■ 初優勝をかけてスペインと激突フランスで開催されている女子のU-20W杯は大詰めを迎えている。準々決勝はドイツ、準決勝はイングランドに勝利して、女子サッカー史上初となるU-20W杯の決勝進出を果たしたU-20日本代表は初優勝をかけてスペインと対戦する。スペインとは同じC組に入ったのでGLの2戦目で対戦しているがこのときは0対1で敗れている。前半16分に警戒していたはずのセットプレーで失点。取り返すことができなかった。
決勝戦では是非ともリベンジをしてほしいところであるがこの試合を観る限りでは両チームの間に大きな差はない。GLの3戦目以降のスペインがどういう戦いを披露したのか?については結果しか分からないが、少なくとも日本は上り調子である。2試合を終えた時点では1ゴールのみと攻撃陣が低調だったがGLの3戦目のパラグアイ戦以降の3試合で計11ゴール。このチームの武器である攻撃陣にエンジンがかかってきた。
スペインとの決勝戦は8月24日(金)に行われる。日本時間では8月25日(土)の2時30分のキックオフ予定になる。これまでと同様でフジテレビNEXTで生中継されるが、それに加えて(関東ローカルになるが)地上波でもフジテレビで生中継されることになった。決勝戦まで勝ち進んだことで世界一に輝いた4年前のU-17W杯の決勝のスペイン戦と同様で多くの人にヤングなでしこのサッカーを披露できるチャンスを得た。
■ 武器となるのは日本が誇るダブルエース「初めてこの世代の選手たちの戦いを観る。」という人は少なくないと思うが、注目すべき選手を挙げていくとまずはエースのFW植木(日テレ・ベレーザ)になる。ここまでの5試合で5ゴール。得点ランキングで2位タイに付けている。このチームのエースストライカーになるがシャープな動きから自らシュートチャンスを作ってゴールを決めることができる選手である。頑張り屋で前線からの守備でもチームに貢献する。
19番のFW植木は将来を嘱望されている選手の1人になるが、2トップの相方のFW宝田(C大阪堺L)も同様である。2017年はなでしこリーグの2部で18試合で22ゴール。トップスコアラーになった。169センチとサイズに恵まれているが運動量が多くてFW植木と同様で前線からの守備でもチームに貢献できる。また、SHやCBやSBでもプレー可能。中学時代にはキーパー対象のトレーニングキャンプに選出された経験もある。
富山県出身のFW宝田は「超」が付くほどのユーティリティーな選手である。ここまでの5試合で4ゴール2アシスト。得点ランキングは4位タイとなる。2人合わせると大量9ゴールを奪っている強力2トップがこのチームの最大の武器と言える。FW宝田は初挑戦となるなでしこリーグの1部では苦労しているがこれまでの女子サッカーにはほとんどいなかったタイプの選手である。将来が大いに楽しみな選手である。
■ 最年少ながら中心として活躍するMF遠藤純Wエースを上回る圧巻のプレーを披露しているのは唯一の高校生のMF遠藤純(JFAアカデミー福島)になる。日テレ・ベレーザ入りが有力視されているが2000年生まれのチーム最年少。CBのDF高橋(浦和L)とともに2年後のU-20W杯の本大会も目指せる世代になるが5試合で2ゴール4アシスト。GLの3戦目のパラグアイ戦では3アシストの活躍を見せた。4アシストというのは単独1位。アシスト王に輝く可能性は高い。
166センチ/55キロというのは女子のアタッカーとしてはサイズに恵まれている。左利きという点ならびに166センチの身長はサッカー選手としての大きな武器になっているが、なおかつ、スピードがあって、パワーもある。左SHのMF遠藤純の仕掛けから今大会は沢山のチャンスが生まれている。左SBのDF北村(C大阪堺L)との関係性も良好。決勝Tに入ってからは2試合連続ゴール。勝負強さも魅力と言える。
逆サイドのMF遠藤純が目立ちに目立っているので影が薄かった右SHのMF宮澤(日テレ・ベレーザ)も攻撃センスのあるアタッカーになる。GLの3試合は本来の力を出せなかったが準決勝のイングランド戦では自身大会ベストのプレーを見せて勝利に大きく貢献した。ドリブルが得意でミドルシュートも大きな武器になっている。また、キープ力が高くて簡単にはボールを失わない点もMF宮澤の強みと言えるだろう。
■ 175センチの守護神のGKスタンボー華現状は5試合で計12ゴールを奪っている攻撃陣にスポットライトが当たっているがチームを支えているのはWボランチの2人になる。5試合連続で10番のMF長野(仁川現代製鉄)と7番のMF林穂之香(C大阪堺L)のWボランチが先発で起用されている。ともに運動量が豊富でゲームを組み立てるだけでなく積極的にゴール前に飛び出していくことが出来る。守備面でも粘り強いので攻守両面でこのチームの肝になっている。
MF長野は2014年のU-17W杯の優勝メンバーの1人であり、2016年のU-17W杯の本大会では大会のMVPに選出されている。このときは決勝戦で北朝鮮にPK戦の末に敗れて準優勝に終わったがそれでもMF長野がMVPに選出された。仮に今大会もMF長野がMVPに選出されるようだとMF杉田妃(INAC神戸)に次いで日本人としては2人目の「U-17W杯とU-20W杯の両方で大会MVPに選出された選手」になる。
最終ラインの選手では左SBのDF北村(C大阪堺L)が要注目選手に挙げられる。161センチなので女子のSBとしてはサイズに恵まれているが技術が高くて判断が正確。ビルドアップ能力が相当に高い。相手にプレッシャーをかけられても慌てることなく次に展開することができる。先のとおり、今大会の日本は左サイドが攻撃の中心になっているが、左SBにDF北村がいることが1つの大きな理由と言える。
最後尾に控えるGKスタンボー華(INAC神戸)もスケールの大きな選手である。父親がアメリカ人、母親が日本人。175センチというのはチーム最長身となる。女子サッカーで「高さのあるキーパー」というと188センチのGK山根くらいだったが、GKスタンボー華は世界基準に近いサイズを誇る。まだフル代表レベルとは言えないが、世界の舞台で非常にいい経験を積んでいる。明るい性格もGKスタンボー華の魅力になる。
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