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【Jリーグ】全44クラブの中で「ホームタウンで大きな貢献をしているクラブ」はどこだろうか？～1位は松本山雅、2位は川崎フロンターレ、3位はレノファ山口～ | | |　

■　ホームタウンで大きな貢献をしているか？

2016年のスタジアム観戦者調査が公表された。これは2004年から毎年公表されているので13回目となるが、Jリーグならびに各クラブのホーム戦の観衆の傾向を探る上で極めて有益な資料になっている。たくさんの項目があるのでいろいろな視点からJリーグの観衆の傾向を探ることができるが、今回、着目したのは『Jリーグクラブはホームタウンで大きな貢献をしているか？』という質問の回答結果について。

これについては

　・大いにあてはまる。
　・あてはまる。
　・どちらとも言えない。
　・あてはまらない。
　・全くあてはまらない。

の5つの中から1つを回答することになるが、「大いにあてはまる」と答えた人の割合を表にまとめて2009年～2016年までの平均値が高いチームから順番に並べてみるとこういう感じになる。1位になったのは松本山雅で79.0%、2位は川崎Fで78.7%、3位は2016年にJ2初昇格を果たしたレノファ山口で75.1%となった。松本山雅は2012年にJ2初昇格を果たしたが、以後、5年連続で高い数値を叩き出している。

川崎Fは平均値では松本山雅にわずかに及ばなかったが2016年に記録した84.9%というのは2009年～2016年までの全クラブの中で最高の数字となる。等々力陸上競技場のある川崎市の人口は約150万人。基本的には街の規模が大きくなればなるほど地域密着は難しくなるが、川崎Fの場合、日本有数の大都市をホームタウンとして活動しながらしっかりと地域に根付いている。極めて特殊な例と言える。

4位は甲府、5位は広島、6位は鹿島、7位は岡山、8位は新潟、9位は鳥栖、10位は仙台となるが、「地域密着に成功しているクラブ」の代表例に挙げられるチームがほとんどである。岡山・新潟・仙台などは地方の中規模都市をホームタウンに活動しているが、地域住民に愛されるクラブになった。全ての年度(2009年-2016年)の平均値を出すと46.6％となるが、仙台までの10クラブは平均値が60％を超えている。

表1. Jリーグクラブはホームタウンで大きな貢献をしているか？→「大いに当てはまる」と答えた人の割合

順位	クラブ名	平均	2009年	2010年	2011年	2012年	2013年	2014年	2015年	2016年
1	松本山雅	79.0%	-	-	-	74.5%	75.4%	82.0%	79.4%	83.5%
2	川崎フロンターレ	78.7%	64.9%	78.5%	83.2%	79.9%	76.8%	84.3%	77.1%	84.9%
3	レノファ山口	75.1%	-	-	-	-	-	-	-	75.1%
4	ヴァンフォーレ甲府	69.5%	72.4%	73.9%	71.5%	65.2%	72.5%	70.8%	69.1%	60.6%
5	サンフレッチェ広島	67.8%	57.4%	66.4%	62.7%	66.6%	71.8%	67.3%	73.0%	77.3%
6	鹿島アントラーズ	65.3%	70.4%	71.6%	69.9%	62.1%	64.0%	65.7%	44.3%	74.3%
7	ファジアーノ岡山	63.3%	60.0%	57.9%	66.6%	66.8%	68.7%	69.4%	62.3%	54.7%
8	アルビレックス新潟	62.8%	63.2%	70.1%	61.0%	53.6%	63.4%	69.6%	58.2%	63.1%
9	サガン鳥栖	61.3%	53.0%	46.3%	44.8%	71.2%	67.6%	73.7%	64.0%	70.1%
10	ベガルタ仙台	60.8%	56.2%	49.9%	71.8%	70.4%	73.3%	57.2%	52.3%	55.1%
11	モンテディオ山形	59.9%	65.8%	69.4%	58.7%	64.2%	50.3%	54.0%	62.3%	54.1%
12	大分トリニータ	57.1%	50.2%	52.1%	59.0%	72.2%	57.8%	62.4%	46.2%	-
13	浦和レッズ	55.9%	64.5%	53.0%	38.1%	60.5%	54.5%	59.0%	59.0%	58.9%
14	湘南ベルマーレ	55.6%	51.2%	48.2%	44.2%	54.7%	58.0%	62.7%	67.7%	58.4%
15	町田ゼルビア	53.4%	-	-	-	56.9%	-	-	-	49.9%
16	清水エスパルス	52.9%	63.1%	67.1%	64.9%	54.5%	45.1%	42.3%	38.0%	48.4%
17	コンサドーレ札幌	49.0%	40.4%	39.1%	38.8%	40.2%	54.9%	55.8%	59.2%	63.3%
18	ロアッソ熊本	48.8%	44.7%	55.3%	59.2%	43.6%	46.2%	46.2%	39.1%	56.1%
19	ガンバ大阪	47.9%	46.1%	49.4%	49.3%	35.0%	45.7%	53.7%	54.0%	49.8%
20	大宮アルディージャ	47.5%	40.5%	49.2%	41.3%	41.4%	44.8%	44.1%	57.3%	61.0%
21	柏レイソル	46.3%	30.3%	36.8%	46.8%	58.1%	53.0%	51.1%	50.3%	44.2%
22	セレッソ大阪	44.6%	36.5%	42.9%	50.2%	40.9%	56.8%	47.2%	40.6%	42.0%
23	V・ファーレン長崎	42.6%	-	-	-	-	50.9%	39.8%	39.7%	40.1%
24	FC岐阜	42.4%	44.9%	49.1%	40.2%	39.5%	35.3%	50.8%	38.5%	40.5%
25	ガイナーレ鳥取	42.0%	-	-	54.1%	35.5%	36.5%	-	-	-
26	ヴィッセル神戸	40.7%	35.8%	35.7%	39.9%	45.9%	44.1%	41.3%	38.9%	44.0%
27	横浜Fマリノス	39.9%	28.8%	38.3%	43.2%	33.3%	44.8%	43.7%	41.3%	46.1%
28	水戸ホーリーホック	39.8%	32.1%	26.7%	36.1%	33.3%	41.2%	48.2%	46.3%	54.6%
29	ジュビロ磐田	39.5%	26.8%	27.6%	40.6%	46.8%	42.4%	40.2%	35.9%	55.6%
30	徳島ヴォルティス	38.4%	37.8%	42.5%	52.3%	37.9%	38.9%	39.6%	30.9%	26.9%
31	FC東京	38.3%	36.7%	34.6%	31.6%	44.2%	47.0%	35.4%	41.8%	34.9%
32	ジェフ千葉	36.8%	37.2%	41.8%	37.1%	39.8%	35.1%	30.9%	36.0%	36.4%
33	アビスパ福岡	35.8%	21.5%	30.5%	35.3%	33.7%	38.8%	30.8%	48.6%	46.9%
34	ツエーゲン金沢	34.6%	-	-	-	-	-	-	39.8%	29.4%
35	ギラヴァンツ北九州	33.5%	-	27.5%	50.6%	30.0%	31.5%	39.8%	29.2%	26.0%
36	カマタマーレ讃岐	33.4%	-	-	-	-	-	33.3%	40.3%	26.5%
37	愛媛FC	33.0%	33.0%	22.3%	37.5%	27.5%	32.2%	38.2%	36.2%	36.7%
38	栃木SC	32.0%	25.2%	26.2%	50.9%	33.1%	30.2%	30.5%	28.1%	-
39	ザスパクサツ群馬	28.1%	37.5%	32.2%	30.3%	21.4%	27.7%	20.1%	25.9%	29.7%
40	カターレ富山	28.1%	33.1%	24.7%	25.7%	23.3%	32.1%	29.5%	-	-
41	名古屋グランパス	28.0%	23.1%	36.6%	37.5%	36.4%	28.4%	24.6%	18.9%	18.2%
42	京都サンガ	26.5%	22.6%	20.0%	22.7%	33.5%	34.4%	27.6%	20.8%	30.3%
43	横浜FC	24.5%	19.3%	24.5%	23.0%	27.8%	32.4%	21.9%	20.2%	26.9%
44	東京ヴェルディ	24.3%	20.4%	31.6%	26.0%	23.7%	19.9%	23.4%	29.7%	19.8%

■　パーセンテージが最も低かったのは東京ヴェルディ

一方、パーセンテージが最も低かったのは東京Vで24.3％、2番目は横浜FCで24.5％、3番目は京都で26.5％、4番目は名古屋で28.0％となる。すでに触れた通りで東京・横浜・京都・名古屋など日本屈指の大都市で活動しているクラブがホームタウンで存在感を示すのはかなり大変である。ちなみにもう1つの大都市である大阪で活動するクラブはG大阪が47.9％で19位、C大阪は44.6％で22位。平均程度だった。

ワースト5位は富山、ワースト6位は群馬、ワースト7位は栃木SC、ワースト8位は愛媛FC、ワースト9位は讃岐、ワースト10位は北九州となるが、富山・群馬・栃木SC・愛媛FC・讃岐あたりのホームタウンの規模でこれだけパーセンテージが低いというのはかなり寂しい話になる。ワースト12位が福岡、ワースト13位が千葉、ワースト14位はFC東京となるが、福岡・千葉・FC東京あたりも立場的には難しいと言える。

■　増減率のランキングの1位はアビスパ福岡

今度の表2は2009年と2016年を比較したときの増減率を示している。数値の高いチームから順番に並べているので7・8年の間でどのように数値が変化しているのか？を探ることが出来るが、100%を超えているのは19クラブで、100%を割ったのは14クラブとなる。ちなみに2009年の時点でJ2に在籍していないクラブは増減率を出すことが出来ないので除外している。(※ 除外の対象になったのは11クラブ。)

1位は福岡で218.1%となるが、2009年はわずか21.5%。これが2016年には46.9%までアップした。2015年以降は劇的にパーセンテージが高くなっているが2015年のJ1昇格がいい流れを生み出して福岡県内ならびに福岡市内で存在感を増していると考えられる。2位の磐田も2009年が26.8%と低いパーセンテージだったが2016年は55.6%と劇的にアップした。3位は水戸、4位は横浜FM、5位は札幌と続いていく。

推移を見ると札幌・大宮・広島・鳥栖などは確実にパーセンテージを上げてきている。また、2016年に熊本地震が発生して大きな被害を受けたロアッソ熊本は2015年が39.1%だったのに対して2016年は56.1%と激増。復興のシンボル的な存在になったことで熊本県内での存在感が大きく増したと考えられる。逆に清水・群馬・徳島あたりのパーセンテージが右肩下がりになっているのは気になるところである。

表2. 2009年と2016年の比較

順位	クラブ名	増減率	2009年	2010年	2011年	2012年	2013年	2014年	2015年	2016年
1	アビスパ福岡	218.1%	21.5%	30.5%	35.3%	33.7%	38.8%	30.8%	48.6%	46.9%
2	ジュビロ磐田	207.5%	26.8%	27.6%	40.6%	46.8%	42.4%	40.2%	35.9%	55.6%
3	水戸ホーリーホック	170.1%	32.1%	26.7%	36.1%	33.3%	41.2%	48.2%	46.3%	54.6%
4	横浜Fマリノス	160.1%	28.8%	38.3%	43.2%	33.3%	44.8%	43.7%	41.3%	46.1%
5	コンサドーレ札幌	156.7%	40.4%	39.1%	38.8%	40.2%	54.9%	55.8%	59.2%	63.3%
6	大宮アルディージャ	150.6%	40.5%	49.2%	41.3%	41.4%	44.8%	44.1%	57.3%	61.0%
7	柏レイソル	145.9%	30.3%	36.8%	46.8%	58.1%	53.0%	51.1%	50.3%	44.2%
8	横浜FC	139.4%	19.3%	24.5%	23.0%	27.8%	32.4%	21.9%	20.2%	26.9%
9	サンフレッチェ広島	134.7%	57.4%	66.4%	62.7%	66.6%	71.8%	67.3%	73.0%	77.3%
10	京都サンガ	134.1%	22.6%	20.0%	22.7%	33.5%	34.4%	27.6%	20.8%	30.3%
11	サガン鳥栖	132.3%	53.0%	46.3%	44.8%	71.2%	67.6%	73.7%	64.0%	70.1%
12	川崎フロンターレ	130.8%	64.9%	78.5%	83.2%	79.9%	76.8%	84.3%	77.1%	84.9%
13	ロアッソ熊本	125.5%	44.7%	55.3%	59.2%	43.6%	46.2%	46.2%	39.1%	56.1%
14	ヴィッセル神戸	122.9%	35.8%	35.7%	39.9%	45.9%	44.1%	41.3%	38.9%	44.0%
15	セレッソ大阪	115.1%	36.5%	42.9%	50.2%	40.9%	56.8%	47.2%	40.6%	42.0%
16	湘南ベルマーレ	114.1%	51.2%	48.2%	44.2%	54.7%	58.0%	62.7%	67.7%	58.4%
17	愛媛FC	111.2%	33.0%	22.3%	37.5%	27.5%	32.2%	38.2%	36.2%	36.7%
18	ガンバ大阪	108.0%	46.1%	49.4%	49.3%	35.0%	45.7%	53.7%	54.0%	49.8%
19	鹿島アントラーズ	105.5%	70.4%	71.6%	69.9%	62.1%	64.0%	65.7%	44.3%	74.3%
20	アルビレックス新潟	99.8%	63.2%	70.1%	61.0%	53.6%	63.4%	69.6%	58.2%	63.1%
21	ベガルタ仙台	98.0%	56.2%	49.9%	71.8%	70.4%	73.3%	57.2%	52.3%	55.1%
22	ジェフ千葉	97.8%	37.2%	41.8%	37.1%	39.8%	35.1%	30.9%	36.0%	36.4%
23	東京ヴェルディ	97.1%	20.4%	31.6%	26.0%	23.7%	19.9%	23.4%	29.7%	19.8%
24	FC東京	95.1%	36.7%	34.6%	31.6%	44.2%	47.0%	35.4%	41.8%	34.9%
25	浦和レッズ	91.3%	64.5%	53.0%	38.1%	60.5%	54.5%	59.0%	59.0%	58.9%
26	ファジアーノ岡山	91.2%	60.0%	57.9%	66.6%	66.8%	68.7%	69.4%	62.3%	54.7%
27	FC岐阜	90.2%	44.9%	49.1%	40.2%	39.5%	35.3%	50.8%	38.5%	40.5%
28	ヴァンフォーレ甲府	83.7%	72.4%	73.9%	71.5%	65.2%	72.5%	70.8%	69.1%	60.6%
29	モンテディオ山形	82.2%	65.8%	69.4%	58.7%	64.2%	50.3%	54.0%	62.3%	54.1%
30	ザスパクサツ群馬	79.2%	37.5%	32.2%	30.3%	21.4%	27.7%	20.1%	25.9%	29.7%
31	名古屋グランパス	78.8%	23.1%	36.6%	37.5%	36.4%	28.4%	24.6%	18.9%	18.2%
32	清水エスパルス	76.7%	63.1%	67.1%	64.9%	54.5%	45.1%	42.3%	38.0%	48.4%
33	徳島ヴォルティス	71.2%	37.8%	42.5%	52.3%	37.9%	38.9%	39.6%	30.9%	26.9%