■ 基本合意に至ったと報じられていたが・・・。J1のサガン鳥栖の監督人事に関しては12月10日(木)の時点で「元西ドイツ代表のマガト監督と1年契約で基本合意に達した。」と複数のメディアで報じられたが年明け早々の1月1日(金)になってマガト監督との交渉が正式に決裂したことが判明した。『基本合意に達した。』と報道されてから次の情報がなかなか出てこなかったので「いったいどうなっているのか?」と思っていたが正式契約目前での決裂となったようだ。
決裂理由や交渉過程に関しては
・「1年間では自分のやりたいことができない。」
・コーチングスタッフの態勢などをめぐって交渉が難航した。
・「主力でありキャプテンだったMF藤田直が神戸に移籍したこと。」が理由の1つ。
・「鳥栖は小さいクラブなので、金銭面の話は最初から全然変わらかった。お金の問題ではない。私のサラリーとは全然関係ない話だ」
・「せっかくドイツから日本に行くのに10位になるためには働きたくない。」
などと報じられている。
■ キャプテンのMF藤田直之の流出が引き金か・・・。決裂の理由に関しては「金銭的な問題ではない。」とも報じられているが、正直なところ、すっきりしない部分は多い。「基本合意に達した。」という状況から「交渉が決裂する。」というのはかなり珍しいことであり、新シーズンの開幕まで2か月を切った段階で新たに新監督を探すというのは大変である。FC東京を率いたフィッカデンティ監督が有力候補に浮上したが、森下仁志監督の続投も十分にあり得る状況と言える。
この件で一番に言いたいのは「もう少し早く(マガト監督)が決断できなかったのか?」という点である。もちろん、マガト監督にとって日本行きというのは大きなチャレンジである。簡単には決めることが出来ないデリケートな話であることは確かであるが、12月10日(木)の時点で本当にクラブ側と基本合意していたのであれば鳥栖のフロントにとっては寝耳に水の話であり、新シーズンの構想が大きく狂ってしまう。
マガト監督に対してFW豊田やMF水沼やMF藤田直やGK林彰やMF金民友など主力がどういう印象を抱いているのか?は分からないが、「キャプテンのMF藤田直の神戸への移籍が一番の引き金だった。」という。鳥栖には市場価値の高い日韓の代表クラスがたくさんいるので「マガト監督を招聘すればそういう選手たちを引き留めやすくなる。」という考えもフロントにはあったと思うが、目論見通りには事は運ばなかった。
「新シーズンの監督がなかなか決まらなないこと」は移籍の理由の1つになり得るので、「MF藤田直が神戸に移籍するから。」というのは鳥栖の監督を引き受けなかった理由としては「うーん。」という感じになる。MF藤田直のみならず、MF水沼もFC東京への移籍が確実視されているが、12月中旬の時点でマガト監督が監督就任を受諾していたら違った結論に至った可能性もあるのでモヤモヤ感は残る。
■ 後任の有力候補はフィッカデンティ監督契約年数が1年だったのははっきりしているが、実際のところ、どのくらいの年俸をマガト監督に支払う予定だったのか?ははっきりしない。ドイツ紙では「(税抜きで)推定250万ユーロ(約3億3500万円)」とも報じられており、少なくとも1億円以上の年俸だったと思われる。マガト監督が就任することで注目度が劇的にアップするのは確実だったと言えるが、かなりリスキーな人事であったのは確かである。
個人的には「1億5,000万円以下であればマガト監督を招聘するのもアリだと思うが、それ以上になるとリスクが高すぎる。」と思っていたので、今シーズンのFC東京での推定年俸が7,000万円のフィッカデンティ監督と7,000万円~8,000万円程度で契約できるとお買い得感はある。森下仁志監督は推定2,000万円だったので鳥栖としては大盤振る舞いとなるが、こうなった以上はフィッカデンティ監督を口説き落としたい。
後任監督の有力候補に浮上した前FC東京のフィッカデンティ監督は守備を重視したサッカーをする。攻撃よりも守備にエネルギーを注ぐタイプの監督なので「タレントが豊富なFC東京のサッカーにしては守備的すぎる。」、「もっと魅力的なサッカーが出来るのでは?」とも言われたが、(代表クラスが多いとは言っても)地方のスモールクラブである鳥栖では守備的な戦い方になってもそこまで批判の声は出てこないだろう。
今シーズンの鳥栖がどういう結果になろうとも、「サガン鳥栖のマガト監督とはいったい何だったのか?」となるのは確実。結果的には鳥栖にとってほとんど実りがないままで「マガト騒動」は幕を閉じた。フィッカデンティ監督に決まったならば「むしろ、(マガト監督を招聘するよりも)良かったのでは?」となるがフィッカデンティ監督に決まらなかったら大変な事態になる。鳥栖は慌ただしいオフになっている。
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