■ この1年間でもっとも成長したと思われる選手に贈られる賞アメリカ・プロバスケットボール・リーグ(NBA)のMost Improved Player Award(MIP賞)は前シーズンと今シーズンの成績やパフォーマンスを比較して「この1年間でもっとも成長したと思われる選手」に贈られる。1985-86シーズンに制定された賞で初受賞者はアルビン・ロバートソン。1984年のロス五輪で金メダルを獲得している選手である。アメリカとカナダのスポーツ記者等の投票によって選出される。
「もっとも成長したと思われる選手」なのでこの1年間での成長の度合いがもっとも大きかった選手が受賞するのですでに一定以上のキャリアを築いている選手が受賞することはほぼ無い。Jリーグに置き換えるとフル代表に何度も召集されている選手やベストイレブンの受賞経験者はよほどのことがない限り候補にも入らない。もともとの評価が高かった選手が選ばれるためにはそれこそ超人的な働きが必要となる。
2011-2012年はライアン・アンダーソン(オーランド・マジック)、2012-2013年はポール・ジョージ(インディアナ・ペイサーズ)、2013-2014年はゴラン・ドラギッチ(フェニックス・サンズ)、2014-2015年はジミー・バトラー(シカゴ・ブルズ)、2015-2016年はC・J・マッカラム(ポートランド・トレイルブレイザーズ)が選出されていることからも分かるとおり、未来のスター選手が受賞するケースが多い。
■ 大飛躍のシーズンになっているMF町田(千葉)「昨シーズンの終盤」あるいは「今シーズンの開幕時点」と比較したときの成長度合いが評価ポイントになるので当然のことながらプロ1年目の選手は対象外となる。J2に置き換えると高卒1年目や大卒1年目の選手は鼻から対象外となるので大きなインパクトを残しているFW瀬川祐(群馬)などは対象外で、さらには「J2でプレーするのは初めて」となるMF福満(山口)やMF島屋(山口)あたりも候補には入れにくい。
いくつかの制約がある中で今シーズンのJ2のMIP賞の候補を考えていきたいと思うが、最有力と言えるのはMF町田(千葉)だろう。大卒5年目となるが昨シーズンまでは通算で60試合に出場して1ゴール。「動きは良い。」、「センスはある。」と能力を評価されていたが、その一方で絶望的に得点力が低かった。「得点力の低さが課題」と言われ続けてきたが、今シーズンはここまで23試合で9ゴールと大ブレイクしている。
プレーヤーとしての評価がそれほど高くなかった状態から1.5列目や2列目の選手としてはトップクラスの得点数を記録しているのでインパクトは大きい。ブレイクの理由はいくつかあると思うが早い段階でプロ通算2ゴール目が生まれたことで気持ち的にかなり楽になったのではないかと思う。そして昨オフに多くの選手が退団して生え抜きの選手がごくわずかになったことも大きく関係しているのではないかと思われる。
■ 得点王争いに絡んでいるFW永井龍(長崎)その他の有力候補というとFW清武功(熊本)の名前を挙げることができる。MF町田と全く同じでここまで23試合に出場して9ゴールを挙げているがそれ以外でもゴールに絡むシーンは非常に多い。「熊本のゴールのほとんどに絡んでいるのでは?」と思うほどの活躍を見せている。もちろん、昨シーズンの後半戦も活躍は目立っていたが存在感は昨シーズン以上。J2では屈指のアタッカーと言える選手になった。
FW永井龍(長崎)も有力な候補である。C大阪の攻撃陣は層が厚いのでなかなか出場機会をつかめずに昨オフに長崎に決意の完全移籍をしたがここまで14ゴールを記録。J2の得点王争いに絡んでいる。高校時代から将来を嘱望されてきたストライカーだったが新天地で文句なしの働きを見せている。Jリーグ通算(J1・J2)で56試合で5ゴールだったことを考えると「大飛躍」と表現するしかない活躍を続けている。
途中出場が多くなっているがFW北川(清水)もこの1年間で評価を大きく高めている。同じように高校時代から将来を嘱望されてきたストライカーだったが短い出場時間でしっかりとした結果を残している。清水はMF村田和というJリーグ屈指のジョーカーを擁しているが、MF村田和に負けず劣らずの存在感を示している。「ソフトでスマートなイメージ」が強かったが今シーズンは泥臭さも身に付けつつある。
■ 未完の大器と言われ続けてきたFW杉本健(C大阪)エースのFW柿谷を長期離脱で欠くC大阪の攻撃陣を引っ張るFW杉本健(C大阪)の躍進ぶりも目立つ。18節終了時点では18試合でわずか1ゴールのみ。期待を大きく裏切っていたが19節以降の12試合で8ゴールと目覚ましい活躍を見せている。ドリブル突破から独力で決定機を作ってネットを揺らすシーンも多い。「未完の大器」と言われた187センチの大型ストライカーが古巣のC大阪で完全開花しつつある。
同じ187センチのMF山崎凌(徳島)も期限付き移籍先の徳島でいい経験を積んでいる。まだ粗削りで経験不足なところはあるが、サイズがあって身体能力が高くてダイナミックなプレーができる。しっかりとした数字を残せるようになるまでにはまだちょっと時間が必要なのかもしれないが重要な戦力になっている。鳥栖ではわずか1試合の出場のみ。プレーヤーとしての価値が劇的に向上しているのは間違いない。
その他では右サイドハーフで起用されていいところでゴールを決めているMF白井永(水戸)、怪我に悩まされているが高速ドリブルを駆使した右サイドからの突破はJ2屈指と言えるFW田中達(FC岐阜)などもプレーヤーとしての価値を高めた選手で、守備的なポジションの選手ではDF高瀬(群馬)、DF下畠(京都)、DF進藤(札幌)、DF佐藤祥(水戸)あたりが開幕時と比べて評価が劇的に高まった選手と言えるだろう。
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