■ J1第13節前節、ようやく初勝利を飾ったジェフ千葉。中断前のラストゲームは大分トリニータと対戦。
この試合の千葉は<4-5-1>の布陣。GK立石。DF坂本・池田・ボスナー・青木良。MF斉藤・下村・工藤・谷澤・新居。FWレイナウド。FW巻は久々のベンチ入り。注目のメンバーは、スタメンの11人のチョイスは前節と同じであったが、この試合は新居を下がり目に置いて、<4-1-4-1>に近い形。MF斉藤をアンカー気味に置いて、その前に、左からMF谷澤、MF下村、MF工藤、MF新居を並べる5人の中盤。
対する大分は2連勝中。FW高松を怪我で欠く状況。GK西川。DF深谷・森重・上本。MF小林亮・ホベルト・エジミウソン・鈴木慎。FW松橋とウェズレイ。
■ 2連勝でフィニッシュ試合は前半は、沢入コーチが「素晴らしい出来」と評した通り、千葉が見事なサッカーを見せた。中盤で激しいプレッシャーをかけてボールを奪って、素早い切り替えからシンプルにボールを回して決定機をうかがう。
前半30分に右サイドからMF新居のパーフェクトなクロスをMF谷澤がフリーの状態からヘディングで決めて先制する。前半は右アウトサイドに位置したMF新居が起点になって、右サイドからから分厚い攻撃を仕掛けた。
後半になると、大分が反撃。トップ下のMF金崎を中心にゴール前に迫る。千葉は運動量が落ちて、防戦一方となるが、しかしながら、千葉はDFボスナーを中心に守り切って1対0で勝利。これで2連勝。17位の札幌との勝ち点差を「2」へと縮めた。
■ 真価を発揮する工藤浩平千葉は、アレックス・ミラー新監督は登録上の都合でベンチ入りできなかったが、彼がスタンドで見守る中、1対0で勝利。特に前半のサッカーは非常によかった。
キーとなったのはMF工藤浩平。新体制になってからの2試合は、これまでとは見違えるような動きを見せている。MF新居とのコンビネーションは抜群で、決勝ゴールもこの2人で崩した展開から生まれたゴールだった。
クゼ体制では、MF谷澤、MF馬場、MFフルゴビッチといった選手とポジション争いを強いられて、常時、出場はままならなかったが、新体制では、完全にチームの中心に戻った。運動量も豊富で守備面での貢献も大きく、攻守両面で大きな存在となっている。
■ 決勝ゴールの谷澤決勝ゴールを挙げたのはMF谷澤。MF工藤と同じく、新体制では2試合連続でスタメン出場を果たし、見事に結果を残した。
柏レイソル時代から能力は高く評価されてきたが、なかなかブレークのきっかけがなくポジションをつかめなかったが、今回の移籍とアレックス・ミラー氏の監督就任は大きなチャンスだろう。彼の良さは、ドリブルが単に相手を突破することだけを目的としていない点で、最後のシュートシーンまでイメージ出来ていることだろう。
さらに、もともと定評のあったドリブルやキープに加えて、守備面での成長もうかがえる。長時間プレーするようになったからか、自覚も生まれているようで、守備でもさぼるシーンはほとんどなく、積極的にプレーに関与している。
プレミアスタイルということで、特に中盤の選手は多くの運動量を求められるが、この役割をMF谷澤がうまくこなしていることは、ある意味で驚きである。
■ 未勝利記録は継続中一方の大分は、前半は完全に相手の勢いに負けて劣勢を強いられた。後半に入ると、ようやくペースを取り戻し、完全に押し込んだが、ゴールはならなかった。またしても千葉に勝つことはできず、リーグ戦でのジェフ戦の未勝利試合は11試合にまで延びた。
FW高松不在の影響もあって、高さで千葉のDFボスナーと勝負できる選手がいなかったことは大きく、FWウェズレイも本来のプレーはできなかった。
■ トップ下で光ったMF金崎そんな中で、成長株のMF金崎は印象的なプレーを見せた。FWウェズレイは中盤まで下がってボールを受けることが多いが、そのFWウェズレイが下がって出来たスペースを有効に活用し、後半に入ると、いくつかのチャンスをつかんだ。
180cmと中盤の選手にしては大柄で、ダイナミックなプレーが出来る選手で、チームにプラスアルファをもたらすことのできる選手である。課題としては、光るプレーは多いが試合中に消えてしまうことが多い点で、安定したプレーが出来るようになれば、明るい未来が開けてくる。
■ ミラーマジック???これでリーグ戦の前半は終了し、中断期間に入る。どん底の千葉だったが、13試合で勝ち点は「8」。中位につける大分との勝ち点差も「9」にまで縮まって、後半戦の巻き返しの体制が整った。
新体制になって試合内容も大きく変わったが、何よりも雰囲気が良くなって、すべてが好転しつつある。これから6週間のインターバルがあって、いよいよ勝負の後半戦がスタートするが、とにかく希望を残したままで終えられたことは大きい。
実際に選手やスタッフやサポーターが、リバプールのことやリパプールのサッカーをどの程度、分かっているかは疑問であるが、それでも、「欧州制覇の経験のあるチームのスタッフだった。」という輝かしい経歴が、チーム全体に催眠効果を与えて、自信を取り戻させる魔法となった。
この魔法が解けないままであれば、十分に残留も見えてくるし、さらにもっと上の順位も見えてくる。まだ、リーグ戦は21試合も残っている。
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