■ プレシーズンマッチ久々の3連休(日・月・火)。慰労のため、九州に行ってきました。九州に行くのは、2年ぶり3回目。本当は、鹿児島くらいまで行きたかったけど、時間の都合もあり断念。ちょうど、プレシーズンマッチが行われる予定だったので、大分を経由するコースに変更。
大分市の九州石油ドームで、J1の大分トリニータと中国の上海申花の試合。「2002FIFAワールドカップTM記念事業」という題目の国際親善試合である。2002年と絡めるのなら、韓国のチームを招待した方がおさまりがいいように思うが・・・。
上海申花というと、2・3日前にこういう記事があった。
アジアCL1次リーグで浦和と対戦する上海申花が8日、同じ中国リーグの上海ユナイテッドに買収された。これによりアジアCLには両チームが合併した新チーム(チーム名は上海申花)が出場する見込み。ライバルの戦力アップが予想されるが、浦和の藤口社長は「レギュレーション的に問題があるのかもしれないが、(抗議して)試合ができなくなるのは寂しいから」と静観する構えを示した。事情はよく分からないが、中国リーグを代表するチームであり、ACLでは浦和レッズと同グループに入っている強豪チームである。
■ ビッグアイ改め九石ドーム大分トリニータの本拠地は、昨年から、ビッグアイから九石ドームに名称を変更した。当然、初めての九石ドームだったが、非常にきれいで驚いた。大分駅からバスで25分くらいで、大分の山の方にあるスタジアムだが、周りの景色は壮大で、近代的なスタジアムが映えてみえる。
中に入ると、名前のとおり、ドーム型のスタジアム。とはいっても、天井が透けて見えるので、室内ドームという感じではなく、限りなく屋外にいる雰囲気を醸し出す。陸上競技場があるのだけは残念だが、それ以外は、文句のつけようがない。この試合は、自由席のみの販売で、どの席にも移動可なのもグッド。
■ 大分トリニータのスタメン大分のシステムは、昨シーズンと全く同様で<3-5-2>。この試合のスタメンは、怪我のGK西川を除くとベストといえる布陣。MFエジミウソン、MFトゥーリオ、MF梅崎が退団し、中盤の構成は大きく変更しており、FC東京から移籍してきたMF宮沢と新外国人のMFマラニョンがダブルボランチを組んで、アウグストがトップ下。FWで高松と組むのは、新外国人のFWセルジーニョ。期待のFW松橋は、ベンチスタートとなった。
■ 大分が快勝!!!試合は、格下と思われた大分が優勢。前半25分に、アウグストのスルーパスを受けたセルジーニョが先制のゴール。それ以後も、両サイドを制圧し、終始主導権を握って試合を進めた。
上海申花は、10番のマルチネスを起点に攻め込むが、パスの精度を著しく欠いて、攻撃の形を作れなかった。試合終盤には、ラフプレーから退場者を出すなど後味も悪く、上海申花は、ほとんど収穫のないまま試合を終えた。
■ 順調な大分トリニータ大分は、MFエジミウソン、MFトゥーリオ、MF梅崎が退団し、戦力ダウンするかと思われたが、その心配は杞憂に終わるだろう。おそらく、今シーズンも、中位グループを引っ張っていくことだろう。この試合を見る限りでは、成熟していけば、昨シーズン以上のチームになるだろうという予感を感じた。
■ 注目の新外国人選手新外国人の3人の中では、MFアウグストがよかった。横浜FCでの実績もあるので、大体プレースタイルは分かっていたが、この試合も、運動量もあってテクニックも抜群。大分の攻撃をリードしていた。アウグストが中盤で受けると、相手に囲まれてもパスが出せるので、味方選手はプレッシャの薄い状態でボールをもつことができる。そこから、サイドにうまく展開して、何度も好機を作った。現時点ではMF梅崎以上であり、大分としては非常に効果的な補強が出来た。
宮沢とダブルボランチを組んだMFマラニョンも、なかなかの選手だと思う。周りを動かすことに長けており、攻撃時には積極的に攻め上がっていて、決定的なシュートを放つシーンもあった。運動量も豊富。また、セットプレーでは、長距離から右足でシュートを狙うシーンがあり、右足のシュートにはかなり自信を持っているようである。
FWセルジーニョについては、まだ万全ではないようだ。決勝ゴールは見事だったが、それ以外のプレーでは光る部分は少なく、体も重そうだった。松橋が控えるだけに、セルジーニョのポジションは安泰ではない。
■ ハイパフォーマンスのMF根本日本人選手では、左ウイングバックの根本の出来が良かった。左サイドからの攻め上がりが効果的で、高精度のクロスを連発。後半には、高松にピンポイントのクロスを送るなど、もっとも危険な存在となっていた。ボールを受けるときの何気ない動作が有効で、数多く、フリーでボールを受けることが出来た。
ボランチのMF宮沢は、いまひとつ。得意のロングボールを前線に供給するシーンはほとんどなかった。期待されるフリーキックも、右足のエリアではマラニョン、左足のエリアではアウグストが蹴っており、一度も宮沢が蹴るシーンはなかった。
対照的に、宮沢の代わりに投入されたユース代表のMF森重がよかった。15分だけの出場だったが、ドリブルで前に持ち上がっていくシーンもあり、マラニョンとの関係は、宮沢よりもスムーズだった。今シーズン、ブレークしそうだ。
■ 課題のビルドアップ課題は、ビルドアップ。後述するように、上海申花のプレスは良かったが、それにしても不安定だった。三木・上本・深谷のポジション取りがよくなく、プレッシャーをかけられると、危ない位置にもかかわらず、ミスを侵してピンチを招いた。
ボランチの宮沢&マラニョンが、トゥーリオ&エジミウソンほど効果的にボールをさばくことが出来ないようで、CBの3人がパスの出し所を失ってしまうシーンが目立った。開幕までに修正したい部分である。
■ 浦和のライバルの実力上海申花の将来は前述のように不透明だが、ACLで同じグループに入った浦和としては、恐れることはないだろう。普通に戦えば、浦和レッズが負ける相手ではない。
ただ、10番のマルチネスの個人技には注意したい。スピードもテクニックもイマジネーションも豊富で、このチームの全てと言っても過言ではない。万全を期すためには、酒井と鈴木のダブルボランチにして、酒井にマンマークさせることも選択肢に入れたい。フリーにしたら、本当に危険な選手である。そして、マルチネスを抑えれば、上海申花の攻撃は無になる。
また、つなぎの部分で非常にミスが多かった。ショートパスの精度では大分を上回っていたが、ロングパスの精度は目を覆うばかりで、中国リーグの強豪とは思えないほど。しっかりと前線からプレスをかけていけば、浦和の守備力があれば、ボールをつなぐことも出来ないだろう。ただし、GKは足元もあって、つなぎもうまかった。
■ 守備力は高い攻撃はマルチネス頼みの状態だが、守備はよく組織化されており、プレスもしっかりかかっており、ハイレベルだった。ラインコントロールも見事で、セルジーニョのゴール(オフサイドかどうかきわどいプレーだった)に対して、オフサイドをアピールをして副審に食って掛かっていたのは、ラインコントロールに対する絶対の自信の表れかもしれない。
浦和としては、中央の勝負を挑むと高さでは劣っているので、なるべくは避けたい。守備のウイークポイントは、両サイドの裏のスペース。右の高橋と左の根本がうまく、裏のスペースをついてクロスを上げることができていた。左右のスペースは穴である。
◆ 上海申花のまとめ ◆ ・10番のマルチネスは要注意
・全体的に高さあり。
・ロングパスの精度は低い。
・判定にナーバスになる。
・CBのオーバーラップはなし。
・右サイド(17番)はスピードあり。
・両サイドの裏のスペースがあく。
・プレスは激しい。
・ラインコントロールもなかなか。
・GKに足技あり。
・ミドルシュートの精度はなし。■ 高まる期待振り返ってみると、時間をかけてまで大分を訪問したが、かなり収穫が多かった。やはり、生で見たからこそ感じることの出来た部分は多く、大分のいい部分も悪い部分も、たくさん感じることが出来た。(詳細の分析は戦力分析で。)
この試合は、プレシーズンマッチながら7000人強の観衆が集まっており、スタジアムからは大分トリニータに対する期待の高さを感じた。今シーズン、リーグ制覇やカップ戦のタイトル獲得までは至らないかもしれないが、きっと、大分トリニータは、大部分のサポーターを満足されるだけの成果を今シーズンも残すことだろう。
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