■ 第11節J1の第11節。4勝3敗2分けで勝ち点「14」のサンフレッチェ広島と、0勝7敗3分けで勝ち点「3」の大分トリニータがエディオンスタジアム広島で対戦した。広島は7位で、大分は18位。J1昇格プレーオフを制して2009年以来のJ1復帰を果たした大分だったが、リーグ戦は10試合勝ちなし。ナビスコカップも含めると公式戦は14試合勝利なしと苦しんでいる。
ホームの広島は「3-4-2-1」。GK西川。DF塩谷、千葉、水本。MF青山敏、森崎和、ミキッチ、パク・ヒョンジン、石原、高萩。FW佐藤寿。エースのFW佐藤寿は9試合で6ゴールを挙げている。10節の大宮戦で負傷交代したGK増田はベンチ外で、怪我が治ったGK西川が先発に復帰してきた。大分の下部組織で育ったGK西川は古巣の大分と初対決となる。
対するアウェーの大分は「3-5-2」。GK丹野。DF深谷、阪田、児玉。MF土岐田、ロドリゴ・マンシャ、キム・ジョンヒョン、松原、チェ・ジョンハン。FW小松、高松。結果が出ていないこともあってメンバーを入れ替えて、MF土岐田やMFキム・ジョンヒョンらが中盤で起用されて、右WBにはリオ世代のMF松原がスタメンとなった。1993年生まれのMF松原はJ1初出場となる。
■ 1対0で広島が逃げ切る試合は開始2分にホームの広島が先制する。左サイドでボールを持ったMFパク・ヒョンジンが左足でクロスを入れると、ゴール前に上がっていたDF塩谷が頭で合わせて開始早々に先制ゴールを奪う。DF塩谷はJ1初ゴールとなった。広島はその後もMFミキッチを中心に攻め込んだが、追加点を奪うことはできない。前半は1対0と広島がリードして折り返す。
後半も広島ペースが続いて、両サイドから頻繁にクロスを上げるが、この日はMFミキッチのクロスの精度が低くて、なかなか決定機を作れない。対する大分は、MF永芳、FW森島康を投入し、FW森島康やFW高松の高さを生かした空中戦でチャンスを作ろうとするが、広島の最終ラインの守備も堅くてなかなかチャンスを作れず。GK西川を脅かすシーンはほとんどなかった。
結局、試合は開始2分のDF塩谷のゴールが決勝点となって、広島が1対0で逃げ切って今シーズン5勝目。ACLの関係で1試合消化が少ないが暫定で5位に浮上した。一方の大分は開始2分の失点が響いてこの日も勝ち点「3」を得ることは出来ず。リーグ戦は約1/3となる11試合が終了したが、0勝8敗3分けと勝利を手にすることができずに苦しんでいる。
■ パク・ヒョンジンが決勝アシスト14日・15日と21日・22日にACLの決勝トーナメントのラウンド16が予定されていることも関係しているのか、広島は11節は大分(H)、12節は甲府(H)、13節は湘南(A)と昇格組との対戦が続いていく。もちろん、簡単に勝てる相手ではないが、仙台であったり、浦和であったり、柏であったり、ACLに出場するクラブと対戦するよりは、勝ち点「3」を得る可能性が高い。
したがって、広島は昇格組との3連戦で勝ち点を積み上げて、上位を走る大宮や横浜FMや浦和に少しでも近づきたいところであるが、最初の試合で勝ち点「3」を獲得した。追加点が獲れていれば、もっと楽な展開に持ち込むことができたので、2点目を奪えなかったことは反省材料と言えるが、開始早々に先制ゴールを奪って、比較的楽な試合展開で勝ち点「3」をつかむことができた。
この試合は、MF高萩やMFミキッチの出来がイマひとつで、FW佐藤寿にボールが集まらなかったが、左WBで起用されたMFパク・ヒョンジンが存在感を発揮した。韓国の大学からやって来た新外国人選手で、リーグ戦は6試合目の出場となるが、スタメンは初めてだったので、緊張があったのでは?と想像できるが、いきなり先制ゴールをアシストして、波に乗ることができた。
左サイドのスペシャリストで、しかも、背番号「17」を与えられているので、鉄人・服部公太を連想させるが、左利きの選手が左サイドにいると、攻撃の幅が広がってくる。ドリブルが得意なMF清水、万能型のMF山岸も、左WBで起用されたときに存在感を発揮しているが、彼らとは全く違ったタイプで、左足のクロスは見るべきところがある。
MFパク・ヒョンジンを含めて、広島には4人の韓国人選手がいる。アジア枠を導入したことがきっかけとなって、韓国人プレーヤーが増えているが、竹島の問題等もあって、韓国人というだけで嫌悪感を抱く人もいる。ただ、20歳前後で日本にやってくる韓国人選手は、一様にまじめで、日本語を覚えてチームに溶け込もうとする意識も高い。
■ 開幕から11試合勝利なし・・・対する大分はリーグ戦は11試合勝利なしで、公式戦は15試合勝利なしとなった。ただ、ボコボコにやられている試合というのはほとんどなくて、3点差以上で敗れた試合はゼロである。たいていの試合が接戦になっているが、勝負どころで守り切れなかったり、あと一歩のところで決められなかったり、ちょっとした部分が差になって、最終的に敗れている試合がほとんどである。
田坂監督もシステムを変更したり、メンバーを変えたり、「考えられる手は全て打っている。」と言ってもおかしくないほど、策を講じているが、結果に結びつかない。5月3日の大宮戦の後、スカパーの監督インタビューで解説者の増田氏の問いかけに対して、食ってかかるようなシーンがあったが、平常心を失っているのか、普通の精神状態ではないように感じられる。
このまま降格するようなことになれば、大分はJ2の6位から勝ち上がって来たチームなので、「J2で6位のチームがJ1で戦うのは無理である。」という声が出てくるのは確実であるが、まだリーグ戦は2/3が残っていて、15位の鳥栖との差は「7」である。絶望的な数字ではないので、諦めるような差ではないが、何かを手を打たないといけない時期に入っている。
■ 監督交代の可能性監督を代えるというのも1つの策である。今の大分の戦力は、J1の中では下のランクになるが、極端に力が劣っているポジションがあるとは思えない。どのポジションにも実力者や経験のある選手がいて、明らかなウイークポイントというのは見つからない。したがって、「どうすることもできないくらい戦力が不足している。」という感じはしない。
勝てていない原因が田坂監督にあるのかというと、微妙なところである。クラブの総合力ではJ1の中で17番目や18番目のチームなので、「仕方がない。」と感じるところもあるが、一方で、「もう少しうまいやり方があったのではないか?」とも感じるし、また、「運に見放されているところがあるので、同情の余地がある。」とも感じる。今シーズンの田坂監督の仕事ぶりを評価するのは、難しい。
「低迷の責任を取って辞めるべきだ。」という声も出始めているが、そういうのは低レベルな話である。大事なのは、監督を代えてチーム状態が良くなるのかどうかであり、大分は財政的な問題を抱えているので、無茶なことは出来ない。よって、続投であれ、解任であれ、難しい判断を迫られることになるが、最近の田坂監督の言動を見る限りでは、劇的な改善を期待するのは難しいと感じる。
関連エントリー 2012/05/05
クラブ別 歴代ベストイレブンを考える。 (ベルマーレ平塚・湘南ベルマーレ編) 2012/05/07
クラブ別 歴代ベストイレブンを考える。 (ジュビロ磐田編) 2012/12/22
【J1】 インターセプト数の多かったチームと選手は? (2012年版) 2012/12/28
【Jリーグ】 セットプレーからのゴールが多かったチーム (攻撃編) 2012/12/29
【Jリーグ】 セットプレーからのゴールが多かったチーム (守備編) 2013/01/10
【Jリーグ】 パスに関する数値が優秀なのは誰か? 2013/01/16
【J2】 効果的な補強ができたチームはどこか? 2013/01/17
【J1】 効果的な補強ができたチームはどこか?
- 関連記事
-