■ U-17W杯が開幕UAEで開催されるU-17W杯が開幕。前回大会(2011年)はDF岩波、DF植田、MF南野、MF石毛、DF川口らを擁してベスト8という成績を残したU-17日本代表は初戦でU-17ロシア代表と対戦した。日本が入っているグループDは、日本とロシアとベネズエラとチュニジアの4チームで構成されていて、日本は初戦がロシア、2戦目がベネズエラ、3戦目がチュニジアと対戦する予定になっている。
1996年生まれと1997年生まれの選手たちで構成されている通称・96ジャパンは「4-1-4-1」。GK白岡ティモシィ(広島Y)。DF石田(磐田Y)、宮原(広島Y)、茂木(浦和Y)、坂井(大分Y)。MF三竿(東京VY)、小川(浦和Y)、三好(川崎FY)、会津(柏Y)、瓜生(筑陽学園高校)。FW永島(京都Y)。2012年のU-16アジア選手権のMVPでJ1の鹿島への入団が内定しているFW杉本(帝京大可児高校)はベンチスタートとなった。
1997年1月1日以降に生まれた選手は2020年に東京で開催されることが決まった「東京五輪」に出場することができるが、スタメン組の中では、DF坂井とMF小川とMF三好の3人が「東京世代」となる。また、ベンチスタートになった選手では、GK阿部(新潟Y)、MF鈴木(前橋育英高校)、FW杉森(名古屋Y)の3人が1997年生まれとなる。したがって、今回のU-17日本代表に選出された21名のうち6名が「東京世代」となる。
■ 1対0で日本が勝利!!!試合の立ち上がりはロシアが勢い良く攻めてきて、日本はミスからピンチを招いてしまう。しかし、前半10分あたりを過ぎると、完全に日本がゲームをコントロールするようになって、持ち前のパスワークでロシアを翻弄する。先制ゴールが決まったのは前半15分で、1トップのFW永島のパスを受けたMF瓜生が右足でミドルシュートを放つと、これが鮮やかにネット隅に決まって日本が先制ゴールを奪う。前半は1対0と日本がリードして折り返す。
後半も日本ペースが続いたが、後半15分あたりを過ぎると、ロシアも高さとスピードを駆使して攻撃の形を作るようになる。最大のピンチだったのは、右SBのDF石田のバックパスのミスから始まったロシアの攻撃で、絶体絶命のピンチだったが、何とか防いで同点ゴールとはならず。追加点の欲しい日本は終了間際に途中出場のMF水谷とMF杉本が絶好機を迎えるが決めることが出来ない。しかしながら、1対0で逃げ切って、見事に白星スタートとなった。
同じグループのもう1試合はチュニジアがベネズエラに2対1で勝利したので、日本の入ったグループDは、勝ち点「3」のチュニジアが首位、勝ち点「3」の日本が2位、勝ち点「0」のベネズエラが3位、勝ち点「0」のロシアが4位というスタートになった。第2戦は21日(月)に行われるが、日本はベネズエラと対戦する予定になっている。第3戦のチュニジア戦は24日(木)に行われるので、中2日での3連戦となる。
■ 本番に合わせてきた96ジャパンいよいよ開幕したU-17W杯の初戦で日本は1対0でロシアに勝利した。試合は圧倒的に日本がボールを支配して、ボール支配率は前半が65%で、トータルでも62%だったので高いポゼッション率を誇った。しかしながら、なかなかシュートにつなげることは出来なかった。おそらく、決定機の数ではロシアの方が少し多かったと思うが、DF宮原とDF茂木を中心とした守備陣が体を張って相手の攻撃をストップして、見事に勝ち点「3」を獲得した。
96ジャパンは2012年の秋に行われたU-16アジア選手権は準優勝と結果を残したが、今年に入ってからは、参加した大会で思うような結果を出せずにいた。したがって、チーム作りを不安視する声もあったが、きっちりと本番に合わせて来た。クロスやスルーパスなど、ラストの精度を欠くシーンが多かったことは反省材料と言えるが、つなぎの部分は文句なしで、ポゼッションのときの安定感は「94ジャパン」をも上回っている。
先日、韓国とブラジルのフル代表が親善試合を行ったが、FWネイマールに対して、韓国の選手が執拗なタックルを繰り返したとして大きな騒動になったが、日本人選手は親善試合になると、相手のことを気遣う気持ちが生まれてくるので、ガツガツ行くのは難しい。それが、ここ最近の96ジャパンが思うような結果を出せずにいた理由の1つかもしれないが、本大会になると、遠慮する必要はなくなるので、ハードな守備が可能となる。
吉武監督のサッカーは、細かいパスワークに注目が集まるが、全員が献身的な守備をこなすところもウリになっている。もちろん、たくさんの候補者の中から、そういうタイプを好んで選出しているのだと思うが、(ほとんどの選手がサイズには恵まれていないが、)しつこさを持っていて、球際の強さもそれなりに備わっているので、粘り強い守備ができる。高さが無いので、セットプレーのときは危うさを感じるが、それ以外では、大きな問題はなかった。
■ MF瓜生のミドルシュートで先制攻撃に関しては、前述のとおりで、U-16アジア選手権のときは、ゴール前に近づいてきたときも、もう少し丁寧にパスを回して相手の守備を崩すことができていたので、消化不良のところはある。前半に左サイドで作って、フリーになったFW永島がシュートを放つシーンがあったが、あのような感じで、パスワークと動きでもう少し決定機を作りたかったが、ロシアの中央の守備はそれなりに堅かったので、パスワークで崩しきる回数は少なかった。
したがって、攻撃の部分では、改善の余地はあるが、MF瓜生のミドルシュートで早い時間に先制できたのは大きかった。かなり距離があったので、相当にいいコースに飛ばないと簡単にセーブされていたと思うが、「ここしかない。」というところにシュートが飛んで行った。スタメン組の中で、非ユース組はMF瓜生ただ1人だけだったが、チームに勢いをもたらす大きなゴールとなった。
決勝ゴールを決めたMF瓜生がヒーローになったが、それ以外では、ボランチのMF三竿と右CBのDF宮原の2人が目に止まった。昨秋のU-16アジア選手権のときは、とにかく高さが欠けていて、「このままでは世界と互角に戦うのは難しいのではないか。」と思ったが、最終ラインの前のアンカーの位置に181センチのMF三竿を置いたことで、後ろの選手の負担が減った。そして、パス回しのときも積極的にボールを受けてリズムを作ったので、攻守両面で目立った。
一方のDF宮原は、U-16アジア選手権のときも抜群のプレーを見せていたが、この日も、素晴らしかった。登録は171センチなので、CBとしては非常に小さい選手であるが、1年前と比べると力強さも出てきて、攻撃的なセンスと守備的なセンスを随所に発揮するのは相変わらずである。終盤には右SBに回ったが、技術が高くて、なおかつ、クレバーなので、奪ったボールをきちんと味方につなげることができる。センスの塊のような選手である。
敢えて不安要素を挙げると、最後尾にいるGK白岡ティモシィで、危ういところが多い。190センチと高さがあるので、180センチを超える選手がほとんどいないチームにおいては、貴重な選手であるが、やはり、素材型の選手なので、この試合でも、キックのミスや飛び出しのタイミングの誤りでピンチを招くことがあった。シュートへの反応は良かったので、無失点の功労者の1人ではあるが、安定感があるとは言い難い。
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