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【テレビの裏側】(255) 令和のバラエティーと“罰ゲーム”の再定義

https://friday.gold/article/164609


キャプチャ  2023年7月14・21日号掲載

テーマ : 芸能ニュース
ジャンル : ニュース

【佐藤祥子の「力士、燃ゆ」】(28) 金峰山(木瀬部屋)――カザフスタン初の関取は孝行息子

4年ぶりに開催された『靖国神社奉納大相撲』。3月大阪場所を終えた力士達による春巡業の行事のひとつで、入場無料ということもあり、今年は多くの外国人観光客も訪れていた。先の春場所で新入幕力士として土俵に上がり、11勝4敗の好成績で敢闘賞を受賞した金峰山は勿論、巡業初参加だ。カザフスタン初の幕内力士である、本名バルタグル・イェルシン青年が満面の笑みで言う。「巡業地では、皆で稽古してお風呂に入り、ご飯を食べ、バスに乗り込んで移動するんですね。初めてのことで慣れていないし、憶えなきゃいけないことばかりでしたが、部屋の兄弟子の宇良関に色々教えてもらい、貴重な経験でした。巡業は楽しかったですよ」。三賞受賞の賞金200万円の使い道を訊いてみると、「半分は故郷の家族に送りました。あとは、体に良くてよく眠れるというマットレス等を買いました」。元横綱・朝青龍の口利きで高校時代から日本に相撲留学をし、日本大学相撲部時代は4年次に全国学生選手権で3位に。卒業後は木瀬部屋に入門し、三段目付け出しとして2021年11月に初土俵を踏んだ。それから僅か8場所でのスピード出世だ。木瀬部屋の部屋付き親方として金峰山を指導し、日大相撲部の先輩にあたる稲川親方(※元普天王)が、こんな素顔を明かしてくれた。「宗教上の理由でお酒を飲めないし、豚肉も食べられないんですね。部屋でのちゃんこは、彼の為に豚肉を鶏肉に代えて特別メニューを作ってあげています。お酒は飲まなくても、酒席の雰囲気は好きみたいですよ(笑)」。192㎝・174㎏の均整の取れた大型力士で、得意は突き押し。「突き相撲が持ち味なので、突きの威力を増して相手に力を伝える為には、下半身を鍛えるのが大事なんですね。『四股を踏め』と毎日のように言ってますが、まぁ、ちゃんとやっているほうかなぁ?」。稲川親方のこの言葉に、金峰山は「5月場所の目標は、先ずは怪我をしないこと。突っ張りを磨いて、良いところを見せたいです」と控えめに口にする。「何れ家族を日本に招待したい」という夢もある、カザフスタンの孝行息子だ。


佐藤祥子(さとう・しょうこ) 相撲ライター。日本相撲協会認定・相撲健康体操指導員。1967年生まれ。週刊誌記者を経て、1993年からフリーに。著書に『相撲部屋ちゃんこ百景』(河出書房新社)・『知られざる大鵬』(集英社)等。


キャプチャ  2023年6月号掲載

テーマ : 大相撲
ジャンル : スポーツ

【令和の天皇】第3部・初の親善訪問へ(下) “若い世代”へ熱い視線

20230630 08
今月15日に行なわれたインドネシア訪問前の記者会見で、天皇陛下が強調された言葉がある。「若い世代の交流」――。訪問をきっかけに、日本とインドネシアの特に若い人達の交流が深まることを強く希望された。若者への熱い視線は訪問日程からも窺える。天皇、皇后両陛下はダルマ・プルサダ大学と職業専門高校を訪れ、日本語を勉強している若い学生らと交流される。インドネシアは、日本語の学習者数が中国に次いで世界で2番目に多い親日国。日本で働く人も多く、陛下は「多くの看護師や介護福祉士が日本に来て活躍していると聞き、嬉しく思っています」と語られた。経済連携協定(※EPA)を通じて2008~2022年度に介護福祉士や看護師の候補として来日したインドネシア人は約3600人。第一陣で入国した高齢者施設『ケアポート板橋』の介護福祉士、メイダ・ハンダジャニさん(42)は「訪問を通じ、日本の人達に母国の文化を知ってもらえれば、もっと仲良くなれるのでは」と期待する。陛下は、20代の頃からインドネシアの若い世代と交流を重ねてこられた。

1989~1997年には毎年、少年少女代表団事業で来日した子供達と東宮御所で面会。1993年の結婚後は皇后さまも同席された。引率した公益財団法人『ハーモニィセンター』によると、お二人は滑らかな英語で子供達と親しく懇談。センター代表理事の村松真哉さん(62)は、「子供達は本当に喜んでいた。我々も大きな励みになった」と感謝する。当時の子供達は国会議員や大学助教授等として社会を支える存在になっており、訪問中の再会も予定されている(※左上画像は2004年10月、東京都府中市の警察大学校で研修中のインドネシア警察関係者を労われる皇太子時代の天皇陛下)。新興・途上国のグローバルサウスの大国で、2億7500万人もの人口を擁するインドネシア。当地では日本ブームが起きている。火を付けたのは日本アニメ。1990年頃にテレビ放送が始まった『ドラえもん』は、今も毎週放送される人気番組だ。同国でドラえもん役の声優を務めるダナ・ロビアンシャさん(28)は、「多くの日本アニメは友情や家族の絆、助け合いがテーマで私達に受け入れ易い。日本に良いイメージを持つようになった」と話す。街中にはたこ焼きやラーメン専門店が増え、コンビニではおにぎりが並ぶ。訪問を前に、皇室への関心も高まりつつある。「天皇陛下が日本でどのような存在であるのか、インドネシア人には想像し易い」。そう語るのは、2014~2016年に駐日インドネシア大使を務めたユスロン・イーザ・マへンドラさん(65)だ。同国は共和制だが、各地方にはスルタン(※地域の王)が存在する。政治的な実権はほぼないものの、地元住民から尊敬を集めている点で、日本の象徴天皇に近いという。ユスロンさんは、「両陛下の優しい人柄が伝われば、日本への親近感も増すでしょう」と話す。皇室に詳しい静岡福祉大学の小田部雄次名誉教授は、「両陛下の訪問は、即位して最初に向かうほど大切な国であるとのメッセージとなる。大国として存在感を増すインドネシアと政治や経済、文化交流を一層深める絶好の機会になるだろう」と指摘する。

          ◇

(社会部)水野祥/(ジャカルタ支局)川上大介が担当しました。


キャプチャ  2023年6月17日付掲載

テーマ : 天皇陛下・皇室
ジャンル : 政治・経済

【令和の天皇】第3部・初の親善訪問へ(中) 水の知見、交流の土台

20230630 07
今月17日からの天皇、皇后両陛下のインドネシア訪問は、天皇陛下(63)の水研究の知見を生かした令和流の国際親善の本格スタートとなる。「陛下は“水”を通じた友好親善を考えられていると思う」。水研究の相談役を務める政策研究大学院大学の広木謙三教授は、陛下の心境をこう推測する。広木教授が印象に残っているのは、昨年4月にオンラインで臨まれた『アジア・太平洋水サミット』(※熊本市)の記念講演。陛下は、日本やインドネシアを含むアジア各地では、水への感謝や畏れが文化として根付き、水が深い信仰の対象になっていると紹介。「アジア太平洋地域に住む私達に、ゆるぎない共感と連帯の土台を形作っている」と、水を通じて深い関係にあることを解き明かされた。今回、陛下はジャカルタの洪水対策施設『プルイット排水機場』を視察される。池に雨水や川の水を溜め、水位が高くなるとポンプで近くの海に放流する施設だ。同国と同じく、洪水や津波の被害に直面してきた日本の資金援助で改修された。宮内庁幹部は視察の意義を、「多くの人が水問題に関心を向け、防災の意識を高めるきっかけになり得る」と語る。

自身のライフワークを国際交流に生かすのは、上皇さまから受け継がれたスタイルだ。魚類研究が専門の上皇さまは、皇太子時代の1962年にインドネシアを訪問した際、現地の鰭の長いコイを見て、日本のニシキゴイとの交配を提案された。埼玉県水産試験場で誕生したヒレナガニシキゴイをインドネシアに贈ったり、皇居の池に放流したりされた。2015年には、インドネシアのジョコ・ウィドド大統領夫妻を皇居の池に招き、皇太子時代の天皇陛下らと餌やりを楽しんでもらった(※右上画像)。昨年7月に再来日したジョコ大統領(61)は、代替わりで皇居に住まいを移した陛下との会見で、「陛下が育てられているので、コイも元気に育っていると思います」と、餌やりの思い出を懐かしんだ。ヒレナガニシキゴイは今も両国の友好の証しとして一役買っている。適応障害で療養中の皇后さま(59)にとっては、海外王室の即位式や葬儀への参列を除いて、21年ぶりの親善目的の外国訪問となる。側近は、「元外交官らしい当意即妙な会話で、陛下をもり立てられるのではないか」と期待する。昨年のジョコ大統領夫妻との会見では、皇后さまの会話力の高さを窺わせるやりとりがあった。皇后さまがイリアナ大統領夫人(59)に、「(ジャワ島の)ソロのご出身ですね」と水を向けられた。頷く夫人が「ソロと言えば、ブンガワン・ソロという歌をご存知ですか?」とメロディーを口遊むと、皇后さまは直ぐに「知っています」と応じ、話題はインドネシアの文化に及んだ。ブンガワン・ソロは、ソロ出身の音楽家が1940年に作ったインドネシアの名曲。第二次世界大戦中に現地で日本兵らが愛唱し、戦後、日本語の歌詞がつけられて、国内でも人気を集めた歴史がある。側近によると、皇后さまは会見の前に、相手国の歴史や懇談相手の略歴等をじっくりと読んで頭に入れられる。そこで得た情報と自身の知識を織り交ぜ、相手が話したくなるような話題を振られるという。側近は、「皇后さまは会話で相手との距離をぐっと縮められるのがお上手。インドネシアでも陛下と共に多くの人の心を掴む筈だ」と話している。


キャプチャ  2023年6月15日付掲載

テーマ : 天皇陛下・皇室
ジャンル : 政治・経済

【令和の天皇】第3部・初の親善訪問へ(上) 残留兵に思い、子孫と面会

両陛下にとって即位後初の海外親善訪問となるインドネシア訪問。上皇ご夫妻のスタイルを継承しつつ、どのような交流をされるのか。令和流の国際親善を探る。

20230630 06
戦没者の名前が刻まれた墓石がずらりと並ぶジャカルタのカリバタ英雄墓地(※左画像、撮影/川上大介)。「ここで眠る亡き父がインドネシアと日本の友好親善に尽くしたことを、天皇陛下にお伝えしたい」。ジャカルタ在住の日系2世、ヘル・サントソさん(63)は今月17日からの天皇、皇后両陛下のインドネシア訪問を心待ちにしている。この墓地には第二次世界大戦後、4年に及ぶ宗主国オランダとの独立戦争を戦ったインドネシア兵ら約1万人が眠る。その中に、終戦後も当地にとどまり、独立戦争に加わった残留日本兵28人の墓標もある。ヘルさんの父、衛藤七男さんもその一人だ。1991年にインドネシアを訪問した上皇さまは墓地で供花されたものの、残留兵やその子孫らとの面会は果たせなかった。独立の英雄とされる残留兵だが、当時は大戦中の旧日本軍による苦難を記憶している人が未だ多く存命し、旧日本軍への反感が残っていた。大戦で敵対したオランダ側にも反日感情が根強く残っており、天皇が残留兵の労をねぎらうのは難しい状況だった。戦後78年を迎え、各国で世代交代が進んだ。今回、陛下は天皇として初めてインドネシアで残留兵の子孫と会われる。宮内庁幹部は、「残留兵の子孫も、両国の友好親善に尽力する人達として自然に面会できる環境が整った。戦争の記憶を継承しつつも、未来志向の訪問になるのではないか」と話す。先の大戦で旧日本軍は、終戦までの3年半、オランダ領だったインドネシアを支配下に置いた。軍は住民を労働者として動員したり、食糧を徴集したりして、飢餓の蔓延を引き起こした。

1991年に天皇として初めて同国を訪問した上皇さま(89)は、歓迎の晩餐会で「日本は、先の誠に不幸な戦争の惨禍を再び繰り返すことのないよう、平和国家として生きることを決意し、新たな友好関係を築くよう努力してきました」と、戦争の被害にも言及された。上皇ご夫妻の訪問中、沿道は両国の国旗を振って歓迎する住民らで埋め尽くされた。当時、外務省の儀典長として同行した中村順一さん(88)は、「日本の天皇を一目見ようという熱気で満ち溢れていた」と振り返る。しかし、陰では日本への複雑な感情も燻っていた。訪問の初日には、旧日本軍の補助兵として働いた住民らが、軍に天引きされた給与の返還を日本政府に求める記者会見をジャカルタで開いた。両国の戦後賠償は1958年、日本政府が803億880万円相当の賠償を供与することで決着していたが、新たな補償を求める動きに繋がる懸念も出ていた。当時、在インドネシア日本大使館の専門調査員だった慶應義塾大学の倉沢愛子名誉教授(76)は、「旧日本軍からの酷い仕打ちを受けた人が多く存命していた時代。貧しい暮らしだった農村部を中心に反日感情が根強く残っていた」と話す。一方、大戦後も現地に残り、オランダとの独立戦争を戦った残留日本兵も、時代に翻弄された。1000人近くいたとされる残留兵は、独立戦争で多くが戦死・行方不明になった。その後、約300人が現地に残ったが、日本では帰国の指示に従わなかった“脱走兵”との見方が根強く残り、インドネシアでも長い間、国籍を貰えない等、不遇の時代を送った。一部の残留兵は1960年代以降、日本の進出企業の案内役を務めたり、合弁事業のパートナーになったりして経済的な地位を高めた。1990年代中頃には完全に名誉を回復し、独立に貢献した“英雄”として扱われるようになった。残留兵は2014年に最後の一人が亡くなったが、子孫らは地域に定着し、2~4世の世代を中心に約5000人に増えたという。ジャカルタ在住で、残留兵の前川辰治さん(※故人)を父に持つスキルマンさん(54)は、「父は戦時中の思い出を一切語らなかったが、酔うと独立戦争で負った右太腿の銃創を見せることもあった」と振り返る。日系企業に人材を紹介する会社を経営し、両国の橋渡し役を担うスキルマンさん。「時間や約束を守るのは父譲りで、顧客から信用を得ている」と胸を張る。今回、両陛下が残留兵の子孫と面会されることを知り、「両国の友好の礎を築いたのが残留兵であることを多くの人に知ってもらいたい」と期待する。大戦中に疎開を経験した上皇さまは戦後、イギリスやオランダ等の旧敵国を巡り、戦争の傷痕に向き合われてきた。32年前に上皇さまを迎えたスハルト大統領(※1921-2008)は大戦時、日本側の義勇軍の将校だった。一方、今回の訪問では、戦後生まれの天皇陛下(63)が、平成時代の友好の礎を受け継ぎ、同世代のジョコ・ウィドド大統領(61)と更なる交友を深められる。陛下は訪問3日目に残留兵の子孫に会われる。宮内庁幹部は、「時代が変わっても、日本があの戦争のことを忘れていないとのメッセージになる。それが両国の未来志向の関係を一層後押しする筈だ」と語る。


キャプチャ  2023年6月14日付掲載

テーマ : 天皇陛下・皇室
ジャンル : 政治・経済

【政治の現場・会期末攻防】(08) 立憲民主党、抵抗路線に舵

20230630 05
今月15日午後4時過ぎ、衆議院第一議員会館6階の会議室は重苦しい雰囲気に包まれていた。集まったのは、立憲民主党執行部の5人。今国会最大の焦点となった防衛費増額の為の財源確保法案は、16日に参議院本会議採決が迫り、内閣不信任決議案を巡る調整はいつ提出するのかという点に絞られていた。「参議院側には明日の朝を求める声もある」。参議院議員会長の水岡俊一(67)は法案採決前の提出を念頭に、こう切り出した。採決前であれば、法案成立を妨害し、最も政府・与党への対決姿勢を示せる。ただ、首相の岸田文雄(65)の衆議院解散を誘う懸念も強まる。国会対策委員長の安住淳(61)は内閣不信任案について、「政権運営全体を評価する手段で、個別の法案阻止には使えない」と主張し、採決前の提出には消極的だった。同党内には、天皇陛下がインドネシア訪問中の19日まで提出を遅らせれば、国会審議への影響は少なく、解散誘発の恐れは最小限にとどめられるとの見方もあった。現行憲法下では、天皇陛下の外遊中に解散した事例はない為だ。16日の採決前か、19日に先送りか――。結局、同党代表の泉健太(48)が約15分間の議論で採用したのは、そのどちらでもない“中間案”だった。「明日、参議院での採決後に提出しましょう」。幹事長の岡田克也(69)、参議院国対委員長の斎藤嘉隆(60)を含め、他のメンバーから異論は出なかった。しかし、結局、泉らは肩すかしを食らうことになる。その約2時間後、岸田が解散見送りを表明したのだ。岸田は財源確保法案の成立に目処がつくとみるや、間髪入れず解散しないことを決めた。

泉は16日、党所属議員を国会近くに待機させる“禁足”をかけ、内閣不信任案への賛同を衆議院本会議で呼びかけた。ただ、提出は立憲民主の単独となり、日本共産党等は賛成したものの、維新と国民民主党は反対し、即日否決された。本来、内閣不信任案は、解散に繋がる覚悟を持って突きつけるべきものとされる。政権に抵抗の意思を見せつつ、解散を避けることも狙った泉の決定は、党の方向性の定まらなさを象徴するものだった。立憲民主ベテランは、「国民には腰砕けぶりが見透かされ、白けムードが漂っている」と嘆いた。立憲民主は今国会で当初、維新との“共闘”を重視し、審議の遅延戦術を控えた。しかし、4月の統一地方選で伸長した維新は、代表の馬場伸幸(58)が「立憲民主を叩き潰す」と公言する等、野党第一党の座を奪う姿勢を明確化した。このため、立憲民主は維新と決別し、一転して抵抗路線に戻った。党内左派は勢い付き、今月8日の参議院法務委員会室では、出入国管理・難民認定法改正案の採決で立憲民主議員が大挙して委員長席を取り囲み、「反対、反対」とシュプレヒコールを上げた。中道・保守系議員は選挙区調整への不満もあり、反発を強めている。保守派衆議院議員の松原仁(66)は9日、離党届を提出し、維新入りの臆測も飛び交う。“ポスト泉”を意識した不穏な動きも出ている。泉は次期衆院選での目標を150議席と掲げ、達成できなければ辞任と退路を断ったが、現有96から50以上の上積みは非現実的だとの受け止めが多い。党内では、選挙後、新代表に元首相の野田佳彦(66)、幹事長に同党前代表の枝野幸男(59)を据える案が浮上している。保守派の野田を党の顔とし、左派に推される枝野の起用でバランスを取る思惑からだ。一方、元民主党代表の小沢一郎(81)も久々に動き出した。今月16日、党内有志53人の賛同を集め、衆院選で野党候補の一本化を求める会を発足させた。共産との選挙協力を否定した泉に対抗する“泉降ろし”の動きとみる向きも多い。「発信が不十分だ」等と泉に批判的な立場をとる参議院議員の蓮舫(55)は、自身の『ツイッター』で「心ある勢力がまとまり、政権与党に向き合うことが強く求められる」と小沢らにエールを送った。野党第一党の党内対立は衆院選をにらみ、激しさを増すとみられ、党勢回復への道は更に視界不良となっている。 《敬称略》 =おわり

          ◇

足利浩一郎・海谷道隆・森藤千恵・中田征志・阿部真司・下里雅臣・森山雄太・栗山紘尚・山崎崇史・中山潤・岩本康佑が担当しました。


キャプチャ  2023年6月21日付掲載

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【from WSJ】(19) プーチン氏、世界のワグネル帝国掌握へ…アフリカや中東諸国に部隊統制を確約



20230630 02
エフゲニー・プリゴジン氏が率いる前科者や雇い兵達の部隊がモスクワに向けた進軍を停止した数時間後、ロシア大統領府は、この悪名高い軍事起業家が築いた世界的な帝国の完全掌握に着手した。ロシアのセルゲイ・ベルシニン外務次官はシリアのバッシャール・アサド大統領にメッセージを直接伝える為、同国の首都ダマスカスを空路訪れた。そのメッセージは、民間軍事会社『ワグネルグループ』の部隊がシリアで独立して作戦行動をすることはもうないという内容だ。ロシア外務省高官は中央アフリカのフォースタン=アルシャンジュ・トゥアデラ大統領に電話し、今月24日の危機によってロシアのアフリカへの勢力拡大が頓挫することはないと約束した。トゥアデラ大統領の私的な護衛にはワグネルの傭兵が含まれる。ロシア非常事態省が用意した複数の政府専用機はシリアから、ワグネルのロシア国外にあるもう一つの主要な前哨基地であるマリへ向かった。こうした活発な外交活動は、ウラジーミル・プーチン大統領が国内の混乱を重大な出来事でないように見せ、ロシアのアフリカや中東のパートナー諸国におけるワグネルの活動が中断することなく続くとの安心感を与えようとしていることを示している。外交官や情報当局者、ワグネルの離反者、こうした外交活動について説明を受けた人物への取材と、国際的なフライトデータの精査から明らかとなった。ロシア政府の希望通りになれば、今後はこうした活動が新たな管理体制の下で行なわれる。

長年、ワグネルとの関係を一切否定してきたロシアは、プリゴジン氏とその補佐役によって管理されてきた大規模な雇い兵のネットワークを乗っ取ろうとしているように見える。24日の反乱の失敗を受け、それがどれほど可能なのか、どれほど迅速に行なわれるのかは不明だ。西アフリカ、サヘル地域のアメリカ特使を務めていたJ・ピーター・ファム氏は、「ワグネルはロシアが影響力を構築するのを手助けした。ロシア政府はそれを手放したくないと考えている」と指摘。「ワグネルは政府に関与を否定する口実を与えた。問題は政府がその複雑さに対処できるか、一層の監視に耐えられるかだ」と述べる。西側諸国の当局者や本紙が確認した文書によると、ワグネルは最低限のコストで一定の距離を保ちながら、ロシア政府が国際的な影響力を蓄え、収益を上げるのに貢献した。こうした収益は、プリゴジン氏が所有する持ち株会社『コンコルド』と、ロシア政府に資金を送り込むのを助けるペーパーカンパニーのネットワークによって管理されていた。西側当局者によれば、ワグネルの系列企業はアフリカで年間何億ドルもの資金を生み出し、それがロシアにとってアフリカ大陸での影響力を維持し、ウクライナで軍事作戦を行なう為の重要な資金源となっている。これら当局者によると、ワグネルグループの収入源には、スーダンからロシア向けの金輸出、中央アフリカからアラブ首長国連邦(※UAE)へのダイヤモンド輸出、パキスタンへの木材輸出等がある。ワグネルグループは長年、中東やアフリカ全域で独裁政権の治安部隊として活動しており、更に最近では中南米やカリブ海地域にも密かに参入しつつあった。ワグネルはウクライナ、ロシア国内を含め、3万人以上の戦闘員を抱えている。ワグネルの戦闘部隊は、政治ストラテジストや資本家、鉱物資源を調査する地質学者の助けを借りて、マリやシリア、中央アフリカで深く根を下ろしている。ベネズエラやスーダンでは、反政府運動の鎮圧を手助けすると申し出ていた。ゲーム利用者向け交流サイト『ディスコード』上に流出したアメリカ軍の機密文書によれば、プリゴジン氏の仲間は今年2月、首都ポルトープランスの治安維持に苦慮するハイチ政府にワグネルの支援を申し出る為、同国への極秘渡航を計画していた。ハイチ外務省はコメント要請に回答しなかった。

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【from WSJ】(18) アメリカはロシアの頭脳流出を促せ

20230630 01
先週末のロシア民間軍事会社『ワグネルグループ』による反乱は失敗に終わったが、ウラジーミル・プーチン大統領に対するこれまでで最大の脅威だった。ロシアは血を流しており、その傷は戦場よりも深い所まで達している。同国を悩ませている大規模な国外移住は、西側にとってはチャンスだ。本紙は先週末、モスクワ発の航空料金が急上昇していると報じた。航空券の検索サイトによると、ドバイ行きの航空料金は4200ドル(※約60万5000円)、イスタンブール行きは850ドル、アルメニアの首都エレバン行きは1000ドルに急騰していた。行き先によっては週末の航空券が売り切れた為、渡航希望者は週明けの26日か27日まで待たなくてはならなかった。こうした国外脱出は目新しいものではない。昨年のウクライナ侵攻を受けて、二度の出国ラッシュが起きた。推計にはばらつきがあるが、開戦から2ヵ月間でざっと20万人がロシアを離れた。これには多くのジャーナリスト、アーティストやハイテク専門職の人々が含まれていた。政府が若い一般男性の軍招集を決めた昨秋には、40万人が国を離れた。ロシアは、プーチン氏が1999年に政権の座に就いて以降で最悪の労働力不足に喘いでいる。『ロシア中央銀行』によれば、全企業の半数が労働力不足に直面している。

通信省は昨年12月、IT関係の労働者のうち10%が、帰国計画のないまま昨年中に出国したことを明らかにした。エンジニア、溶接工、石油採掘労働者の不足は、国内産業の更なる阻害要因となっている。この傾向を食い止めようとするロシアの治安維持当局は、一部政府高官の渡航を阻止する為、パスポートを押収した。ロシア人ナショナリストの中には、一般市民の出国を妨げる為に、“航空版ベルリンの壁”を要求する声さえある。しかし、そうした動きはプーチン氏から国民を更に遠ざけ、同氏に対する支持を弱めることになるだろう。アメリカとその同盟諸国は、プーチン氏が直面する人口流出から恩恵を受ける立場にある。我々は外交・経済政策の手段として、移民法に着目すべきだ。アメリカはH-1B就労ビザ制度を通じて、年間8万5000人もの移民を受け入れている。この制度では、雇用主は教育を受けた外国人労働者を採用して専門職に就かせることができる。その数を僅かに拡大し、ロシアのハイテク人材に狙いを定めることで、アメリカはロシアから逃れて来る技術者を活用して、ハイテク分野の労働力不足を埋めることができる。ジョー・バイデン大統領は、この方向で動いてきた。バイデン氏は昨年、製造、テクノロジー、工学等多くの分野で上級学位を取得したロシア人を対象に、就職先の確保というビザ取得要件を一時的に免除するよう連邦議会に要請した。この提案は議会で棚上げされている。バイデン氏はこれを復活させ、優先的に取り組む必要がある。アメリカ政府が先例を示せば、同盟諸国も異なる手法で追従するかもしれない。昨年4月にはEUのシャルル・ミシェル欧州理事会常任議長(※EU大統領)が、ウクライナの戦線から離脱するロシア軍兵士を亡命者として受け入れる案を検討するよう、EU諸国に呼び掛けた。その前月にはチェコのペトル・フィアラ首相がキーウを訪問し、“戦わず脱走することを決めたロシア軍兵士を保護する”為の国家連合の形成を提言した。亡命であれ移民であれ、プーチン氏から人材を奪うことは、ロシアの軍隊と経済を弱体化させつつ、アメリカと同盟諸国の経済を強化する為の戦略的手段となる。 (『ナショナルレビュー』コラムニスト ジョン・ファンド)


⦿ウォールストリートジャーナル電子版 2023年6月28日付掲載⦿

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【木曜ニュースX】(363) “核のごみ”受け入れで対馬二分…「“国策”が来ないで済むなら来ないでいい」、交付金20億円“切望”

候補地選定が長年課題となってきた原発から出る高レベル放射性廃棄物(※核のごみ)の最終処分場を巡る動きが活発化している。政府は今年4月、選定に向けて積極関与に乗り出す方針を表明。一方、新たに長崎県の離島・対馬で、選定の前提となる調査の受け入れの賛否を巡って、島を二分する議論が始まった。“核のごみ”問題はどこへ向かうのか――。 (取材・文/くらし科学環境部 高橋由衣・土谷純一/経済部 佐久間一輝/西部本社報道部福岡本部 城島勇人/北海道支社報道部 山田豊)



20230629 05
「“異議なし”ということで宜しいでしょうか」。対馬市議会開会を1ヵ月後に控えた先月19日、玄界灘を望む『対馬グランドホテル』の会議室。1050事業所が加盟する市商工会の山本博己会長は、集まった理事ら26人に淡々と諮った。理事会では、最終処分場選定の第一段階となる文献調査の受け入れ検討を市議会に求める方針について、事前調査で約120人いる総代の6割超が賛同したと報告があった。理事から目立った異論はなく、市議会への請願提出は全会一致で了承。20日に開会した対馬市議会には、市商工会や漁協等11団体が賛否の請願8件を相次いで提出した。商工会が期待するのは、文献調査受け入れと引き換えに国から自治体に配られる最大20億円の交付金だ。山本会長は理事会後、記者団に、人口減少が続き産業が衰退する対馬の現状に触れ、「“国策”が来ないで済むなら来ないでいい。飯を食っていける方策がないか考える機会になれば」と言葉を選びながら語った。そして、「商工会は対馬の経済界で最も大きな組織。議会も市長も重きを置くだろう」と強調した。「処分場は要らない!」。今月10日、対馬市中心部には反対派の市民や漁業関係者ら約530人(※主催者発表)が集まり、シュプレヒコールを上げながら市街地をデモ行進した。主催した市民団体『核のごみと対馬を考える会』代表で、市内で食品製造等を営む上原正行さん(78)は、「科学的根拠がなくても注文が減りかねない」と風評被害を懸念する。署名活動を進め、今月15日現在で約2万1100筆、市内だけでも人口の3割近くに当たる8000筆超を集めた。

島では2006年にも最終処分場誘致の動きがあり、2007年に市議会が誘致反対の決議をした。再び降って湧いた議論に、当時を知る島民は「また島が割れる」と不安を隠さない。核のごみは、使用済み核燃料を再処理する過程で発生する廃液をガラスで固めたもの。強い放射線を放ち、無害化に10万年かかるとされ、国は地下300m以上という深い地中に埋めて処分する方針だ。国は2000年に最終処分法を制定し、経済産業省の認可法人『原子力発電環境整備機構(NUMO)』は2002年から候補地を募るが、文献調査が始まったのは北海道の寿都町と神恵内村のみ。運転延長等原発活用に舵を切った岸田文雄首相は、核のごみ問題についても「政府の責任で取り組みを加速する」と強調し、4月には最終処分に関する基本方針について、国の関与を強める方向で改定した。対馬で最終処分場の議論がくすぶり始めたのは、コロナ禍に見舞われていた2年程前。前出の北海道の2町村で調査が開始されたことで、地域振興の切り札として対馬市商工会等経済界が注目したのがきっかけだ。対馬市は、政府が2017年に公表した地質等から見た処分の適地を示す科学的特性マップで、候補地として“好ましい”土地に分類されていた。韓国から約50㎞に位置し、コロナ禍前に年間40万人以上が訪れていた韓国人観光客は激減。観光や水産業以外に目立った産業がない島の人口は、2020年には3万人を割り込み、ピーク時の4割程度に減った。商工会員の推進派市議は、「誰もが島の現状に危機感を抱いていた」と強調する。選定調査を受け入れると、自治体には原発の立地地域等に配られる電源立地地域対策交付金が交付される。調査は3段階あり、①資料で過去の地震の記録等を調べる文献調査(※2年程度)の実施で最大20億円②掘削して岩盤等を調べる概要調査(※4年程度)で更に同70億円の交付金が配られ③地下施設を設けて調べる精密調査(※14年程度)――と続く。商工会はNUMOと共に、会員ら向けに説明会を重ね、今年に入ってその動きは加速。会員で建設業の70代男性は、「20億円を公共工事だけでなく、他にも使えるのは大きい。人口が減るのは働く場所がないからで、処分場が誘致できれば雇用面でも違ってくる」と期待を寄せる。尤も、推進派でも「文献調査まで」と考える人は少なくない。文献調査の受け入れは自治体の首長の判断で可能だが、第二段階の概要調査は知事の判断も必要となる。ある市議は、「被爆県の長崎は核の取り扱いにはとりわけ厳しい。知事がOKを出すわけがない」と本音を漏らす。実際、大石賢吾知事は先月の記者会見で「今の時点で推進するという立場にはない」と慎重だ。だが、反対派の団体職員の70代女性は、「調査は受け入れの第一歩。本土から離れ、人口も少ない対馬を、候補地として国は手放す筈がない」と警戒する。20日に開会した市議会では、賛否11団体から提出された請願の審査を行なう特別委員会が設置された。市議会の結論次第で、最終判断を下すことになる比田勝尚喜市長は、2020年の市長選で、処分場誘致を掲げた候補を破って再選した。22日の市議会一般質問では「議会での議論や市民の意見を参考に、市長として判断したい」と答弁する等、議会の動きを注視する考えだ。

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【木曜ニュースX】(362) 楽天・三木谷氏の姑息な金策に株主からは「騙された」と怨嗟の声

20230629 04
『楽天グループ』が公募増資と三木谷浩史会長兼社長の資産管理会社等への第三者割当増資により、3000億円以上の資金調達を実施すると発表した。携帯電話事業の大赤字による資金流出が続いた末の窮余の一策。だが、個人を中心とした楽天の株主は怒り心頭だ。増資発表の僅か5日前に、『KDDI』の回線をローミング(※相互乗り入れ)で使うという発表があった。楽天の携帯電話への投資負担が大幅に軽減されることから、個人の買い等が集中して株価は急騰、僅か3営業日で1割以上値上がりした。だが、今度は大幅な株式の希薄化が避けられない大規模な公募増資が発表され、株価はローミング発表前より低い水準に急落した。楽天関係者は、「三木谷氏は態と公募増資の直前にKDDIをぶつけた」と明かす。株価下落が予想される公募増資の前に一度、株価を押し上げておこうという腹積もりだ。株価が下がると、それだけ公募増資での楽天の資金調達額が減少するからだ。せこい魂胆を知らずにローミング発表後の5日間で株を買った投資家は大損をした。「三木谷だけは許さない」。怨嗟の声が渦巻く。


キャプチャ  2023年6月号掲載

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