■ 新・キャプテンのMF渡辺皓が移籍を決断上位争いに参加している横浜FMは五輪代表としても活躍しているMF渡辺皓(東京V)を完全移籍で獲得した。MF天野純(→ロケレン)が抜けてMF三好に海外移籍の噂が出ている状況。U-20W杯の本大会の時に主力として活躍したMF山田康あたりにも期待が集まるが2.5列目の位置でプレーすることができる選手が不足していた。ボランチでも2列目でもプレーできるMF渡辺皓を獲得できたのは非常に大きいと言える。
コパ・アメリカのときはフル代表にも選出されている期待の星を夏の移籍市場で獲得したことになるが横浜FMは昨夏もDF畠中(当時:東京V)を獲得している。彼もJ1初挑戦だったが横浜FMでCBの定位置を確保。今年の3月には初めてフル代表に招集されるなど「J1でも有数のCB」と評価される選手になった。東京Vでプレーし続けていたらフル代表入りはかなり難しかったことを考えると「移籍は成功だった。」と言える。
DF畠中は1995年生まれ、MF渡辺皓は1998年生まれになる。3学年差なので時期的には重なっていないが同じ東京Vユース出身の選手になる。東京Vユース出身で東京Vのトップチームで主力として活躍していた選手を2年連続で夏の移籍市場で横浜FMが引き抜いたことになるがDF畠中を引き抜かれた傷が癒えない中でさらにMF渡辺皓を引き抜かれたので、当然、東京Vのサポーターからは不満の声が噴出している。
■ 特定のチームからの引き抜きが続いた例MF渡辺皓が今回の移籍を決断するときに、ユースの先輩であり、東京Vの先輩であるDF畠中に何かしらの相談をしたのか?否か?は分からないが「知り合いがほとんどいないチームへの移籍」よりも「先輩などがいるチームへの移籍」の方が抵抗感は小さくなる。もちろん、MF渡辺皓は年代別代表で活躍して来た選手なのでMF遠藤渓などともつながりはあると思うので新天地に溶け込むのは難しくないだろう。
やはり、他の条件がほとんど同じであるならば「先輩や元チームメイトなどの知り合いがいるチームへの移籍」を選択する選手が多くなると思う。また、同じチームでいい関係を築いている選手をセットで引き抜こうとするケースや新たなチームに移った監督が元・教え子を複数引き抜こうとするケースもあるので「特定のチームから特定のチームへの移籍が続くケース」というのはJリーグでも珍しくなくなっている。
代表例に挙げられるのは広島→浦和だろう。DF槙野は間にケルンを挟んでいるのでやや特殊なパターンになるがMF柏木とDF森脇とGK西川の3人はいずれも広島の主力として活躍していた選手を浦和が引き抜いた例になる。MF柏木が移籍を決断したときの監督はフィンケ監督だったが、DF森脇やGK西川が移籍を決断したときの監督はペトロヴィッチ監督だった。「ミシャ・チルドレン」をかき集めたのは記憶に新しい。
また、新潟で活躍していた選手を浦和が引き抜くケースも多かった。FWエジミウソンとMFマルシオ・リシャルデスとFWラファエル・シルバが代表例に挙げられる。3人の外国人選手は新潟で大活躍して浦和でもかなりの活躍を見せた。甲府で活躍していた選手を広島が引き抜くケースも目立つ。MF柏、DF佐々木翔、MF稲垣の3人は甲府時代に城福監督の指導を受けており、広島でも城福監督に重用されている。
■ 大きな騒動になった「赤帽の乱」J2だと2009年限りで鳥栖の監督を退いた岸野監督が横浜FCの監督に就任したときにMF武岡やDF渡邉将やMF高地などを引き連れて移ったのは大きな騒動になった。その後もDF柳沢やMF野崎陽など鳥栖時代に岸野監督が起用した選手が次々に横浜FCに移って鳥栖は一時的に相当に厳しい状況になったが残った選手と新加入選手が奮起。2011年に初のJ1昇格を達成した。対照的に岸野監督は横浜FCで結果を出せなかった。
岸野監督のトレードマークは赤い帽子でニックネームは赤帽だったので「赤帽の乱」と呼ばれて「Jリーグの遺恨を残した移籍騒動」を語る上では外せない話になる。J1昇格を達成した鳥栖はあれからずっと「J1残留」を果たしており、逆に横浜FCは2007年を最後に一度もJ1の舞台ではプレーしていない。両者がJ2に所属していた頃は「遺恨カードの1つ」になったが最後にリーグ戦で対戦したのは2011年の話になる。
他には2015年に愛媛FCを率いてPO出場を成し遂げた木山監督が山形に移ったときにたくさんの主力を引き連れて山形に移ったことも記憶に新しい。期限付き移籍だった選手も含まれるがFW阪野、FW瀬沼、GK児玉、DF茂木力の3人は木山監督と同じタイミングで愛媛FCから山形に移った。同じように山形 vs 愛媛FCは遺恨カードの1つになったがこのときに一緒に山形に移った4人はすでに山形を離れている。
当然、「同じチームからたくさんの選手を獲得してはいけない。」というルールは存在しないが、2年連続で生え抜きの若手を引き抜いた横浜FMに対して東京Vのサポーターが快く思わないのは当然の話である。ただ、難しいのは「2年連続でなければOKなのか?」というとそういうわけでもなくて、「DF槙野のケースのように間に海外のクラブが挟まっていたらOKなのか?」というとそういうわけでもない点である。
「OKとNGの基準」は人によって微妙に or 大きく異なるので「お気持ち案件」になってしまうところもあるが、Jリーグは「持ちつ持たれつ」の狭い世界であることを考えるとあまりにも短期間のうちに特定のチームの主力(特に生え抜き・チームの顔・有望な若手)を引き抜く行為を繰り返して過度なヘイトを溜めるのは出来れば避けたい。その後の移籍市場で身動きがとりにくくなるのはチームにとってはマイナスである。
→ 2009/12/22 前・サガン鳥栖監督 岸野靖之の乱
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