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【永田町LIVE】(16) “派閥丸抱え”改め“地域単位”…裏金事件余波、自民党の秘書団は機能するか

明後日投開票の衆議院3補欠選挙で、自民党が選挙戦術の転換を余儀なくされている。政治資金パーティー裏金事件の余波で、派閥が候補を全面支援する選挙戦を展開できなくなった為だ。唯一の与野党対決となり、岸田文雄政権の命運をも左右する島根1区で、自民はある作戦に乗り出した。カギになるのは秘書団の動向だ。 (取材・文/政治部 竹内望・野間口陽・遠藤修平)

20240429 02
「政治資金の問題で大変な政治不信を招いております。心からお詫びします」――。補選が告示された今月16日、自民の小渕優子選対委員長は島根1区から立候補した自民新人の出陣式に駆け付け、深々と頭を下げた。自民は東京15区、長崎3区で候補の擁立を見送り、既に“2敗”が確定。立憲民主党元職との一騎打ちとなった島根1区は、絶対に譲れない議席だ。島根は保守王国として知られ、竹下登元首相や“参議院のドン”と呼ばれた青木幹雄元参議院議員会長(※何れも故人)らが強固な地盤を築いてきた。松江市等を含む島根1区では、小選挙区比例代表並立制が導入された1996年以降、細田博之前衆議院議長が9回連続で当選した。ところが、今回は全く様相が異なる。昨年11月に死去した細田氏は晩年、『世界平和統一家庭連合』(※旧統一教会)との関係やセクハラ疑惑で批判を浴びた。更に、会長を務めた安倍派(※当時は細田派)で6億円を超える政治資金収支報告書の不記載が発覚。細田氏の後継候補となる自民新人の支援体制が揺らいでいるのだ。「選挙は先ず、派閥でやるものだ」。党関係者がそう語るように、派閥は政策の議論だけでなく、ポストやカネの配分、そして所属議員への選挙支援等を活動の柱に据えてきた。選挙時には経験豊富な派閥の秘書団が陣営の選対に入り、選挙活動を取り仕切る。派閥幹部も連日、選挙区に入り、応援演説や企業・団体回り等でてこ入れを図る。

派閥が支援した候補者が当選すれば派閥の勢力維持や拡大に繋がり、支援を受けた議員は派閥に忠誠を尽くす。嘗て政界の“闇将軍”と呼ばれた田中角栄元首相(※故人)は最盛期、田中派に議員141人、秘書約1000人を擁し、“田中軍団”と呼ばれた。1985年に脳梗塞で倒れて入院し、翌年の衆院選には病床から臨んだ。本人は一度も姿を見せなかったが、秘書団や傘下の議員らが選挙区を奔走してトップ当選を果たしたことは、今も語り草になっている。こうした“派閥丸抱え”の構図は党内に脈々と引き継がれてきたが、裏金事件で状況は一変した。岸田首相は今年1月、自ら岸田派の解散を電撃的に発表。それが呼び水となり、安倍派、二階派、森山派も解散を決定した。茂木派は政策グループとして存続するものの、政治団体の届け出を取り下げることを決めた。存続を明言しているのは麻生派だけだ。更に、自民が政治改革に向けて発表した中間取り纏めでは、派閥によるポストとカネの配分から決別すると明記。選挙支援には多額の資金が必要な為、従来通りの“派閥型”選挙は一層困難になっている。自民は島根1区で細田氏の後継として新人候補を擁立しただけに、本来なら安倍派(※清和政策研究会)が選挙を取り仕切る筈だったが、同派のあるベテラン議員は明かす。「こうなっちゃって、清和は全く動けなくなった。本当は秘書会を動員したり、派閥のカネを使って地上戦を展開する筈なんだけど、それができなくなった。外から見ているだけだけど、全く力を入れていないね」。では、今回はどう対応するのか。自民は島根1区に派閥の秘書団ではなく、中国ブロックの衆参議員の秘書を派遣する作戦を初めて採用した。派閥単位から地域単位へ――。派閥解消に伴う苦肉の策だが、指揮系統が確立している派閥と違って、調整は難航している。党関係者によると、派遣にあたって秘書団の纏め役がおらず、嘗て岸田首相が率いた岸田派に所属する議員事務所のスタッフが、秘書の動員を要請して回ったという。ただ、党内からはこんな懸念の声も上がる。「これまでのやり方は派閥にとって(勢力が増えるという)インセンティブがあった。地域単位だと、選挙支援に尽力して議員が当選してもメリットが薄く、活発な支援が期待できるかわからない」。


キャプチャ  2024年4月26日付掲載

テーマ : 政治のニュース
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