではないが、名鑑ごとに比較すると結構な差がある。
表2. Jリーグの選手名鑑(2014年)の比較
| | J1 (割り当て) | J2 (割り当て) | J3 (割り当て) |
| | クラブ | 選手 | クラブ | 選手 | クラブ | 選手 |
1 | サッカーダイジェスト | 8ページ | 1/6ページ | 4ページ | 1/8ページ | 2ページ | 1/20ページ |
2 | エルゴラッソ | 8ページ | 1/6ページ | 4ページ | 1/8ページ | 1/2ページ | 主要選手だけ |
3 | エルゴラッソ | 6ページ | 1/8ページ | 4ページ | 1/10ページ | 2ページ | 1/18ページ |
4 | 日刊スポーツ | 4or5ページ | 1/8ページ | 3or4ページ | 1/12ページ | 2ページ | 1/16ページ |
■ 大型版はどっちが買いか? 大型版と小型版は、値段も大きさも全然違っているので、一緒に比較するのは難しい。よって、今年は大型版と小型版を分けて比較したいと思うがまずは大型版である。それぞれの特徴や目立った点、アピールポイントやマイナスポイントを簡単に述べると次のようになる。
(候補1) サッカーダイジェスト (大型版)
→ 唯一の付録付き。昨年はクリアファイルとチケットホルダーの2つが付録として付いてきたが、クリアファイルだけになった。チケットホルダーはシーズンパスを持っている人以外はほとんど使い道がなかったので、削った判断は悪くないと思う。充実しているのはJ3に関する部分である。また、J1とJ2の選手に関しては、過去3年間の詳細なスタッツ(ドリブル数やパス数など)が付いているのもありがたい。
その他では、2013年の全試合の勝敗と得点者が記載されているところもポイントが高くて、J1のレフェリーについては、特徴も記載されている。かなり重たいので持ち運ぼうとするときは大変で、誤植がないわけではないが、ケチを付けるとしたらそれくらいである。ライバルだったサッカーマガジンの選手名鑑が無くなった2014年は売り上げを大きく伸ばすのは間違いない。完成度は非常に高い。 (候補2) エルゴラッソ (大型版)
→ サッカーダイジェストとサッカーマガジンの選手名鑑のつくりはかなり差があったが、サッカーダイジェストとエルゴラッソのつくりはよく似ている。エルゴラッソの選手名鑑の特徴というと、チーム事情を詳しく知っている番記者が書く選手の寸評である。ライターによって当たり・外れがあるのは否めないが、(ピッチ上のことだけでなく、)ピッチ外でどんな顔を持った選手なのか伝わる寸評が多い。
残念だったのはJ3の扱いが良くないことで、1チームに充てられたページ数は1/2ページで、顔写真や寸評が付いているのは主力候補の5人だけ。割り当てが2ページで、すべての選手に顔写真と寸評が付いてくるサッカーダイジェストと比較すると大きな違いがある。その他では、J1の18クラブのみであるが、web版(=ブロゴラ)で人気だった各クラブの傑作選(=ショートコラム)が掲載されているのは面白い。 どっちが買いか?
→ 大型サイズの選手名鑑はサッカーダイジェストとエルゴラッソの2つだけ。これまでずっとサッカーマガジンの選手名鑑を購入していた人も含めて、どちらを買うべきか迷っている人は多いと思うが、大型化の1発目とは思えないほど、エルゴラッソの選手名鑑もよくできている。エルゴラッソの大型版も十分に満足できるレベルで、コストパフォーマンスは非常に優れていると思う。
上に記述した点以外では、選手の年度別の成績のところに当時の監督の名前が書かれているのは面白い。監督名が書かれていると、どういうチームだったか、どういうサッカーをしていたか、すぐに思い出すことができる。寸評には選手たちの「どうでもいいような情報」が書かれているときもあるが、それはそれで読んでいて面白いものがある。サッカーダイジェストとの差別化はしっかりとできている。
ネックとなるのは、先のとおり、J3の扱いがあまり良くないところで、サッカーダイジェストの大型版と比べると大きく見劣りする。「新しくできたJ3もしっかりとチェックしたい。」と思っている人は、サッカーダイジェストの選手名鑑を購入した方がいいと思う。一方、J3にほとんど興味の無い人にとっては、エルゴラッソの選手名鑑で十分である。むしろ、エルゴラッソの方が楽しめるかもしれない。■ 小型版はどっちが買いか? 家にいるときは大型版があれば十分であるが、大型版はかなり重いので、スタジアムに行くとき、特に遠方のスタジアムに行くときは、結構な荷物になる。スタジアムで生で試合を観ていて、あの選手は誰なのか?あの選手とあの選手は所属クラブが重なっていた時期があるのか?あの選手はリオ世代になるのか?などなど、ちょっとした情報が必要な時に便利なのは小型版である。
(候補3) エルゴラッソ (小型版)
→ エルゴラッソの選手名鑑の特徴というと「小ネタ」である。1人の選手の寸評に充てられるスペースは、J1の場合は6行程度で、J2の場合は4行程度なので、スペースは限られてくるが、小ネタ満載である。大型版・エルゴラッソの寸評はどちらかというと真面目風になっているが、小型版・エルゴラッソの寸評はかなりくだけた感じになっている。最大の特徴であり、ウリと言えるだろう。
また、レフェリー名鑑も独自性の強い部分で、どのくらい警告を提示して、どのくらいPKを与えているのかなど、詳しく書かれている。レフェリングの傾向が分かるので、試合前にはチェックしておくと、判定に対するストレスは小さくなるだろう。残念なのはJFLを全く扱わなくなったことで、昨年まではJFLを扱っていることがウリの1つだったが、J3ができたこともあって、触れられなくなった。 (候補4) 日刊スポーツ (小型版)
日刊スポーツの選手名鑑の特徴というと、何と言っても、J1の全選手と全監督の「推定年俸」が記載されていることである。「どうやって調べているのか?」、「本当に正しいのか?」については、疑問の声が挙がることが多くて、実際に選手から「あそこに書かれている年俸は間違っている。」、「そんなに貰っていない。」と指摘されたこともある。信憑性は高くは無いが、1つの目安となる。
もう1つの特徴はオールカラーになっている点で、エルゴラッソの小型版と比較すると字も大きめなので、どちらかというと見やすいつくりになっている。また、Jリーグの通算出場試合や通算ゴール数の歴代のランキングといったちょっとした情報が記載されている点も特徴の1つと言えるだろう。また、1ページ分のみであるが、なでしこジャパンの有望選手もピックアップされている。どっちが買いか?
→ 選手の懐具合に興味がある人は、日刊スポーツをおススメする。信頼性の高い情報とは言えないが、「あの選手はこれくらい貰っているのか」、「あの選手はコストパフォーマンスが悪すぎるだろう。」などなど、いろいろと楽しむことができる。全体の印象は「(プロ野球などと比べて)安いなあ・・・。」と感じるが、移籍を繰り返している選手などは、結構な額をもらっていることもある。
ただ、日刊スポーツが優れているのはそれくらいである。選手の寸評などはエルゴラッソの方がはるかに楽しめる。寸評は独特の語り口なので好き嫌いはあると思ので、抵抗感を感じる人もいるとは思うが、エルゴラッソの方を購入するのが無難だと思う。なお、J3の扱いに関しては、エルゴラッソも、日刊スポーツも大差は無いが、若干、エルゴラッソの方が詳しく書かれているような気がする。 ■ 旅を愛する人には・・・ ということで、どちらか1つだけを選択しなければならないのであれば、大型版はサッカーダイジェスト、小型版はエルゴラッソの方をおススメするが、大型版の方はエルゴラッソの方もいい出来なので、両方を購入して、状況に応じて使い分けるのがベターではないかと思う。ともに1000円に満たない定価であり、他のサッカー雑誌と比べると情報満載なので、コストパフォーマンスは非常にいい。
最後に1つ紹介したいのは、(選手名鑑とは言えないが、)去年に続いてぴあから発売された「Jリーグ観戦ガイド」である。ホーム戦だけしか観戦しない人にはあまり関係の無い話で、選手やクラブの詳細な情報が載っているわけではないので、選手名鑑代わりにはならないが、「アウェー戦にも行く。」、「今年は行ったことがないスタジアムに行こうと思っている。」という人にはドンピシャな一冊である。
「観戦も食事も観光も買い物もトコトン満喫する新定番」と表紙にデカデカと書かれているが、J3のチームも含めたスタジアムへのアクセス方法、チケット料金や座席位置といった基本的な情報だけでなく、サポーターに人気のスタジアムグルメも紹介されており、さらにはスタジアムの近くにある観光スポットやお土産の情報も満載で、日本全国にある合計611のスポットが掲載されている。
去年に続く第2号だと思うが、昨年はこの本(=2013年版)が非常に役に立った。あまり行ったことがないスタジアムに行くときは「せっかくなので、サッカー観戦だけでなく、観光スポットに立ち寄ったり、定番のお土産を買って帰ろう。」と思うが、そういった情報をネットなどで詳しく調べるのは大変で、結局、定番のスポットや定番の土産や定番のスタジアムグルメを見落としているケースがそれまでは多かった。
内容的にはJ3のチームの紹介が加わった程度で、2013年版と大きくは変わっていない。2013年版を持っている人にとっては、目新しい情報は少ないかもしれないが、2013年版を持っていない人で、かつ、アウェーのスタジアムによく行くという人には間違いなく役に立つ一冊である。読んでいるだけで「まだ行ったことがないあそこのスタジアムに行ってみたいな・・・。」と思わせる力を持っている。
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