■ 開幕戦J2のFC岐阜と大分トリニータの開幕戦。岐阜はホームの長良川競技場の改修が終わって、リニューアルしたスタジアムで初めてのリーグ戦となる。岐阜は昨シーズン14位、大分は15位。岐阜は倉田監督から木村監督に交代し、大分も皇甫官監督から田坂監督に交代。ともに新しいスタートを切っている。
ホームの岐阜は<4-2-2-2>。GK野田恭。DF野田明、田中、秋田、村上。MF永芳、橋本、嶋田、染矢。FW佐藤洸、押谷。FW西川はベンチスタート。早稲田大学出身のルーキーのDF野田明が右サイドバックでスタメン出場。
対する大分は<4-2-3-1>。GK清水。DF松原、作田、阪田、安川。MF井上、宮沢、土岐田、西、チェ・ジョンハン。FW前田俊。同志社大学出身のDF安川がスタメン。FW前田俊の1トップ。FW森島康はベンチスタート。DF松原はユース出身で1993年2月生まれでリオ世代となる。
■ デカモリシが決勝ゴール試合の前半はホームの岐阜ペース。MF嶋田、MF染矢らスピードのあるアタッカー陣が果敢に攻めてチャンスを作る。一方、大分も1トップのFW前田俊が左サイドに流れてドリブルで仕掛けてチャンスを作るがゴールは生まれず。前半は0対0で折り返す。
後半最初にビッグチャンスを作ったのは岐阜。後半15分に左サイドからフリーキックを獲得すると、レフティの永芳のキックがゴール前のFW佐藤洸に渡って、フリーで決定的なボレーシュートを放つが、FW佐藤洸はシュートをふかしてしまう。
大分は後半15分にMFチェ・ジョンハンに代えてFW森島康を投入。すると、後半20分にDF松原のパスから右サイドの裏に走ったMF西にボールが渡ると、MF西の折り返しをファーサイドでフリーになっていたFW森島康がヘッドで決めて大分が先制する。結局、この1点を守り切った大分が勝利。田坂監督は初勝利を飾った。一方の岐阜は黒星スタートとなった。
■ 岐阜の変化ホームの岐阜はチャンスを作りながらもノーゴールに終わった。前半はMF染矢のスピードが効果的でMF染矢のサイドからチャンスを作っていたが、後半になると疲れてきたのか、対面した大分の18歳のDF松原に止められるようになって、チャンスを作れなくなった。
ただ、内容は悪くは無かった。オフに監督が倉田監督が退任したが、倉田前監督は、FW西川をサイドで起用したり、DF田中をボランチで起用したり、MF嶋田をフォワードで起用したり、MF新井をサイドバックで起用したり、DF秋田をセンターバックで起用したり・・・と、数々のコンバートを行った。
結果として、MF嶋田のように新たなポジションで才能が開花した例があるので、一概に不成功だったとは言えないが、違和感を感じる起用方法だったことは事実。木村監督になって本来のポジションに戻したことで、スムーズさが出てきた。オフに監督が交代した岐阜であるが「元に戻った」という印象である。
■ 求められるストライカー岐阜の心臓部はMF橋本。絶対的なゲームメーカーであるが、昨シーズンは、倉田監督の導入した「ゾーンプレス」に対応しきれず、ベンチを温めることも少なくなかった。2009年はダイヤモンド型の中盤で1ボランチ(アンカー)で、今シーズンはダブルボランチという違いはあるが、MF橋本が中心の以前のサッカーに戻ってきており、彼からいいパスが何度も供給された。
問題はストライカーのポジション。この試合は、「FW佐藤洸はチャンスに決められずに、FW森島康はきっちりと決めた」という試合であり、チャンスメーカータイプは、FW押谷、MF染矢、MF嶋田と揃ってるので、彼らを生かすことの出来る本格派のストライカーは不可欠。FW佐藤洸が17ゴールを挙げた2009年シーズンのようなプレーができれば、一桁順位も可能となる。
■ 田坂監督は白星スタート大分は田坂監督が就任。ベルマーレ平塚で活躍した元日本代表のボランチで、清水エスパルスでは長谷川監督の右腕として活躍してきたが、満を持して監督業にチャレンジすることになった。オフにMF菊地、MFキム・ボギョン、MF東ら主力が退団したことで、さらに選手層が薄くなってしまったため、気の毒なほど選手層は薄いが、スタートの試合としては申し分ない試合だった。
昨シーズンは「主力大量流出の影響」もあってチームがまとまらずにJ2で15位。「個の力」に頼るだけのサッカーで早々に昇格争いからも脱落。失意のシーズンとなったが、チームの雰囲気は悪くなく、攻守ともに整理されてきている。
■ 決勝ゴールのデカモリシ決勝ゴールを挙げたのは日本代表経験もあるFW森島康仁。後半途中から出場すると、得意のヘディングシュートで貴重なゴールを奪った。前半はFW前田俊の1トップで、FW前田俊も久々にキレのあるプレーを見せたが、1トップタイプではないので、攻撃に「高さ」や「強さ」がなくて崩し切れなかったが、FW森島康が入って「攻撃」に幅が出てきた。
ユース代表、五輪代表でもプレーし、「調子ノリ世代」を代表するストライカーであるが、2009年に大分に完全移籍した後は本来のプレーができずに苦しんでいた。2008年は岡田ジャパンにも選ばれているが、明らかにコンディション不良と思える状況で「終わった選手」という評価もあったが、それを覆すべく、新シーズンの最初の試合で結果を残した。顔付きを見ると引き締まっており、コンディションが上がってきていることは想像できる。
186㎝の長身でありながら、運動量も多くて、左右両足で強烈なシュートを放つことが出来るため「大器」と言われ続けてきたデカモリシも、もう後がない状況である。資金難のため「才能のある選手」はほとんど他所のチームに買われていった状況でも買い取り手はなく、評価は「底の底」まで落ちてしまったが、まだ、23歳なので巻き返しは可能である。本人が言うように、本当に「まだ死んでない」のか?勝負のシーズンである。
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