■ J2の第34節J2の第34節。16勝9敗8分けで勝ち点「56」のジュビロ磐田(3位)と、9勝13敗11分けで勝ち点「38」の愛媛FC(18位)がヤマハスタジアムで対戦した。磐田は後半戦に入ってからは3勝5敗4分けと低調で、ついにシャムスカ監督が解任となって、解説者として活躍していた元日本代表の名波氏が新監督に就任した。この試合は名波監督のデビュー戦となる。
ホームの磐田は「4-2-3-1」。GK八田。DF櫻内、伊野波、森下、駒野。MFフェルジナンド、藤田義、松浦、小林祐、松井大。FW前田遼。スタメン落ちが続いていた元日本代表のDF駒野とDF伊野波の2人がスタメンに復帰して、ボランチ起用が多かったMF小林祐がトップ下で起用された。エースのFW前田遼はリーグ4位タイとなる14ゴールを挙げている。
対する愛媛FCは「3-4-2-1」。GK児玉。DF代、林堂、浦田。MF渡邊一、村上巧、藤、キム・ミンジェ、堀米、河原。FW西田。DF村上佑は出場停止で、DF代がスタメンとなった。トライアングルが好調で、MF河原は10ゴール、MF堀米とFW西田は7ゴールを挙げている。11試合で3ゴールの新加入のFWリカルド・ロボはベンチスタートとなった。
■ 2対0で磐田が勝利名波監督の初陣ということで大きな注目を集めた一戦は序盤はアウェーの愛媛FCがペースを握る。クラブのレジェンドの名波氏が戻って来たということでスタジアム内はポジティブな雰囲気に包まれていたが、磐田はなかなか攻撃のリズムをつかむことができない。しかし、やや優勢だった愛媛FCもシュートシーンは作れず。前半は0対0で終了する。
迎えた後半3分に磐田は左サイドでテンポよくパスが回って中央のFW前田遼が溜めを作った後、右サイドを駆け上がったDF櫻内にパスを送ると、DF櫻内からのクロスをFW前田遼が自らヘディングで決めてホームの磐田が先制に成功する。FW前田遼は27節の富山戦(H)以来となるゴールで、今シーズン15ゴール目となった。
その後は磐田ペースとなる。0対0の後半開始からFWリカルド・ロボを投入した愛媛FCだったが、後半はパスミスが多くなって、自らの手でリズムを壊してしまう。追加点の欲しい磐田は後半20分に高い位置でMF小林祐がボールを奪うと、最後はMF松井大のスルーパスからMF松浦がキーパーもかわしてから決めて2点目を挙げる。
結局、愛媛FCは最後まで決定機を作ることはできず。愛媛FCが放ったシュート数はわずか2本だけ。磐田が2対0で勝利して名波監督は白星発進となった。13時キックオフの試合で2位の松本山雅が敗れたので、これで2位の松本山雅と3位の磐田の差は「5」に縮まった。初昇格を目指す松本山雅にとってはプレッシャーのかかる展開になってきた。
■ 2位の松本山雅との差は「5」磐田は33節の水戸戦(A)は1対4の大敗だった。それを受けてシャムスカ監督が解任されて、名波監督が就任することになった。難しいタイミングでの監督交代となったが、無事に白星スタートとなった。水戸戦は23日(火)に行われたので、準備期間はほとんどなかったが、先制した後は磐田が相手を圧倒した。後半の出来は非常に良かったと言える。
磐田は3位とPO圏内に位置するが、自動昇格圏となる2位の松本山雅に大差を付けられていた。右SBのDF櫻内の頑張りを除くと、ここ最近の磐田というのはポジティブ要素を見つけるのが難しい状態だったが、レジェンドの名波監督の就任によって雰囲気は一変した。初戦で勝利したことで「いい雰囲気」は持続されるはずで、流れは良くなってきた。
一時は「自動昇格は絶望的」と思われたが、ここに来て松本山雅も5試合勝ちなしと苦しんでいる。残り8試合で「5差」というのは十分に射程圏内である。「8」から「5」に差が縮まったことで磐田の方は勢いづくだろうし、松本山雅の方はプレッシャーを感じるようになるだろう。J2の2位争いが俄然面白くなってきた。
■ キーマンとなりそうなトップ下の小林祐希名波監督になってまず注目されたのは「どういうスタメンになるのか?」だった。シャムスカ監督は夏以降、DF駒野とDF伊野波をレギュラーから外して、さらにはMFポポやMF松井大もスタメンから外れるケースが多くなった。DF櫻内やDF坪内などを重宝してきたが、名波監督はDF駒野とDF伊野波とMF松井大をスタメンで起用してきた。
シャムスカ時代の末期の選手起用というのはかなり不可解だった。DF櫻内の状態が非常に良かったとは言っても、左SBでもプレー可能なDF駒野を冷遇したことは結構なマイナスだったと思うが、DF駒野を左SBのスタメンで起用してきたことと、トップ下にパサータイプのMF小林祐を起用したことの2つが名波監督のカラーと言えるだろう。
MF小林祐は今シーズンはボランチの一角で起用されることが多かったが、センスのあるレフティなので、現役時代の名波監督に通じるところがある。名波監督が好きそうなタイプと言えるが、トップ下での起用というのは驚きだった。しかしながら、守備で貢献しつつ、ボール回しの中心となった。名波ジュビロのカギを握る存在になるのは間違いない。
言うまでもなく、監督経験が無い点というのは不安要素の1つであるが、誰でも最初は新米監督である。いくつかのチームで監督を務めた経験のある指導者の方が安心感はあって、苦境に陥ったときにそこから脱出する術を持っているケースは多いが、指導者としての経験が浅いから(or 全くないから)監督としての能力が乏しいというわけではない。
もちろん、まだ1試合を終えた段階である。特に試合の後半は思い通りの展開になったので、試合中に名波監督がやらなければならないことは少なかったが、重苦しい雰囲気が一掃されたことは確かである。現役時代から「指導者としても大成するのではないか?」と言われてきた名波監督はとりあえずとして順調なスタートを切ることができた。
■ 後半開始からFWリカルド・ロボを投入したが・・・。一方の愛媛FCはここ4試合負けなし。ともに後半の終了間際に同点に追いつくゴールが生まれたが、32節は岡山(A)と引き分けて、33節は千葉(H)と引き分けるなど上位チームを相手に勝ち点を積み上げてきた。チーム状態はまずまずと言えたが、5試合ぶりの敗戦となった。名波監督の初戦で顔を合わせることになったのは不運としか言いようがない。
前半の終盤にセットプレーから2度ほど決定機を作られたが、流れが悪くなりかけていたことも関係しているのか、後半の開始からFW西田を下げてFWリカルド・ロボを投入してきた。0対0であったにもかかわらず、先にアウェーの愛媛FCが動いてきたが、なかなかFWリカルド・ロボのところでボールが収まらなくて、シュートチャンスを作れなかった。
FWリカルド・ロボはテクニックはあるので、ダイレクトで味方選手にはたくプレーは得意にしている。ただ、ポストプレーヤーではないので、体を張ってボールをキープして味方選手が攻め上がる時間を作るプレーは専門外となる。いい距離にMF河原やMF堀米がいるとチャンスにつながるが、孤立するときはボールロストが目立つようになる。
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