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【WEEKEND PLUS】(498) 患者らに働く場、医師の挑戦…医学博士の林和彦さん、ヨーグルト会社に全財産



20240531 07
日経平均株価が4万円を超え、春闘で賃上げ回答が相次いでいた今年3月下旬。夕食の支度をしていた妻から不安げに問われた。「この家がなくなったらどこに住んだらいいの?」。

林和彦さん(63、右画像中央、撮影/宮間俊樹)は、東京女子医科大学(※東京都新宿区)で35年、消化器外科や癌の専門医として患者と向き合った。同大病院副院長も務めた。しかし今、預金通帳の残高は数万円しかない。退職金も貯金も使い果たした。更に約3億円の借入金がある。自宅には抵当権が設定され、返済できなければ失う。林さんは「そうならないように頑張るよ」と答えるしかなかった。

多額の借金の理由は“ヨーグルト”だ。副院長になった2014年、病院で鎮静剤を投与された2歳の男児が死亡する医療事故が起きた。当時、医療安全の責任者を務めており、院内の調査に加え、警察や厚生労働省とのやりとりに追われた。教授室に寝袋を持ち込み、寝泊まりした。体調を崩し、重度の便秘症になった。

事故対応が終わっても体の不調は続いた。「消化器の専門家として、腸の機能を回復させる方法を自分で見つけるしかない」。研究者魂に火が付いた。目を付けたのが、腸内環境改善効果が指摘されるヨーグルトだった。ヨーグルトには様々な乳酸菌が含まれる。午後9時頃に帰宅し、自宅の台所で数百種類の乳酸菌から有望と考えられる菌を絞り込む実験を繰り返した。最初はどれも不味く、食べられたものではなかった。「毎日のように作っては捨て、作っては捨て、を繰り返した」。

本格的に取り組む為、嘗て長男が使っていた部屋を実験室にした。埃や微生物の混入を防ぐ研究用のクリーンベンチ(※作業台)と、細胞を培養するインキュベーター(※培養器)を購入した。一般的な食品メーカーは、温度管理した部屋でヨーグルトを発酵させる。だが、広い室内では場所によって温度に斑が生じる。林さんは「研究用インキュベーターなら、完璧に管理できる」と考えた。装置の配送業者は、民家での使用に「本当にここで使うんですか?」と驚いたという。

絶妙な温度管理が可能になったことで、これまで使っていなかった乳酸菌を扱えるようになった。その一つが、医薬品の整腸剤用の乳酸菌だ。製薬会社が製菓等向けに販売していた。実験を重ね、最終的に5種類を選んだ。「これだ」というヨーグルトの完成まで2年もかかった。

国が承認する医薬品以外で効能・効果を謳うことはできないが、自分にとっては満足できるヨーグルトになった。知人に贈ると「美味しい」と評判になり、購入希望者も現れた。商売にするつもりはなかった。でもその時、病院で出会った癌患者達がふと脳裏に浮かんだ。彼らの多くは「癌になっても働きたい」と願っていた。

癌は国民の2人に1人が罹る病気だ。最近は、医療の進展によって治る患者が増えている。治療の負担や体調の変化から元の生活を続けることが難しくなり、診断後に仕事を離れる患者が2~3割いるが、短時間勤務であれば復職できるという人も少なくない。林さんが知る患者も、能力や意欲はあるのに治療開始前と同じ働き方ができないこと等から、退職したり、パート等へ転職したりしていた。

“働き方”に悩むのは患者だけではなかった。以前、子育ての為に時短勤務を選んだ看護師が、多忙な職場で肩身の狭い思いをしていた様子も思い出した。病や子育て、介護等働き手の状況に応えられる会社が必要だ。癌患者でも意欲があれば胸を張って働ける職場を、このヨーグルトで作ることができるのではないか――。そんな思いから、2018年、乳製品の製造・販売会社『神楽坂乳業』を起業した。

目標は“経済的成功(=お金儲け)”でなく“社会的成功(=癌患者らへの貢献)”。大学に近い築40年のアパートの一室を借りて、工房」にした。工房で作ったヨーグルトは『神グルト』という商品名でインターネット販売した。昼は医師として働き、夜と休日にヨーグルトを作る。コスト度外視で開発した商品の為、1瓶700グラム入り3500円とヨーグルトとしては破格の高値で販売しても、利益は僅かだった。

設備を整える費用や日々の運転資金の為、お金はみるみる減っていく。還暦前の2020年6月に大学を退職し、ヨーグルト生産と販路拡大に専念することにした。にも拘わらず、2021年の大晦日に妻から言い渡された。「老後の蓄えも子供の結婚資金もなくなりました。赤字が続くようなら、もう止めて下さい」。

それでも諦めるわけにはいかなかった。旧知の患者やシングルマザー、介護で働けない人達から「私を雇ってほしい」との声が届き始めていたからだ。生産量を10倍に増やし、経営を軌道に乗せたい。その為に新しい工場を作る。無謀とも思える計画を実行に移すことにした。

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テーマ : ヨーグルト
ジャンル : グルメ

【石井聡の「政界ナナメ読み」】(39) 末期症状を脱せぬ岸田自民党

「世も末だ」という言葉は今でも耳にするが、新聞記事を書く際に使ったことは記憶にない。それが、政権与党たる自民党にあてはまる現状に啞然とする。裏金問題を巡り、安倍派幹部らを含む39人の国会議員に処分が下され、漸く一つの節目になるかと思えば、当の安倍派幹部の一部がこれに不満を示して再審査を求め、党内からは「処分は重過ぎる」との声も噴き出している。

国民の多くは処分は遅く、総じて甘いと感じている。真相解明への努力があまりにも足りないことへの失望も大きい。処分の軽重を論じている場合ではないのだ。離党勧告を受けた安倍派の塩谷立元文部科学大臣は、徹底抗戦する構えのようだ。党に出した弁明書では、「スケープゴートのように清和研(※安倍派)の一部のみが、確たる基準や責任追及の対象となる行為も明確に示されず、不当に重すぎる処分を受けるのは納得がいかず、到底受け入れられない」と述べている。事態が混迷化する要因が見てとれる。

裏金問題の責任が全て安倍派にあるわけではないものの、その規模や人数等は突出しており、「安倍派のせいで自民党が迷惑を被っている」というのが、安倍派以外の多くの議員の偽らざる心情だろう。生贄といった意味も持つスケープゴートという言葉が出てくるのは、党全体に悪影響を齎しているという認識や責任感の欠如とも受け取れる。

塩谷氏は衆議院当選10回のベテランだが、前回の選挙は比例復活により議席を得ている。離党勧告は政治生命の危機に直結するだけに、不満を抱く理由はある。だが、同じく安倍派の下村博文氏と2人で務めた会長代理の体制を変更し、自ら座長に就いた。会長ではなく座長だから、責任は軽いとでも考えたのだろうか。寧ろ、最高幹部としてこの危機をどう打開すべきかを考える立場だ。

塩谷氏と同じく離党勧告を受けた世耕弘成前参議院幹事長は、直ちに処分を受け入れ離党した。1年間の党員資格停止処分を受けた西村康稔前経済産業大臣は、「初心に戻り、裸一貫でゼロから再出発したい」と述べた。衆参の政治倫理審査会では、両氏から真相解明への努力を感じられなかったが、塩谷氏に比べれば多少の清々しさを覚えた。

もとより、今回の処分には基準の曖昧さ等の問題点は多い。中でも、安倍晋三元首相が派閥からの政治資金パーティー収入のキックバック(※還流)を止めさせたのに、何故復活したのかという焦点となった問題の答えは出ていない。だからといって、政治不信が拡大する中で処分を先送りし、個々の対象議員の状況に合わせて細かく処分内容を決めていては切りがない面もある。

さて、最大の問題は、岸田派も元会計責任者が政治資金規正法違反(※虚偽記載)の罪で略式起訴されたのに、岸田文雄首相は処分対象とならなかったことだ。党総裁を処分の対象とすべきか否かが議論となるのは、文字通り末世だ。対象となれば、その時点で総裁としては不適格だ。

首相は自らの責任について「国民と党員が判断する」と発言した。次期衆院選や総裁選で決着を図る姿勢を見せるのは良いが、この事態を招いた時期の首相として、退陣も主要な選択肢の一つである。自分は悪くないと思っているなら、安倍派座長と然程変わらない。若しそれを失念しているなら、既に“その任にあらず”である。 (本紙特別記者 石井聡)


キャプチャ  2024年4月12日付掲載

テーマ : 岸田内閣
ジャンル : 政治・経済

【佐藤祥子の「力士、燃ゆ」】(39) 尊富士(伊勢ヶ濱部屋)――「さっぱどしたじゃ」彗星が春場所を席巻

大相撲界に、110年ぶりに彗星が現れた。僅か1ヵ月前の新入幕記者会見で初々しい笑顔を見せていた尊富士が、大正の世(※1914年五月場所での両国勇治郎、後に梶之助)以来、世紀を超えて新入幕優勝を果たしたのだ。

前頭十七枚目と、番付幕尻に名を連ね、昭和の大横綱大鵬以来の新入幕11連勝。大関・豊昇龍に1敗するも、単独トップの快進撃を見せる。しかし、土俵の神様はまさかの試練を与えたもうた。14日目、元大関・朝乃山戦で右足首を負傷し、車椅子で花道を下がり、救急搬送されたのだった。「千秋楽は休場か? 優勝の行方はどうなるか?」と誰もが尊富士の動向に固唾を飲む中、平成生まれの24歳の若武者は土俵上に姿を現す。前夜、師匠の伊勢ヶ濱親方(※元横綱・旭富士)に一度は休場を願い出たというのだが――。

「付け人の肩を借りないと自分では歩けない状態で、『これは無理だ』と。でも、休場中だった横綱(※照ノ富士)が僕に『お前ならやれる。記録より記憶に残る力士になりたいんだろ? このチャンスは逃したら戻って来ないぞ』と言ってくれ、その瞬間、自力で歩けるようになったんです。何故だろう――。自分でも不思議で、怖いくらいでしたよ」。

前言を翻し、すぐさま師匠に出場を談判した。「出場を止めるほうも、止められるほうも後悔するだろう」と、愛弟子の気合と覚悟に気圧され、師匠は出場を許可したのだった。「昭和のお相撲さんは大怪我しても、それこそ靭帯が切れても出場していたそうだし、僕みたいに靭帯を損傷したくらい大したことねぇなと思えたんですよ。相撲はスポーツというより“男の勝負”。怪我しても土俵に上がれば、何かが生まれるんじゃないかって。いざ土俵に上がったら怪我を忘れていましたけど(笑)」。

相撲の名門である鳥取城北高校から日本大学に進むも、輝かしい成績はなく、前相撲から初土俵を踏んだ尊富士。所要10場所での快挙を成し遂げた要因は、スピード感溢れる速攻相撲と、津軽の“じょっぱり魂”だ。怒濤の一日から一夜明け、地元・青森の記者に心境を尋ねられると、大相撲史に名を刻んだ若武者は「さっぱどしたじゃ」と一言。これは「すっきりした、ホッとした」の意味なのだそう。


佐藤祥子(さとう・しょうこ) 相撲ライター。日本相撲協会認定・相撲健康体操指導員。1967年生まれ。週刊誌記者を経て、1993年からフリーに。著書に『相撲部屋ちゃんこ百景』(河出書房新社)・『知られざる大鵬』(集英社)等。


キャプチャ  2024年5月号掲載

テーマ : 大相撲
ジャンル : スポーツ

【これからの国際通商ルール】(12) 自由と介入の均衡点を模索

20240531 06
国際通商ルールの要として機能してきた『世界貿易機関(WTO)』は、規律を維持するうえで引き続き重要な存在です。しかし、多極化する今日の国際社会で、その機能回復は容易ではなく、各国はそれを前提に経済安全保障時代の課題に対処する必要があります。

この連載では、強制技術移転、経済的威圧、ガバメントアクセスといった新しいテーマについて、ルールの現状と各国の対応を紹介しました。また、新しい秩序形成の試みにも触れました。最後に改めて、これらの動向を貫く2つの特色を指摘し、今後の展望を示したいと思います。

第一に、国家と市場の距離変化です。従来の通商ルールは自由市場理念のもと、その理念を基盤として具体的な法概念やルールが発展してきました。しかし、経済安全保障上の課題に直面した各国では、こうした基盤が動揺しています。経済合理性に立脚した自由な経済活動から、国家が市場に介入し、経済活動のあり方を一定程度管理する必要があるという規範意識へ変わろうとしているのです。経済安全保障上の課題に対応するため、各国は市場への介入を常態化させ、新しい秩序形成の試みも国家の市場介入をある程度前提としているようです。自由と介入のバランスの変化と、均衡点の模索こそが、今後の国際通商ルールの鍵になるでしょう。

第二に、国内措置への傾斜です。既存の国際通商ルールは、昨今の課題に十分な処方箋を提供できず、各国は国内法上の措置を講じ、独自に対応する傾向が顕著になっています。しかし、各国間での措置の重複・複雑化は避けられません。経済安全保障の名のもとに、保護主義的措置が乱用される恐れもあります。

ある国の国内措置が強い影響力を持ち、その既成事実が後の国際ルール形成を主導してしまう現象は、歴史的にも見られることです。これらの懸念を念頭に、各国の国内措置の内容を国際的視点から管理・調整する必要があります。この点も、将来の国際通商ルール形成に向けた課題です。 =おわり (長崎県立大学准教授 平見健太)


キャプチャ  2024年5月10日付掲載

テーマ : 経済
ジャンル : 政治・経済

【これからの国際通商ルール】(11) 新たな秩序形成の試み

20240531 05
経済安全保障上の課題に対処すべく、米EU間の国際経済協力の枠組みとして、『米国EU貿易技術評議会(TTC)』が2021年6月に設置されました。2022年5月には、『インド太平洋経済枠組み(IPEF)』も立ち上がっています。これらは、同志国との連携を念頭に置いたアメリカ主導の動きであり、既にいくつかの成果が生まれています。

新しい試みは、時の政治状況に左右されがちです。前記2つの試みも、2024年秋の米国大統領選の結果次第で、その流れに影響が出るかもしれません。しかし、こうした試みには、経済安全保障時代の国際通商ルールに関する関係諸国の考えが投影されています。

TTCとIPEFの中心課題は、サプライチェーン強靱化やデータガバナンス、エネルギー安全保障、技術の問題などですが、自由化の課題は見当たりません。経済合理性を重視した自由な経済活動は、時に国家の脅威や脆弱性の温床になり得ます。そのため、国家が市場に介入し、経済活動を一定程度管理しなければならないとする、従来とは方向性が異なる規範意識が現れているようです。

合意やルールの内容にも特徴があります。従来の通商協定は、当事国間で詳細な権利義務関係を設定し、司法的な紛争処理制度を備えるのが通例でした。しかし、TTCやIPEFは、国家間の不断の対話や政策調整を要する課題が中心となっています。そのため、静態的な権利義務関係を設定するより、対話・協力・政策調整のための手続きや仕組みの構築に力点を置いているようです。

TTCとIPEFには、経済安全保障上の課題に直面した各国が、どのようなルール・協力の形態を志向しているのかが表れており、今後の国際通商ルールの姿にとって示唆的です。もちろん、同志国に限定されたTTCやIPEFなどの枠組みのみから、新しい秩序は生まれないでしょう。こうした動きの背景にあるのは、中国などの権威主義国です。これらの国々の反応や、双方の動きに目を光らせるグローバルサウス諸国の反応にも、目を配る必要があります。


キャプチャ  2024年5月9日付掲載

テーマ : 経済
ジャンル : 政治・経済

【これからの国際通商ルール】(10) ガバメントアクセス対応の模索

20240531 04
ガバメントアクセスに関する国際ルールの模索は、『経済協力開発機構(OECD)』で始まりました。まず個人データに関する規律の要素が議論され、2022年12月には『信頼性のあるガバメントアクセスに関する高次原則に係る閣僚宣言』が採択されました。宣言は条約ではなく、法的拘束力のない合意にすぎません。それでも個人データへのガバメントアクセスで留意すべき7つの原則を明確化しており、事実上の国際スタンダードになることが期待されます。

他方、非個人データに関しては、問題意識の共有が始まったばかりで、国際的なフォーラムでの検討はこれからです。ただ、既存の国際通商ルールの中にも、非個人データに対するガバメントアクセスを一定程度規律するものが存在します。『世界貿易機関(WTO)』体制下の知的財産保護に関する協定(※TRIPS)や、自由貿易協定(※FTA)上の電子商取引ルールなどがその例です。

しかし、既存ルールはガバメントアクセス自体を念頭に置いたものではなく、その規律は部分的・断片的なものにとどまります。まずは、既存の国際通商ルールでどこまで規律でき、どこからが新たな国際ルール形成に委ねられるべきなのかを、明らかにすることが求められます。

個人データと非個人データの区別が、現実にはそれほど自明ではない点にも留意が必要です。匿名化されたデータでも、個人の再特定が可能な場合は個人データとなりえますが、再特定の可能性は用いる技術次第で、技術が進歩すれば個人の再特定も容易になります。このような個人データと非個人データの相対性も、ルールの形態や内容に影響を与えるでしょう。

デジタル化の進展やプラットフォーマーの台頭により、社会における国家の機能・役割は相対的に縮小してきているようです。しかし、昨今の経済安全保障の潮流は国家の役割を再認識させるものです。ガバメントアクセスもそうした潮流に促され、国家の統治能力を向上させる手段として活用が進むと考えられます。乱用を防ぐ国際ルールが必要となるのです。


キャプチャ  2024年5月8日付掲載

テーマ : 経済
ジャンル : 政治・経済

【これからの国際通商ルール】(09) デジタル時代の新たな課題

20240531 03
デジタルに依存した社会への移行は、逆戻りできない形で進行しています。デジタル経済、電子商取引はその重要性を飛躍的に高めていますが、そこでの価値創造の資源となるのがデータです。データはそれ自体が決まった価値を持つというより、それを扱う者の目的や扱い方次第で資源としての価値・性質が変化します。そのため、デジタル経済の健全な発展にはデータ流通のあり方に関するルールが必要になります。

国際通商ルールでも、越境的なデータ流通に関するルール形成が進んでいます。『包括的・先進的環太平洋経済連携協定(CPTPP)』はその典型例です。データに関する課題として、経済安全保障上も重要性が高まると思われるのが、ガバメントアクセスの問題です。ガバメントアクセスとは、政府機関が民間部門の保有するデータへアクセスすることです。

デジタル社会では、民間事業者が経済活動を通じて膨大な個人データおよび非個人データ(※産業データ)を保有します。政府の側も、行政効率改善のほか、公衆衛生や犯罪捜査、国家安全保障などの公益目的で、民間保有のデータを活用したいと考えています。

ガバメントアクセスは、社会にとって有用かつ望ましい場合がある一方、適切に行なわれなければ大きなリスク要因となります。個人データへの無制約なガバメントアクセスは、当該データに含まれる個人情報の乱用につながる恐れがあります。また非個人データに関しては、企業が保有する知的財産、営業秘密、安全保障に直結しうる機密情報を侵害しかねません。

現在各国は、それぞれの立場からガバメントアクセスに従事しており、独自の国内法を整備する動きも見られます。ただ、こうした状況では、野放図なガバメントアクセスが発生する恐れがあり、その結果、データ流通への信頼を損ね、企業の活動を萎縮させてしまいます。“善きガバメントアクセス”と“悪いガバメントアクセス”を区別し、後者を抑止する国際ルールを模索する必要性がここにあるといえます。


キャプチャ  2024年5月7日付掲載

テーマ : 経済
ジャンル : 政治・経済

【WEEKEND PLUS】(497) 次期衆院選に配慮も? 自民・森山裕氏の“野党操縦術”

20240531 02
自民党・森山裕総務会長の野党操縦術が評判だ。国会は2024年度予算案が成立し、共同親権の導入等で与野党対立があった民法改正案の審議も進んだが、背景には森山氏と立憲民主党・安住淳国対委員長の“裏取引”があったという。安住氏は前回の衆院選(※宮城5区)で、自民新人の森下千里氏に約2万票にまで迫られた。彼女は1万ヵ所以上で街頭演説をこなし、「次は安住氏に勝つ」と着実に支持者を増やしてきた。ところが、自民は次期衆院選で「選挙区定数が1減になる」を理由に、森下氏を比例代表東北ブロックの上位に回し、安住区の新4区に70歳を迎えた伊藤信太郎環境大臣を据えたのだ。伊藤氏は過去に金銭醜聞もあり、安住氏にとって勝ち易い相手だ。その“配慮”を受け入れた安住氏は、森山氏に頭が上がらなくなった。立憲民主は予算案裁決時、年度内成立を妨害しようと“長時間演説”を試みたが、実行したのは山井和則氏1人だけ。「この程度にしておいてやる」と演説を中止し、早々に引き上げた安住氏に、党内からは「自己中だ」と呆れた声も。


キャプチャ  2024年5月号掲載

テーマ : 政治のニュース
ジャンル : ニュース

【WEEKEND PLUS】(496) 茂木敏充幹事長の応援団を続ける読売新聞の女性記者に“お庭番”の評

20240531 01
『読売新聞』による自民党・茂木敏充幹事長への露骨な“ヨイショ”が、永田町で話題になっている。茂木派は3月17日の会合で政治団体の解消を提案し、了承された。茂木派は既に小渕優子氏や関口昌一氏ら衆参の幹部が退会し、更に加藤勝信元官房長官も派を離れると噂される状況だ。しかし、読売は「(茂木氏が)ポスト岸田を目指すための足場を残す」と書き、氏が安倍派若手らとの会合を重ねて「総裁選に向けて派外へのアプローチを始めた」と党内の声を紹介したのだ。衆議院島根1区補選でも、茂木氏が地元入りして応援する様子を何度も伝えたが、関係者は「人望のない彼のパフォーマンスを大きく報じたのは、茂木番の女性記者だろう」と語る。彼女は茂木氏のお気に入りの一人で、囲み取材では現場を仕切り、他の記者に厳しい質問をさせないよう、常に牽制しているという。その為、他社の記者からは“お庭番”と呼ばれている。


キャプチャ  2024年5月号掲載

テーマ : テレビ・マスコミ・報道の問題
ジャンル : ニュース

【木曜ニュースX】(498) 好調続くコンサル大手のアクセンチュア、次期社長最右翼は関戸亮司副社長

20240530 07
コンサル大手の『アクセンチュア』は、東大生就職人気ランキングでトップ3の常連だ。高報酬に加え、週休3日制等働き易さも人気の要因だ。近年は異業種へのM&Aで業容を拡大し、今やマーケティングからITコンサル、システム構築まで手掛け、『日立製作所』や『富士通』等電機・情報サービスメーカーからもライバル視される存在である。

2023年8月期の売上高は約6500億円。直近8年間で4倍となり、社員数も4倍の約2万3000人にまで増加した。急速な成長を牽引してきたのが、2015年就任の江川昌史社長だ。製造・流通業界を中心に通信、金融業界や公共サービス領域等、多くの案件に携わってきた。だが。今年で就任9年が経ち、次期社長候補も浮上している。

最右翼は関戸亮司副社長(57)だ。金融サービス本部統括本部長等を歴任し、現在は金融部門でアジアパシフィックのデリバリー統括を担当する。「今後、最も注力していくAI分野は金融業務と親和性が高い。日本だけでなく、アジア全域で事業拡大する上でも適任だ」(同社幹部)。江川氏が就任10年となる来年が交代時期となりそうだ。


キャプチャ  2024年5月号掲載

テーマ : 経済ニュース
ジャンル : ニュース

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George Clooney

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