① 高橋大輔(大分トリニータ → セレッソ大阪) → かなり前の時期から「セレッソ大阪と合意に達した。」という報道がされていたが、ようやく、両クラブからも正式なアナウンスがなされた。主力の流出が続いている大分であるが、売れる選手は全て売ってしまわないと経営が成り立たないという苦しい状況であり、仕方がないといえる。
MF高橋のポジションは右サイドハーフ。C大阪でMF酒本が務めるポジションであるが、両者の持ち味は全く異なる。MF酒本が典型的なサイドアタッカーで、サイドからクロスを上げることを主な仕事とするのに対して、MF高橋はドリブルやクロスの精度はそれほどでもないが、運動量が豊富で、ゴール前に飛び込んでいって得点を奪うシーンも多い。
C大阪は右サイドのバックアッパーだったMF平島との契約を更新しないことが決定的になっていて、安定感に欠けるMF酒本だけでは不安なポジションだったので、効果的な補強といえる。
まずは、MF酒本とMF高橋で右サイドのポジションを争うことになるが、MF高橋は、2009年シーズンの後半は左サイドハーフでもプレーしており、鹿島からレンタル中である左サイドのMF石神が退団するようだと、MF高橋を左サイドで起用するのも考らえれる。2シャドーの位置でも起用もあるかもしれないが、とにかく、ユーティリティな選手であり、1人の選手の加入で複数のポジションの強化し、かつ、関係する多くの選手に刺激を与えることに成功した。
② 上本大海(大分トリニータ → セレッソ大阪) → MF高橋と同時に大分のDF上本の加入も発表された。C大阪はDFチアゴとDF江添の退団が決定しており、CBの補強も望まれていたので、J1で実績のある選手を獲得出来たことは大きいだろう。
CBのポジションは、キャプテンのDF羽田、2005年にJ1で優秀新人賞を獲得したDF前田、成長著しいDF藤本康太というメンバーがいて、いずれも能力が低い選手ではないが、DF前田以外はJ1では、まだ、未知数の部分もある。誰を中心にするのかは、まだ分からないが、DF上本にもディフェンスのリーダー的な役割も期待される。
まずは、C大阪の最終ラインからつないでいくサッカーにどれだけ適応できるかがポイントになるが、スピードのある相手を苦手としきたC大阪にとっては心強いといえる。DFチアゴとDF江添の退団は決定しているが、4バックをメインに戦うのであれば、当面は、「外国人CBの補強は不要。」といえる状況になったかもしれない。
③ 松下年宏(アルビレックス新潟 → FC東京) → 鈴木監督が退団し、黒崎新監督の就任が決定しているが、GK北野に続いて、チームの中心だったMF松下もFC東京に移籍することになった。この2つの移籍は、新潟にとってはかなりの痛手である。もともと、新潟は選手層の薄いチームである。DF田中亜土夢やMF木暮といった若手を抜擢出来るチャンスととらえることも出来るが、計算出来る選手だっただけに、若手の成長を待ちながら戦うことになる、シーズンの序盤は苦しむかもしれない。
一方、FC東京にとっては願ってもない効果的な補強になった。FC東京の中盤は、MF石川、MF羽生、MF梶山、MF米本の4人で固定されたが、MF松下にチャンスが無いわけではない。むしろ、かなり起用されるのではないかと想像出来る。MF梶山は手術したばかりで、開幕に間に合うのかどうかは微妙。また、フォワード陣の補強がまだ進んでいないことを考えると、MF梶山が戻って来たとしても、FW平山の1トップで、MF松下を加えた5人が中盤に入る可能性もある。
ここ数年、ずっと右足のキッカーが不足していたFC東京だけに、MF松下の精度の高いプレイスキックは新しい武器になるだろう。地味ではあるが、効果的な補強といえる。
④ ボスナー(ジェフ千葉 → 清水エスパルス) → こちらも、早い時期から報道されていた通り、降格した千葉から清水に移籍することになった。192cmの長身も魅力であるが、何よりも、オーストラリア人ということでアジア枠が適用される点が魅力である。
清水はDF岩下が急成長しディフェンスリーダーとなったが、DF青山が長期離脱中。本来は左サイドバックのDF児玉がDF青山不在の穴を埋めていたが、本職のCBの駒が必要な状況だった。J1での経験があって、ある程度の計算が立つDFボスナーに関心を寄せるのは必然だった。
DF青山が順調に回復してチームに戻って来たら、DFボスナーを加えた3人でのレギュラー争いは熾烈となり、大きな刺激を与えることだろう。192cmという身長の割には空中戦が圧倒的に強いというタイプではないが、リーチの長さを生かしたカバーリング能力には定評がある。左足のキックも武器になる。コンディションを見ながら、うまく3人を起用することが出来れば、チームは安定するだろう。
一方、千葉にとっては、大分トリニータからレンタル移籍していたDF福元の完全移籍が決定しており、DFボスナー自体が、2009年は「絶対的な存在であった」わけでもないので、それほどは大きなダメージは無いだろう。
⑤ 村上和弘(川崎フロンターレ → 大宮アルディージャ) → 2007年に仙台から加入し、当初の期待以上の働きを見せて、左サイドでポジションを確保したDF村上だったが、横浜FMから本職のDF小宮山の獲得が決定。玉突き的な移籍で大宮アルディージャに完全移籍することになった。
もともとはボランチの選手であったが、川崎Fでは2007年のキャンプの時のFフランシスマールの怪我の影響もあって、左サイドでプレー。突破力はそれほどないが、バランスを取るのがうまく、右足でミドルも強烈。川崎Fの躍進を支えていた選手である。川崎Fとしては、こういう選手がバックアップにいると、万一の時に非常にありがたいが、出場機会の減少は確実なので、大宮に加入することになった。
大宮はDF波戸の退団が決定していて、左サイドんの補強は急務になっていたが、非常に有意義な補強が出来たと言える。GK北野、DF深谷、DF村上と今オフの大宮の補強は悪くない。
関連エントリー1883 2009/11/28 全36クラブの契約満了選手について感じること① (磐田・仙台・草津・東京V・鳥栖・熊本)
1888 2009/11/30 全36クラブの契約満了選手について感じること② (名古屋・札幌・栃木・岐阜・福岡)
1891 2009/12/03 全36クラブの契約満了選手について感じること③ (山形・柏・京都・神戸・徳島)
1899 2009/12/07 全36クラブの契約満了選手について感じること④ (千葉・広島・大分・湘南)
1907 2009/12/13 全36クラブの契約満了選手について感じること⑤ (浦和・FC東京・新潟・甲府・岡山)
1908 2009/12/15 09年 移籍市場の雑感① (都倉賢、エジミウソン、山岸智、森重真人、柏木陽介)
1909 2009/12/16 09年 移籍市場の雑感② (金崎夢生、荒田智之、河原和寿、パク・チュホ、西大伍)
1914 2009/12/19 09年 移籍市場の雑感③ (萬代宏樹、喜山康平、林陵平、内村圭宏、石井謙伍)
1922 2009/12/23 09年 移籍市場の雑感④ (高木和正、戸田和幸、苔口卓也、南雄太、菊岡拓郎)
1925 2009/12/25 09年 移籍市場の雑感⑤ (闘莉王、中山雅史、イ・ジョンス、北野貴之、小宮山尊信)
- 関連記事
-