■ 二次予選の最終戦ロシアW杯のアジア二次予選の最終戦。すでに最終予選進出を決めているハリルJAPANはホームの埼玉スタジアムでシリアと対戦した。日本は6勝1分けで勝ち点「19」、シリアは6勝1敗で勝ち点「18」。日本は引き分け以上で首位通過が決まるが負けると2位で最終予選に進むことになる。首位通過でも2位通過でも大した差は無いがFIFAランキングのことを考えるとシリアに勝利してポイントを稼ぎたいところである。
日本は「4-2-3-1」。GK西川(浦和)。DF酒井高(ハンブルガーSV)、DF吉田(サウサンプトン)、DF森重(FC東京)、DF長友(インテル)。MF長谷部(フランクフルト)、MF山口蛍(ハノーファー96)、MF本田圭(ACミラン)、MF香川(ドルトムント)、MF宇佐美(G大阪)。FW岡崎慎(レスター)。1トップのFW岡崎慎は記念すべき代表通算100試合目となる。MF遠藤、DF井原、GK川口、DF中澤に次ぐ史上5人目の大記録達成となる。
ベンチスタートになったのはGK川島(ダンディーU)、GK東口(G大阪)、DF昌子(鹿島)、DF藤春(G大阪)、DF酒井宏(ハノーファー96)、DF槙野(浦和)、MF柏木(浦和)、MF清武弘(ハノーファー96)、MF齋藤学(横浜FM)、MF原口(ヘルタ)、FW金崎(鹿島)、FWハーフナー・マイク(デンハーグ)の12人。アフガニスタン戦(H)で怪我をしたFW小林悠(川崎F)が代表を離脱して代わってMF齋藤学(横浜FM)が緊急招集された。
■ 2試合連続で5対0の大勝試合の序盤はホームの日本が圧倒的に押し込む展開になる。何度かチャンスを逃した後の前半17分にショートCKからMF香川のニアへの鋭いクロスが相手のオウンゴールを誘って日本が先制に成功する。その後はDF酒井高やFW岡崎慎やMF香川に決定機が訪れるが相手キーパーの頑張りもあって追加点を奪うことができない。前半の半ば以降はシリアにカウンターを食らう場面が増えてあわただしい展開になる。
1対0で迎えた後半も同様に落ち着かない流れだったが後半21分にMF本田圭の落としたボールに反応したMF香川が反転から左足で決めて貴重な2点目を挙げる。後半41分にはカウンターからMF香川のパスを受けたMF本田圭が頭で合わせて3点目を挙げると、後半45分にはゴール前でフリーになったMF香川が決めて4点目。さらに後半48分にもカウンターからDF長友のクロスを途中出場のM原口が決めて5点目を挙げる。
結局、試合は5対0で日本が大勝。シリアにも少なくない数の決定機があったので点差ほどの差はなかったが文句なしのスコアでライバルに勝利した。これで日本は7勝1分けで首位通過が決定した。シリアは6勝2敗。敗れたのはともに日本戦ということで他のチームとの対戦では取りこぼしが無かった。4月12日に最終予選の組み合わせ抽選会が行われて9月からいよいよアジア最終予選がスタートすることになる。
■ 威力を増したカウンターアタック何度もカウンターからシリアにチャンスシーンを作られたので「カウンターへの備え」と「ボールの失い方」に課題を残した。GK西川の好セーブに防がれる場面は多かったので特に守備に関しては褒められた内容ではなかったが攻撃のときの迫力はかなりのレベルだった。ボランチの2人もチャンスの場面では臆することなくゴール前に駆け上がっていったが、カウンターのときの躍動感というのは素晴らしかった。
「中盤で激しい守備をしてボールを奪って素早いカウンターからチャンスを作る。」というのは約1年前に監督に就任してからハリルホジッチ監督が重点的に取り組んできたものであるが1つの成果となって表れた試合になった。(日本が)ボールを持たされる展開になるとハリルホジッチ監督が目指しているサッカーをピッチ上で披露するのは少し難しくなるが相手の力が上がってくるとやりたいことがやりやすくなる。
前半17分に相手のオウンゴールで先制した後になかなか2点目のゴールを奪えなかったことは1つの課題であり、少なくなかった数のチャンスシーンを逃し続けたことは大きな反省材料と言える。シリアにも結構なチャンスシーンがあったので同点に追いつかれていても不思議はなかったが最終的には5対0。これまでの1年間ですっきりした試合がほとんど無かったハリルJAPANになってからのベストゲームと言える。
■ 10番の香川真司が2ゴール1アシストの活躍光ったのは何といっても2ゴール1アシストを含めて日本の5ゴール全てに絡んだMF香川。試合前の時点から表情が先のアフガニスタン戦(H)のときとは全然違っていたので試合が始まる前から「今日は活躍できるのでは?」と思っていたが期待以上の働きだった。「最上級のパフォーマンスを見せた。」と言える。他にもシュートチャンスを演出する場面はたくさんあったので文句なしのマン・オブ・ザ・マッチと言える。
アフガニスタン戦(H)はMF清武が1ゴール2アシストの活躍を見せたことで危機感はMaxの状態だったと思うが大きなプレッシャーに打ち勝った。プレッシャーに強い選手ではないので追い込まれたことがマイナスに作用する可能性もあったがアフガニスタン戦(H)からシリア戦(H)までの数日間でメンタル面も含めていい準備ができたのだろう。特に貴重な2点目のゴールとなる後半21分の左足のシュートが見事だった。
2013年6月に行われたコンフェデのイタリア戦を思い起こさせるボレーシュートだったが自身のキャリアの中でも指折りのスーパーゴールとなった。これで代表通算25ゴール目。試合前の時点では23ゴールでFW高原と並んでいたが、一気に24ゴールのMF中村俊も抜き去った。歴代7位が26ゴールのMF木村和司、歴代6位がFW高木琢也となるが、代表でのゴール数も歴代トップレベルのところまで増えてきた。
MF清武はサイドでも機能するので併用も十分に可能だと思うがトップ下を巡る争いは非常に面白い。MF本田圭をトップ下で起用することも十分に考えられるがカウンターがチームの大きな武器になることを考えると縦に速いサッカーを得意とするMF香川やMF清武の方がハリルホジッチ監督の中ではふさわしいのだろう。MF原口もトップ下の候補と言えるのでハリルJAPANのトップ下を巡る競争は非常に面白い。
■ 二次予選は6試合連続ゴールとなった本田圭佑FW釜本→FW三浦知→FW岡崎慎→FW原博美に次ぐ歴代5位となる代表通算35ゴール目を挙げたMF本田圭はその前にいくつか決定機を外している点がマイナスとなるが決定機に顔を出せていることは評価できるし、後半41分にはMF香川のクロスからヘディングシュートを叩き込んだ。これで2次予選は6試合連続ゴール。楽な展開になった試合は少なかったのでMF本田圭のゴールに助けられた場面は多かった。
他に目立ったのは右SBで出場したDF酒井高。ザックJAPANのときは日本代表がCKなどセットプレーを獲得したときは後方に待機することが多かったと思うのでゴール前に顔を出すことはほぼ無かったが「プロ入り後、ここまでゴール前のチャンスに顔を出せたことは無かったのでは?」と思うほどチャンスシーンに絡んできた。得点チャンスを生かせなかったことは反省材料と言えるが、アグレッシブさは評価できる。
守護神のGK西川の活躍も目立った。絶体絶命のピンチを好セーブで防いだシーンが3度ほどあった。二次予選はここまで7試合連続で無失点中だったのでいいイメージのままで最終予選に突入することは日本にとっては大事なことだった。前掛かりになり過ぎてカウンターを食らう場面が(試合展開を考えると)多すぎたことはチームとしての修正ポイントとなるが「ゼロ」で抑えることができたのは良かった。
4月12日(火)に最終予選の組み合わせ抽選会が行われて6月にキリンカップが開催されて9月から最終予選がスタートする。このままのスケジュールであれば、次の代表戦は6月3日(金)になるのでインターバルがある。間隔が空くときに気持ちよく終われるのか、モヤモヤしたままで終わるのかの差は日本代表を取り巻く雰囲気に大きくかかわってくる。最高の雰囲気で次の試合を迎えることができるだろう。
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