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【ドイツ総選挙2025】(下) 住宅無償提供、募る反感



20250307 06
今月23日に投開票されるドイツ連邦議会(※下院)総選挙は、難民・移民政策が主要な争点になっている。難民・移民に対する反感がドイツ社会で強まっている為だが、背景には難民による凶悪事件が相次いでいることに加え、住宅不足の問題もある。

「この辺にはスーパーマーケットもカフェも無い。80人もの外国人が暇を持て余して不満を溜めたら、何が起きるかわからない」。西部ゾーリンゲンの実業家、ダニエル・イワノビチさんは取材に不安を訴えた。近所で計画される難民用宿舎新設に反対する住民運動の中心メンバーで、昨年初めに建設中止を求めて市を提訴した。この宿舎は市中心部から約5㎞の山間に建てられる予定で、80人を収容できる。

ドイツには、受け入れた難民を各自治体に割り当てる制度がある。ゾーリンゲン市の昨年1月の発表によると、それまでホテルや旧税務署、別荘等の計1000室超を難民用に確保してきたが、空きはほぼ無かった。そこへ昨年は新たに難民約700人の割り当てが見込まれ、宿舎の建設が必要になったという。

こうした難民の“飽和”はドイツ各地で起きている。背景にあるのが住宅不足だ。ドイツは移民や難民の流入で人口が増え続ける一方で、資材の高騰や、高齢化に伴う労働者不足で住宅の建設が追いついていない。そんな中で難民には無償で住まいが提供されることに、国民の間では反発もある。

また、難民の為にアパートやホテルを借り上げたり、宿舎を新設したりする費用が自治体の財政を圧迫する。ヒルデスハイム大学が昨年5月に発表した約800自治体を対象にした調査結果によると、22%が「緊急事態だ」と回答した。高齢化が進むドイツでは、移民については労働力として肯定的に捉える人が今でも多いとされる。

だが、住居に加えて生活費やドイツ語習得等の支援も必要な難民を巡っては、特に景気低迷が続く近年、反感が高まり易くなっている。ドイツは2015年以降、内戦下のシリア等から押し寄せた難民を当時のアンゲラ・メルケル首相が積極的に受け入れた。現在、ドイツで暮らす難民は300万人超に上り、人口の4%を占める。

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【ドイツ総選挙2025】(上) 相次ぐ凶行、不安拡大

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石畳の小さな広場は人通りが少なく、ひっそりとしていた。嘗て献花台があったという場所には、その名残のように、小さな鉢植えの花が置かれていた(※右画像、撮影/五十嵐朋子)。ドイツ西部、ゾーリンゲン。刃物の街として知られ、老舗キッチンブランド『ツヴィリング』の発祥地でもある。

ここで昨年8月、難民申請が却下され国外退去することになっていたシリア人の男性が、イベントの来場者を刃物で襲った。3人が死亡し、8人が怪我をした。ドイツは2015年の欧州難民危機以降、当時のアンゲラ・メルケル政権が欧州で最も多くの難民を受け入れてきただけに、事件の衝撃は大きかった。

現場の近くで鬘店を営むノインツィヒさん(57)は事件後、中東風の外国人を見ると警戒するようになったという。「保護が必要な難民がいるのはわかっているけれど、自分は以前より寛大ではなくなってしまいました」。難民に“寛容”だった筈のドイツで今、こうした反難民感情が広がる。大きな原因は、難民による凶行が相次いでいることだ。

同年5月にも西部マンハイムでの反イスラムの集会で刃物による襲撃事件が起き、警察官1人が死亡。12月には東部マクデブルクのクリスマスマーケットに車が突っ込み、6人が犠牲になった。先月には南部アシャッフェンブルクで幼稚園児らが刃物で襲われ、2人が命を落とした。3事件の容疑者は其々、アフガニスタンとサウジアラビアの出身だ。

オラフ・ショルツ政権は、重大犯罪を犯した難民の国外退去処分の迅速化等対策を打ち出したが、国民の治安悪化の不安は解消されていない。そんな中、昨年11月に与党内の対立で連立政権が崩壊し、今月23日に連邦議会(※下院)の前倒し総選挙が実施される。野党は、メルケル路線を踏襲する現政権にとって難民問題は弱点と見て、「不十分な対策が治安を悪化させた」と批判を強める。

急先鋒は、“国境の閉鎖”を公約する『ドイツのための選択肢(AfD)』だ。難民や移民の送還等排外主義的な主張を掲げ、ナチスのスローガンを演説で使った幹部が有罪判決も受けている。“極右”とも言われるが、世論調査機関『インザ』が今月10日に発表した支持率で22%で2位につける。

支持率30%とトップの野党統一会派『キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)』もAfDに引きずられるかのように、厳格な国境管理を主張する。中道右派のCDUはメルケル前首相が率いた政党だが、フリードリッヒ・メルツ党首は難民に厳しい路線に転換。ポピュリズム色を濃くしている。両勢力は“接近”も取り沙汰される。CDU・CSUは先月、持続的な国境管理等を政府に求める決議案を下院に提出し、AfDも賛成したことで可決された。

ドイツではナチスを生んだ反省から、排外主義を厳しく戒めてきた。戦後、二大政党の一つとして何度も政権を担ってきたCDU・CSUが“極右”政党との協力ともとれる動きに出たことは衝撃を与えた。決議に法的拘束力はないが、ベルリンでは今月2日、CDU・CSUに抗議する大規模なデモが起き、参加者は16万人(※警察発表)に上った。政界を引退したメルケル氏も、協力は「間違っている」と批判する異例の声明を出した。

CDU・CSUは、現在の情勢では選挙後に次期政権を主導する可能性が高い。AfDとの連立や政策協力は否定するが、AfDのアリス・ワイデル共同党首は今月10日、公共放送『ZDF』に「私達は手を差し伸べている」と述べ、連立協議の打診があれば受け入れる姿勢を示した。与党・社会民主党のショルツ首相は「メルツ氏は信用できない」として、両者の連立はあり得ると警告する。

難民・移民問題が主要な争点になっている今回の総選挙。勢いに乗るAfDが大きく議席を伸ばせば、連立政権には入らなくとも政策面で影響力を強める可能性があり、欧州一の大国にとって大きな岐路になる。

難民支援に長年携わる『ゾーリンゲン移民・難民統合協議会』代表のナッサー・フィロウツカさんは、「10年前は人々は友好的でしたが、今は多くの人が沈黙して外国人を嫌っています」と溜め息を吐く。「最近の(難民政策を巡る)議論のせいで、難民や移民は不安でいっぱいです」。ただ、難民が“嫌われる”理由には、実は体感治安の悪化以外の問題もある。


キャプチャ  2025年2月18日付掲載

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【ウクライナ侵攻3年】第1部・停戦への道(05) 日本の復興支援「様子見」

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「ウクライナの美しい大地に平和が取り戻されるよう、日本は共に歩んでまいる」――。石破茂首相は先月24日、ウクライナ政府が主催した『ウクライナ支援に関する首脳会合』にオンラインで出席し、「支援する姿勢に揺らぎはない」と力を込めた。日本は、これまで非軍事分野を中心に支援を続けてきた。『国際協力機構(JICA)』による支援総額は約2000億円に上る。円借款を通じた財政支援、無償資金協力・技術協力を通じた地雷対策やインフラ復旧支援等が柱だ。

民間資金も支援に呼び込もうと、『日本貿易振興機構(JETRO)』は昨年10月、ウクライナの首都キーウに現地事務所を設置。進出を検討する日系企業と現地企業のマッチングを支援している。戦場等汚染された土壌での作物栽培で技術を持つ農業ベンチャー『メビオール』(※神奈川県平塚市)は、ウクライナ政府等と協力文書を締結した。同社の吉岡浩社長は「ウクライナの基幹産業である農業の生産力向上を支援したい」と力を込める。

戦禍に苦しむウクライナ国民の心のケアにも乗り出しており、JICAは先月18日にウクライナ保健当局幹部らを東京大学に招き、心的外傷後ストレス障害(※PTSD)を患った人の支援方法について情報共有した。参加したオクサナ・ズビトネワさんは、「83%のウクライナ人が侵略後、ストレスを抱えている。日本が災害で蓄積してきた精神保健の知識を学んでいきたい」と語った。

3年を超えるウクライナ侵略が停戦すれば、日本の復興支援にも弾みがつく――。だが、日本政府は今後の更なる支援について「様子見」(外務省幹部)せざるを得ないのが実情だ。米露主導で停戦協議が進むが、不安定な停戦状態では日本の関係者が復興支援の為に長期間、ウクライナに現地入りすることは難しく、日本が復旧支援するインフラがロシアに再び破壊されるとの懸念も強まっている。

日本は復興支援に欠かせない“公正且つ永続的な平和”の実現をこれまでも求めてきたが、その大前提も揺らぎつつある。アメリカのドナルド・トランプ大統領はロシアとの取引に乗り出し、ウクライナ不在で停戦協議を進めている。強引な海洋進出を続け、台湾への軍事的威圧も強める中国と対峙する日本としては、ロシアに有利な形で停戦が実現する等、「誤った教訓が導き出されないようにする」(首相)との立場は譲れない。

一方で、日本はアメリカとの同盟を外交・安全保障政策の基軸としており、トランプ政権との関係安定化も欠かせない。原則論だけで立ち回ることは難しく、首相は周囲に「トランプ大統領が言うように戦争を終わらせるしかないが、台湾の問題があるから大統領を100%支持するとも言えない」と吐露している。日本や欧州が希求する公正で永続的な停戦は実現するのか。協議の行方を世界は固唾を呑んで見守っている。 =おわり

          ◇

(ワシントン支局)池田慶太/(ロンドン支局)蒔田一彦/(ブリュッセル支局)酒井圭吾/(東京本社政治部)大藪剛史・栗山紘尚が担当しました。


キャプチャ  2025年3月1日付掲載

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【ウクライナ侵攻3年】第1部・停戦への道(04) 欧州安保、迫られる自立

https://www.yomiuri.co.jp/world/20250225-OYT1T50172/


キャプチャ  2025年2月26日付掲載

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【ウクライナ侵攻3年】第1部・停戦への道(03) “安全の保証”、大国が翻弄

https://www.yomiuri.co.jp/world/20250225-OYT1T50005/


キャプチャ  2025年2月25日付掲載

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【ウクライナ侵攻3年】第1部・停戦への道(02) ヤルタ会談の再現を狙うロシア

https://www.yomiuri.co.jp/world/20250223-OYT1T50121/


キャプチャ  2025年2月24日付掲載

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【ウクライナ侵攻3年】第1部・停戦への道(01) アメリカの功名心、ロシアを擁護

https://www.yomiuri.co.jp/world/20250223-OYT1T50013/


キャプチャ  2025年2月23日付掲載

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【ウクライナ侵攻から2年】(15) 経済低迷ドイツで広がる“支援疲れ”

ロシアによるウクライナ侵攻が3年目に入る中、ウクライナに兵器を供与してきたドイツで、支援継続に消極的な世論が広がりつつある。終わりが見えない戦争に対する“疲れ”が背景にあるとみられ、ウクライナ支援に消極的なポピュリズム(※大衆迎合主義)政党が勢いづいている。 (取材・文/ベルリン支局 念佛明奈)



20250228 07
ドイツのオラフ・ショルツ首相は2022年の侵攻開始直後、原則として紛争地域には武器を輸出しない政策を転換した。昨年1月にはドイツ製主力戦車『レオパルト2』の供与も決め、武器支援額ではアメリカに次ぐ2位となっている。しかし、公共放送『ARD』が今年1月に公表した世論調査では、ウクライナへの武器支援が「適切」と答える割合は、昨年1月の41%から35%へと低下。反対に「行き過ぎ」との回答は26%から36%へと増えた。

ウクライナが供与を求めている長距離巡航ミサイル『タウルス』(※右画像、『ロイター通信』提供)についても、今月公表の調査で61%が「供与に反対」と答えた。タウルスの射程は、イギリスの『ストームシャドー』の2倍となる約500㎞に及び、ロシア国内の重要施設を破壊する能力があるとみられている。戦争に巻き込まれることを懸念して、ショルツ氏は提供に消極的だ。

ウクライナ侵攻後に起きたエネルギー危機等を背景とするインフレは深刻化し、ドイツ経済は低迷している。ドイツ連邦統計局が1月に発表した昨年の実質GDP速報値は前年比0.3%減で、新型コロナウイルスの感染が拡大した2020年以来のマイナス成長となった。ポピュリズム政党はウクライナへの軍事支援停止を打ち出し、経済状況への不満からウクライナ支援に反発する層の受け皿になろうとしている。

「(ウクライナへの)より多くの武器、より多くの資金、より多くの(対露)制裁を求めた結果、ドイツのGDPは縮小した」。排外主義的な右派政党『ドイツのための選択肢(AfD)』のマティアス・ムースドルフ連邦議会議員は、1月の議会でこう訴えた。同党は、所得の低い旧東独ドイツ地域を中心に直近の世論調査で2割近い支持を集める。

反発するのは右派だけではない。旧東ドイツ社会主義政党の流れを汲む左派党を離党したザーラ・ワーゲンクネヒト連邦議会議員は、新党『ザーラ・ワーゲンクネヒト同盟(BSW)』を結成した。格差是正や貧困対策と並び、ウクライナへの武器支援の中止を訴え、ロシアを停戦協議のテーブルに着かせるよう呼びかけている。

BSWを支持する学生のディアゴさん(24)は取材に、「ウクライナの戦況は行き詰まっている。交渉によって停戦に合意することが、戦争の出口になる」と話し、「戦争を終わらせる為に武器支援を停止すべきだ」と主張した。

ドイツの研究機関『社会科学研究』のハンス・ブロックランド所長(※政治学)は、「ウクライナ戦争は何年も続く可能性がある。アメリカのドナルド・トランプ前大統領が大統領選に勝ってウクライナ支援から撤退すれば、欧州は今より遥かに多額の資金を投じなければならない。こうした展望が戦争疲れを生んでいる」と話した。

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【ウクライナ侵攻から2年】(14) 穀物輸出支援、周辺国に打撃

ロシアの侵攻を受けるウクライナの最大の支援国の一つが隣国ポーランドだ。だが、その国の農家がウクライナ産の穀物を巡り、トラクターで道路を封鎖する等、怒りの声を上げている。一体何が起こり、どこで歯車が狂ったのか。ポーランド東部の農村に入り、農家の声に耳を傾けた。 (取材・文/欧州総局長 宮川裕章)



20250228 04
「ロシアによるウクライナ侵攻前と比べて、収入は3分の1に減った。生活は悪化し、新しい農業機械を購入するお金もない。将来がとても不安だ」。ポーランド東部ボラセルニツカ村で、農家のアドリアン・コバルチクさん(32、左画像、撮影/宮川裕章)は、そう話す。ウクライナ産の安価な穀物がポーランドの市場に流入し、価格を引き下げているのが主な原因だ。

2022年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻は、欧州の農業に大きな影響を与えた。一つは肥料価格の上昇だ。侵攻前、窒素肥料やカリウム肥料、リン酸肥料の輸出シェアで世界1~3位を占めたロシアが、肥料の輸出を制限したことで価格が急騰した。また、それまでパイプラインによるロシア産天然ガスに依存してきた欧州各国が、他国産の液化天然ガス(※LNG)等の輸入に切り替えたことで価格が急騰し、製造時に天然ガスを大量に使用する肥料の価格を押し上げた。

インフレも農家の生活を苦しくする。EU加盟27ヵ国の2022、2023年のインフレ率は其々前年比9.3%、6.5%。特にポーランドでは其々14.4%、12%を記録した。インフレに伴い生産コストや生活費が上昇。一方で、収入源である穀物の価格が低迷した。

ロシアはウクライナ侵攻直後、ウクライナ産穀物の主要輸出ルートである黒海を封鎖した。これに対し、EUは2022年5月、ウクライナを支援する為、陸上の代替ルートとして、ポーランド、ルーマニア、ハンガリー等を通過する“連帯レーン”を設け、輸送力強化を図ると共に、同6月にはウクライナ産農産物の関税を免除した。

ところが、これが予想外の結果を招いた。ウクライナ産の穀物は、輸送経路となっているポーランド北部グダニスク港や鉄道等の陸上輸出ルート沿いの貯蔵施設で滞留した。貯蔵施設ではポーランド産の取り扱いが優先される等した為だ。

また、金利上昇による経済の低迷等が原因で、北アフリカ諸国の食料需要も停滞した。アフリカ等に向けたウクライナ産は、陸路の輸出では輸送コストが嵩む上、滞留すると貯蔵コストもかかる。こうした中、ウクライナ産穀物は、輸送コストの安い近隣のポーランドやハンガリー等東欧5ヵ国を中心とする市場に流れ出た。これが、農家にとって収入源である穀物価格を押し下げている。

コバルチクさんは、「関税がかかっているとは思えない安値の穀物がポーランドの市場で出回るようになった。穀物価格は戦争が始まる前の3分の1程度にまで下落した」と証言する。コバルチクさんは今、ウクライナ産農産物流入への規制強化と環境規制の緩和をEU等に求める地元農家のデモ活動(※右下画像、『ロイター通信』提供)に参加している。こうした農家のデモはポーランド各地に拡大し、一部の農家はウクライナとの国境を封鎖する等、抗議を強めている。

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【ウクライナ侵攻から2年】(13) 「“戦争疲れ”は大きな間違いだ」――オレクシー・ダニロフ氏(ウクライナ安保会議書記)インタビュー

ロシアの侵略と戦うウクライナのオレクシー・ダニロフ国家安全保障国防会議書記は、先月26日の本紙のインタビューで「ロシアの目的はウクライナという国家の破壊だ」と強調した。ロシアの好戦志向故に停戦は非現実的と指摘し、「ウクライナ国民は勝利に向けて団結している」と語った。 (聞き手・撮影/北米総局 鈴木一生)

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――ウクライナ国民の戦争疲れは?
「戦争疲れがあるとみるのは大きな間違いだ。仮に戦況が悪化すれば、ロシアが侵攻を始めた2年前と同じように戦意が高まる筈。全ての国民は変わらず団結している。ロシアが占領地域を手放して停戦条約を結ぶことはあり得ない。彼らはウクライナという国家を破壊するとの目標を明確に定めている。ロシアは常に敵を必要としており、戦争を止めることはない」
――欧米の軍事支援が滞り、ウクライナ軍の砲弾や軍装備品の不足が深刻化している。
「ウクライナに継戦能力を与えたくないという何者かの狙いがあったとしても、我が国はこの戦争に勝利する。ただ、西側諸国はロシアを恐れ過ぎている。砲弾等の供与は(国際社会が各主権国家の)独立(※保持)に対して払う対価と捉えられるべきだ」
――アメリカでは、連邦議会の混乱でウクライナへの軍事支援が止まっている。
「アメリカからの支援は継続されると信じている。ただ、次の支援を受けられるのが1ヵ月後なのか2ヵ月後なのか、その時期を正確に把握することが重要だ。アメリカは、ロシアの侵攻開始当初はウクライナには持ち堪える能力がないと考えていた。だが、我々は自らの能力を証明してみせた。とはいえ、アメリカの判断はアメリカ国民の問題であり、干渉することはできない」
――ウクライナ産の農作物輸出を巡って、ポーランド等近隣の欧州諸国との摩擦が起きている。
「我々にとって目新しい問題ではない。ロシアはウクライナと近隣諸国の不和を画策し、様々な形で影響力を行使する。各国で極右政党を支持する等して、EUや北大西洋条約機構(※NATO)の内部対立を企図した工作も進めている。NATO諸国が加盟国を防衛する意思をどれだけ持っているかを試しているのだ」
――この戦争の行方が国際秩序に与える影響は?
「全ては我々から始まる。ウクライナの勝利の後、同盟関係等世界の新たな枠組みが生まれるだろう。ロシアは第二次世界大戦後も多数の“植民地”をそのまま支配下に置いた唯一の国だ。領土の多くの地域でその土地の人々(※民族)の文化、言語、伝統を奪ってきたが、それはもう不可能になってきている。ロシアの崩壊は始まっている」
――日本の役割については?
「日本はG7のメンバーでもあり、ウクライナの勝利の為に大きな貢献をしてくれている。我々は感謝している。日本は第二次世界大戦等で困難な道を歩んだ。若し日本が戦争から学んだ教訓を全世界が共有していたならば、我々は今とは違う世界にいただろう」


キャプチャ  2024年3月6日付掲載

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George Clooney

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