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【木曜ニュースX】(426) 結成25周年の裏で蠢くジャニーズと日テレ…『嵐』櫻井翔“報道番組卒業”報道の奇怪

20231130 09
喋る内容の殆どが台本を読むだけ――。視聴率稼ぎの客寄せパンダだった『嵐』の櫻井翔が、来春に報道番組『news zero』(※日本テレビ系)を降板すると『東京スポーツ』が報じた。アンバサダーとして同局が放送したラグビーW杯は何とか続けられたものの、若し東スポの報道が事実だとするなら、所属事務所の創業者・ジャニー喜多川氏による性加害問題が抑もの原因であることは言うまでもない。イギリスの公共放送『BBC』の報道を契機として、5月に藤島ジュリー景子前社長が謝罪動画を発表した頃から、『ジャニーズ事務所』の性加害問題は大騒動に発展した。それでも櫻井は番組内で歯切れの悪いコメントを繰り返し、キャスターとしての資質を疑問視する声が日に日に増していた。17年のキャスター経験とは一体何だったのか。「櫻井の場合、父親の桜井俊氏が総務省出身、電通の副社長まで務めた大物なので、彼が被害者である可能性は極めて低いんです。だから、ジャニーズの一員でも報道姿勢を貫けると期待があったんですけどね」とは番組関係者。10月23日、日テレは番組卒業報道について「そのような事実はない」と否定し、キャスター継続を発表した。それでも、前出の関係者はこう話す。「実は、活動停止中の嵐が年末に25周年記念で再集結するプランがあったんです。このイベントこそ、ジャニー氏の性加害問題の火消しになるとの思惑もありました。日テレはその際、5人全員揃っての独占インタビューを番組内で計画。30%超えの視聴率を期待するスタッフもいた程です」。しかし、旧ジャニーズ事務所の記者会見やメディア対応が旧態依然過ぎて大炎上中。とてもじゃないが、結成25周年プランなど出来る状況ではない。更に、視聴者から「こういう時に何も話さないならキャスターをやるべきではない」「ラグビーも辞退すべきだった」等の声が出続け、CM出演等本業に影響が出かねない状態になってしまった。キャスター続投でも、今や櫻井への期待感は“zero”のようだ。


キャプチャ  2023年12月号掲載

テーマ : 芸能ニュース
ジャンル : ニュース

【木曜ニュースX】(425) 羽生結弦の妻をリークしたのは誰だ!? 犯人探しで浮上した“3人の容疑者”

20231130 08
8月に結婚を発表した五輪連続金メダリストの羽生結弦。当初、その相手はベールに包まれ、『女性セブン』で「仙台の一般人」と伝えられていた程度だったのが、翌月になって『週刊女性』が関係者の証言として「8歳上の美女で、元バイオリニストのA子さん」と報じたことで、ファンがざわめいた。その直後、山口県の地方紙『日刊新周南』が夫人の実名を報じたのである。彼女が山口県出身だったことで、地元関係者に確認したものだった。「スポーツ紙や大手メディアは羽生サイドとの関係を忖度して、結婚相手を敢えて伝えなかったんです。週刊女性に出た時には『誰がリークしたんだ!』と、羽生を後援する広告代理店が犯人探しをしていました」と裏事情を明かすのは、羽生と関係の深い『テレビ朝日』のディレクターだ。そして、こう話す。「結局、夫人の地元紙が実名スクープに踏み切ったので、週刊女性については然程追及が進まないまま有耶無耶になりました。これがなかったら、犯人探しは今も続いていたでしょうね。何しろ、嫁について伏せると決めたのは羽生さん本人サイド。彼は日本どころか、世界に熱狂的な女性ファンを抱えている。特にプロスケーターになった今、悪影響があっては困るんですよ」。このディレクターによると、“容疑者”には3名程が挙がっていたという。「ひとりは羽生を取材していたスポーツ記者、もうひとりはテレビ関係者。しかし、この2人であれば、リーク先に週刊女性は考え難いんです。残るもうひとりは、他でもない“チーム羽生”のメンバーとして本人を支えた元側近の男性です」。この元側近なる人物、昨年に羽生がプロ転向の準備を進める段階で“解雇”された人物だとされる。「長く仕えてきたのに、退職の労いも、その後のポストもなく放り出されたことを愚痴っていたそうです。詳しい事情はよくわかりませんが、彼が夫人の情報を漏らした疑いが強く持たれていました」(同)。結局、犯人は未だ見つかっていないそうだが、抑も広告代理店が犯人探しをしていたというのは、現代の情報化社会にあって、永遠に結婚相手を伏せるつもりでいたということでもある。いくら“氷上の王子様”とはいえ、その扱いは異様と感じざるを得ない。


キャプチャ  2023年12月号掲載

テーマ : スポーツニュース
ジャンル : ニュース

【誰の味方でもありません】(324) 遠野物語の“物語”

https://www.dailyshincho.jp/article/2023/11300555/?all=1


キャプチャ  2023年11月30日号掲載

テーマ : 政治・経済・社会問題なんでも
ジャンル : 政治・経済

【呉座勇一の「問題解決に効く日本史」】(45) 織田信長の『楽市楽座』に学ぶ経済ルールの賢い変え方とは?

経済の世界では、政府による無用な規制が既存の業者を過剰に保護する(=新規参入を妨げる)結果となり、それ故に自由競争が働かないという問題がしばしば指摘される。規制緩和、規制改革の必要性が説かれる所以である。こうした時にしばしば引き合いに出されるのが、織田信長の経済政策『楽市楽座』である。規制を撤廃することで既得権益を否定し、経済を活性化させたという“改革者”信長のイメージは、この楽市楽座に負うところが大きい。しかし、誤解されがちな部分だが、楽市令は信長以前から多くの大名によって発令されていたのであり、信長の専売特許ではない。楽市令は、取引を巡る暴力事件等の禁止(※治安維持の保障)、市場での売買に賦課される営業税の免除、市場への入場料の免除等によって商人の来場を促し、市場の振興を図る法令である。実は信長の独創性は、従来から存在する楽市令に楽座を組み合わせ、楽市楽座というキャッチフレーズを創出したことにある。座とは中世における同業者組合のことで、油座(※照明に用いる燈油等の油を製造販売)、麴座(※酒造の為の麴を製造販売)、魚座、材木座等様々な座が各地に存在した。こうした座は商工業者の自治組織であると同時に、彼らだけで商品の流通を独占するカルテルでもあった。座に参加していない商人は商業活動から排除されたのである。こうした座組織は、商業慣行が未成熟だった時代においては、座商人達の権利を守り、取引を円滑化させる意味を持っていた。けれども時代が下り、商業取引が活発になっていくと、独占組織として新規参入を拒む座は、自由な経済活動を阻害するようになっていく。

ところが戦国大名の多くは、時代遅れになっていた座を解体しようとはしなかった。座から上納金を得ていたからである。これに対し、信長は楽座を謳い、座の特権を否定した。座の構成員でなくても、自由に営業することができるのである。新興商人は勿論、自分の生産物を売りたい農民にとっても、楽市楽座は魅力的な政策であった。但し、信長は座一般を廃止したわけではない。信長は、岐阜の加納市場や安土の城下町等、特定の市場に限って楽座を実施した。自身の本拠地に商工業者を誘致しようとしたのである。特に安土の楽市令では、身分を問わず誰でも移住者を歓迎し、保護することを強調している。これは、安土が既存の集落を大幅に拡張して造られたニュータウンであり、積極的に他国から人を呼び込む必要があったからである。信長は近畿地方を支配下に収めたが、大消費地である京都や奈良等に犇めく座組織の存続は認めている。例えば、座組織の中でも最大規模の座として大山崎(※現在の京都府乙訓郡大山崎町)の油座があったが、引き続き活動を認可されている。こうした信長の姿勢は、世間に流布する革命児のイメージに反するものだが、彼の現実主義を示すとも考えられる。抑も、座が独占権を持っていたのは、将軍・公家・寺社等に献金し、その権威を後ろ盾にしていたからである。信長が京都や奈良の座を廃止すれば、この地域の旧勢力を全て敵に回すことになる。天下統一の途上にある信長にしてみれば、無用な摩擦は避けたかったに違いない。信長の長所は、既得権益を根こそぎ否定する突破力というより、寧ろ性急な大改革を避け、旧勢力と協調しつつも、一歩ずつ改革を進めていく、そのバランス感覚にあったと言えよう。


呉座勇一(ござ・ゆういち) 歴史学者・信州大学特任助教・『国際日本文化研究センター』機関研究員。1980年、東京都生まれ。東京大学文学部卒。著書に『応仁の乱 戦国時代を生んだ大乱』(中公新書)・『頼朝と義時 武家政権の誕生』(講談社現代新書)・『戦国武将、虚像と実像』(角川新書)等。


キャプチャ  2023年11月28日号掲載

テーマ : 歴史
ジャンル : 学問・文化・芸術

【雇用シン時代】(中) 学び直し、企業が主導



20231130 06
働く人々が新たな技能を身につけるリスキリング(※学び直し)。デジタル技術の発展で企業を取り巻く環境が大きく変化していることを背景に、近年、世界的に注目されている。岸田文雄政権もその拡大を打ち出しているが、実情はどうなのか。学校の教室程の広さの部屋で、10人程の技術者らが見守る中、コンピューターの基板や配線が剥き出しになった全長凡そ70㎝の模型の車が、部屋の床に設置された黒いコースの上を走り出す。途中に置かれた壁の前で自動的に停車すると、技術者らから「おー」と歓声が上がった。これは、『日産自動車』の社内研修施設であるソフトウェアトレーニングセンター(※神奈川県厚木市)で実施されているプログラミング研修だ。参加者は自動運転に関する技術を学び、実際にソフトウェアをプログラムして模型の車を走らせる(※右画像、撮影/福富智)。「これまでソフトウェアを使いこなせていなかった人達に、新たなスキルを身につけてもらうのが狙い」。センターの設立に関わった同社の豊増俊一フェローは、そう話す。センターは2017年に開設。研修の期間は4ヵ月で、参加者はその間、通常の業務を離れて、プログラミングの基礎から自動運転への応用までみっちりと学ぶ。主な対象は入社10年目前後の若手・中堅社員だが、関連会社を含め、希望する社員は部門や年齢を問わず誰でも参加できる。最高齢の参加者は55歳で、これまで約480人が受講した。自動車業界は、自動運転や電気自動車(※EV)への転換等で、“100年に一度”と言われる変革期にある。技術開発の主戦場は、これまでのエンジンや変速機から自動運転やEV関連、ハイブリッド車(※HV)関連に移っており、そうした分野の技術者の確保が急務だ。

日産にとって、このセンターは新分野の技術者を確保する為の要の一つで、従来分野の技術者に新たな分野の技能を身につけさせる役割を担う。エンジンのシリンダーブロックの設計に関わってきた中堅の男性技術者は、HV関連の部署に異動したのを機に受講。「ソフトウェアに関する基礎知識が学べたので、新しい部署で生かしたい」と意気込む。リスキリングは、企業が新たに必要とする技能を社員に学ばせることを指すケースが多い。社内に仕事がなくなれば解雇となるジョブ型雇用の欧州等では、行政もリスキリングの受け皿となっており、企業や職業訓練機関等で新たな技能を身につけた人々は、社内で職種転換したり、より条件の良い業界に転職したりしていく。一方、終身雇用が中心の日本では、社内の人材活用の観点から取り組む企業が多い。人材サービス大手の『アデコグループ』(※本社はスイス)の日本法人では、デジタルデータを分析し、業務に生かせる人材を育成する社内プログラムを2021年から始めた。データ分析の基礎から学び、これまで若手から60代まで100人以上が受講した。契約社員の平木真さん(69)もその一人だ。2002年に他社から転職した平木さんは、総務や監査部門等を歩んできた。2019年からはデータの管理業務をしていたものの、データの分析には関わっておらず、「AIを使うノウハウ等を総合的に学んで自分の業務をレベルアップしたい」と考えて応募した。ウェブで140時間以上、講座を受講して社内の資格を取得。現在は、AIを使い企業の求人と求職者を効率的に引き合わせるシステムを作る仕事に変わった。「今回得た技能は、社内の他の事業の新規開発等にも生かせる」と話す。同社の矢部章一最高デジタル責任者(※CDO)は、社内プログラムについて「社員のデジタル関連の技能向上だけでなく、データに基づいて考える社内風土の醸成が狙い」と言い切る。営業戦略等の立案ではどうしても経験や感覚に頼りがちになるが、ITの技能を身につけた人材を社内に増やすことで、そんな風土の転換を図るという。2025年までに、全社員の2割に当たる約370人のデジタル人材を育成するのが目標だ。リスキリングを社員自らがキャリア形成を考える機会と位置付け、様々なプログラムを提供する企業もある。『サントリーホールディングス』は、45歳以上の希望する社員が原則2年間、地方自治体に出向できる制度を2021年から始めた。矢田映人さん(48)は制度に参加し、昨年4月から鹿児島県日置市に出向している。「ずっと営業職をやってきて、他にできることはあるのか不安があった。このままずっと会社にいて営業をやることを考えた時、他にできることはないか探してみたいと思った」。矢田さんは、応募の理由をそう話す。出向1年目は、市農林水産課の幹部として生産が盛んなオリーブの売り込み等を担当。農家や販売店等を足繁く回った。

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テーマ : 経済ニュース
ジャンル : ニュース

【雇用シン時代】(上) 新卒2年目に課長級

長期低迷が続く日本経済。その要因の一つとされているのが、年功序列や終身雇用を中心とする日本型の雇用体系だ。高度成長を支えたとされるが、グローバル競争やデジタル化が進む現代では、そのデメリットが指摘されている。代わって注目されているのが、ジョブ型と呼ばれる人事制度やリスキリング(※学び直し)だ。この新たな仕組みで企業はどう変わるのか。現場を取材した。



20231130 04
昨年11月、大手ソフトウェア企業が東京都内で開いたデザインをテーマにしたイベント。IT大手等のベテランエンジニアらが居並ぶ中、『富士通』のデザインセンターに所属する横田奈々さん(24、左画像)がステージに立った。「様々な社会課題の解決にデザインが使われるようになってきたが、日常生活がそれで良くなったという実感を持ち難い。何故でしょう?」。ステージいっぱいに映し出されたスライドをバックに、身ぶり手ぶりを交えて約25分間に亘り講演。オンラインを含む約700人の聴衆から拍手を浴びた。入社2年目(※当時)の横田さんが同社を代表して講演したのは、昨年9月に課長級の役職であるデザインアドボケートに就任したからだ。ソフトウェア等のデザインを担当する同センターの情報発信を一手に担う役職だ。横田さんは、SNSでの情報発信に伴うリスク管理等の権限を一任されている。部下はいないが、「権限があることで社外等からの問い合わせにも直接対応でき、スピード感を持って仕事を進められるようになった」と話す。何故、横田さんは課長級の役職に就くことができたのか。それは、富士通が、それまで管理職に限っていたジョブ型の人事制度を、昨年4月から一般社員約4万5000人に拡大したからだ。ジョブ型とは、予め職務の内容や必要な技能、責任の範囲等を明確にした職務記述書(※ジョブディスクリプション)を作成し、それに基づいて雇用する仕組みだ。欧米等では一般的な雇用制度だが、日本では高い技能を持つ人材の獲得や職務のミスマッチ防止等を目的に、人事制度として導入が始まっている。

ジョブ型の人事制度では、その職務で求められる能力等を満たしていれば、年齢や職歴は無関係だ。その利点を生かし、富士通では空席の職務等に希望者を募るポスティング制度を拡大。横田さんはデザイナーとして働いていたが、SNS等での情報発信の経験を生かしたいと応募した。選考の結果、学生時代、スタートアップ企業でのインターンシップで情報発信していた経験等が評価され、起用が決まった。「より熱意を傾けられる仕事に、より長く人生を使える。そんな人事制度があるのはありがたい」。横田さんはそう話す。日本では、企業が仕事内容等を限定せずに採用し、社員に仕事を割り振るメンバーシップ型雇用が主流だ。終身雇用や新卒一括採用、年功序列の給与、昇任体系と共に日本型雇用を形作った。それは従業員の忠誠心を高め、日本企業の強みとなった他、雇用の安定を齎し、高度成長を支えたとされる。だが、バブル崩壊後は経済の長期低迷の一因とされるようになった。企業が余剰の人員を抱え込むことで生産性の低下を招いた他、IT等新たな成長産業への人材移動を阻んでいるとされ、「現状のままでは意欲があり優秀な若年層や高度人材、海外人材に企業の魅力を十分示すことができず、人材獲得が難しくなるばかりか、海外への人材流出リスクが非常に高まる」(※『日本経団連』2020年版経営労働政策特別委員会報告より)と指摘されている。そんな状況の打開策の一つとして注目されているのが、ジョブ型だ。社員は自分の強みが生かせる職場を選んでキャリアアップを図れる他、企業にとっては社内外から専門人材を集め易くなるとされる。実は富士通は、人事制度の見直しで苦い経験がある。他の大企業に先駆けて1993年に成果主義を導入し、評価や給与を成果と連動させた。だが、実際には年功序列を残したままだった為、評価を巡り社員から不満が噴出して士気が低下。大幅な見直しに追い込まれ、“成果主義導入の失敗例”と言われた。同社はその後も試行錯誤を続け、辿り着いたのが今回のジョブ型だ。一般社員でも職務と給与を完全に連動させ、給与を増やすには職責が重い職務への昇格が必須とした。その一方で、不満等を掬い取る為、管理職には最低でも月1回30分の部下との面談を義務付けた他、社員のキャリア形成に必要なリスキリング支援や相談等サポート体制を充実させた。同社CHRO(※最高人事責任者)室の森川学室長(※右下画像)は、「社員一人ひとりの意識改革、組織変革を実現できないと制度が形骸化してしまう。導入したら終わりでなく、今も社員との対話を継続している」と話す。富士通だけでなく、グローバル競争に晒されている電機大手を中心に、優秀な外国人材等を確保する為、人事制度をジョブ型にする動きが目立つ。

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テーマ : 経済ニュース
ジャンル : ニュース

【『胚培養士ミズイロ』作者インタビュー】(下) 卵が生きる力を見守る

20231130 03
――不妊治療をテーマに漫画を描くことの難しさはありますか?
「これまで不妊治療は、個人的な夫婦間の問題として処理されてきました。治療中の人も中々言い出せず、言ったとしても周りに理解してもらえないことが多かった。昔から不妊治療自体はありましたが、実態は何十年間もベールに包まれてきました。かといって、“つらい”という点ばかり強調してしまうと、不妊治療をしている方への逆の偏見に繋がりかねない。読者の方に対して、どこまでどのように描けばよいのかというのは悩みどころです。漫画は教科書ではありません。でも、情報として嘘を描くわけにはいかない。抑も、不妊治療の漫画自体、そこまで数は多くなく、ジャンルとして成熟していません。私自身が取材の中で驚いたことや、『そうなんだ』と思ったことをできるだけ忘れないように描くことを心掛けています」
――主人公の水沢歩は中性的な感じがしますね。
「主人公をどういうタイプにするかはとても悩みました。胚培養士は、女性の卵子に触れられる立場の人なので、患者側から見るとある意味、神様です。その為、性別をどっちというわけではなく、中性的なタイプにしました。水沢はオタク気質で直感的で、仕事にのめり込むタイプです。(上司で同じく胚培養士の)一色亨はもっと客観的でドライなイメージです。ただ、2人とも“職人”ではあるので、ぶつかり合いながらも同じ道を進んでいく感じを描ければいいなと思っています。胚培養士は、顕微鏡を見ながら卵子に針で精子を注入する顕微授精を始め、顕微鏡を覗くことが多い仕事です。目に特徴を持たせたいと描いているうちに、2人とも目つきが悪くなってしまいました」
――水沢らの「胚培養士は卵の力を信じて見守る」といったセリフが何度か出てくるのが印象的です。
「(漫画執筆の為の)取材で感じたのは、胚培養士は卵に医療行為を加えるというよりも、卵にストレスを与えないように見守るのが仕事ということです。胚培養士がベストを尽くしたとしても、今の医療では受精や着床といった部分にまで力が及びません。卵が生きていこうとする力を、できるだけ邪魔しないようにしているという印象を強く受けました」
――連載を通じて、世の中に伝えたいことは何ですか?
「不妊治療の漫画なので、成功する事例も描きますが、実際の不妊治療では子供を授からないことのほうが多い。だから、子供がいようがいまいが、幸せの形は其々だということを描ければいいなと思っています。エンターテインメントとして漫画を楽しんでもらい、役に立つことが少しでもあれば嬉しいです」


キャプチャ  2023年5月20日付掲載

テーマ : 赤ちゃんが欲しい
ジャンル : 結婚・家庭生活

【『胚培養士ミズイロ』作者インタビュー】(上) 当事者より周囲の人に向けて

赤ちゃんが欲しいのに授からない――。不妊治療をテーマにした漫画『胚培養士ミズイロ』が反響を呼んでいる。『週刊ビッグコミックスピリッツ』(※小学館)で昨秋始まった連載は、知られざる不妊治療のスペシャリストが主人公。作者のおかざき真里さんにインタビューした。 (聞き手/デジタル報道センター 後藤豪)

20231130 02
――この作品を始めるきっかけや、描く際に心掛けていることは何ですか?
「小学館の編集担当者さんから『胚培養士という職業をご存知ですか?』と提案されたのがきっかけです。私自身、妊娠や出産を経験して初めて、不妊治療をしている方が沢山いることを知りました。私の子供とか近い親戚が当事者になるかもしれない。決して他人事ではないと思い、興味を持ちました。不妊治療をしている方は当然、自分で情報を沢山取りにいっています。別に漫画で情報を入れなくてもいい。だから、当事者というより、周りの人達に読んでもらえればなと思っています。『漫画が大好きってわけじゃないけど、何となく読んでいる』という方もいると思うので、兎に角、読み易く描くことを心掛けています。元々私は、自分の作品のセリフの文字数は少なくするタイプですが、今回は細かく説明を入れ、わかり易いコマ割りにしています」
――男性側が不妊症である夫婦が出てくる第2話は、「不妊の原因のほぼ半数は男性側にもある」という説明から始まります。別の夫婦が出てくる第10話では、夫が無精子症であるとわかった時、妻が「原因があるなら100パー(セント)私だと思っていたのに」と言うセリフが入ります。不妊の原因は女性側に多いと思い込み、自分事として捉えていない男性が多いということでしょうか?
「そうですね。男性不妊は、精子に問題があって妊娠できないケースも多いです。でも多くの男性は、自分の出した精液の中に精子がいないことがあるとか、運動率が悪かったり、形態が異常だったりすることがあるとは思っていない。セックスに関しても、男性側は主に快楽として捉えています。女性は違います。体の特徴が顕著になる第二次性徴の時から負担が多くなります。生理が来て、お腹が痛くなったり体調が悪くなったり、心身共に負担が続きます。女性は、このつらさの先に妊娠があると思って成長していきます。男女のその差は大きいと思います。更に、『女は結婚したら子供を産むべきだ』『女がメインで子供を育てるべきだ』といった日本の悪しき伝統も影響している気がしますね」


キャプチャ  2023年5月19日付掲載

テーマ : 赤ちゃんが欲しい
ジャンル : 結婚・家庭生活

【木曜ニュースX】(424) ジャニーズ性加害問題、芸能記者にもジャニー喜多川の被害者がいた!

20231130 01
マスコミも含めた芸能界全体で長く伏せられてきた『ジャニーズ事務所』の創業者、ジャニー喜多川元社長による性加害問題。ジャニーズは人気タレントを差し出すことでメディアを黙らせてきたが、一方でメディアの側も、ジャニーズに対して積極的に懐柔工作を行なっていたことがわかった。あるスポーツ紙の30代ジャニーズ担当記者は、地方公演の際、喜多川氏と一緒に新幹線に同乗できた程の“お気に入り”だったのだが、その理由はハンサムなルックスと従順な性格にあったという。「彼は滝沢秀明とキャバクラに行く程の仲で、ジャニーさんの機嫌の取り方も教わっていた。ジャニーさんから個室に呼ばれ、性的関係を持った噂すらありました。それでも、記者自身がそれを武器にして出世したので、被害者とは呼べないでしょうね」(芸能ライター)。一方、2008年に廃刊になった夕刊紙『内外タイムス』で1990年代に2年程在籍した当時20代前半の記者・Aもまた、喜多川氏への懐柔に自身を捧げていた。これは、Aが思い悩んで一部の記者らに打ち明けていたことだ。「小柄で童顔、まさにジャニーさんがタレントに採用する基準に沿ったルックスで、『マネージャーにならないか?』と誘われていたんです。実際、彼は会社を辞め、ジャニーズ事務所のスタッフとしてイベントに顔を出していた。しかし、ノイローゼ気味の様子で姿を消してしまった」(他社の芸能担当記者)。この記者は当時、Aから話を何度も聞きながら、何もできなかったことを後悔しているという。被害は我々の想像以上のようだ。


キャプチャ  2023年11月号掲載

テーマ : テレビ・マスコミ・報道の問題
ジャンル : ニュース

【堀江宏樹の「セックスで読み解く日本史」】(11) 女性器の比喩が猥褻過ぎた! 抹殺された昔話『蛤女房』

今回は、日本史の中で女性器に喩えられてきたモノについてお話します。アワビの単語が頭を過る方は多いでしょうが、古来、一枚貝のアワビは“片思い”の象徴でしかなく、『万葉集』にもその用例が見られます。そんなアワビが、見た目そのままの女性器に喩えられるようになった歴史は意外に浅く、江戸時代になってからでした。しかも、当時のアワビといえば熟女・老女の性器のシンボルとしてのみ使われていたようです。茨城県大洗町には、川底で美しい反物を織り続ける姫(の姿をした女神)に会おうとした水戸黄門が、「ここは人間の来るところではない」と怒る姫から出口をアワビで塞がれ、窒息しそうになったところ、お供の剣客がアワビに刀を突き刺し、何とか脱出に成功したと伝承があります。大洗町は江戸時代に遊郭があったことで知られ、黄門様は庶民に姿を窶し、お目当ての若く美しい遊女に会いにいったものの、彼女からは手ひどくふられ、代わりに性欲盛んな老女郎から執着されて困ったところ、お供が身代わりに老女郎の相手をして、黄門様は助かった…というような光景を想像するのは現代人の性でしょうか。

テレビでは絶対放送できない黄門“漫”遊記ですが、日本史において、結婚適齢期になったばかりの若い女性や処女のあそこはハマグリに喩えられました。これは、当時の初婚年齢である10代中盤から後半の女性のあそこを、ぴったり閉じたハマグリの貝殻の割れ目に見立てたからのようです。ハマグリといえば、昭和の半ばくらいまでは大変に有名だったにも拘わらず、今日では殆ど知る人がいなくなった『蛤女房』という話もありますね。嘗ては室町時代の『御伽草子』に、『桃太郎』や『一寸法師』と並んで収録されたほど人気作品でした。筋書きには様々なバリエーションがありますが、要約すると、漁師が助けたハマグリが女性に変身して嫁に来て、美味い汁ものを作ってくれるわけです。「絶対に秘密だ、見るな」と言われながらも、漁師は彼女が料理を作る姿を覗き見するのですが、嫁が鍋に跨って、あそこを広げて放尿していたとか、尻の穴を洗って味噌汁を作っていた(!)とか、中々に酷いオチがついています。激怒した漁師から、ハマグリ嫁は離縁され、泣く泣く海に帰っていくのでした。聞いた子供は大喜びしそうな話ですが、コンプライアンスに煩くなった現代日本において、『蛤女房』の人気復活はなさそうです。


堀江宏樹(ほりえ・ひろき) 作家・歴史エッセイスト。1977年、大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部フランス文学科卒。日本・世界を問わず、歴史の面白さを拾い上げる作風で幅広いファン層を持つ。著書に『乙女の日本史』シリーズ(KADOKAWA)・『眠れなくなるほど怖い世界史』『愛と欲望の世界史』『本当は怖い日本史』(三笠書房)・『偉人の年収』(イーストプレス)等。


キャプチャ  2023年10月号掲載

テーマ : 歴史
ジャンル : 学問・文化・芸術

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