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【水曜スペシャル】(819) 日本に上陸したイギリスの超名門校が苦戦…生徒が集まらず海外で説明会

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鳴り物入りで日本に上陸したイギリスの超名門校が「生徒集めに苦労している」(教育業界関係者)という噂が囁かれている。イギリスの全寮制学校『ハロウスクール』が岩手県に『ハロウインターナショナルスクール安比ジャパン』(※左画像)を開校したのは2022年。スキーリゾートとして知られる安比という立地と、年間1000万円近い学費が話題を呼んだ。

『ラオックスホールディングス』の羅怡文会長CEOが設立に関わったこともあり、開校当初は中国の富裕層が関心を示した。ただ、日中関係が悪化する中、「中国本土からの子供集めが上手くいかなくなったのではないか」(同)とみられている。日本人も、都心から遠いことや高額な学費がネックとなり、中々集まらない。

そのことを裏づけるように、同校は海外での生徒募集を展開している。今年10月にはタイのバンコクや香港でハロウ安比の説明会が開かれた。しかし、バンコクと香港には同じハロウインターナショナルが存在する。あるバンコク駐在員は、「子供をハロウに行かせたければバンコク校でいい」と訝る。かなり苦しい状態であることが窺える。


キャプチャ  2024年11月号掲載

テーマ : 教育問題
ジャンル : ニュース

【木曜ニュースX】(560) 安月給から「子供の為に」と年40万円出費も! 自腹を切り続ける教師達、その残酷な現場ルポ

教員不足が叫ばれる昨今だが、教育現場では“教師の自腹”という問題も深刻化している。多忙な日々の中で自らの財布を開き、授業や部活で足りないものを補う教師達を直撃すると、一般企業では考えられない、教育界が抱える独特の金銭問題が浮かび上がってきた――。 (取材・文/フリーライター 小西麗・吉岡俊/編集プロダクション『清談社』 村田孔明)



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■【年間自腹額20万円】「部活はタダ働き同然」、常態化する自腹や重労働  公立中学校教師・橋本貴史さん(※仮名・30歳)
https://nikkan-spa.jp/2044731

■【年間自腹額40万円】私立校は生徒サービス命、「自腹は我慢するのが得」  私立高校教師・谷口英治さん(※仮名・41歳)
学校運営予算である公費が厳しく管理されている公立校ならまだしも、私立校でも自腹を切らざるを得ない状況がある。「機材だけ導入して、あとは教員に丸投げです」と窮状を訴えるのは、東京都内の私立高校に勤める谷口英治さんだ。

「数年前、授業力の向上の為に各クラスにプロジェクターが導入されたのですが、それを活用する為の周辺機器は全て自腹でした。視聴覚教材のDVDやDVDプレイヤー、ノートパソコン、プロジェクターに接続する為のHDMIコード等。合計で約25万円。他にも、予備校で受験対策等を学ぶ為に開催される教員向けの研修会の出費も大きいですね」。

公立と違って私立では領収書精算が可能な学校もあるが、申請しない先生も多いという。「私立校は転勤もなく、専任(=正社員)になれば基本的には終身雇用です。なので、定年まで居続けることを考えれば、数十万円の自腹なら我慢したほうが長い目で見れば得。そう思う教員は多いんですよ」。

また最近では、私立校ならでの自腹が増えているという。「公立校以上に生徒へのサービスが重要ですし、冷たい対応をしていては保護者からの“悪評”が出回ってしまう。1万円の編集ソフトを自腹で購入して、時間と労力をかけて行事毎に記念DVDを作って配布する先生が増えています」。そんな“やり甲斐搾取”とも言える自腹に終わりはない。

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■【年間自腹額10万円】工夫するほど自腹増で「働くほうが給与は減る」  公立小学校教師・村上麻美さん(※仮名・29歳)
教員になって7年目の村上麻美さん。「これは生徒の為になっているのか?」と懐疑的なのは授業外での自腹だ。「6年生を担任した若い女性の先生は、卒業式に袴を着る風潮があるんです。私は貸衣装代に着付け、ヘアセット代で総額3万円ほどかかりました。年末になればクラス全員に年賀状を送るのが恒例。正直、このあたりは保護者やベテラン先生の顔色を窺ってやっている部分が大きいです」。

週末にマラソン大会に出場する生徒がいれば応援に駆けつける。勿論、交通費は自腹。急な自腹を求められるのは、授業においても同様だ。「工作の授業で児童が家庭から材料を持ち寄る場合、量や質の差が出たり、材料を忘れる子がいたりするので、手芸モールやハギレ、ビーズを私も慌てて買いに走ります。家庭で用意してもらう材料等は、基本的に学校で予算は組まれていないんです」。

自腹に頼らず、学校の予算を活用できないのだろうか? 「公立では基本的に立て替え精算ができない上、申請は前年度中にする必要があります。新年度が始まってから授業計画を組むことを考えると、現実的ではありません。昨年は体育で棒高跳びを怖がる子がいたので、あたっても痛くないゴム紐や、その固定具等を自腹購入して工夫しました」。良い先生を目指すほど自腹負担が増えていくことに、今も彼女は葛藤している。

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テーマ : 教育問題
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【気候変動のリアル】(54) 暑い教室、進まぬ断熱化

2年連続で統計開始以降“最も暑い夏”となった日本。10月に入っても各地で真夏日となる等、冷房を使う必要がある期間が長くなっている。近年の猛暑を受け、これまでは冷涼だった地域の学校でも冷房設置が進む。だが、必ずしも暑さを避けられる環境にはなっていないようだ。 (取材・文/東京本社くらし科学環境部 大野友嘉子・山口智)



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「冷たい」「気持ちいい」。東京都練馬区立光が丘春の風小学校(※右画像、撮影/大野友嘉子)で6月、子供達がミストシャワーを浴びながら燥いでいた。内木勉校長は、「児童が校舎と校庭を行き来する通路に設置しています。屋外で遊んだり運動したりした後、少しでも暑さを和らげる為です」と説明する。

練馬区は、学校の暑さ対策強化に乗り出した自治体の一つだ。昨年の記録的猛暑を受けて、今年度当初予算に2億円余りを計上。区内の小中学校にミストシャワーを設置したり、遮光の為の簡易テントを配布したりした。

熱中症のリスクがあるのは屋外に限らない。内木校長が懸念を強めているのは教室内の暑さだ。文部科学省は今年4月、全国の教育委員会等に宛てた熱中症防止に関する通知の中で、「屋内での授業中や運動部活動以外の部活動でも起こっている」と指摘している。

光が丘春の風小学校では全ての教室にエアコンがあるが、「ここ数年の夏はエアコンをつけていてもムワッとした暑さを感じることがある」(内木校長)。設定温度は25℃前後にしていることが多いが、設置から20年が経過しているエアコンもあり、利きが悪いという。

屋上に近い最上階の教室や、暑い日には室温が28~29℃になることも。室温が下がり難い時は教室や廊下のカーテンを閉めて、日射が校内に入らないよう工夫する等したという。

気象庁によると、日本の夏(※6~8月)の平均気温は、この100年で1.31℃のペースで上昇している。昨年と今年は統計開始以降最も暑い夏となり、東京大学や気象庁気象研究所等の研究チームは「地球温暖化の影響がなければ高温は起こり得なかった」と分析している。

環境NGO『グリーンピースジャパン』は今年7月1~19日、都内と神奈川、三重両県の小学校、埼玉県内の高校で、児童・生徒の活動時間中に校舎最上階の教室の温度を測定した。文科省の学校環境衛生基準では、教室の室温基準は「18℃以上、28℃以下が望ましい」としている。

グリーンピースの調査では、教室の温度が28℃を上回ったのは、都内の小学校で測定82時間中46時間(※56.1%)、埼玉県内の高校で104時間中76時間(※73.1%)に上った。児童が校内にいる時間帯に教室内が30℃を下回らない日もあった。何れもエアコンのある教室だ。

練馬区立小学校長会は7月から、各校を熱中症の症状で保健室で手当てを受けた児童数や、エアコンを稼働させても室温が30℃以下にならない教室があるか等、各校の状況を調べている。内木校長は、「今年も今までになかったような暑さだった。学校現場も戸惑っている」と話した。

教室が暑いのは、近年の記録的猛暑やエアコンの古さだけのせいではないようだ。東京大学大学院の前真之准教授(※建築環境工学)は、「多くが半世紀前の教室にエアコンを付けただけのような状態。断熱しなければ教室は涼しくならない」と、断熱性能が低いことの問題を指摘する。

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テーマ : 教育問題
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【火曜特集】(811) 首都圏の私大の教員採用は狭き門…地方の大学を見限った研究者が殺到

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首都圏の私大の新規教員募集が益々狭き門になっている。 「大学教員になれます」と誘う高額の“実務家教員”養成講座も乱立したが、会社員やメディア記者から採用される確率は「1%未満」(私大関係者)。論文も書いておらず、教員としての経験も皆無なのだから無理もない。

しかも、最近は十分な実績や経歴を応募書類に書ける人達が、実務家を押しのけて首都圏の私大に殺到している。地方では私大だけでなく、国公立大でも定員割れが起き、受験生を引きつけられないこともあって、「教員が将来への不安に襲われている」(同)。結果的に、市場価値のある優秀な若手教員は、経営が安定していて待遇も良い大学を目指す。

また、『防衛研究所』や『アジア経済研究所』等公的機関からの応募も多い。ただ、採用された後は、ゼミや課外活動、留学関連等教育業務に追われて研究に時間を取れず、精神を病む転職教員が少なくない。想像するような優雅な生活は待っていない。打たれ強い実務家出身教員と、エリート研究者の違いが出る部分だ。


キャプチャ  2024年10月号掲載

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【衆院選2024・課題の現場】(06) 育児・教育、家計に負担

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京都府の40代男性は、高校3年の長男が志望する私大のパンフレットを見ながら、学費の工面に思いを巡らせた。「4年間で440万円か…」。長男がその大学を選んだのは、打ち込んできた部活動の強豪だから。親として応援する気持ちは強いが、こつこつ積み立ててきた学資保険は200万円。残りの支払いの目処は立っていない。

男性は製造業の正社員で、団体職員の妻、長男、中学2年の長女と4人暮らし。共働きで、毎月の手取りは計40万円台あるものの、支出も多い。子供達は食べ盛りで、物価上昇も重なり、食費は優に10万円を超える。塾代や部活の遠征費等教育費が10万円、住宅ローン8万円。光熱費、通信費、保険料等も差し引くと、手元に殆ど残らない。

低所得世帯だと、子が2人でも年収380万円未満等一定の条件を満たせば、授業料が減免される制度はある。更に、岸田文雄前政権が掲げた“異次元の少子化対策”で、来年度から、扶養する子が3人以上いる多子世帯を対象に、大学の授業料が無償化される。

だが、男性はどちらも当てはまらず、恩恵を受けられない。一方で、長女の教育費はこれから増えていく。思案の末、長男に有利子の奨学金を借りてもらうことにした。「子供が2人でも相当なお金がかかる。全ての子が支援を受けられるようにしてほしい」。大学進学率は年々上昇し、今や6割。短大や専門学校を含めた高等教育の進学率は8割に達する。

大学4年間にかかる学費の平均は、国立で約240万円、私立で約400万円。日本では、その費用を家庭に負わせる傾向が強い。『経済協力開発機構(OECD)』が2022年に公表した報告書では、加盟国30ヵ国以上への調査で、高等教育に関する私費負担の割合は、日本が67%。平均31%の2倍超だった。

自身の将来に関わる為、子供達も不安視する。『日本財団』が昨年、10~18歳1万人に実施した調査で、国や社会が優先的に取り組むべき施策を尋ねたところ、「高校・大学までの教育を無料で受けられる」が40.3%で最多となった。国は今年度、大学授業料等の減免に、約5440億円の予算を計上。多子世帯の無償化が始まる来年度は、8000億円前後を見込んでおり、更なる対象拡大には財源が問題となる。

日本大学の末冨芳教授(※教育行政学)は、「現状は、親の負担が大きい割にメリットが少ない“子育て罰”とも言える」と指摘。EU加盟国を中心に大学の費用が無償の国は多いといい、「子供への手厚い支援は、後の経済成長に繋がる“公共投資”だ」と強調する。子育ての経済的負担は、少子化を加速させる。子育て世帯が第二子以降も産もうと思える環境づくりが急務だ。

文部科学省の調査によると、子供1人を大学まで通わせるのに必要な教育費は800万~2200万円。『国立社会保障・人口問題研究所』が2021年に実施した夫婦への調査で、理想の数の子供を持たない理由のトップは、「子育てや教育にお金がかかり過ぎるから」(※52.6%)だった。

保育園児の長女(1)を育てる青森市の男性会社員(30)は、「子供は本当に可愛い。2人目も欲しいけど、1人育てるだけでも経済的な負担は大きい」と打ち明ける。保育料だけでなく、おむつ等育児にかかる消耗品の出費の多さに驚いた。夫婦共働きとはいえ、少しでも安いものを探してドラッグストアや子供用品店をハシゴして纏め買いするようにしている。

国は5年前、3~5歳児の幼児教育・保育を無償化したが、0~2歳児で無償となり得るのは第三子以降と低所得世帯だ。自治体の中には、独自の予算で0~2歳児の保育料を無償化しているところもあるが、男性は「国が一律で無償化することはできないのか。早く“異次元の少子化対策”を有言実行してほしい」と願っている。 (取材・文/大阪本社 佐々木伶/東京本社社会部 塚本康平)


キャプチャ  2024年10月24日付掲載

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【衆院選2024・日本の選択】(05) 「公立、先生いなさ過ぎ」

https://mainichi.jp/articles/20241021/k00/00m/010/236000c


キャプチャ  2024年10月23日付掲載

テーマ : 教育問題
ジャンル : 政治・経済

【火曜特集】(796) 教職員残業代アップにハードル出現…財務省主計局次長に“文教予算カッター”

20240924 01
教職員の残業代引き上げ問題で新たなハードルが出現し、文部科学省界隈がざわついている。この7月の人事で、財務省の文科省担当の主計局次長に中島朗洋氏(※右画像の左から3人目)が就任した。中島氏は「文教予算カッター」(財務省担当記者)として知られ、これまでも文科省を目の敵にしてきた。主計官時代には文教予算を減らすべく、「上司にも突っかかる」(同)ほどとの逸話も。

文科省は、教師の残業代にあたる定額の教職調整額について、中央教育審議会の提言に基づいて、現在の“基本給の4%”から“13%”に引き上げる方針を固めた。これにより、国の負担は1000億円強増加する。教職員数を確保する為の最低限の待遇改善という性格が強いが、中島次長はこれにも反対の姿勢。「残業しなくて済むよう、学校長がマネジメントすべき」といった机上の空論で、予算カットを目論む。文科省が目指す他の手当て拡充予算についても、中島氏が最大の抵抗勢力になりそうだ。


キャプチャ  2024年9月号掲載

テーマ : 教育問題
ジャンル : ニュース

【WEEKEND PLUS】(537) 桃太郎電鉄が社会知る教材に…子供達の為に無償配布した製作会社の狙い



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「今日は桃鉄をやります」。担任の小池翔太教諭(35)が告げると、子供達の歓声が弾けた。「やったー!」「俺が絶対に勝つ!」。あまりの熱量に、教室の温度が少し上がった気がした。6月中旬、東京学芸大学付属小金井小学校(※東京都小金井市)。2年2組の教室で、子供達が4人1組に分かれてタブレット端末にかじりついていた(※右画像、撮影/渡部直樹)。夢中になっているのは国民的な名作ゲームだ。

『桃太郎電鉄』。1988年に家庭用テレビゲーム機『ファミリーコンピュータ』向けに第1作が発表されて以来、“桃鉄”の愛称で世代を超えて親しまれてきた。鉄道会社の社長となり、双六方式で全国の鉄路を巡る。ライバルと競って各地の駅で“物件”を買い集め、最終的な資産額でプレイヤーの順位を競う。

登場する地名は実在のもので、物件も実際にある産業や名産品、観光地を反映している。室蘭なら“製鉄所”、鳥取であれば“二十世紀梨園”、鹿児島に行くと“黒豚しゃぶしゃぶ屋”といった具合だ。小金井小学校で見た光景は、休み時間を使った遊びではない。れっきとした学校の授業の一環だ。

シリーズを製作する『コナミデジタルエンタテインメント』は昨年1月、学校等教育機関に向けて桃鉄の教育版を提供し始めた。反響は凄まじかった。僅か1年半で1万校以上が手を挙げた。小学校だけ見れば、全国の2割以上で桃鉄を授業に取り入れた計算になる。人気ゲームが教材に?――俄かには信じられなかった。小金井小学校を訪ねたのは、そんなもやもやを払拭する為だった。

教育版といっても、内容は市販の桃鉄と大差ない。プレイヤーの邪魔をする“貧乏神”をなくす等、授業に配慮した微修正を加えた程度だ。学校で初めて桃鉄を知ったという児童も少なくないが、共通していることがある。皆、時間を忘れて没頭しているという点だ。「これが桃鉄の力なんです」と小池教諭。こんなエピソードを教えてくれた。

“近”という漢字を使った言葉を作る授業での出来事だ。未だ習っていない筈なのに、“近江牛”や“近畿地方”等の回答が次々と返ってきた。「桃鉄で遊びながら、自然と覚えていったとしか思えない」。小池教諭は桃鉄効果に目を見張った。「テストでは測ることができない子供達の探究心を伸ばしてくれる。そんな魅力がある」。

教育版が生まれるきっかけは、ある人からの“だめもと”の依頼だった。2019年秋、桃鉄の生みの親であるゲームデザイナー、さくまあきらさん(72)の目が1通のメールに留まった。書いてあったのは、こんなメッセージだ。「桃鉄を教育現場に活かしてみませんか?」。差出人は現役の小学校教諭、正頭英和さん。ブロックを組み合わせて様々なモノを作り出すアメリカのゲーム『マインクラフト』等を使った授業で注目され、“教育界の革命児”と言われる。

「桃鉄で地理を、産業を、漢字を学んだという思いは僕らの世代の共通認識なんです」と正頭さん。だからこそ、確信があった。「桃鉄を教育現場に取り入れることができれば、日本の教育界は大きく変わる」。正直、反応があるとは思わなかった。しかし、年が明け、コナミから「詳しい話を聞かせてほしい」と連絡が入った。聞けば、さくまさんからメールの存在を知らされたという。「きたー」。思わず、叫んだ。

コナミの製作陣に正頭さんも加わり、教育版の開発が始まった。最初に決めたことがある。教育版を希望する学校に無償で配布するということだ。たとえ1円であっても、有償であれば導入のハードルがぐっと上がることを、正頭さんは肌感覚で知っていた。ただ、これではコナミにとってメリットは薄くなる。しかし、指揮を執るさくまさんは二つ返事で無償配布にOKを出した。

何故か。さくまさんがゆっくりした口調で理由を説明してくれた。「桃鉄を使って、子供達の為になることをしたい。こんな思いがずっとあった」。背景には、黎明期のテレビゲーム業界が直面してきた苦難の歴史がある。内容に拘わらず、ゲームというだけで大人から目の敵にされた。

「ゲームをすると頭が悪くなる」「教育の敵だ」。いわれのない激しいバッシングにさらされても、ぐっと耐えるしかなかった。そんな時、心の支えになったのが桃鉄をプレイした子供達から届く手紙だ。「桃鉄のお陰でテストで良い点が取れました」「嫌いだった地理が好きになりました」。汚い字も少なくない。でも、一生懸命に書いたであろう率直な声が何よりの励みになった。

あの日、桃鉄で遊んだ子供達がやがて大人になるに従い、ゲームに対する偏見は薄れていった。そして現在。桃鉄を教育現場に普及させようと奮闘しているのも、教職員や保護者等桃鉄で育った“嘗ての子供達”だ。様々な人の思いが鉄路のように連なっていく。桃鉄を巡る不思議な物語を辿った。

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テーマ : 教育
ジャンル : 学校・教育

【木曜ニュースX】(519) 筑波大学が悠仁親王の受け入れへ準備…入学を切望する大学側の理由

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高校3年生になった秋篠宮家の悠仁親王の進学先を巡って様々な情報が錯綜する中、候補先の一つと目されている筑波大学の周辺が慌ただしくなっている。「大学が受け入れに向けて、密かに着々と準備を進めています」と言うのは、文部科学省の幹部職員だ。

筑波大学といえば、実質的な選挙を行なわず永田恭介氏の学長再任が決まり、教職員らから批判が出ている。だが、「政府と近い学長がいることで、将来の天皇を受け入れるのに好条件だと受け止められている」(同)という。筑波大は増え過ぎた中国人留学生を減らす方針だが、これも「悠仁親王の入学を視野に入れてのこと」(筑波大学関係者)との指摘もある。

そうした動きの裏で、公安調査庁等の機関も筑波大学周辺に人員を送り込んで、情報収集に乗り出している。前出の筑波大学関係者によると、「悠仁親王が入学すれば、それだけで政府の予算もついてくる」と皮算用しているようだ。


キャプチャ  2024年7月号掲載

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【WEEKEND PLUS】(493) 北海道大学“教員追い出し部屋”の実態…「まるで幽霊だ」、密室で処遇を変更した教授会



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学生の指導ができなくなって、4年目の春が来た。北海道大学理学研究院の化学部門に所属する50代の男性准教授は、2021年4月からたった1人で研究を続けている。同じ研究テーマに取り組む同僚や学生は周りにいない。〈2010年ノーベル化学賞ご受賞おめでとうございます〉。札幌市北区のキャンパスに建つ研究棟に、ノーベル賞を受賞した化学部門のOB、鈴木章名誉教授を称えるポスターが張られている。その前を通り過ぎ、薄暗い階段を上り、男性は研究室に辿り着く。

与えられた事務スペースは4㎡。机と椅子、書棚、ホワイトボードを置くと、大人2人がすれ違うのもやっとだ(※左画像、撮影/鳥井真平)。ふと、2020年12月の出来事を思い出す。「研究室から出て行って、部屋を空けて下さい。部門の決定なので従って」。当時の部門長から言い渡された言葉だという。この春、理学部の学生に配る化学部門のパンフレットが完成した。14の研究室を紹介した全8ページのどこを探しても、自分の名前はなかった。「まさか追い出し部屋に入れられるなんて。まるで幽霊だ」。男性は自嘲気味に呟いた。

北大化学部門では、教授と准教授、助教が一体で研究室を運営する講座制を採用している。教授が退職や転出をした場合、研究室は閉鎖されたり、後任の教授に引き継がれたりする。男性は任期のない准教授として、2014年に北大に着任した。2019年3月、研究室の教授が定年退職し、後任教授が研究室を引き継いだ。当時の部門長らには「協力して一緒にやって」と言われ、研究室に残った。その春から新教授の下で研究を始め、大学院生4人の指導にも当たった。2020年度は学部生も指導した。

ところが2020年9月、事態が変わる。部門のある教授から「研究室に新しい准教授と助教を迎えることになった」と告げられ、こう言われたという。「場所がないので、研究室にはいられないですよね」。転出に向けた話し合いが始まると思いきや、同年12月に“部門の決定”を言い渡された。「今後、学生はつかない(=指導させない)」とも。指導していた学生は「テーマは何でもいい。先生と研究をしたい」と慕ってくれたが、断念せざるを得なかった。

2021年春、4㎡の事務スペースで研究を始めた。別に与えられた実験スペースには当初、水道も排気装置もなかった。学外にポストを得るには、優れた研究業績を示し、採用してもらう必要がある。だが、実験を一緒に進めてくれる学生もおらず、業績は遅々として積み上がらない。「研究をしないで、とっとと出て行ってくれということか」。男性は過去、海外の著名学術誌に論文を複数発表している。北大に安定したポストを見つけ、研究が軌道に乗り始めるかという矢先だった。

アカデミックハラスメント問題に詳しい広島大学の北仲千里准教授は、「組織で特定の人を冷遇しようとしており、不当な扱いだ」と指摘する。2006年の大学設置基準改正で講座制は制度上なくなったが、一部の学部に慣例として残る大学がある。北仲氏によると、講座制は教授に人事や予算の権限が集中し易く、ハラスメントが起き易い。北大化学部門で似た立場に置かれているのは、実はこの男性だけではない。本紙の調べでは、先月時点で同じ扱いを受ける教員が他にも3人いるとみられる。

彼らは現役教員でありながら、部門内でこう呼ばれている。“旧スタッフ”――。

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George Clooney

Author:George Clooney

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