浦和レッズ→ クラブW杯の初戦で開催国王者のアル・ジャジーラに敗れてレアル・マドリーとの対戦を逃した浦和は堀監督の続投が正式に発表されている。すでにMFマルティノス(横浜FM)とDF岩波(神戸)の加入が濃厚と言われているが表1は「ペトロヴィッチ監督のとき」と「堀監督のとき」の各種の数字を比較したものである。両方の数字を比較した場合、最も大きな差があるのはドリブル数である。大きく減少している。
もちろん、夏にMF関根貴(インゴルシュタット)が抜けた影響は大きい。システムが「4-1-4-1」になったことも大きく影響していると思うが「ドリブルで仕掛けて局面を打開できる選手」というのは補強ポイントの1つである。なので、「J1で屈指のサイドアタッカー」であるMFマルティノスというのは理にかなった補強と言えるだろう。他にはシュート数や枠内シュート数が大きく減少している点も気になるところである。
一方、下の表2は「クロスから失点する確率」を示している。浦和は相手にクロスを上げられた回数はリーグ最少であるにも関わらず、クロスから13失点を喫している。これはリーグワースト2位となる。確率は3.55%でJ1ワースト。クロス対応が大きな課題に挙げられるので空中戦に強いDF岩波というのも理にかなった補強と言えるが「クロスからの失点数」は神戸がワースト1位。なので引っかかる部分はある。
表1. 監督交代前と監督交代後の比較
項目 | 年間(1節~34節) | ミシャ(19節まで) | 堀(20節以降) |
試合数 | 34 | 20 | 14 |
シュート | 15.18 | 16.15 | 13.79 |
枠内シュート | 5.50 | 6.05 | 4.71 |
PKによるシュート | 0.21 | 0.25 | 0.14 |
パス | 597.82 | 605.75 | 586.50 |
クロス | 15.97 | 15.90 | 16.07 |
直接FK | 13.85 | 13.90 | 13.79 |
間接FK | 2.24 | 2.55 | 1.79 |
CK | 5.44 | 5.50 | 5.36 |
スローイン | 20.18 | 21.90 | 17.71 |
ドリブル | 15.76 | 17.15 | 13.79 |
タックル | 17.59 | 17.70 | 17.43 |
クリア | 17.79 | 16.95 | 19.00 |
インターセプト | 2.56 | 2.85 | 2.14 |
オフサイド | 2.29 | 2.30 | 2.29 |
警告 | 1.18 | 1.10 | 1.29 |
退場 | 0.06 | 0.10 | 0.00 |
30mライン進入 | 54.03 | 56.45 | 50.57 |
総走行距離 | 110.54 | 110.30 | 110.88 |
スプリント数 | 152.97 | 154.15 | 151.29 |
表2. クロスが失点に結びつく確率
順位 | クラブ名 | (%) | 失点 | 順位 | 本数 | 順位 |
1 | 横浜Fマリノス | 0.80% | 5 | 2 | 626 | 18 |
2 | サンフレッチェ広島 | 0.80% | 4 | 1 | 499 | 5 |
3 | ヴァンフォーレ甲府 | 0.83% | 5 | 2 | 601 | 17 |
4 | FC東京 | 0.93% | 5 | 2 | 538 | 12 |
5 | ガンバ大阪 | 0.98% | 5 | 5 | 511 | 7 |
6 | 柏レイソル | 1.25% | 6 | 6 | 479 | 4 |
7 | 川崎フロンターレ | 1.35% | 7 | 7 | 517 | 8 |
8 | アルビレックス新潟 | 1.35% | 7 | 7 | 517 | 8 |
9 | ジュビロ磐田 | 1.44% | 8 | 10 | 556 | 14 |
10 | 鹿島アントラーズ | 1.53% | 7 | 7 | 458 | 2 |
11 | コンサドーレ札幌 | 1.64% | 9 | 12 | 550 | 13 |
12 | 大宮アルディージャ | 1.68% | 10 | 13 | 596 | 16 |
13 | ベガルタ仙台 | 1.68% | 8 | 10 | 475 | 3 |
14 | サガン鳥栖 | 1.76% | 10 | 13 | 569 | 15 |
15 | セレッソ大阪 | 1.93% | 10 | 13 | 517 | 8 |
16 | 清水エスパルス | 1.96% | 10 | 13 | 510 | 6 |
17 | ヴィッセル神戸 | 3.26% | 17 | 18 | 522 | 11 |
18 | 浦和レッズ | 3.55% | 13 | 17 | 366 | 1 |
大宮アルディージャ→ 最後は新潟にも抜かれてJ1の最下位でシーズンを終えた大宮は課題が山積みである。ラスト3試合になった時点で緊急登板した石井監督の続投はすでに確定しているがやるべきことは多い。鹿島とは対照的で多くの項目がJ1で最低レベルになるので「どこから手を付けるべきのなのか?」の答えはなかなか見つからないが表1のとおり、平均身長が176.44センチでJ1最低だった。サイズアップは今オフのテーマになる。
下の表4は「セットプレーでの得点数ならびに失点数」を示しているが±の数値に着目すると大宮は「-8」。8得点というのは ワースト4位で、16失点というのはワースト2位タイとなる。もちろん、「サイズの割には空中戦に強い選手」や「サイズの割には空中戦に強くない選手」もいるが、やはり、たいていの選手はサイズと空中戦の強さが比例する。FW大前、MF茨田など小柄な選手を集めすぎた感は否めない。
当然、「シュート数」、「枠内シュート数」、「枠内シュート率」などシュートに関する項目は軒並みJ1最下位レベルなので「シュート精度の高い選手」や「1人でシュートまで持ち込める選手」が必要なのは言うまでもない。「何でもいいのでポジティブになれる数字はないのか?」と思って探してみたが「途中出場した選手のゴール数」は6ゴールでJ1で6位タイ。MFマテウスが途中出場で2ゴールを挙げている。
表3. 平均身長ならびに平均体重のランキング
順位 | クラブ名 | 身長 | 体重 |
1 | コンサドーレ札幌 | 181.16 | 73.15 |
2 | セレッソ大阪 | 180.71 | 74.60 |
3 | FC東京 | 180.37 | 75.29 |
4 | ヴィッセル神戸 | 179.73 | 73.27 |
5 | ジュビロ磐田 | 179.00 | 73.47 |
6 | 鹿島アントラーズ | 178.96 | 72.93 |
7 | アルビレックス新潟 | 178.92 | 74.77 |
8 | 清水エスパルス | 178.92 | 72.90 |
9 | ヴァンフォーレ甲府 | 178.86 | 71.45 |
10 | 横浜Fマリノス | 178.72 | 71.37 |
11 | ガンバ大阪 | 178.64 | 72.41 |
12 | サンフレッチェ広島 | 178.53 | 73.39 |
13 | サガン鳥栖 | 178.45 | 73.37 |
14 | ベガルタ仙台 | 177.65 | 71.12 |
15 | 川崎フロンターレ | 177.60 | 72.75 |
16 | 柏レイソル | 177.03 | 71.06 |
17 | 浦和レッズ | 176.51 | 73.33 |
18 | 大宮アルディージャ | 176.44 | 70.87 |
表4. セットプレーでの得点数ならびに失点数
順位 | クラブ名 | ± | 得点 | 失点 |
1 | セレッソ大阪 | 12 | 22 | 10 |
2 | ジュビロ磐田 | 11 | 20 | 9 |
3 | 鹿島アントラーズ | 9 | 15 | 6 |
4 | 川崎フロンターレ | 8 | 17 | 9 |
5 | 柏レイソル | 5 | 14 | 9 |
6 | コンサドーレ札幌 | 2 | 13 | 11 |
6 | ヴィッセル神戸 | 2 | 12 | 10 |
8 | FC東京 | -1 | 12 | 13 |
8 | 横浜Fマリノス | -1 | 11 | 12 |
8 | 清水エスパルス | -1 | 13 | 14 |
8 | サガン鳥栖 | -1 | 13 | 14 |
12 | ベガルタ仙台 | -2 | 12 | 14 |
13 | 浦和レッズ | -3 | 12 | 15 |
13 | ガンバ大阪 | -3 | 10 | 13 |
15 | サンフレッチェ広島 | -7 | 4 | 11 |
16 | 大宮アルディージャ | -8 | 8 | 16 |
17 | ヴァンフォーレ甲府 | -11 | 5 | 16 |
17 | アルビレックス新潟 | -11 | 7 | 18 |
柏レイソル→ 4位になって天皇杯の結果次第でACLの出場権を獲得できる柏はいいシーズンを過ごした。今シーズンも若手の頑張りが目立ったが、表5のとおり、平均年齢は25.39才。2位の新潟は26.07才、3位の清水は26.77才なのでぶっちぎりの最年少になる。若くて伸びしろの大きい選手が多い点は柏の大きな武器になっている。ユースから毎年のように優秀な選手が昇格してくるので世代交代で悩む必要性はない。
定期的にユースから優秀な選手が出てくるのでチーム作りはそこまで難しくないと思うが、表6のとおり、クロス数がJ1で最多。さらに「1試合平均のCKの獲得本数」もJ1最多。J1で屈指のチャンスメーカーであるMF伊東純を擁していることもあってサイド攻撃が大きな武器になっている。日本代表でも存在感を発揮しているMF伊東純は突出したスピードがあってクロスの精度も高いので相手にとっては厄介な選手である。
クロスからの得点は「8」。リーグ平均が「8.11」なのでほぼ同じくらいになるが柏はクロス数が多いチームなので「クロスが得点に結びつく確率」は1.22%。J1で12番目なので決して高くない。MF武富がヘディングで5ゴールを挙げるなどフィニッシャとして存在感を発揮したが攻撃陣は「背が高い割には空中戦には強くない。」という選手が多い。ゴール前に待っていてヘディングでゴールを狙える選手が欲しい。
表5. 平均年齢のランキング
順位 | クラブ名 | 年齢 | 身長 | 体重 |
1 | 柏レイソル | 25.39 | 177.03 | 71.06 |
2 | アルビレックス新潟 | 26.07 | 178.92 | 74.77 |
3 | 清水エスパルス | 26.77 | 178.92 | 72.90 |
4 | セレッソ大阪 | 27.35 | 180.71 | 74.60 |
5 | 横浜Fマリノス | 27.35 | 178.72 | 71.37 |
6 | サガン鳥栖 | 27.37 | 178.45 | 73.37 |
7 | ガンバ大阪 | 27.57 | 178.64 | 72.41 |
8 | 大宮アルディージャ | 27.71 | 176.44 | 70.87 |
9 | 鹿島アントラーズ | 27.82 | 178.96 | 72.93 |
10 | ヴィッセル神戸 | 27.82 | 179.73 | 73.27 |
11 | ベガルタ仙台 | 27.95 | 177.65 | 71.12 |
12 | 川崎フロンターレ | 28.11 | 177.60 | 72.75 |
13 | コンサドーレ札幌 | 28.32 | 181.16 | 73.15 |
14 | FC東京 | 28.82 | 180.37 | 75.29 |
15 | ジュビロ磐田 | 28.83 | 179.00 | 73.47 |
16 | 浦和レッズ | 28.94 | 176.51 | 73.33 |
17 | サンフレッチェ広島 | 29.27 | 178.53 | 73.39 |
18 | ヴァンフォーレ甲府 | 29.71 | 178.86 | 71.45 |
表6. クロスが得点に結びつく確率
順位 | クラブ名 | (%) | 得点 | 順位 | 本数 | 順位 |
1 | 川崎フロンターレ | 3.47% | 15 | 2 | 432 | 18 |
2 | セレッソ大阪 | 2.91% | 16 | 1 | 549 | 5 |
3 | ガンバ大阪 | 2.45% | 12 | 3 | 489 | 12 |
4 | コンサドーレ札幌 | 2.03% | 11 | 4 | 541 | 7 |
5 | 横浜Fマリノス | 2.01% | 10 | 5 | 498 | 11 |
6 | FC東京 | 1.85% | 10 | 5 | 541 | 7 |
7 | ヴィッセル神戸 | 1.70% | 8 | 8 | 471 | 15 |
8 | 鹿島アントラーズ | 1.64% | 8 | 8 | 487 | 13 |
9 | 清水エスパルス | 1.58% | 9 | 7 | 568 | 4 |
10 | 浦和レッズ | 1.47% | 8 | 8 | 543 | 6 |
11 | ベガルタ仙台 | 1.27% | 8 | 8 | 630 | 2 |
12 | 柏レイソル | 1.22% | 8 | 8 | 654 | 1 |
13 | アルビレックス新潟 | 1.13% | 5 | 13 | 443 | 17 |
14 | 大宮アルディージャ | 0.98% | 5 | 13 | 510 | 10 |
15 | ジュビロ磐田 | 0.67% | 3 | 16 | 445 | 16 |
16 | サンフレッチェ広島 | 0.66% | 4 | 15 | 603 | 3 |
17 | サガン鳥栖 | 0.62% | 3 | 16 | 486 | 14 |
18 | ヴァンフォーレ甲府 | 0.58% | 3 | 16 | 517 | 9 |
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