■ 上位対決3勝2分けと好スタートを切った清水エスパルス。対するは3勝1敗1分けとこちらも好スタートのベガルタ仙台。J1で上位につける両チームがアウスタ日本平で対決。
ホームの清水は<4-1-2-3>。GK西部。DF辻尾、平岡、ボスナー、児玉。MF本田拓、兵働、小野。FW藤本、ヨンセン、岡崎。日本代表としてセルビア戦にもスタメン出場したFW岡崎は中3日での試合。第5節の横浜Fマリノス戦では2ゴールを挙げている。
対するアウェーの仙台は<4-2-2-2>。GK林。DF菅井、渡辺、エリゼウ、朴柱成。MF千葉、富田、関口、梁勇基。FW中原、フェルナンジーニョ。5節の鹿島アントラーズ戦で2ゴールを挙げて勝利の立役者となったFWフェルナンジーニョは古巣との対戦となった。
■ ゴールラッシュアウェーの仙台も立ち上がりからアグレッシブな攻撃を見せるが、好調の清水が上回る。前半23分に左サイドでボールを持ったFWヨンセンが中央に切れ込んでミドルシュート。これが決まって清水が先制する。さらに前半終了間際にも、中盤でのMF本田拓のボール奪取からパスワークで相手を翻弄。最後はゴール前に上がったMF本田拓がFW岡崎のパスを受けてシュート。これが決まって、前半は2対0の清水リードで終了。
勢いの衰えない清水は、後半14分にMF兵働のミドルシュートのこぼれ球をFW藤本が蹴り込んで3点目。後半17分にはMF兵働のCKからゴール前でフリーになったDF平岡がヘディングで決めて4点目。さらに後半33分には途中出場のFW永井が決めて5点目を挙げる。
終了間際に仙台は清水のDFボスナーの不用意なバックパスを奪って、途中出場のMF太田が右からのクロス。これをFW中原が高い打点からヘディングシュートを決めて1点を返すが、大勢に影響はなし。結局、5対1で清水が勝利し、首位に浮上。一方の仙台は大量失点を喫して6位に転落した。
■ 例年にない好スタート毎年のように優勝争いに絡みながら、シーズン序盤でのつまづきが影響してリーグタイトルには届かないシーズンを送っている清水。「開幕ダッシュには失敗するが夏場に巻き返す」ことがチームカラーのようになっているが、今シーズンは4勝2分けと例年にない好スタート。6節を終えて首位に立った。12得点で3失点と攻守に安定していている。
今シーズンから<4-1-2-3>を採用しているが、システム変更による戸惑いは感じさせない。レギュラーのCBとして期待されるDF青山とDF岩下が戦列を離れているが、DFボスナーやDF平岡やDF児玉が入っても全く見劣りはしない。この日、スタメンではなかった選手を並べてみても、GK山本海、DF市川、DF太田、MF伊東、MF枝村、MF山本真、FW永井、FW大前と実力者が揃っており、セカンドチームが作れそうなくらい分厚いメンバー構成になっている。
■ アンカーの本田拓也1ボランチという難しいポジションを務めながらも、試合の行方を決定付ける2点目のゴールを決めたMF本田拓也がこの試合のマン・オブ・ザ・マッチといえる。MF本田の成長で、長い間、チームを支え続けていて、なかなか後継者が生まれてこなかったMF伊東をようやくベンチに座らせておくことも可能になった。
北京五輪代表時代から定評のあった守備力とミドルパスに加えて、ショートパスでの展開でも安定感を増していて、プレー範囲が非常に広くなってきている。1ボランチで、しかも中盤が3枚だけという<4-1-2-3>はバランスを取るのが難しいが、清水の中盤は攻守ともに隙が無くて、守備のバランスを崩すこともなくプレー出来ている。
■ 3つのゴールに絡んだ兵働そのMF本田の前に位置し、MF小野とともに攻撃的なポジションに入っているMF兵働が3つのゴールに絡む活躍で勝利に大きく貢献した。中盤のポジション争いは熾烈であるが、6試合連続でスタメン出場とチームの中心としてプレーしている。
1点目のFWヨンセンのゴールを導く丁寧なパス、3点目のFW藤本のゴールをお膳立てする左足の強烈なシュート、4点目のDF平岡のゴールをアシストする柔らかい左足のクロスと、定評のある左足が3つのゴールを生み出した。<4-2-2-2>では右サイドハーフに入ることが多かったが、少し前目のゴールに近いポジションになってチャンスシーンに絡むプレーが増えてきている。
MF兵働も、MF小野も、1人で局面を打開していくタイプの選手ではないが、味方を生かすプレーが非常にうまい。MF兵働もMF小野を生かしていて、MF小野もMF兵働を生かしている。核となるポジションにいい相乗効果が生まれていて、どこからでも点が取れそうな雰囲気が生まれている。
■ 思わぬ大敗3節でガンバ大阪と引き分け。4節は鹿島アントラーズに2対1で勝利。序盤戦の台風の目になっていた仙台だったが、よもやの大敗を喫した。シュート本数は「16本対14本」と大きな差はなく、仙台もたくさんのチャンスを作ったが、一瞬のすきを突かれて5失点。J1トップクラスのチームの恐さを思い知らされる試合となった。
痛かったのは3点目の失点。見方によっては清水のファールが取られてもおかしくないプレーからMF兵働にミドルシュートを放たれて、GK林がはじいたボールをFW藤本に決められてしまった。4点目と5点目の失点は仙台らしくなく、集中が切れた感じで、あっさりと決められてしまった。
救いはFW中原のゴール。もし0対5のまま終わっていたら、これまでの5試合で積み上げてきた自信を失ってしまいかねないほどのショッキングなものになっていたが、1つゴールで精神的にも救われたような感じがする。
■ 小野伸二の代表復帰はあるのか?①6試合を終えて4勝2分け。好調の清水の1つの要因がMF小野伸二である。中盤で「タメ」や「遊び」の少なかった清水にとって、MF小野伸二というピースが入った影響は予想以上に大きく、自身がゴールやアシストを記録しているわけではないが、「いい流れ」、「いいムード」を作っているのは、彼の力といえる。
長谷川監督のMF小野の使い方も巧みで、過度な負担は与えずに、MF小野の持ち味が発揮しやすい環境を作っていて、久々に日本に戻ってきてモチベーションの高いMF小野をうまく起用している。MF小野の加入がシステムチェンジの要因になったわけではないが、<4-2-2-2>では今のMF小野の持ち味を十分に発揮させることは難しかっただろう。MF小野が加入したタイミングも良かった。
この日は目立ったパスは少なかったが、何気ないパス、何気ないタッチでリズムを変えてしまうことの出来る選手はなかなかJリーグの他のチームにも見当たらない彼の才能といえる。第5節の横浜FM戦のFW岡崎の1点目のゴールを生んだDF辻尾に出した柔らかなパスが典型的なプレーである。
■ 小野伸二の代表復帰はあるのか?②首位の清水を支えている1人として、一部では、日本代表への復帰(=4大会連続のワールドカップ出場)の声が上がってきているが、これはさすがに厳しいだろう。岡田ジャパンでプレーしたのは2008年8月のウルグアイ戦のみであり、その時のパフォーマンスも十分ではなかった。日本代表には、MF遠藤、MF中村俊、MF中村憲がいて、彼らは順当にメンバー入りを果たす可能性は高く、「その上、MF小野もメンバー入り」ということになると、チームバランスは良くない。
確かに、MF小野の加入は清水好調の要因の1つではある。が、それが、すぐに代表入りに直結するかというと、また別の話となる。MF小野が優れたミッドフィールダーであったということはまぎれもない事実であり、20代前半から中盤にかけての最盛期の頃は世界レベルで見ても優秀な選手といえたが、残念ながらピークは過ぎてしまっている。
むしろ、清水の中盤から代表選手を選ぼうとするのであれば、まずはMF本田拓也が候補に挙がってくるだろうか。最終メンバーの決定まで時間が無いのでMF本田が南アフリカ行きを手にする可能性はほとんどゼロではあるが、彼のポテンシャルとここ最近の安定ぶりを考えると、「本田を代表に・・・。」という声が大きくなってきてもおかしくない。
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