■ J1の第3節J1の第3節。1勝1分けで勝ち点「4」の清水エスパルスと、0勝1敗1分けで勝ち点「1」の松本山雅がIAIスタジアム日本平で対戦した。清水は開幕戦で鹿島を3対1で下すなど好スタートを切った。2節の新潟戦(A)はスコアレスドローだった。一方の松本山雅は開幕戦はアウェイで名古屋と3対3の壮絶な試合を繰り広げると、2節のホーム開幕戦は試合巧者の広島に1対2で敗れた。松本山雅はJ1初勝利を目指す試合となる。
ホームの清水は「4-2-3-1」。GK杉山力。DF三浦弦、平岡、ヤコヴィッチ、犬飼。MF本田拓、八反田、村田和、長沢駿、大前。FWピーター・ウタカ。ナイジェリア代表経験のあるFWピーター・ウタカが初スタメンとなった。2013年は松本山雅でプレーしたMF長沢駿はやや下がり目の位置に入って、FWピーター・ウタカの1トップとなった。ここまで2試合連続スタメンのMF竹内涼はベンチスタートとなった。
対するアウェイの松本山雅は「3-4-2-1」。GK村山。DF飯田、後藤圭、酒井隆。MF岩間、喜山、田中隼、岩沼、岩上、池元。FWオビナ。こちらは3試合連続で全く同じスタメンとなった。新外国人のFWオビナはここまで2試合連続でゴールを奪っている。今オフにJ2の岡山から加入したMF石原崇は清水ユース出身なので古巣との対決となる。松本山雅から清水に復帰したDF犬飼の1学年先輩に当たる。
■ 1対0でアウェイの松本山雅が勝利試合はホームの清水ペースで進むかと思われたが、予想に反して松本山雅が主導権を握る。前半14分にボックス内でボールを受けたFWオビナが素晴らしい動きから右足でネットを揺らすが、これはオフサイドでゴールは認められず。このプレーで勢いの出た松本山雅は前半19分にダイレクトでパスが繋がって最後はMF池元のシュートのこぼれ球を右ストッパーのDF飯田が押し込んで松本山雅が先制する。
さらに前半31分にもペナルティエリア内でボランチのMF喜山が倒されて松本山雅にPKが与えられる。追加点を奪う絶好のチャンスだったが、FWオビナのシュートは枠を大きく超えてしまう。一方の清水は最大のストロングポイントである右サイドのMF村田和を封じられてなかなか思うような攻撃ができない。前半は松本山雅がペースを握ったたまま、1対0のスコアでハーフタイムに突入する。
1対0で迎えた後半は清水が圧倒的に攻め込む展開になるかと思われたが、そういう流れにはならず。松本山雅もセットプレーやカウンターからチャンスを作ったので、防戦一方にはならなかった。それでも清水は後半の終盤にMF長沢駿に決定機が訪れるが、シュートはポスト直撃で同点とはならず。結局、1対0でアウェイの松本山雅が勝利して記念すべきJ1での初勝利を挙げた。これで松本山雅は1勝1敗1分けとなった。
■ 記念すべきJ1での初勝利大榎監督率いる清水は前評判こそ低かったが、開幕からまずまずいいサッカーを見せていた。「この日はホームの清水が攻め込む展開になる。」と予想したが、そういう展開にはならなかった。さすがに後半の終盤は清水が攻め込んだが、松本山雅が主導権を握っていた時間帯は非常に長かったので、「守って守って何とか松本山雅が1点リードを守り切って勝利をつかんだ。」という展開ではなかった。
この日の松本山雅の出来は非常に良かった。ほとんどの選手が及第点以上のプレーを見せたと思う。出来の悪かった選手はいなかったが、マン・オブ・ザ・マッチはやはり前半19分に値千金の決勝ゴールを決めた右ストッパーのDF飯田になるだろう。2013年は41試合で5ゴール、2014年は42試合で6ゴールとJ2でかなりゴール数を記録しているが、自身のJ1初ゴールがチームのJ1初勝利につながった。
松本山雅のDF飯田というと、ちょうど
前回のエントリーの中で「J1とJ2でプレーする全ての日本人Jリーガーの中でサッカーを始めた時期が2番目に遅かった選手」と紹介している。当サイト的にはいいタイミングでヒーローになってくれた。(左サイドからスローインであり、)相手ゴールの近くで得たセットプレーの流れではないケースであの位置にポジションを取っていたというのがまず面白かった。
一連の流れを見直すと、ボールとは反対サイドの遠くにいたDF飯田はスルスルとゴール前に入っていった。アウェイ戦で、かつ、0対0のスコアで、しかも、前半の19分というタイミングではボランチの選手であってもあの位置には上がりにくいが、躊躇することはなかった。シュート自体は簡単なものだったが、右ストッパーのDF飯田があの位置にポジションを取っていたことが大ファインプレーだったと言える。
これで松本山雅は3試合目にしてJ1初勝利を手にしたが、非常に大きな勝利と言える。開幕戦で勝ち点「1」を獲得したが、昇格組というのは1つ勝つまでが大変である。なかなか初勝利を挙げられずに苦しむチームが毎年出てくるので、一番の目標である「J1残留」にちょっとだけ近づいた。1勝1敗1分けとなったが、「J1でもある程度はできそうだ。」という手ごたえを感じているのではないかと思う。
■ FWピーター・ウタカをスタメンで起用一方の清水もこれで1勝1敗1分けとなった。開幕戦で強豪の鹿島に3対1で勝利するという素晴らしいスタートを切った。この試合は内容も良かったので、プレシーズンから続いていた嫌な流れを完全に払しょくできたと思われた。ホームで昇格組の松本山雅を下して2勝1分けになったならば、残留争いではなくて、上位争いに加わることができた。清水にとっても大事な試合と言えたが、残念な結果となった。
この日は元ナイジェリア代表のFWピーター・ウタカをスタメンで起用してきた。2節の新潟戦(A)は後半開始から登場してなかなかいいプレーを見せたので、「このタイミングでスタメンで起用する。」という選手起用は決して間違いではなかったと思う。実際にFWピーター・ウタカはまずまずいいプレーを見せたが、縦に急ぐサッカーになってしまったので、相手の松本山雅のやりたいサッカーに近くなってしまった。
結果論になってしまうが、技術的には清水のほうがかなり上のチームなので、しっかりと自分たちでボールを保持して相手を押し込む展開に持ち込みたかった。過去2試合は目立つプレーは少なかったが、きちんとボールを持てるMF竹内涼を同様に左サイドハーフで起用して、FW長沢駿の1トップで、MF大前がトップ下に入るという従来通りの布陣のほうがベターだったのではないかと感じるところもある。
ただ、当然のことながら、新シーズンは始まったばかりなので、いろいろなことにチャレンジしたい時期であり、また、チャレンジしなければならない時期である。FWピーター・ウタカを先発で起用してFW長沢駿とMF大前の位置を変えたことは結果にはつながらなかったが、大榎監督の選手起用は責められるものではないと思う。積極的にチャレンジした末の結果なので、一定以上の評価はしたいところである。
松本山雅の反町監督はMF村田和のことをかなり警戒していたが、結局、MF村田和はほとんど仕事ができなかった。早い段階で松本山雅が先制して彼の生きるスペースがあまりなかった点も関係しているが、彼が封じられたときにどうするのか?は清水の次の課題と言える。右SBのDF三浦弦のところは空いていたので生かしたかったが、CBが本職の選手なのでなかなか攻撃面で気の利いたプレーをするのは難しい。
「ゴールが必要な展開になったので早いタイミングで攻撃力のあるSBを投入するのがベター」だと思ったが、控えの選手でSBでプレーするのはDF鎌田のみ。当然、DF三浦弦よりは攻撃力があるので、ここを動かすのが最善の策だと思ったが、大榎監督は違うところを動かしてきた。(彼もSBが本職ではないが、)DF河井が戻ってくると選手起用のバリエーションが増えるので、早い時期の完全復活が待たれる。
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