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【風俗嬢のリアル】(12) シズカの場合――苦しみを味わう旅の終わり

20171229 23
シズカは股間を押さえて叫ぶのであった。「本番はできないんです!」「この店、できない子いるの? 初めてだよ」。客は急に不機嫌になると、部屋から出て行ってしまった。ここは岐阜県岐阜市。広島を出たシズカは、奈良のゲストハウスで暫く休養した後、岐阜市内にある人妻デリへルへ移動していた。シズカにとって、日本一周最後の県である。しかし、客層は最悪だったようだ。「『愛撫が多いな』と思ったら、普通に脚をポーンと開かれて、そのまま生で入れようとするんです。結構いるんですよ。断ったら『じゃあ帰る』って、プレイの途中で帰ったお客さんが2人もいました」。驚いたことに、今回、シズカが働く岐阜の人妻店では、ゴム付きで本番行為をしたり、ピルを飲んで生でする女の子が大半を占めるという。勿論、違法行為な為、店側がそれを強制することはないが、黙認していることは確かなようだ。「店長に『本番強要が凄い』って話したら、『俺がお客さんでもそういう気持ちはわかるよ』って肩を持つんですよ。『もう何を言っても無駄だ』と思って。一番人気の子も同じ部屋にいたけど、私の話が聞こえていた筈なのに黙ったままなんです」。店の料金は100分1万8000円ほどで、女の子の取り分はその約半分だ。たった1万円ほどの金額で生本番するとは、信じられない安さである。病気のリスクを考えれば、あまりにも無防備だ。「この店だけなのか、岐阜全体なのかはわからないですけど、ちょっとこれは異常だと思いました」。

あまりにも常識となっているせいか、とある老人客に至っては、入れ歯を外した口をふがふがさせながら、「どうせ若い男にはヤラせるんだろ!」と悪態をついてきたという。勿論、相手はシズカが処女であることなど知る由もない。「大変だったんですよ。最初の3日間で『もう岐阜は来たくない』って思っちゃったもん。勿論、中にはいいお客さんもいましたけどね」。何回目かの本番強要で、シズカは思わず客の前で泣いてしまった。「『ごめんなさい、本番できないんです。岐阜の人って、やっぱりそういう方多いんですか?』って聞いている間に涙が出てきて。お客さん的にはそれで泣いたと思っているんだろうけど、岐阜に来てからの積もり積もったものが、偶々その時、バーッとでてきちゃったんですね」。流石の客も、泣かれたらそれ以上は言えない。「俺のほうこそ、イクの遅くてごめんね」と思いやりを見せて、プレイは終了。散々な岐阜のデリへルであったが、それでもシズカは2週間勤め上げた。私と会った日は最終日の為、シズカもほっとした顔をしていた。大都市であるJR名古屋駅から電車で20分ほどで着くJR岐阜駅は、北口を出ると灰色のビル群を背に黄金の織田信長が高所から見下ろしており、南口を出ると西日本最大級のソープランド街である金津園が存在する。ソープが盛んな街で、デリへルは影を潜めているのかと思いきや、「私も最初そうなのかなと思ったんですけど、案外忙しいです。岐阜市内に、デリへルだけで何百とあるみたいですよ。お客さんに聞いたら、『金津園に行くよりデリへルのほうが本番できるし、安いし、素人っぽくていいんだ』って」。デリへル業者は、金津園とはエリアの違う岐南インター付近に集中しており、ラブホテルもその周辺に点在しているという。「うちの店は提携するラブホがあるから、いつも同じところを使っているんです。お客さんとプレイを終えて出てきたら、駐車場にスタッフさんが待機していて、お金だけ渡して『じゃ次、何号室ね』。大体、1日3人なんで、同じラブホを行ったり来たり。看板のネオンが半分切れたような古いラブホで、何人かのお客さんは廊下を歩く時、『何かここ怖いんだよ』って言っていましたね。私は霊感が無いからわからないけど」。客が途切れるとシズカは待機所へ戻り、他の女の子たちと一緒に予約が入るのを待つ。昼出勤と夜出動で女の子の毛色はだいぶ変わるらしく、昼は所帯染みたリアル人妻、夜は如何にも風俗嬢といったギャルが多いという。シズカは日によって、どちらも出勤していた。店のホームページを見ると、年齢層は10代から40代と人妻店の割に幅広く、タイプも様々である。「結構修整するんですよ、このお店」。見ると、シズカの写真は縦長に加工されたのか、脚と頭が伸びて別人のようになっていた。

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テーマ : 社会ニュース
ジャンル : ニュース

米中が犯罪者引き渡しで合意…焦点は郭文貴氏の“強制送還”

20171229 25
中国共産党から目の敵にされている大物政商の郭文貴氏(※左画像)が、逃亡先のアメリカから中国に強制送還される可能性が出てきた。ドナルド・トランプ大統領が習近平国家主席と北京で会談した際、アメリカに逃亡中の中国人犯罪者を引き渡すことで合意した為だ。党の内部事情を知り尽くし、幹部のスキャンダルを暴露し続ける郭氏が中国の手に渡れば、死刑に処せられるのは必至。アメリカの出方が注目される。合意を明らかにしたのは、郭氏の口を封じたい中国政府。外務省の鄭沢光次官は、「中米首脳は、其々の国を犯罪者の逃亡天国にさせないという考えで合意した。今後は重要犯罪人に関し、両国が提携して捜査・追跡する。定期的に会合を持ち、合同チームを作る」と説明した。憎い郭氏に照準を合わせた発言である可能性は高い。習主席側は郭氏に振り回されっ放しだ。4月には、腐敗取り締まりを指揮していた政治局常務委員・王岐山氏(※チャイナセブン)の親族に関する腐敗疑惑をばらされ、動揺。「10月の中国共産党大会で王氏をチャイナセブンから外したのは、郭氏の“口撃”に屈したからだ」との見方は根強く、習主席は歯ぎしりしているとみられる。渦中の郭氏は、アメリカ当局に出した亡命申請に、自らの運命を委ねている。

               ◇

「中国人民政治協商会議(政協)の梁振英副主席が、近くイギリスに拘束される」との観測が強まっている。オーストラリアのゼネコン大手によるイギリス企業の吸収合併に絡んで、賄賂を受け取った疑いがあるとして、香港の議員が前香港行政長官でもある梁氏をイギリス当局に告発した為だ。政協の副主席と言えば、日本では参議院の副議長に当たる要職。現職の中国要人が外国に拘束されたケースはこれまで無かっただけに、習近平指導部は対応に苦慮しそうだ。梁氏を巡っては、2011~2013年にかけ、オーストラリア側から400万ポンド(※5億9200万円)を受け取った疑いが伝えられている。香港トップの行政長官も歴任した梁氏の疑惑は、以前から香港社会で知られていた。「イギリス当局は告発を受理する」との見方が支配的である。中国の出方に関し、香港では「メンツに懸けて梁氏を守る」と見る向きと、「国際世論の反発を恐れ、あっさり見捨てる」と予測する声が相半ばしている。

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「スパイ対策を理由に海外メディアへの規制を強める習近平指導部に対抗する為、アメリカも中国メディアの監視に乗り出そう」――。アメリカ政府内で最近、こうした声が出始めた。具体策として、アメリカ国内で活動する国営の『新華社通信』や『中国中央テレビ』の記者らを、関係法に基づき“外国政府の為の業務に従事する団体・個人”と認め、登録する案が浮上している。提唱したのは『米中経済安全保障問題検討委員会』。中国政府系メディアに関し、「報道の為というよりも、機密情報を中国に報告する業務を担っている可能性が高い」と報告している。米中の相互不信に拍車が掛かりそうだ。

               ◇

インドが10月末、イラン南東部の港湾都市・チャバハールを経由する貨物の輸送を開始した。中国が推進する『一帯一路』に参画が見込まれるパキスタンを通らずに、アフガニスタンと中央アジア諸国に進出するルートを確保したことになる。パキスタンは、インドからアフガニスタンに向けた貨物が、自国の領内を通過することに反対してきた。インドは、この問題を解消する為の方法を、ここ数年模索していたのだ。既に、同港からアフガニスタンとの国境部に位置するイランの都市・ザーヘダーンへの鉄道も建設中である。同港からの輸送開始に先立ち、インド、イラン、アフガニスタンは、3ヵ国間で交通輸送に関する協定に調印。一方、一帯一路の要とされる中国・パキスタン経済回廊は、パキスタン内部の反対から進捗が遅れている。

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テーマ : 中朝韓ニュース
ジャンル : ニュース

【不養生のススメ】(09) 危ないポリファーマシー

20171229 22
カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)医療センター老年医療専門の薬剤師であるドミニク・ベイリー氏は、コンピューターで老年学科の入院患者の投薬リストを精査した。すると、高血圧や呼吸器の病気を長年患うロラ・カルさん(74)が、肺炎と呼吸困難で入院していた。カルテによると、カルさんは36の投薬を受けていた。「ちょっと衝撃的」と語るベイリー氏は、カルさんの薬の量だけでなく、処方に含まれる睡眠薬や鎮痛剤が彼女の呼吸を抑えることを心配していた。これは、昨年の『カイザーファミリー財団』のニュース(KHN)の話だ。ギリシャ語で“ポリ”は“沢山”を、“ファーマシー”は“薬”を示す。ポリファーマシーとはつまり“沢山の薬”ということになるが、一般的には“医学的に必要以上の薬の服用”を意味する。薬の数に厳格な定義は無いものの、多くの研究は5種類以上の処方薬の服用と見做している。ハーバード大学の研究者らによる全米大規模調査の結果、2011~2012年は65歳以上の患者の39%が5種類以上の薬を服用していた(※右表)。UCLA医療センター老年学科のマリステラ・ガーシア部長は、KHNで「ポリファーマシーはアメリカのもう1つの薬物問題」「そして、問題は巨大」と言う。UCLA医科大学院老年学科のデヴィッド・ルーベン所長は、「病院には沢山のお土産(=必要ない薬)がある」と指摘する。お土産は退院時に貰う傾向がある。例えば、2011年に1332人の患者を対象にしたイタリアの研究では、入院時に5種類以上の薬を服用していた患者は51.9%(※平均5.2の診断)であったが、退院時には67%(※平均5.9の診断)に増加した。

カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)のケン・コヴィンスキー博士は、「多くの医師は、処方する薬がどれくらいの期間必要であるかを考慮していない。服薬を開始すると二度と止めない傾向がある」と指摘する。つまり、一旦“お土産”を貰うと一生受け取り続ける可能性が高い。ポリファーマシーが蔓延する原因の1つは、医療現場で用いられるガイドラインにある。2016年の『トライアル』誌で、ドイツのヴィッテン・ヘァデッケ大学の研究者らは、「慢性疾患の治療はガイドラインに従って治療することが推奨されているが、複数の疾患を持つ高齢患者に対して、ガイドラインの変更や議論は無い。其々の疾患に対して、全てのガイドラインに沿って治療をすれば、必然的にポリファーマシーとなる」「多くの薬は、複数の疾患を持つ高齢の患者が利用しているにも拘わらず、殆どの臨床試験による有効性の根拠は若年者が対象である」と指摘した。若年者に比べて、高齢者は腎臓や肝臓な等の機能が低下する。その為、薬の解毒や排泄がし難く、副作用が起こり易い。ペンシルベニア州デュケイン大学のロバート・マー・ジュニア博士らの報告によると、「2005年、アメリカにおける430万件以上の医療機関の受診は、薬の副作用に起因する」と推定された。高齢の外来患者の35%、入院患者の40%が副作用を経験し、5種類以上の投薬を受けた外来患者は、より少ない投薬を受けていた患者と比較して、薬の副作用のリスクが88%増加した。更に、ポリファーマシーにより、日常生活の活動の減少と身体機能の低下、認知障害、転倒、尿失禁や栄養障害のリスクが高まった。ナーシングホーム(※NH=アメリカの医療介護施設)では、更に深刻である。1990年代後半、アメリカの政府機関『メディケアメディケイドサービスセンター』は、ポリファーマシーを重要な問題と見做し、9種以上の投薬の患者を対象に調査を開始した。その結果、2004年には約1万4000人のNH利用者の内、約40%が9種以上の投薬を受けていた。最も多く処方された薬は、胃腸薬(※下剤47.5%、消化薬43.3%)、神経系の薬(※抗鬱薬46.3%、抗精神病薬25.9%)、痛み止め(※非麻薬性鎮痛薬43.6%、解熱剤41.2%、関節炎の薬31.2%)である。副作用は、9種以上の投薬を受けた患者が、より少ない患者の2倍であった。特に、不必要な抗精神病薬の投与は重大だ。介護スタッフの不適切な訓練や慢性的な人員不足、製薬企業の積極的なマーケティングに起因する。AARPによると、2013年秋、『ジョンソンエンドジョンソン』が、高齢者への安全性や有効性が『食品医薬品局(FDA)』に未承認の抗精神病薬等を、NHに積極的にマーケティングしたことで、刑事及び民事訴訟が起こり、22億ドル以上の和解金を支払った。司法省は、「アメリカ史上最大の医療詐欺の1つ」と言う。

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テーマ : 医療・病気・治療
ジャンル : 心と身体

『任侠山口組』織田絆誠代表襲撃、マシンガンのヒットマンは何故引き金を引かなかったのか?

20171229 21
「9.12の事件には謎が多い」という風評は兎も角として、織田襲撃事件は発生から1ヵ月にもなるというのに、未だに楠本勇浩組員を撃った黒木龍巳組員は現場から逃走したままである。それに、標的が本当に『任侠山口組』の織田絆誠代表だったのであれば、結果的には、この襲撃は未遂と言っていいのではないのか? 本誌以外にも、複数の週刊誌が襲撃の様子を事細かく報じてはいるが、筆者から言えは、やはりこの襲撃は失敗と言える。もっと言えば、「何故マシンガンを使わなかったのか?」というのが最大の疑問だと、山口組系の名古屋の中堅幹部からの指摘に、筆者もはっとさせられたし、確かに大きな謎といえば謎だった。その中堅幹部に対して、「黒木とは別の、明らかにマシンガンを持っていた組員もいたが、この組員は何故撃たなかったのか? 織田の乗っていた車のフロントガラスは防弾仕様ではなかったという情報もあるし、ならば本当に織田を狙うつもりならば、マシンガンを持ったその組員が織田を狙えた筈ではないのか?」と質問したところ、暫く考え込んだ様子で、「う~ん、ビビったんじゃないかな?」と指摘してくれたが、「単にビビった訳でもないだろう」と筆者は推察している。マシンガンを持ち、如何にも織田代表の乗った車両に近付くような動きをしていたという黄緑色の服を着た男の存在。結局、マシンガンを発砲もせずに現場から逃げ去るように消えたのには、それなりに重大な意味がある筈である。一説には、「織田代表が乗っていた車は、井上組長から貰った車であり、しかもフロントガラスだけが防弾仕様ではなかった」のだという。防弾でないとすれば、マシンガンならあっという間に射殺できるだろうに。

ビビった可能性と言ったその幹部の歯切れはよくなかったことも気にかかる。未だに事の真相が掴めていないということかもしれない。やはり、この襲撃事件には裏に何か真相が隠されている可能性が濃厚だ。しかし、事件が発生してからもう1ヵ月も経つのに、何故か織田代表を狙ったという重大発砲事件にしては、入ってくるべき情報の量があまりにも少な過ぎるのだ。ヤクザが絡む発砲事件となると、数日間もすればその全容が見えてくるのに、どうしたことか、兵庫県警からの発表も無い。ヤクザの情報収集力というのは信じられない程に早く、しかも正確だというのが定説である。関西地区の後輩記者は「確かに殆ど続報は無いですよ。それに、丁度衆院選に入ったでしょう? こんな時期だけに、ヤクザもドンパチできないですよ」と指摘したが、それにしても襲撃事件に関する情報不足が続いているようだ。参考までに、他の週刊誌等は「織田絆誠代表襲撃部隊に“闇の第3班”急浮上!」等と思わせぶりなタイトルを付けて報道しているが、筆者にはそうしたドラマティックな動きには見えない。どうも、襲撃の真相は実のところ、「織田のタマを取るのが目的ではなく、織田を威嚇することが目的なのではないのか?」という疑念が、中々払拭できないのだ。事件翌日の取材に、直参組織の幹部は「『実行に関わった全員が既に破門者だった』という話があるが、仮に破門者だったとしても、織田を殺る為の偽装破門だろうな」と話している。この偽装という視点から言えば、10月10日現在も逃走中の実行犯と見られている黒木組員が使った拳銃と免許証が、ご丁寧にも現場近くで発見されているということから言っても、この一件には異常で不思議なことがあり過ぎる。ヤクザの抗争の最中に、態々チャカと身分証明書まで置いて逃げるのか? 逃走するぐらいなら、何故出頭しないのか? 偽装という観点で見れば、実行犯のヤクザらしからぬこうした動きこそが偽装だろうに。故に、筆者の疑念は、時間が経つにつれて深まっている。織田代表を狙った一派は、それなりの用意をして行動に出た筈だが、結果的に織田代表にはかすり傷ひとつ与えていない。長年、ヤクザの殺し合いを仄聞して取材をしてきた筆者から言えば、ヤクザの報復合戦にはそれなりに納得できる出来事もあるし、リアルな恐怖を感じさせる動きもあるものだが、織田代表を狙ったとする劇的な事件にも拘わらず、何かが得心いかないのである。逃げたという実行犯にしても、疑問が付き纏う。本当に逃げたのか、行方知れずになったものか、それとも目と鼻の先で匿われているのか、杳として足跡が無いのだ。「これは本当は、襲撃のようには見えるものの、実は襲撃ではないのではないのか?」といった飛躍した見方すら出てくる。この見解に対して、別の古参組長は「こんなもの、殺しじゃない。脅しだよ。偶々、出会い頭にメンツ切ったら、出てきた男を撃った。本当は撃つ必要もなかった。どうでもいいけど、これで織田は引くに引けなくなったことだけは確かだよ」と、驚くほど筆者と同じ見方に立っていた。

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テーマ : 暴力団
ジャンル : ニュース

ボケ老人・石原慎太郎が“本物の男”と絶賛! 情弱に大人気な枝野幸男の残念な実態

筋を通して男を上げ、今や各方面からモテモテの立憲民主党・枝野幸男代表。でも、ゆるキャラのような小太りの風貌に騙されてはいけない。コイツは自分勝手で、タチの悪い偽善者なのだ。

20171229 17
例の“厚化粧の耳年増”の人気が急落したと思ったら、今度は“小太りオタク”の登場だ。立憲民主党を率いる“エダノン”こと枝野幸男の人気が凄いことになっている。2017年衆院選の選挙期間中は、どこに行っても数千人規模の聴衆が集まり、「枝野!枝野!」の大合唱。女子高生たちまで「エダノン!」とキャーキャー騒ぐほどだ。開票当日も、大半の政党が議席を減らしてお通夜ムードに包まれる中、立憲民主党だけは大躍進。序盤の情勢調査で30議席程度と予想されていたのに、公示前の15議席から3倍以上となる55議席を獲得し、野党第一党となってしまった。今や時代はエダノン。何しろ、枝野とは主義・主張が真逆の石原慎太郎までもが、「枝野は本物の男」と絶賛しているくらいなのである。しかし、そうやって枝野をヨイショする人たちは、2011年の出来事を忘れたのか? 『東京電力』福島第1原発事故が起きた時、枝野は菅直人内閣の官房長官で、連日の記者会見を不眠不休で熟していた。インターネット上では“エダる”(※頑張るの意)という造語が生まれ、今回と同じようにエダノンの活躍が国民の間でも評判を呼んだ。ところが、評価が高かったのは最初だけ。次第に発言がどんどんブレ始め、メルトダウンや放射能漏れに関する発言も殆どが嘘だったことが判明する。しかも枝野は、本来なら真っ先に国民に公開すべき筈の『緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)』の隠蔽まで指示していたのだ。その為、週刊誌の“落選させたい政治家ランキング”で堂々1位に選ばれる等、枝野への評価はまさにガタ落ちとなったのである。

それなのに、まるで原発事故当時の失態など無かったかのように“筋を通した政治家”と称賛され、今やエダノン等と呼ばれて人気者になっている――。この国の人たちというのは、どれだけ忘れっぽいのだろうか。この原発の一件でもわかるように、枝野は別に筋を通す男でもなんでもない。もっと言えば、アべだろうがユリコだろうがエダノンだろうが、そこには大きな違いなど全く無い。枝野も小池も所詮、同じ穴の貉なのである。それは、今回の選挙を振り返ってみればよくわかる。実は、枝野や立憲民主党の勢いは、有権者の間から自然発生的に生まれたものではない。“ある勢力”の演出によって、人為的に作り出されたものだったのである。その勢力とは、あの『SEALDs(シールズ)』だ。安保法制が議論されていた数年前、国会前や渋谷に毎週集まり、「戦争法案反対!」「アベ許さない」等と叫び、ラップやコールアンドレスポンス等による派手なパフォーマンスで注目を集めた学生団体がいたのを覚えている人は多い筈。あのバカ丸出しのグループの元メンバーたちが、枝野を支援していたのだ。例えば、その1つに『ツイッター』等のSNS戦略がある。今回、立憲民主党の公式ツイッターアカウントは、結党から僅か2日でフォロワー数が10万を突破。あっという間に11万6000余りの自民党を抜き、2017年10月25日現在で約18万と、全政党で断トツのフォロワー数を誇る。これは、SNS上で呼びかけて“一緒に戦う”感を演出する為にSEALDsが仕込んだものといわれる。そうでなければ、たった2日でツイッターのフォロワー数が10万になる訳がない。また、低い台に乗った枝野の周りを聴衆が囲むようなスタイルの街頭演説も、SEALDsの入れ知恵だ。通常、政治家の大規模な街頭演説は、選挙カーの上から偉そうに演説する形で行なわれる。実際、安倍首相はこのやり方だ。政治家のセンセイが下々の民衆に向かって説得するのである。しかし、取り囲まれた低い台なら聴衆と同じ目線で話せるので、“国民に寄り添う政治家”っぽい雰囲気を出すことが可能で、しかもその様子を動画や写真で撮影すれば、如何にも多くの聴衆がいるかのように映る。その動画をSEALDsの元メンバーがインターネット上にばらまいて拡散させ、然も立憲民主党に勢いがあるかのように工作した訳だ。尤も、SEALDsの元メンバーたちが枝野を応援すること自体に、何か問題がある訳ではない。自民党の選挙は地元組織や各業界団体がフル回転する組織型の選挙で、公明党の選挙では創価学会員が集票マシーンとなる。枝野の場合、それがSEALDsだったというだけの話だ。問題は、枝野とSEALDsに共通する何とも気持ちの悪い偽善者ぶりだ。枝野たちが「憲法9条改正反対!」「安保法制反対!」と叫べば叫ぶほど、そこにはインチキ臭さが漂うのである。

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テーマ : 立憲民主党
ジャンル : 政治・経済

アントニオ猪木、北朝鮮訪問32回の怪――信条無き国会議員の影にパチンコマネー

20171229 11
2017年9月、現職の国会議員としては断トツとなる32度目の北朝鮮訪問を果たしたアントニオ猪木。政府からは再三に亘って渡航自粛の要請がなされ、2013年には無届けでの訪朝を理由に30日間の登院停止処分の国会決議を受けているにも拘わらず、それでもなお北朝鮮渡航に拘る裏には、一体どんな考えがあるのか? 「スポーツ交流により、日朝両国の信頼関係を深め、平和構築に貢献する」「交流のチャンネルを持つことは大切だ」――。猪木サイドの言い分は凡そこのようなものだが、そこに日朝間の懸案事項である核や拉致問題は出てこない。猪木自身も普段日本において、それら問題について「問われれば答える」という程度で、自ら解決に向けて積極的に発信する姿勢は見られない。そうかといって、逆に北朝鮮の肩を持つ発言が目立つ訳でもなく、寧ろ北朝鮮問題には無関心のようにすら映る。今回の帰国時の記者会見でも、「アメリカや国際社会が圧力をかけ続ける限り、核開発はよりレベルの高いものになっていく」という北朝鮮側の発言を紹介するに留まり、後は「お互いの言い分がある」「自民党がどう考えるかだ」とまるで他人事なのである。猪木が最初に北朝鮮訪問を公言したのは、スポーツ平和党の党首として参議院議員の任にあった1994年のこと。「師匠である力道山の遺品を、北朝鮮に残されたその家族に届ける為」として入国を目指したが、経由地の北京で金日成の死去が伝えられると、北朝鮮国内の混乱の恐れから帰国を余儀なくされる。しかし水面下では、既に翌1995年のプロレスを中心とした一大イベント『北朝鮮平和の祭典』(※正式名称は『平和のための平壌国際体育・文化祝典』)の開催に向けて、準備が着々と進められていた。

では何故、この時期に北朝鮮でのイベント開催となったのか? 先ず、猪木は1989年の参議院初当選から任期満了が近付き、次期選挙の為のアピールをする必要があった。1991年には東京都知事選出馬表明から一転、不出馬に至るまでのごたごたが、1993年には党幹事長だった新間寿氏と公設第一秘書の佐藤久美子氏から、税金未納を始めとした様々なスキャンダル暴露があり、議員としての猪木の評判は地に落ちていた。そこで、「1990年のイラク人質解放の成功よ、もう一度」と、北朝鮮をターゲットとした訳である。一方、北朝鮮側にも事情があった。ソビエト連邦の崩壊以降は、旧ソ連からの重油供給がストップ。東側諸国との貿易も滞り、国家全体が困窮を極めていた。新たな外交ルートの開拓は体制維持の為にも急務であり、未だ拉致問題が“疑惑”に留まっていた当時の日本との友好関係構築を目指していたのだ。とはいえ、猪木個人が提案したところで簡単に話が進む筈がない。しかし、彼には日本国内の協力者がいた。在日朝鮮人脈である。「プロレスに限らず、昔から興行においては“三種の神器”と言われる存在がある。それはヤクザ、宗教団体、そして総連・民団の在日コリアン組織です。インターネット上で広くチケットの宣伝販売ができる今とは違い、手売りが中心だった時代に興行を成功させる為には、彼らの高い組織力に頼った“組織票”は欠かせないものでした」(元新日本プロレス社員)。宗教でいうならば、猪木も『崇教真光』の信者であったことが知られている。「実兄の快守さんがブラジル時代からの信者だったということもあってでしょうか。猪木さんも、試合で怪我をした若手に、所謂“手かざし”をして、『どうだい、温かくなってきただろう?』なんてやっている姿を、一時期はよく見かけました。尤も、猪木さんの場合、信者というよりは手かざしという行為自体を面白がっていただけのようにも見えましたが」(同)。兎も角、『新日本プロレス』の興行を通じて、猪木と在日勢との間には元々パイプがあったという訳だ。朝鮮系の在日勢力からすれば、日朝友好は願ってもないことであり、その尽力もあって話はトントン拍子で進んでいったが、そこで1つの難題が持ち上がった。スポーツイベントの開催にあたっては、当時、『全米バスケットボール協会(NBA)』のスーパースターだったマイケル・ジョーダンを招聘してほしいとの要望が、北朝鮮側から上がったのだ。「ところが、マイケル・ジョーダンなんて全く伝手が無い。そこで代わりに提案したのが、モハメド・アリの訪朝だった」。そう語るのは、イべント開催に向けて尽力した1人である新日の元取締役・永島勝司氏。この選択が見事に当たった。当時、既にパーキンソン病が進行していて、車椅子無しでは移動も困難な状態にあったアリだが、だからといってそのネームバリューは衰えるものではない。「結局、猪木が向こうに認められたのは、そこが一番大きかったのかもしれない」(同)。

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テーマ : 中朝韓ニュース
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アントニオ猪木独占手記、私と北朝鮮と生前葬――“燃える闘魂”が語り尽くした力道山から続く北朝鮮との因縁

20171229 07
ミサイル発射や核実験が相次いだ時期なので、今回の訪朝に様々な意見があることはわかっています。それこそ、「なんだ! 猪木は北朝鮮の太鼓持ちをするのか!?」という批判も含めてね。それに、菅義偉官房長官が会見で「全ての国民に北朝鮮への渡航の自粛を要請している。この政府の方針を踏まえ、適切に対応すべきだ」と、暗に訪朝を見送るよう求めたのも仕方がないことだと思う。実際、今の北朝鮮が日本にとって脅威であることは間違いありませんからね。ただ、私の訪朝が売名行為と言われることだけは納得がいかない。売名したければ、世論に乗って「北朝鮮に制裁を加えよ!」と叫んでいたほうがよっぽどいいですよ。私がどれだけ批判に晒されても北朝鮮問題に関わり続けているのは、一貫した政治理念があるからです。それは、「国同士がどれほど差し迫った状況に直面しても、決して交渉のドアを閉じてはいけない」ということ。1994年に初めて平壌を訪れて以来、毎年のように訪朝を重ねてきた私だからこそ出来ることもある。そう信じているんです。この9月の訪朝で、私は実に32回も北朝鮮の土を踏んだことになります。今回は、昨年と同じく朝鮮労働党の李洙墉副委員長から招待されて訪朝しました。彼は北朝鮮外交のトップに立つ大物の1人です。会談の冒頭、彼は「このご時世に大変だったと思いますが、よくいらして下さいました」と切り出しました。外交経験が豊富なので、「国際情勢も日本を巡る状況もよく理解している」と思いましたよ。私からは、「ある自民党の要人が『訪朝したい』という意向を持っている」と伝えました。勿論、安倍政権の方針もあるので、未だ正式な打診ではなく、書簡も持参していません。

ただ、自民党内にも様々な考え方の政治家がいる訳です。制裁一辺倒なだけでなく、話し合いを重視する人もいる。北朝鮮側は「テーマがはっきりとしない段階では難しいですね」という反応でしたが、最終的には「前向きに検討させて下さい」と。あの国は“お土産”を持たせる国民性があるんですね。心を許した相手は手ぶらで帰らせない。その意味では、こっちのほうが大変ですよ。交渉材料に事欠く上、制裁が始まってからは文字通りの手土産すら持ち込めない。税関では荷物を全て開けられて、本も1ページずつ捲って調べるんですからね。勿論、北朝鮮側の“前向きに”がどの程度信用できるかはわかりませんが、こちらとしてはメッセージを投げかけた。一方で、昨年、松浪(※健太代議士)さんらと共に訪れたように、自民党を含めた議員団による訪朝について水を向けると、こちらは「是非喜んで」と快諾されました。経済制裁に関する話もありましたね。新たな石油の輸出制限に踏み切る国連制裁決議の直前でしたが、「どんな制裁を受けようとも立ち向かいます。これ以上圧力をかけられるのであれば、我々はもっと厳しい措置を講じるしかありません」と言い放っていた。会談後、平壌市内も見て回りましたが、経済制裁による影響は感じられませんでした。寧ろ、10年前と比べて高層ビルが驚くほど増えた印象。兎に角、街並みが一気に近代化していた。一点だけ気になったのは、9月9日の建国記念日の祭典です。祝賀パーティーでは最高人民会議常任委員長の金永南さんとも挨拶をしましたが、いつものような軍事パレードや、派手に花火を打ち上げるということが一切無かった。来年の建国70周年記念式典に向けて資金を集中させる為、今年は質素にしたのだと思いますが。ただ、如何に国連安保理が北朝鮮への石油輸出量を年間200万バレルに制限しようと、彼らは歯牙にもかけないでしょう。中国の遼寧省から延びる石油パイプラインは止めようがないし、また、北朝鮮への接近を強めているロシアからも石油製品は供給され続けていますから。また、核実験に関しては、昨年訪朝した時点で、北朝鮮側は「もう水爆は出来上がっています」と話していました。今回の核実験の規模を考えれば、更に強力なものになっていると考えるべきでしょう。とはいえ、北朝鮮も戦争を求めている訳ではありません。ずばり言えば、北朝鮮は日本なんて相手にしていない。若し、技術的なミスで日本にミサイルが落ちでもすれば、自分たちの国がアメリカの攻撃を受けて地球上から消え失せてしまう。そんなことは彼らも十分承知していますよ。

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【人が集まる街・逃げる街】(07) 東京都港区新橋…変貌する“サラリーマンの聖地”

忘年会シーズンである。職場の同僚や友だちと飲んで、1年を通してよかったこと、上手くいかなかったことを振り返り、“今年に区切りをつける”日本人の好きな習慣の1つである。忘年会のシーンとしてよくテレビに登場するのが、港区のJR新橋駅前SL広場の光景だ。いつの頃からか、新橋は“サラリーマンの聖地”と呼ばれるようになり、テレビ画面には酔っ払ってくだを巻いたり、ネクタイを頭に巻いたりしてご機嫌な親父たちの姿が映し出される。新橋には『JR東日本』の幹線である東海道線・山手線を始め、京浜東北線・横須賀線が通る。他にも『東京メトロ』銀座線、『都営地下鉄』浅草線、また汐留側にはお台場に向かう『ゆりかもめ』、都営地下鉄大江戸線等が通り、多くの鉄道が交わる交通の要衝だ。駅前には多数の飲食店が並び、夜中まで活況を呈す。最近では外国人ビジネスパーソンや観光客の姿も目立つようになっている。どちらかといえば飲食店街のイメージが強い新橋だが、オフィスエリアとしても評価できる。官庁街を形成する霞が関や虎ノ門、大企業が集まる大手町、丸の内に近い。汐留には高級ホテルがあり、接待には近隣の銀座を使うこともできる。また、出張なら東海道線で1駅先の品川から新幹線に乗れるし、羽田空港や成田空港へのアクセスも良い。その割に、大手町や丸の内に比べてオフィス賃料が安い。エリア内に大・中・小企業が程よく分散していることが、飲み屋街でもどことなく雰囲気が崩れない要因となっている。

これまで、新橋は大型の再開発とは無縁のエリアだった。駅周辺には飲食店と中小の雑多なオフィスビルが混在。その多くは築30~40年が経過した老朽化建物である。敷地が狭いのに加え、土地の権利関係が複雑な為、開発が難しかった経緯がある。こうした新橋のイメージが、これから変わる可能性が出てきた。2014年3月、虎ノ門から新橋までの約1.4㎞の区間で、環状第2号線(※通称“マッカーサー道路”)が開通したからだ。この道路は新橋4丁目のど真ん中を通り、晴海に建設される東京オリンピックの選手村に繋がっている。今、この沿道の土地は、大手デベロッパーやゼネコンによる壮絶な“地上げ合戦”中。東京都や港区は、複数の土地を組み合わせて容積率の緩和等を図り、この沿道を大手町のようなオフィス街へ変貌させることを示唆する。新橋駅烏森口前の『ニュー新橋ビル』、及び汐留口の『新橋駅前ビル』が超高層ビルに建て替えられる等、駅前再開発の計画も決まっている。但し、課題もある。開発計画のエリアから外れた中小オフィスビルのオーナーの高齢化が進み、相続や事業承継という厄介な問題が目前に迫ってきているのだ。このような時代情勢は、新橋にどんな変化を促すのか? 外資系企業やIT・通信系企業の社員が集まる街へと変貌していくかもしれないし、親父たちが飲み歩く姿も消え去っていくかもしれない。とはいえ、大手町のような洗練されたサラリーマンの為のオフィス街がいくらあっても、そこに文化と呼べるものは生まれ難い。再開発では是非、新橋の持つノスタルジックな街の雰囲気を継承してほしい。そうすれば、若者やおじさんが集って遊ぶ新たな文化も生まれるだろう。


牧野和弘(まきの・ともひろ) 不動産事業プロデューサー。1959年、アメリカ合衆国生まれ。東京大学経済学部卒。『第一勧業銀行』(※現在の『みずほ銀行』)や『ボストンコンサルティンググループ』を経て、1989年に『三井不動産』に入社。『三井不動産ホテルマネジメント』に出向した後、2006年に『日本コマーシャル投資法人』執行役員に就任し、J-REET(不動産投資信託)市場に上場。2009年に『株式会社オフィス・牧野』、及び『オラガHSC株式会社』を設立し、代表取締役に就任。2015年に『オラガ総研株式会社』を設立し、代表取締役に就任。著書に『なぜビジネスホテルは、一泊四千円でやっていけるのか』(祥伝社新書)・『2020年マンション大崩壊』(文春新書)等。


キャプチャ  2017年12月23日号掲載

テーマ : 住宅・不動産
ジャンル : ライフ

【US Affairs】(07) ロシア疑惑のカギを握る大統領の税務書類

「あれはロビイストだな」「あそこで談笑しているのはホワイトハウスのスタッフじゃないか?」――。薄暗いバーの中、コの字型のカウンターを一瞥し、2人の雑誌記者が声を潜める。視線の先では、ブラックスーツを着こなした白人の男女が談笑している。バーがあるのは、ホワイトハウスから徒歩十数分の『トランプインターナショナルホテル』。嘗て中央郵便局として使われていた歴史的建造物を全面的にリニューアルし、昨年9月に超豪華ホテルとして開業した。今ではアメリカの政財界や外国政府の関係者、ロビイストが集う権力の中心地と化しており、パーティー会場では連日のように中東各国の大使館や圧力団体がイべントを開催している。冒頭のように客の出入りを観察するのは、ドナルド・トランプ大統領の疑惑を追及してきた隔月刊誌『マザージョーンズ』の記者たちだ。同誌のラス・チョーマ記者は、「このホテルはトランプ大統領の利益相反の恐れがある」と言う。ここで言う利益相反とは、大統領が個人的な利益を優先させ、本来行なうべき政策を取らないことを意味する。歴代最低と言われる支持率の背景には、「トランプ大統領が政治を私的な経済活動に利用しているのでは?」というアメリカ国民の疑念がある。仮にホテルの利用料金として法外な資金が動いていたとしても、現状の制度では誰も証明することはできない。「私は自分の企業もこの国も同時に偉大にできるが、それをやらない」。1年前の大統領就任式直前の記者会見で利益相反を糾弾されたトランプ氏は、「ホテルを含めた傘下の不動産会社を2人の息子に譲り、経営権を手放した」と釈明している。にも拘わらず、国民の疑念は全く払拭されていない。トランプ大統領は依然として同社の筆頭株主であり、事実上のトップの地位に留まっている。トランプ大統領は配当を含めて、このホテルの利益を得る立場にあるという訳だ。

この問題を、単なる倫理上の問題として片付けることはできない。利益相反の問題が、ロシアゲートと繋がる可能性がある。ロシアゲートとは、ロシアによるアメリカ大統領選への干渉と、トランプ陣営とロシアの癒着についての疑惑を巡る問題だ。本件は、特別検察官である『連邦捜査局(FBI)』のロバート・モラー元長官が捜査を進めている。全米メディアの関心は、税務書類を管理する内国歳入庁(IRS)に、モラー氏が税務書類の提供を求めるかどうかに集まっている。というのも、トランプ大統領の息子であるエリック氏が、過去にゴルフ雑誌のインタビューで「ロシアから融資を受けられるので、アメリカの銀行を相手にする必要はない」と発言しているのが記録されているからだ。エリック氏は現在、その発言を否定しており、発言内容の真偽は定かではない。カギを握るのは、“タックスリターン”と呼ばれる税務書類だ。歴代の大統領は、収入・資産・債務の全てが記されたこの税務書類を任意で開示してきたが、トランプ大統領は開示を拒否し続けている。「タックスリターンを見れば、トランプ大統領とロシアとの関係が書かれている可能性がある」(前出のチョーマ記者)。勿論、ロシアから多額の融資を受けていたとしても、即、それが違法とはならない。トランプ大統領がウラジーミル・プーチン政権との関係改善に前向きなことは、決して悪い話ではない。しかし万が一、バラク・オバマ前政権が科したロシアへの制裁を解除するとなれば、利益相反の疑いは増す。与党の共和党議員としても、トランプ大統領支持の立場を継続することは難しくなる。今後はモラー氏の捜査結果を基に、先ずは435人いる下院で弾劾の手続きに進むかどうかを議論することとなる。民主党議員に加えて共和党下院議員239人中25人が賛成すれば、弾劾に向けた手続きが始まる。尤も、仮に手続きが始まったとしても、上院も共和党が過半を握っている現状では、実際に弾劾が可決される可能性は低い。とはいえ、アメリカのジャーナリストの間では、「プライドの高いトランプ大統領は、弾劾の手続きが開始され、議会での辛辣な質問が始まれば、弾劾に至らずとも嫌気が差して辞任するだろう」と見る向きが多い。タックスリターン開示へ踏み込めれば、来年のトランプ政権には大きな波乱を生みそうだ。


立岩陽一郎(たていわ・よういちろう) NPO法人『ニュースのタネ』編集長・アメリカン大学客員研究員。1967年、神奈川県生まれ。放送大学大学院修士課程修了。一橋大学卒業後、『NHK』に入局。沖縄放送局・テヘラン特派員・社会部・大阪放送局・国際放送局デスク等を経て、調査報道を手掛ける認定NPO法人『iAsia』と、インターネット上で政治団体の収支報告書を公開する公益財団法人『政治資金センター』を設立。


キャプチャ  2017年12月23日号掲載

テーマ : アメリカお家事情
ジャンル : 政治・経済

【LEADERS・経営者に聞く】(06) 「変わらなければ消滅する」――角川歴彦氏(『カドカワ』会長)

旧『角川書店』の創業一族である角川氏は3年前、『ニコニコ動画』で台頭したIT企業『ドワンゴ』と経営統合する道を選んだ。激動するデジタル化時代と、その生き残り策を聞く。 (聞き手/編集委員 近藤和行)

20171229 05
「私たちは、アナログからデジタルに切り替わる時代の真っ只中にいます。デジタル時代は動的でダイナミックな世界です。考え方や仕組みが根本から変わった。製造業はアメリカのデジタル化戦略にやられた。部品の標準化、ハード機器の汎用化で、テレビ・パソコン・携帯電話は、部品を買ってくれば誰でも製品化できるようになった。日本の競争力は失われ、勢力図が一気に塗りかわった。AppleやGoogle等の隆盛と日本の苦境の起点はそこにある。未来から振り返れば『面白い時代だった』ということになるのかもしれませんが」。デジタル化は“コンテンツ”にも及ぶ。映画・放送・ゲーム等の映像系から、音楽・書籍・ニュース等、あらゆる分野にその影響は出ている。「AppleはiPhoneという機器の強みもある。でも、そこに行けば音楽・映画・書籍・ゲーム等、あらゆるものが楽しめ、必要なアプリもある。デジタル化を背景に、そんな土俵を作り上げたのが大きい。著作権者もアプリ開発者も私たちユーザーも、全てを囲い込む自前の“プラットホーム”を作り、モノポリー(独占者)となった。勝者が総取りで圧倒的な成功を収める。その流れを見ると、全ての産業は“再定義”される時代に入ったと思います。業界再編とか企業再編という甘いレベルじゃない。今の事業が消えて無くなるとか、業態が全く違う会社に衣替えするとか、ね。写真フィルム大手だった富士フイルムは、デジタル化で環境が一変し、市場消滅を経験した。今は液晶フィルム・医療機器・医薬品が柱の会社に見事に生まれ変わった。つまり、社会に“再定義される”前に、自分で自分を定義し直して成功した。逆に変化に対応できないと、支持を失い、軈て消滅するんです」。

「出版もそう。書店の棚を取った取られたなんていう業界内の狭い世界の争いをやっていた。それが突然、Amazonが電子書籍で競争に加わった。Amazonって、Appleやマイクロソフト等と時価総額で世界トップを争う巨大会社ですよ。気がつけば、何百倍もの体力を持つ相手と戦っている。デジタル化による規格の統一は、“黒船”に門戸を開いた。その本質は、言語の壁が崩れ、グローバル競争の渦中に投げ込まれることです。映画も放送も例外ではない。今後は寧ろ、そこが主戦場になる。そして、きっと新たなモノポリーが登場する。だから、僕はドワンゴとの統合を選んだ」。2014年秋、出版大手『KADOKAWA』(※旧社名は角川書店)は、ニコニコ動画のドワンゴとの経営統合に踏み切った。「『時代に合わせて変わらなければ』と決断した。周囲から色々言われましたよ。でも、僕は父・源義から“変わること”を学んでいた。松尾芭蕉の俳諧の理念“不易流行”が、父は好きでした。解釈は様々だけど、父は『流行を追ってこそ、変わらないものが見えてくる』と理解していた。『変わるものを追い求めろ。すると、何が変わらない価値なのかが見えてくる』と、僕に遺言したのだと思います。ならば、出版社だって変わらないといけない。だから(会社の業態が全く変わっても)父は許してくれると思った。『自前のデジタルプラットホームを作り、流通を押さえないと、AppleやGoogleにやられっ放しになる』との危機感があった。ただ、それには手間もカネもかかる。そこで、誰かその基盤を持っていないか考えたら、それがドワンゴだった。経営統合の初期的な意味はそこにある。僕には転機が2度あった。幼い頃、将棋を始めた。父に言われて嫌々です。父は私を連れ、将棋仲間の(作家の)井伏鱒二さんの家に行って自慢した。『うちの子は日本将棋連盟の“名人の卵の会”に入った』と。僕は父を喜ばせたくて、勝とうと頑張った。すっかり将棋指しになるつもりでした。ところが、ある日突然、父は『お前を将棋指しにするつもりはない』と言った。大学を出る頃、『会社に来い。そして金庫番をやれ』と指示された。もう一度は、兄の後を継いで社長になった時」。角川氏は兄・春樹氏との経営方針の違いから、1992年に会社を去り、新会社で“電撃”を冠したゲーム雑誌や支庫を発行した。約1年後、春樹氏の社長退任を受け、角川書店に復帰する。「堺屋太一さんの本に“豊臣秀長 ある補佐役の生涯”(PHP文庫)がある。読んで感動した。『僕の一生は(兄・秀吉を支えた)秀長でいい』と思った。会社で僕は営業や出版を担当し、映画でヒットを飛ばす兄を支える役割に不満は無かった。だから、会社を離れた時は脱力感で一杯だった。復帰して社長になったら、今度は『僕に秀吉ができるのか?』と悩んだ。でも、新会社を起こして出版物を出した経験が役立った。創業者としての経験は、経営者としての自信にもなった」。

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