■ 開幕まであと1週間J1は3月1日(土)に開幕を迎えるが、恒例のゼロックス・スーパーカップが国立競技場で開催された。今年はリーグ王者のサンフレッチェ広島と天皇杯王者の横浜Fマリノスの対戦で、1月1日に行われた天皇杯の決勝戦と同じカードになった。ゼロックスに出場するのは広島が3回目で、横浜FMが4回目となる。2年連続出場となる広島は昨年のゼロックスはFW佐藤寿が決勝ゴールを決めて1対0で勝利している。
広島は「3-4-2-1」。GK林卓。DF塩谷、千葉、水本。MF青山敏、柴崎、ミキッチ、清水、石原、野津田。FW佐藤寿。背番号「10」のMF高萩はコンディション不良で欠場で、19歳のMF野津田がスタメンに抜擢された。また、ボランチは徳島から加入のMF柴崎がスタメンで起用されて、W杯の日本代表入りを目指すMF青山敏とコンビを組む。リオ五輪代表候補のMF浅野はベンチから出番を待つ。
対する横浜FMは「4-2-3-1」。GK榎本哲。DF小林祐、栗原、中澤、ドゥトラ。MF中町、富澤、藤本淳、中村俊、齋藤学。FW端戸。名古屋から加入のMF藤本淳が右サイドハーフでスタメンとなって、2013年は7ゴールを挙げたMF兵藤はベンチスタートとなった。FWマルキーニョスが移籍して競争が激化した1トップはFW端戸がスタメン起用されて、川崎Fから加入のFW矢島はベンチスタートとなった。
■ 2対0で広島が圧勝!!!試合は序盤から広島ペースで進んでいく。最初のプレーで作った決定機はMF石原が決められなかったが、前半6分にDF塩谷のサイドチェンジのボールを受けたMF石原が右サイドを突破してグラウンダーのクロスを入れると、FW佐藤寿の後ろから入って来た19歳のMF野津田が押し込んで先制に成功する。その後も広島が試合の主導権を握って、前半は1対0と広島がリードして折り返す。
後半も広島ペースは変わらない。過密日程になることが考慮されたのか、後半14分にFW佐藤寿を下げてMF浅野を投入。すると後半21分にMF野津田の絶妙のラストパスを受けたMF浅野が相手CBを振り切って貴重なダメ押しゴールを奪う。1月に行われたU-22アジア選手権でも活躍したMF浅野はプロ初ゴールで、同じく五輪代表入りが期待されるMF野津田は1ゴール1アシストと結果を残した。
2対0となった後、横浜FMはFW矢島やMF齋藤学のドリブルからチャンスを作ろうとするが、ほとんど決定機は作れない。結局、仙台から加入のGK林卓がビッグセーブで防ぐシーンはほとんどなくて、90分を通して試合を支配した広島が2対0で勝利。ACLの北京国安戦(H)に弾みのつく勝利となった。一方の横浜FMもミッドウイークにACLの全北現代戦(A)を控えているが、こちらは不安いっぱいである。
■ 進化したサッカー史上2チーム目となるリーグ3連覇を目指す広島が最高のスタートを切った。昨年は慎重な試合運びを見せることが多くて、他クラブの監督から嫌味を言われたこともあったが、この日は、攻守両面で非常にアグレッシブだった。MF野津田、MF浅野など若い選手が躍動したが、昨年のチームと比べて進化していることを4万人以上の大観衆で埋まった国立競技場で披露することができた。
具体的には、まずは前線からプレスが効果的だった。昨年はブロックを作って、最終ラインを5人にして、守備を固めることが多かった。しかしながら、この日は、2列目で起用されたMF石原を中心にして前から積極的にボールを奪おうとする姿勢を見せて最終ラインもかなり高かった。1点目を奪った後、2点目を奪った後も、極端に引き気味になることもなくて、90分を通してアグレッシブな守備が光った。
そして、縦への早さも感じられた。ボールを奪った後は正確にパスをつないで、相手を焦らすことが特徴の1つだったが、1点目のMF野津田のゴールにつながったサイドチェンジのボールに象徴されるようにミドルパスが多くて精度も非常に高かった。昨年の悪い時期はダイナミックさに欠ける試合が多かったように思うが、この日は全く違っていた。「広島強し」を印象付ける試合になったのは間違いない。
当然、いつもいつも積極的なサッカーをしていると選手に負担がかかってくるので、ゆったりしたテンポで試合を進めるときがあってもいいと思う。昨年までのサッカーとこの試合で見せたサッカーをうまく使い分けることができると、効率的に勝ち点を稼ぐことができるだろう。「相性が良くない。」と思われていた横浜FMを圧倒した90分間で、優勝候補の筆頭にふさわしい試合内容だった。
■ 大物感が漂う野津田岳人新加入のMF柴崎とGK林卓も無難にプレーして勝利に貢献したが、個々の選手で目立ったのはMF石原とMF浅野とMF野津田の3人である。MF石原は開始早々の決定機をふかすなど、シュート精度は欠いてしまった。3回・4回とあった決定機を全て決められなかったが、前述のとおり、守備での貢献度が高くて、ドリブルのときの迫力もあった。ゴールを決めることはできなかったが、MOM級の働きを見せたと言える。
2点目のゴールを決めたMF浅野は今シーズンは大ブレイクしそうな雰囲気を醸し出している。U-22アジア選手権の初戦のイラン戦でもスーパーゴールを決めるなど強烈なインパクトを残したが、加速力は並外れている。「相手DFと並んでいる。」と思っていても、いつの間にか入れ替わることができるほど、1歩目・2歩目のスピードが抜群である。ガムシャラさがあるのも、大きな魅力と言えるだろう。
そして、何と言っても1ゴール1アシストのMF野津田の活躍が光った。1点目のゴールはいいところに入って行って、2点目のアシストは絶妙のタイミングのパスだったが、ゴールに絡んだ2つのシーン以外でもセンスの良さを感じさせるプレーを見せた。「MF高萩のコンディションが良くない。」という理由でスタメンのチャンスを勝ち取ったが、MF高萩も安心できないほどのハイレベルなプレーを見せた。
175センチで69キロなのでサイズ的には一回り小さくなるが、よく言われる通り、ACミランのMF本田圭によく似ている。MF本田圭ほどフィジカルは強くないが、ボールを持ったときのボールの置き方であったり、パンチ力と精度を兼ね備えたミドルシュートを持っているところであったり、ピッチ上で堂々としているところであったり、名古屋でプレーしていたときのMF本田圭を連想させる部分がいくつかある。
FW佐藤寿は絶対的なエースであるが、森保監督はエースを大事に起用しており、昨シーズンも後半30分あたりでベンチに下がる試合が何度もあったので、スタメンでなくても試合に絡むチャンスは沢山あるだろう。高齢化が進んで先行きが不安視された時期もあったが、森保監督になってから若手が次々に出てきたので、いい循環ができつつある。チームの明るい未来を予感させる試合となった。
■ 不安いっぱいの試合一方の横浜FMはあまりいい試合は出来なかった。昨シーズンは広島に対して3連勝しているが、この日は完敗だった。名古屋から加入のMF藤本淳がスタメンで起用されたが、違いを見せることはできなくて、決定機はほとんど作れなかった。水曜日にアウェーで全北現代と対戦するが、流れはあまり良くない。アウェーなので「引き分けでもOK」と言えるが、不安いっぱいのシーズン初戦となった。
1トップはFW端戸が起用されて、FW矢島はベンチスタートで、FW伊藤翔やFW藤田祥はベンチにも入らなかった。FW端戸にとっては大きなチャンスだったが、見せ場と言えるのは、交代でピッチを去るちょっと前に裏に抜け出して左足でシュートを放ったシーンくらいで、中盤で潰されるシーンが多かった。ボールを失うシーンが目立ったが、サポートがほとんど無かったので、彼を責めるのは酷である。
守備もあまり良くなかった。唯一、良かったのは、最後のところで明らかに意図したハンドで広島の決定機を防いだDF栗原のプレーがイエローカードで済んだことくらいである。DF中澤も、DF栗原も、DFドゥトラも、コンディションがあまり良くないのか、MF石原やMFミキッチらに簡単にスピード勝負で振り切られるシーンが目立った。横浜FMらしくない簡単にドリブルで相手に突破されるシーンが多かった。
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