■ かつてはよく見たシーン16位の鳥栖と首位のFC東京の試合は優勝争いと残留争いの両方に大きな影響を及ぼす可能性のある試合だったので注目度は高かったが後半41分と後半50分にゴールを奪ったホームの鳥栖が2対1で逆転勝利を飾った。17位の松本山雅との差は「3」のみ。FC東京戦(H)に敗れていたら17位転落だった鳥栖にとっては大きな勝ち点「3」になった。日曜日に試合が行われる15位の湘南とは同じ勝ち点「31」で並んだ。
今シーズンから駅前不動産スタジアムという名前になったが鳥栖スタジアムと言われていた頃から後半の終盤に鳥栖がゴールを奪って劇的な形で勝利する試合は多かった。2010年から鳥栖のエースとして活躍しているFW豊田が劇的な勝利の立役者になるケースは多かったがこの日も同様だった。後半41分に自ら同点ゴールをゲットして、後半50分のDF金井のゴールは(結果的には)アシストという形で絡んでいる。
「後半の終了間際にFW豊田がゴールを奪ってチームを勝利に導く。」というのは過去に何度も見ているお馴染みのパターンになるが、やはり、出場機会が減少している近年はあまり見られなくなっていた。今シーズンはここまで20試合で4ゴール。2桁ゴールが当たり前だった頃と比べると数字は落ちているがそれでも存在感は大きい。1つ前の浦和戦(H)でも後半頭から登場した彼のプレーがチームに勝ち点をもたらした。
■ 大一番で1ゴール1アシストの大活躍当初、2点目のゴールは「FW豊田のゴール」とアナウンスされた。試合直後のヒーローインタビューでは「同点ゴールと逆転ゴールを決めたFW豊田」という形で話をふられている。その後、訂正が入って「2点目のゴールを決めたのはDF金井」と変更になったがいずれにしてもFW豊田は1ゴール1アシスト。自動降格圏に転落する危機からチームを救う活躍だった。「FW豊田はまだまだ健在」ということを示した。
スタメン起用は今シーズン7回目。20節以来のスタメンだった。スタメンフル出場は13節の鹿島戦(H)以来で今シーズン2回目なので非常に珍しいが、1点を追う展開の中、ボランチのMF原川とMFパク・ジョンスの両方を下げて攻撃的なアタッカー系の選手を次々に投入した金明輝監督の采配が見事に当たった。体力的な問題もあるので「FW豊田を下げる。」という選択肢もあったと思うが引っ張ったことが成功した。
残り試合が少なくなる中、16位と入替戦圏内に位置する鳥栖にとってはとてつもなく大きな勝利となったが後半50分に生まれたDF金井のゴールは「疑惑付きのゴール」になった。オフサイドがあったのか?否か?はかなり微妙なので「オフサイドはなかった。」という主張には一定の理解は出来るが「ハンドがなかった。」という主張には全く賛同できない。FW豊田の手に当たってボールはゴール方向に飛んで行った。
■ VARが導入されていたらハンドでノーゴール2点目のゴールが決まった後、FC東京の選手は主審や副審に詰め寄って猛抗議を行ったがその気持ちは理解できる。2020年からの採用が予定されているVARがあったら「ハンドでノーゴール」という判定になったと思うが、混戦状態の中、「オフサイドかどうか?」と「ハンドかどうか?」を見極めるのは難しい。「ゴールラインを割っているか?」も見極めないといけないので副審にとっては難しい状況だった。
優勝争いと残留争いの行方に大きな影響を及ぼす誤審になったが利益を得る形になった鳥栖を責めるのは全くの筋違いである。今回は鳥栖が誤審によって利益を得ることになったが逆に誤審と思われる判定によって鳥栖が泣くシーンも年間を通して考えるといくつかあるだろう。よく言われることではあるが「年間を通して考えるとどのチームも同じくらい誤審による利益を得て誤審による不利益を被っている。」と言える。
FW豊田を批判する声も少なくない。彼の手に当たっているのは明らかであるがゴールが決まった後は誰よりも喜んでいる。先のとおり、最初はFW豊田のゴールとアナウンスされており、本人もゴールが決まった直後は「自分のゴールだ。」と思っただろう。激しい残留争いに巻き込まれている中、自ら同点ゴールと逆転ゴールを決めてチームの勝利に大貢献できそうな状況になったら誰でも感情は爆発するものである。
■ 自己申告を求めるのは行き過ぎ。「自分の手に当たってゴールインしたことが分かっているはずのFW豊田が感情を爆発させて喜んでいること」に関しては観ていて違和感はあったが、やはり、この状況で自ら「自分の手に当たったのでハンドでノーゴールだった。」と申告できる(or 申告する)選手は世界中を探しても少なくともプロレベルの選手ではいないだろう。仮にそういう選手が出てきたら世界中で「この選手は聖人だ。」と称えられるだろう。
「FW豊田にはフェアプレー精神がないのか!?」と主張する人もいるが「こればっかりは仕方がない。」というしかない。同じシチュエーションになったときにハンドがあったことを自己申告する選手は少なくともJリーガーにはいないだろうし、「申告しなかったこと」を批判するのは行き過ぎだと個人的には思う。学生スポーツだと話は少し話は変わってくるかもしれないがプロレベルだと許容されるべきである。
今年のJリーグで起こった最大の誤審というと埼玉スタジアムで行われたJ1の12節の浦和 vs 湘南の幻のゴールになる。このときも浦和のキーパーであるGK西川の対応が一部で批判を浴びた。「明らかにゴールを割っているのだからGK西川の対応にも問題があるのでは?」と言われたが「自己申告しない選手はフェアプレー精神が欠けている。」というのはさすがに行き過ぎた考え方だと個人的には思う。
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