(1) 失点数がリーグ最少。被シュート数はリーグ2位。→ J2時代のC大阪は失点の多いチームだった。大熊監督が指揮した2016年は4位でプレーオフに進んで「J1復帰」を果たしたが42試合で46失点。自動昇格を果たした札幌が33失点、清水が37失点だったことを考えると相当に多い。DF山下の相方となるCBを固定できず、バイタルエリアをスカスカに開けたことが仇になって決定機を作られる場面は多かったが12節を終えた時点で10失点のみ。堅守が光っている。
Kリーグで2年連続でベストイレブンに選ばれたクロアチア出身のDFマテイ・ヨニッチが加入した効果は絶大だった。すでに4ゴールを挙げるなど得点力の高さが目立ちに目立っているが空中戦に強くて統率力もある。移籍話が浮上しながらチームに残ったGKキム・ジンヒョンは今シーズンも存在感を発揮しているが、1試合平均の被シュートが8.58本。これはリーグ2位の少なさとなる。全体の守備意識が高まった。
表1. 得点数・失点数・シュート数・被シュート数
順位 | チーム名 | 得点 | 失点 | シュート/90分 | 被シュート数/90分 |
1 | ガンバ大阪 | 26 | 9 | 11.08 | 10.33 |
2 | セレッソ大阪 | 19 | 10 | 11.17 | 8.58 |
3 | 川崎フロンターレ | 19 | 11 | 11.08 | 9.75 |
3 | 柏レイソル | 17 | 11 | 11.50 | 9.33 |
3 | ヴィッセル神戸 | 14 | 11 | 11.08 | 9.92 |
6 | 横浜F・マリノス | 12 | 12 | 10.17 | 10.58 |
6 | FC東京 | 18 | 12 | 8.08 | 11.33 |
8 | ジュビロ磐田 | 13 | 13 | 9.33 | 10.08 |
8 | ヴァンフォーレ甲府 | 9 | 13 | 6.58 | 10.92 |
10 | 鹿島アントラーズ | 14 | 14 | 12.92 | 7.33 |
11 | 浦和レッズ | 33 | 15 | 12.83 | 8.75 |
12 | サガン鳥栖 | 14 | 16 | 7.92 | 11.17 |
13 | 清水エスパルス | 16 | 18 | 9.08 | 10.08 |
13 | 北海道コンサドーレ札幌 | 11 | 18 | 10.00 | 11.17 |
15 | サンフレッチェ広島 | 11 | 19 | 12.92 | 9.58 |
16 | 大宮アルディージャ | 5 | 22 | 6.83 | 11.00 |
17 | ベガルタ仙台 | 12 | 23 | 9.33 | 11.33 |
18 | アルビレックス新潟 | 9 | 25 | 8.92 | 9.58 |
(2) セットプレーからのゴール数がリーグ最多。→ FW杉本健とDFマテイ・ヨニッチは187センチで、トップ下で開花したMF山村和は186センチ。さらに183センチのMFソウザと182センチのDF山下もサイズに恵まれている。キーパーのGKキム・ジンヒョンを含めると180センチを超える選手がレギュラー11人の中で6人もいる。高さは今シーズンのC大阪の大きな武器となるがここまでの12試合でセットプレーから8ゴール。これはJ1の18クラブの中で最多となる。
言うまでもなく優秀なプレイスキッカーもいる。真っ先に名前が出てくるのは日本屈指のプレイスキッカーという評価がすでに定着しているMF清武であるが、右利きのキッカーの1番手はMFソウザで、左利きのキッカーの1番手はDF丸橋になっている。MFソウザあるいはDF丸橋の精度の高いキックから多くのゴールが生まれている。MFソウザは早くも5アシストを記録しており、昨シーズン以上に右足が冴えている。
表2. セットプレーでの得点数/失点数
順位 | クラブ名 | 得点数 | 失点数 |
1 | セレッソ大阪 | 8 | 2 |
2 | ジュビロ磐田 | 7 | 5 |
3 | 鹿島アントラーズ | 6 | 3 |
3 | FC東京 | 6 | 5 |
3 | ベガルタ仙台 | 6 | 4 |
3 | サガン鳥栖 | 6 | 6 |
7 | 川崎フロンターレ | 5 | 1 |
7 | 柏レイソル | 5 | 3 |
7 | 浦和レッズ | 5 | 6 |
10 | ヴィッセル神戸 | 4 | 1 |
10 | ガンバ大阪 | 4 | 2 |
10 | 清水エスパルス | 4 | 7 |
10 | コンサドーレ札幌 | 4 | 5 |
10 | ヴァンフォーレ甲府 | 4 | 6 |
15 | 横浜Fマリノス | 3 | 3 |
15 | サンフレッチェ広島 | 3 | 6 |
17 | アルビレックス新潟 | 2 | 10 |
18 | 大宮アルディージャ | 1 | 8 |
(3) 平均身長は180.34センチでリーグで最高。→ すでに触れた通りで今シーズンのC大阪は身長の高い選手が多い。チーム統括部長で前監督の大熊さんはユース代表を率いていた頃からサイズのある選手やフィジカルの強い選手を重視するタイプの指導者だったが、大熊さんが選手補強において中心的な役割を担っており、移籍市場ではサイズやフィジカルに恵まれた選手を優先して獲得に動いているのは間違いなさそうだ。高さは絶対的な武器になっている。
12節を終えた段階での全18クラブの平均身長(=(各選手の身長*出場時間(分))の和/(チームトータルの出場時間(分)))を計算してみるとC大阪は180.34センチ。これはJ1の18クラブの中では最高の数字となる。J1の平均値は177.49センチで、最低は柏の176.12センチ。これだけサイズのある選手が多いと自分たちのセットプレーは大きなチャンスになるし、相手のセットプレーは簡単に跳ね返すことが出来る。
表3. 平均身長のランキング
順位 | クラブ名 | 身長 | 体重 |
1 | セレッソ大阪 | 180.34 | 74.17 |
2 | コンサドーレ札幌 | 180.28 | 73.61 |
3 | FC東京 | 179.55 | 74.78 |
4 | ヴィッセル神戸 | 179.06 | 73.06 |
5 | アルビレックス新潟 | 178.97 | 74.96 |
6 | 横浜Fマリノス | 178.88 | 71.56 |
7 | ガンバ大阪 | 178.80 | 72.76 |
8 | ジュビロ磐田 | 178.77 | 73.15 |
9 | 鹿島アントラーズ | 178.47 | 73.02 |
10 | 清水エスパルス | 178.42 | 72.12 |
11 | サンフレッチェ広島 | 178.41 | 73.95 |
12 | ヴァンフォーレ甲府 | 178.39 | 71.31 |
13 | サガン鳥栖 | 178.39 | 73.07 |
14 | ベガルタ仙台 | 177.27 | 71.12 |
15 | 川崎フロンターレ | 177.04 | 71.96 |
16 | 大宮アルディージャ | 176.58 | 70.91 |
17 | 浦和レッズ | 176.28 | 73.08 |
18 | 柏レイソル | 176.12 | 70.26 |
(4) 後半30分以降の失点数がリーグ最少。→ 昨シーズンのC大阪は後半の終盤に失点して勝ち点を取りこぼす試合が目立った。後半44分と後半49分に連続失点して1対2で逆転負けを食らった34節の清水戦(A)が典型例と言える。2016年の「後半30分以降の失点数」はリーグワースト2位となる18失点。最下位になってJ3に降格した北九州の22失点に次ぐ悪い数字だった。終盤になると運動量や集中力が低下して同点・逆転を許す試合が非常に多かった。
尹晶煥監督が就任してキャンプ期間中は3部練習を取り入れるなどスパルタ式のトレーニングが話題になったが、トレーニングの成果なのだろう。12節を終えた時点で「後半30分以降の失点」は1つだけ。J1で最少となる。後半48分にセットプレーから同点弾を食らったG大阪戦(H)だけなので劇的に改善されている。トップ下のMF山村和を最終ラインに下げて3バックにシフトチェンジするのがパターンになっている。
表4. 時間帯別の失点数
順位 | クラブ名 | 総失点 | 前半15分まで | ~前半30分まで | ~前半終了まで | ~後半15分まで | ~後半30分まで | ~後半終了まで |
1 | セレッソ大阪 | 10 | 1 | 1 | 1 | 4 | 2 | 1 |
2 | コンサドーレ札幌 | 18 | 2 | 2 | 3 | 4 | 5 | 2 |
2 | 鹿島アントラーズ | 14 | 3 | 3 | 2 | 2 | 2 | 2 |
2 | 横浜F・マリノス | 12 | 1 | 2 | 2 | 1 | 4 | 2 |
2 | ガンバ大阪 | 9 | 0 | 1 | 0 | 5 | 1 | 2 |
6 | 柏レイソル | 11 | 1 | 0 | 4 | 0 | 3 | 3 |
6 | FC東京 | 12 | 2 | 1 | 2 | 3 | 1 | 3 |
6 | 清水エスパルス | 18 | 2 | 1 | 1 | 4 | 7 | 3 |
6 | ジュビロ磐田 | 13 | 1 | 2 | 1 | 2 | 4 | 3 |
6 | ヴィッセル神戸 | 11 | 2 | 1 | 1 | 1 | 3 | 3 |
6 | サンフレッチェ広島 | 19 | 3 | 2 | 5 | 2 | 4 | 3 |
12 | ヴァンフォーレ甲府 | 13 | 1 | 0 | 2 | 5 | 1 | 4 |
13 | ベガルタ仙台 | 23 | 0 | 6 | 4 | 7 | 1 | 5 |
14 | 浦和レッズ | 15 | 2 | 1 | 1 | 2 | 4 | 5 |
15 | サガン鳥栖 | 16 | 1 | 2 | 3 | 1 | 3 | 6 |
16 | 大宮アルディージャ | 22 | 1 | 2 | 2 | 4 | 6 | 7 |
16 | 川崎フロンターレ | 11 | 1 | 0 | 1 | 1 | 1 | 7 |
16 | アルビレックス新潟 | 25 | 4 | 3 | 5 | 3 | 3 | 7 |
(5) 反則ポイントがリーグ1位。→ 12節を終えた時点で反則ポイントがマイナスなのはC大阪・清水・鳥栖・大宮の4チームだけ。反則ポイントは「警告および退場(退席も含む)が無かった試合は1試合につき3ポイントを減ずる。」という決まりになっているが、-10のC大阪がリーグ最高の数字を残している。2位の清水は-6なので結構な差がある。警告・退場・退席が無かった試合がすでに7試合。これはJ1の18クラブの中で最多となる。
とにかく無駄なイエローカードが少ない。1試合平均の反則数は14.50回でリーグ10番目。ほぼ平均程度なので反則が少ないわけではないがイエローカードの対象となるような反則は非常に少ない。警告の数も7枚でリーグ最少となるが、そのうちの4枚は異議・遅延によるもの。これはリーグ2位の多さになるが、異議・遅延以外でイエローカードを受けたのは3回だけ。2番目に少ないのは6回の鳥栖なので突出して少ない。
表5. 反則ポイントのランキング
順位 | チーム | 反則ポイント | 警告 | 異議・遅延行為 | 警告・退場・退席無し試合数 |
1 | セレッソ大阪 | -10 | 7 | 4 | 7 |
2 | 清水エスパルス | -6 | 11 | 1 | 6 |
3 | サガン鳥栖 | -3 | 9 | 3 | 5 |
4 | 大宮アルディージャ | -1 | 11 | 0 | 4 |
5 | ベガルタ仙台 | 0 | 12 | 0 | 4 |
5 | ガンバ大阪 | 0 | 13 | 2 | 5 |
7 | ジュビロ磐田 | 1 | 10 | 2 | 5 |
7 | サンフレッチェ広島 | 1 | 16 | 2 | 7 |
9 | FC東京 | 5 | 14 | 3 | 4 |
10 | 横浜F・マリノス | 6 | 14 | 1 | 4 |
11 | 川崎フロンターレ | 7 | 13 | 0 | 4 |
12 | 浦和レッズ | 14 | 14 | 0 | 2 |
12 | 柏レイソル | 14 | 14 | 3 | 3 |
12 | 北海道コンサドーレ札幌 | 14 | 18 | 5 | 3 |
15 | ヴィッセル神戸 | 15 | 17 | 3 | 3 |
15 | ヴァンフォーレ甲府 | 15 | 19 | 2 | 2 |
17 | 鹿島アントラーズ | 19 | 17 | 2 | 0 |
18 | アルビレックス新潟 | 20 | 20 | 2 | 2 |
(6) プレーオフからの昇格組の年間勝利数→新記録達成→ 昇格プレーオフがスタートしたのは2012年だった。2013年は大分、2014年は徳島、2015年は山形、2016年は福岡がプレーオフを制してJ1に昇格してきたが残念ながら1年限りでJ2降格となった。しかも、4チームとも最下位に終わったので、「プレーオフ制度の意義」を問われるシーズンが続いた。「プレーオフを勝ち抜いてJ1に昇格してきたチームはJ1では通用しない。」というのが定説になっていた。
プレーオフを制してJ2に昇格してきた5チーム目となるC大阪は戦力が充実しているので「プレーオフからの昇格組は必ず最下位になって1年限りでJ2に降格する。」というジンクスを打ち破ることが期待されていたが、ここまで6勝2敗4分けで勝ち点「22」。勝利数は2015年の山形と2016年の福岡を抜いて5チームの中では最多。さらに2013年の大分、2014年の徳島、2016年の福岡の年間勝ち点を早くも上回っている。
表6. プレーオフからの昇格組のJ1初年度の成績
年度 | 順位 | チーム | 勝点 | 試合 | 勝 | 引き分け | 敗 | 得点 | 失点 |
2013年 | 18 | 大分トリニータ | 14 | 34 | 2 | 8 | 24 | 31 | 67 |
2014年 | 18 | 徳島ヴォルティス | 14 | 34 | 3 | 5 | 26 | 16 | 74 |
2015年 | 18 | モンテディオ山形 | 24 | 34 | 4 | 12 | 18 | 24 | 53 |
2016年 | 18 | アビスパ福岡 | 19 | 34 | 4 | 7 | 23 | 26 | 66 |
2017年 | 4 | セレッソ大阪 | 22 | 12 | 6 | 4 | 2 | 19 | 10 |
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