■ 第10節J1の第10節。2勝2分けと好スタートを切ったサンフレッチェ広島が、ホームでヴァンフォーレ甲府と対戦。甲府は2敗2分けで17位。まだ、J1に昇格してから勝利がない。
ホームの広島は<3-4-2-1>。GK西川。DF森崎和、中島、水本。MF青山敏、森崎浩、山岸、森脇、ムジリ、李忠成。FW佐藤寿。MFミキッチとMF高萩がスタメンから外れて、MFムジリとMF山岸がスタメン。元グルジア代表のMFムジリは初スタメン。第9節の清水エスパルス戦では決勝ゴールを決めている。
対する甲府は<4-2-2-2>。GK荻。DF小林、ダニエル、山本、吉田豊。MF伊東輝、石原、内田、永里。FW阿部、ハーフナー・マイク。神戸から移籍のDF小林が右サイドバックで、U-22日本代表のDF吉田豊が左サイドバックに入る。大宮から加入のMF内田は移籍後は初スタメン。
■ 1対1のドロー試合は、開始早々に甲府のMF石原が腕を脱臼するアクシデントが発生。MF石原がプレー続行が不可能でMF保坂が投入される。試合が落ち着かない中、甲府は前半10分にMF永里が右サイドに流れてクロスを上げると、これをFWハーフナー・マイクが相手に競り勝って得意のヘディングでゴール。甲府が先制する。FWハーフナー・マイクは今シーズン2ゴール目。
早い時間に追いつきたい広島だったが、失点の直後にMF青山敏が古傷の膝を痛めて続行が不可能となったため、MF丸谷と交代。両チームとも早々にボランチを失ってしまう。その後は、引いて守る甲府に対して広島がボールを支配し、MFムジリを中心に攻め込んでいくが、MF李忠成が3度あった決定機を決められず。前半は、1対0で甲府がリードして折り返す。
後半になると、広島は前半終了間際に交代で入ったMFミキッチが右サイドでチャンスメークするようになるが、甲府もたびたびカウンターでチャンスを作る。双方が決めきれない中、後半28分にMFミキッチが右サイドからドリブルで仕掛けると、甲府のDF内山のファールを誘ってPKを獲得。これをFW佐藤寿が決めて同点に追いつく。FW佐藤寿は今シーズン2ゴール目。結局、試合はそのまま1対1のドローに終わった。
■ 甲府は逃げ切れずFWハーフナー・マイクのゴールで先制した甲府だったが、1点リードを守りきれずにドロー。5試合を終えてまだ勝利がない。PKのシーンはMFミキッチの仕掛けもよかったが、甲府にとってはやや厳しい判定でもあった。ただ、守備を固めるために投入した直前に投入したDF内山が、試合に入りきる前のプレーでファールを取られたのは皮肉であった。
悔やまれるのは、2点目を取るチャンスが何度かありながらも取れなかったことで、MF永里やMF内田の惜しいシュートもあって、決定機の数自体はアウェーの甲府の方が多かった。甲府は、広島とは相性がよくて、J1では3勝1分けと負けなし。この日も、いい時間に先制ゴールを奪って、優位な展開になったので、勝ちたかったところである。
■ FWハーフナー・マイクが2ゴール目先日の柏戦でJ1初ゴールを決めているが、その時はPKでのゴールだったので、FWハーフナー・マイクにとっては、初の流れの中でのゴールとなった。右サイドからのクロスに対して相手のGKとDFに競り勝って頭で決めるというマイクらしいゴールだった。
ここまでは、ややJ1のスピードに戸惑っているようにも見えたが、この日は、ゴールシーン以外でもいいパフォーマンスを見せた。194㎝の長身なので、普通にジャンプすると、J1のどんなDFでも対応できなくなる。
J2の得点王がJ1でどのくらいゴールできるかというのが注目されているが、甲府自体が、守備的な戦い方を選択しているので、多くのチャンスがあるわけではない。ただ、ポテンシャルは高く、二桁ゴールは期待したいところである。プレーにムラのある選手で、不必要なイエローカードも多いが、このあたりも改善できると、日本代表入りも見えてくるが・・・。
■ 機能しなかった右サイドここまで未勝利の甲府は、何人かスタメンを入れ替えてきたが、右サイドがあまり機能しなかった。左サイドはMF永里が活発に動いてチャンスメークし、フィニッシュにも絡んだが、MF内田とDF小林で構成した右サイドはあまり効果的な働きはできなかった。
特に、右サイドバックに入ったDF小林久は、ポジショニングが今一つで、守備のとき、右サイドに大きなスペースを作ってしまった。慣れないポジションなので仕方がないとはいえ、守備重視で起用されていた割には、効果的でなかった。甲府は、元日本代表で清水エスパルスから移籍のDF市川がまだ戦列に復帰しておらず、右サイドバックはDF石原を起用したり、DF吉田豊を起用したりと定まっていない。三浦監督も、サイドバックの人選には苦労している。
■ 精彩を欠いた広島一方の広島は、暑さの影響なのか、非常に立ち上がりの入り方が悪かった。運動量の少ないMFムジリが入っていた影響もあったのか、前線からのプレッシャーがほとんどかからずに、甲府に楽にボールを回されるシーンが目立った。後半になると、やや改善されたが、それでも全体の動きの量はいつもと比べると少なくて、集中しきれていないような印象だった。
期待のMFムジリは前半は何度がいいパスを前線に送って決定機を演出したが、時間が経つにつれてミスも目立ち始めて後半は空回りしてしまった。アクシデントが発生したため、交代枠が全く残らなかったので、フル出場せざるえなかったが、スタミナには課題を残したといえる。
■ アクシデント発生この試合は、甲府のMF石原、広島のMF青山敏、DF中島、DF水本と、4人の選手が負傷で交代する非常事態となった。結局、広島は交代枠を3つともに負傷した選手の入れ替えに費やされたため、交代のカードも切れなかった。
前半終了間際に退いたDF中島については、プレー続行もできそうだったので、大きな問題はないと思われるが、MF青山敏は「左膝捻挫」ということで、復帰するまでにしばらく時間がかかるかもしれない。MF青山敏は、毎シーズンのように怪我に悩まされており、今シーズンこそは、怪我なくシーズンを送りたかっただけに、残念な離脱である。
■ DF水本は大丈夫か?そして、何よりもDF水本の具合が気になるところである。「頭蓋骨骨折、急性硬膜外血腫」ということで、試合後に「開頭血腫除去術」を行ったという。「全治4ヶ月」と発表されているが、「頭蓋骨骨折」と聞くと、試合中のアクシデントとしてはもっともヒドイ部類に入る。
DF水本は前半の接触プレーで負傷したというが、交代したのは後半11分で、このときは普通に歩いてピッチを離れており、見た目ではプレー続行も可能な状態のように見えたので、やや意外な交代であり、どのプレーで負傷したのか?と思ったほどであったので、これだけの重傷だったとは驚いた。
負傷したと思われるシーンから交代するまでの間、守備だけでなく、攻撃でも持ち味を出しており、いつもと変わらないプレーを見せていた。これだけの怪我をしながら、後半11分までプレーし続けたとことは普通では考えにくいことであり、彼の「精神的な強さ」を感じさせられるが、その一方で、すぐに交代せさることはできなかったのか?という疑問も残ってしまう。
今シーズンのDF水本は、ケルンに移籍したDF槙野の穴を感じさせないプレーを見せており、しっかりと広島のサッカーにもはまっていただけに悔やまれる離脱であるが、頭部の負傷であり、何よりも、後遺症が残らないように、万全な体制で回復に努めてもらいたいところである。
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