■ 第33節J2の第33節。10勝11敗11分けで勝ち点「41」の松本山雅と、5勝19敗8分けで勝ち点「23」の町田ゼルビアがアルウィンで対戦した。松本山雅と町田は、ともに今シーズンJ2に昇格してきた「同期生」となるが、松本山雅が14位で、町田が21位と差が付いている。
ホームの松本山雅は「3-4-2-1」。GK白井。DF飯田、飯尾、多々良。MFユン・ソンヨル、喜山、藤川、鐡戸、船山、楠瀬。FW塩沢。大分から加入のMF藤川が移籍後、2試合目のスタメンとなった。MF船山とFW塩沢がチームトップの7ゴールを挙げている。
対するアウェーの町田は「3-1-4-2」。GK修行。DF薗田、田代、加藤。MF太田、三鬼、藤田、コリン・マーシャル、鈴木崇。FW平本、北井。ベテランのFW平本が28節以来のスタメンで、MF幸野、FWドラガン・ディミッチ、FW勝又はベンチスタートとなった。
■ 松本山雅が3対0で勝利試合は前半24分にホームの松本山雅が先制する。左CKを獲得すると、MF鐡戸がショートコーナーでMF船山にパスを送って、MF船山がミドルシュートを放つ。これが相手DFに当たって不規則に形でゴール方向に流れると、ゴール前に残ってきたDF飯田の折り返しをDF飯尾が決めて松本山雅が先制する。DF飯尾は今シーズン初ゴールとなった。前半は1対0で松本山雅がリードして折り返す。
ビハインドの町田は、MFコリン・マーシャルに代えてMF幸野、FW平本に代えてFW勝又を投入すると、流れが良くなって試合の主導権を握るが、後半19分に松本山雅がカウンターを発動し、最後は右サイドからMF船山がゴール前にクロスを送ってMF鐡戸がつぶれた裏のスペースにポジションを取っていたFW塩沢が決めて2対0と突き放す。FW塩沢は今シーズン8ゴール目となった。
さらに、後半29分にも同じくカウンターからMF船山のパスを受けた途中出場のMF小松が鮮やかなループシュートを決めて3対0とリードを広げる。MF小松はJリーグ初ゴールとなった。結局、同期生対決はホームの松本山雅が3対0で勝利して、今シーズンの町田戦は2連勝。11勝11敗11分けで五分の成績に戻した。
■ 鮮やかなカウンターから追加点ホームの松本山雅がJFL時代からのライバルの町田を下した。3つのゴールが生まれたが、セットプレーとカウンターとカウンターから生まれており、松本山雅らしさが全開で、クラブの持ち味が発揮された試合となった。
DF飯尾の先制ゴールも大きかったが、2点目のFW塩沢のゴールが試合の流れを決めたといえる。ビハインドとなった町田が、MF幸野とFW勝又を投入して、流れをつかみかけており、町田のペースで試合が進んでいたので、町田に同点ゴールが決まる可能性の方が高かったが、鮮やかなカウンターから2点目のゴールが生まれた。
このシーンは、左ストッパーのDF多々良がドリブルで前進して局面を打開したプレーが大きくて、その後、左サイドでボールを受けたFW塩沢の中央に切れ込むドリブルも秀逸で、積極果敢にゴール前に入って行ったMF鐡戸の「つぶれ」も見事で、いいプレーが3つも連続して生まれて、貴重なゴールが生まれた。
3点目のMF小松のゴールも、DF飯田のフィードからMF船山が左サイドでボールをおさめて、中央を走ったMF小松にパスが渡ってゴールが決まったが、2点目も、3点目も、ボールを奪った後、スピードを殺すことなく、前にボールを運んだことが、素晴らしいゴールにつながった。
■ 3ゴールに絡んだMF船山2点目と3点目のゴールは、MF船山のパスが起点になっているが、DF飯尾の先制ゴールも、MF船山のミドルシュートがきっかけになっており、2列目で起用されているMF船山が3ゴール全てに絡む活躍を見せた。
MF船山は2010年に流経大から栃木SCに進んだが、栃木SCでは結果を残すことができず、2011年の途中に松本山雅に加入してきた。昨年は、JFLで17試合で5ゴールなので、まずまずの結果を残しているが、目立っていたのは木島兄弟で、レギュラーを獲得したわけではなかったが、今シーズンは、ポジションを確保し、32試合で7ゴールと上のカテゴリーでも結果を残している。
武器はドリブルであるが、判断力も優れており、突進するだけではなくて周りをうまく使える点も、評価されるポイントである。松本山雅はアタッカーのポジションはいろいろな選手を試しており、MFチアゴ・シルヴァなども控えているが、現時点では、MF船山が絶対的な存在となっている。
言うまでもなく、モンテディオ山形のMF船山祐二の弟であり、2人は兄弟であるが、顔も、プレイスタイルも、あまり似ていない。兄と弟の場合、弟の方が攻撃的なポジションで活躍するケースが多いが、船山兄弟にも当てはまっており、弟の方が前目のポジションでプレーしている。
■ 可能性を感じさせたMF幸野一方の町田は、FW平本を先発で起用するなど、メンバーを入れ替えてきたが、成功はしなかった。途中出場のMF幸野、FW勝又、FWドラガン・ディミッチの3人がいい動きを見せていたので、アルディレス監督のスタメン選びが失敗だったのでは?と感じてしまう。
最大のライバルを相手に「0対3」というスコアで、ショッキングな敗戦となってしまったが、気持ちを切り替えていくしかない。J2は17日(月)にも試合が予定されており、町田はアウェーで福岡と対戦するが、J2は過密日程のとき、どこまで踏ん張れるかが、重要である。
中2日であったり、中3日であったり、連戦になると、前の試合を引きずりがちで、切り替えられないままで試合に入って、気が付くと、3試合で合わせて、勝ち点「1」だったり、勝ち点「2」だったりと、勝ち点を取りこぼして、ライバルチームに引き離されるケースが多い。終わってしまったことは仕方がないので、次に向けて、リフレッシュしたいところである。
こういうスコアなので、ポジティブな要素は少なかったが、FC東京からレンタルで加入してきたMF幸野は、可能性を感じさせるプレーを見せた。リオ世代で、このチームの中心になるのではないか?と期待されている選手の1人であるが、運動量があって、技術も高くて、ミドルシュートもパンチ力がある。
何か理由があったと思うが、32節の岡山戦でもいいプレーを見せており、中盤でアクセントになっていたので、「この試合もMF幸野がスタメンだったら、結果も変わっていたのではないか?」と思うほどの存在感を発揮した。町田は、FW北井、FW勝又、FW平本など、ドリブルのできる選手は多いので、最終ラインやボランチから前線にパスを供給する中継役としても期待される。
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