fc2ブログ

【水曜スペシャル】(606) カルテル問題の幕引きを急ぐ関西電力…電気事業連合会の会長狙いが丸見え

20230531 05
『関西電力』が電力カルテルの関係者処分を発表し、幕引きを急いでいることに、不信が高まっている。森望社長(※左画像)は、岩根茂樹元社長、森本孝前社長ら旧経営陣に報酬の自主返納を求める一方、自らも報酬を50%、3ヵ月減額するが、事件は旧経営陣が行なったことで「自分は関わっていない」と強調した。電力各社は“禊”を早く済ませ、「来春の電気事業連合会会長を狙う意図が丸見え」とする。過去四代、社長が真面な辞め方をしていない関電。「森氏を守って電事連会長へ就かせ、青森県への使用済み核燃料の中間貯蔵を実現する」意図があるようだ。今回の森本氏の処分で、昨年6月の同氏の唐突な社長辞任も、経営責任回避だったことが明らかになった。『中国電力』は、カルテルに直接関与していない瀧本夏彦社長が辞任表明。『中部電力』の林欣吾社長も『東邦ガス』とのカルテル裁定が残っており、年内辞任の観測は根強い。「その時、森さんは居座れるのか」と電力関係者は疑問を投げかける。


キャプチャ  2023年5月号掲載

テーマ : 経済ニュース
ジャンル : ニュース

【水曜スペシャル】(605) 又もトヨタ自動車社長のごり押しで迷走する東京モーターショー

20230531 04
今年、4年ぶりに開催される予定の『東京モーターショー』の看板が『ジャパンモビリティショー』に掛け替えられ、関係者から疑問の声が上がっている。背景には、『トヨタ自動車』の豊田章男会長の意向があったようだ。関係者によると、章男氏は当初、『ジャパンオールインダストリーショー』にする方針だったようだが、全産業を巻き込むことになる為、周囲が止めたという。本人が経団連のモビリティ委員会のトップであることから、モビリティショーという名称に落ち着いた。名称変更にともなって「自動車業界以外からの出展社を集めるようにと、加盟社に呼びかけている」(業界紙記者)というが、難航している。開催まで半年をきった春の段階になって、契約している電力会社に声をかけるようにと割り当てが始まったという。担当者からは「取引先に出展料を負担してくれとは言えない」と悲鳴が上がる。メガバンク各社は「トヨタとの関係を強化する為、出展に前向き」(前出の記者)というが、来場者の興味をひきそうもない。「どんなショーになるのかわからない」(同)との不安ばかりが募る。


キャプチャ  2023年5月号掲載

テーマ : 自動車バイクのニュース!
ジャンル : ニュース

【村西とおるの「全裸で出直せ!」】(200) やってしまったことより、これからやることに頭とエネルギーを注入しよう

イギリスの公共放送『BBC』が取り上げた、『ジャニーズ事務所』の創業者・ジャニー喜多川氏による、過去数十年に及ぶ、所属する未成年タレントへの加害の問題の核心は、そうした忌まわしい性犯罪の出来事をこれまで隠蔽してきたジャニーズ事務所という、日本最大の芸能事務所のガバナンス能力にあります。日本を代表する大企業のCMに所属タレントを輩出する存在でありながら、「あれは創業者のやったこと」と知らぬ存ぜぬとの、まるで他人事の如き言い訳が許されるのかということです。現在の藤島ジュリー景子社長や白波瀬傑副社長は、恰も自分は創業者のジャニー喜多川氏とは関係ない立場にいた如くに装っていますが、実態はそうではありません。この連載で明らかにしたように、ジュリー社長さま御一同は運命共同体で、スキャンダルの隠蔽に取り組んできています。今日のジャニーズ事務所の芸能界における大きな存在感、影響力を考えれば、現在の企業経営責任者であるジュリー社長さまは、“一片のビデオコメント”で済ませることなく、メディアの前で、質疑応答で納得のいくまでの説明責任を果たすべきでございましょう。それが、日本を代表する企業のCM出演のタレントを派遣してきた芸能事務所の社会的責任でございます。また、今回のジャニー喜多川氏の性加害で最も大きな問題であると指摘しなければならないのは、日本のテレビ局の“報道しない自由”の在り方です。

普段、芸能人の色恋沙汰や闇営業といったスキャンダルには、ドブにはまった野良犬を死ねとばかりに容赦なく、朝から晩まで叩くくせに、ジャニー喜多川氏による性加害には“見ざる・言わざる・聞かざる”の三猿となって無視してきたことです。“皆様のNHK”でさえも、本来なら大きく取り上げるべきこの日本最大の芸能プロダクションのジャニー喜多川氏による性加害の忌まわしき出来事を、殆ど報じることなくやり過ごしてきました。私がジャニー喜多川氏の未成年少年への性加害を取り上げたのは1988年でしたが、それから30年余りもジャニー喜多川氏は、80歳を超えてもなお、未成年少年への“掘って掘って掘りまくる”性炭鉱夫の、世界の性犯罪史上類を見ない程の性加害を続けたのです。このことがトラウマとなり、人生を棒に振ることになったのは、北公次氏のみではありませんが、そうした気の毒な年端もいかない未成年の被害者を生んだのは、取りも直さず、“長いものには巻かれろ”のジャニーズのバター犬となって、臭いものに蓋をしてきたテレビ局の責任でもあります。若しこれが未成年の少女であっても、同じようにないものとしたのか、未成年少年だったからなかったことにして済ませていたのか、その公共の電波を預かるテレビ局のモラルが厳しく問われているのです。


村西とおる(むらにし・とおる) AV監督。本名は草野博美。1948年、福島県生まれ。高校卒業後に上京し、水商売や英会話教材のセールスマン等を経て裏本の制作・販売を展開。1984年からAV監督に転身。これまで3000本の作品を世に送り出し、“昭和最後のエロ事師”を自任。著書に『村西とおるの閻魔帳 “人生は喜ばせごっこ”でございます。』(コスモの本)・『村西とおる監督の“大人の相談室”』(サプライズBOOK)等。


キャプチャ  2023年6月1日号掲載

テーマ : 人生を豊かに生きる
ジャンル : 心と身体

【日朝文化史のリアル】(26) 永田絃次郎の帰郷(下)…反転した“光”と“影”

20230531 03
〈私は自由主義経済を支持している。しかし、(北)朝鮮の実情をつぶさに視察して感じたことは朝鮮の一糸乱れぬ国家建設ぶり…〉。これは1960(昭和35)年、北朝鮮を視察したある自民党国会議員の感想だ。訪朝の目的は、前年12月にスタートした北朝鮮への帰国事業の視察である。“絶賛コメント”は続く。〈(北朝鮮の)清津で第14次帰国者の歓迎の模様をみたが、あの熱狂的なまでの民族愛あふれる歓迎の姿を涙なしでは見られなかった。とにかく帰国者の状況は一言でいって地獄から天国へ行ったも同然だ…〉。掲載されたのが『朝鮮総連(在日本朝鮮人総連合会)』系の新聞だとはいえ、“地獄(日本)から天国(北朝鮮)”とは、一体、何を見てきたのか。同行した社会党(※当時)議員は、北へ渡った日本人妻の境遇に触れている。〈…数人の“日本人妻”に会ったが、何一つ心配がないから、日本に残った“日本人妻”も、心配しないで帰国するようにいっていた。帰国者は物心両面でみな満足していた〉。この頃、帰国事業は在日朝鮮人社会で熱狂的な支持を集めていた。“地上の楽園”という触れ込みの国(=北朝鮮)に行けば、幸福な生活が待っている…。北朝鮮を持ち上げたのは、冒頭の政治家だけではない。本紙を含む大手紙、テレビ局等の記者が訪朝し、北朝鮮を絶賛する記事を書いたのである。1960年1月にテノール歌手の永田絃次郎(※1909-1985、朝鮮名は金永吉)が一家で帰国した頃、事業はまさに絶頂期にあった。

永田一家が帰国船に乗る約1週間前、東京の九段会館で永田の『さよなら独唱会(金永吉帰国独唱会)』が開かれている。詰めかけた観客は2000人以上。会場周辺は、真冬の寒さを吹き飛ばす熱気に包まれていた。演出家の千田是也、その妻で女優の岸輝子ら芸能関係者が駆け付けた他、朝鮮総連議長の韓徳銖が挨拶に立ち、永田が所属した『藤原歌劇団』の藤原義江もメッセージを寄せ、“永田の旅立ち”にエールを送っている。この数十年後、在日2世の音楽プロデューサーである李喆雨(83)が北朝鮮で会った永田の長女、和美(※昭和14年生まれ)は独唱会のプログラムを大事に持っていた。家族にとっても、この日の父親は輝いて見えたことだろう。永田が歌った曲目は日・欧・朝がミックスされ、それまでの歌手人生を象徴するような歌が選ばれている。最初はグノー作曲のオペラ『ファウスト』からの1曲。日本の曲は、帰国船上でも歌った滝廉太郎作曲の『荒城の月』等だ。故国・朝鮮の曲では、2種類の『アリラン』が目を引く。最後は藤原歌劇団と『朝鮮中央芸術団』(※現在の『金剛山歌劇団』)のメンバーが加わり、大合唱になった。実は、この時まで永田の歌手人生は下降線を辿る一方だった。仕事は減り、生活は苦しい。ところが、帰国事業への参加を決めた途端、再びメディアのスポットライトを浴びたのである。突然、日かげから日なたへ躍り出たかのように…。帰国直後の高揚感溢れた永田の手記が残っている。「精神年齢は十余年も若返った」「かつてこのような生きがいある生活を経験したことがあったであろうか」。北朝鮮へ到着して約1週間後、永田は平壌の名門劇場で早速、独唱会を開く。だが、曲目は帰国前の九段会館でのリサイタルとは全く違っていた。日本やヨーロッパの曲は許されず、全て“朝鮮の歌”である。公演終了後に、北朝鮮の最高権力者である金日成が態々楽屋に永田を訪ねて、その歌を称賛したのは、極めて異例の“厚遇”であった。この時の永田は、その感慨に浸り、好きな歌を歌えないことも、然程気にかけていなかったに違いない。「何れ歌えるだろう。私は首領様に称賛される程の歌手なんだ」。だが、そんなチャンスは二度と来なかったのである。永田の歌手人生において、“光”と“影”が反転したことは以前にもあった。1928(昭和3)年に日本へ来た永田が、陸軍戸山学校軍楽隊生徒になったことは、本連載の前々回で書いた。作曲家の團伊玖磨や芥川也寸志は、軍楽隊の後輩にあたる。彼らは朝鮮から来た先輩歌手(=永田)のことをよく知っていた。永田は、(1950年代に訪朝したとされる)芥川から北朝鮮音楽界の素晴らしさを伝えられたと書き残しているし、1980~1990年代に訪朝した團は永田の行方を気にかけていたという。後輩2人が『東京音楽学校』(※現在の東京藝術大学)から戦時中、緊急避難的に軍楽隊へ来たのに対し、永田は音楽学校で学んでいない。この為、権威ある『音楽コンクール』(※現在の『日本音楽コンクール』)に出場し、1933年、第2回の声楽部門で2位に入選する。同じ2位には、やはり音楽学校出身でない東海林太郎がいた。1936年には、東京の歌舞伎座で開催されたオペラ『蝶々夫人』公演で、世界的ソプラノ歌手である三浦環の相手役(※ピンカートン役)に抜擢される。NHKラジオ『国民歌謡』で歌った『朝』も評判を呼び、一躍スターダムに乗った。だが、戦争の足音と共に、永田も戦時歌謡等、軍事色の強い曲を歌う機会が増えてゆく。中でも、日中戦争が始まった1937年、内閣情報部の肝煎りで、各レコード会社専属歌手が共演した『愛国行進曲』は、計100万枚を超える大ヒットを記録。永田は『キングレコード』のエースとして、この曲を歌っている。他にも『愛馬進軍歌』・『出征兵士を送る歌』・『紀元二千六百年』等、“時代”を感じさせる曲は多い。1941年には、日本軍の朝鮮軍報道部が製作した映画『君と僕』にも出演した。朝鮮人志願兵として最初の戦死者となった兵士をモデルにしたプロパガンダ映画で、永田は主演と主題歌を担当。相手役は、満映の大スターだった李香蘭(※大鷹淑子)である。永田のこうした“過去”が、ずっと後になって韓国で槍玉に挙げられてしまう。2009年、韓国で出版された『親日人名辞典』に永田の名前と経歴が掲載され、「日本軍へ協力した」とあしざまに非難されたのだ。だが、永田に限らず、日本統治時代に“仕事”をした殆どの朝鮮人は“有能”だったからこそ、軍部や日本政府から多くの仕事を依頼されたのではなかったか。永田を知る人は「彼は純粋な人だった」と口を揃えている。「好きな歌を思う存分歌いたい」。永田は真っ直ぐ自分の気持ちに沿って生きただけだった。チャンスをくれるのならば、軍にも協力するし、北朝鮮にも行く。“光”と“影”を反転させたのは政治や社会であり、メディアである。 《敬称略》 (編集委員 喜多由浩)


キャプチャ  2022年7月27日付掲載

テーマ : 北朝鮮問題
ジャンル : 政治・経済

【コロナ禍3年・正常化への道】(03) 脱マスク、難しい判断

https://www.yomiuri.co.jp/national/20230117-OYT1T50028/


キャプチャ  2023年1月17日付掲載

テーマ : 医療ニュース
ジャンル : ニュース

【コロナ禍3年・正常化への道】(02) 高齢者を守る医療急務

https://www.yomiuri.co.jp/politics/20230114-OYT1T50289/


キャプチャ  2023年1月15日付掲載

テーマ : 医療ニュース
ジャンル : ニュース

【コロナ禍3年・正常化への道】(01) 5類移行、時機探る

https://www.yomiuri.co.jp/politics/20230113-OYT1T50372/


キャプチャ  2023年1月14日付掲載

テーマ : 医療ニュース
ジャンル : ニュース

【堀川惠子エッセイ】(05) バレンボイムのチケット

20230531 02
初夏の熱気にテールライトが滲み始めた夕暮れの首都高速3号線、窓を全開に六本木のサントリーホールへと愛車を飛ばした。日本で16年ぶりにダニエル・バレンボイムの単独ピアノリサイタルが開催される。演目はベートーヴェンの後期三大ソナタ、スコアはすべて頭にある。コンサートは去年の6月4日。本紙夕刊で来日の知らせを知った時、チケットはすでに完売していた。あきらめきれず毎朝ネットを覗いていたら直前に数席の空きが! それも演奏者の手元がばっちり見える絶好の位置だ。ちょうど数日前、息も絶え絶えに『暁の宇品』(※講談社)を校了したばかり。これは天からのご褒美か、はたまた後半生の運を使い切ったか。ホールは熱気に満ちていた。音楽評論家やピアニストたちの談笑。特注の平行弦マーネ・ピアノの前には人だかり。コロナ禍で忘れかけていた空気だ。19時過ぎ、白いライトの中に78歳の巨匠が現れた。万雷の拍手に惜しみなく手を振ってこたえ、椅子に吸い込まれるように着席。一転、空気が締まった。2000人の聴衆が息をのむ沈黙のすごみ。ここからのことは、うまく書けそうにない。そう、真っ暗な天上から舞い落ちる粉雪のように柔らかく静謐な音色。人生の苦しみも哀しみもすべて肯定するような濁りのない響き。壇上の人はまるで気負う風もなく、幼子が無心に鍵盤に向かうように淡々と音を紡ぐ。第31番終楽章。ト短調で涙腺が崩壊した。胸の奥に沈殿させていた記憶がメリーゴーラウンドのように廻り始める。浮かぶのは、思い出したくもない辛い光景ばかり。なのに胸にじわじわ広がるのは、嘆きや哀しみではなく、深い感謝の念――。4年前、夫を喪った。自分はもう二度と心の底からの喜びは味わえないだろうと思っていた。乾いた砂浜を潤す満ち潮のように、身体の芯から静かにこみあげてくる幸福感。懐かしい温もりが全身を包む。目をつむり、生きていこう、心からそう思えた。あの日の音色は玉手箱の中に大切にしまっている。 =おわり


堀川惠子(ほりかわ・けいこ) ノンフィクション作家。1969年、広島県生まれ。『暁の宇品』(※大佛次郎賞)、『狼の義』(※林新と共著、司馬遼太郎賞)、『原爆供養塔』(※大宅壮一ノンフィクション賞)、『教誨師』(※城山三郎賞)等。趣味は車と船の運転。


キャプチャ  2022年10月21日付夕刊掲載

テーマ : ピアノ
ジャンル : 音楽

【水曜スペシャル】(604) 先端半導体『ラピダス』の工場予定地、課題だらけの北海道立地に疑問の声

20230531 01
最先端半導体の国産化を果たすべく、鳴り物入りで昨年発足した『ラピダス』。2月末には北海道千歳市に工場建設予定地が決まったが、関係者の間では「課題だらけの立地だ」と不評だ。小池淳義社長は立地について、「水や電力のインフラ、自然環境との調和でも半導体生産に最適だ」とした。半導体事業の観点から有望視したととれる表現だ。しかし、関係者は「北海道は冬季の電力供給に不安があり、現状、半導体関連企業の進出が進んでいない。人の確保も困難」と話す。ラピダスに関与する半導体関係者は元々、誰も北海道を希望しておらず、「北海道に立地が決まったのは完全に政治的な要因。地域振興に半導体を絡めたいと、地元の政界から強力なプッシュがあったようだ」(同)との指摘がある。地元の意気込みとは裏腹に、「ラピダスに絡んで進出の誘いを受けているが、現地で技能を持った従業員を確保するのも覚束ない」と、業界関係者からは不安が漏れる。工場を誘致しても、受け皿整備が不十分では地域振興にならず、国産最先端半導体の生産に早くも暗雲が漂い始めた。


キャプチャ  2023年5月号掲載

テーマ : 地域のニュース
ジャンル : ニュース

【火曜特集】(606) アメリカが日本に警告! 北朝鮮ミサイルに“警察OB天下り企業”の影

20230530 13
次々とミサイルを発射する北朝鮮だが、これに日本が深く関係していることが新たに判明した。昨年末、アメリカの情報当局から日本の警察当局に、こんな情報が寄せられた。警察筋が語る。「特殊技術を持つ日本の企業が中国の餌食になっている。問題は、この技術がミサイル関連のものであることだ。しかも、北朝鮮も手を伸ばしている。というか、抑もこの企業からの技術供与が確認されたきっかけが北朝鮮のミサイル発射だった。近年、北朝鮮はミサイルを移動の上、発射するという機動性を見せていた為、詳細を探ったところ、運搬に関わる特殊技術を持つこの企業が浮上した。そして、これが中国に対する分析にも貢献した。ミサイルの移動は各国が行なっているが、では中国はどのようにして行なっているかと探ってみると、同じ技術であることが判明した」。同筋によると、アメリカは以下のような警告も発したという。「この企業には警察幹部OBが天下っているようだが、警備公安情報が漏れることのないよう、しっかりとやってもらいたい」。更に、警察の天下りについて、今後はどのような企業であるかをきちんと調べた上で行なうよう要請したともいう。規制する側の問題点をも指摘したわけである。問題の企業は幾つもの点からマークされていたということだが、重量物の運搬等を主に事業を展開している。調べてみると、実績が豊富であり、技術力にも定評があること、また問題視されているOBは高位の幹部であったこと等も確認できた。

「盲点だった。我々のチェック対象から漏れていた。今後、どんな人脈を通じ、どういった経緯で技術供与に至ったのか、調べ上げていく。アメリカ側は警告と同時に、その要請も行なっている為、早急にと努めている」(前出の警察筋)。直近の捜査では、自衛隊にPCR検査キットを納入する中で隊員の情報を窃取していた中国系医療機関の中国人医師らと、同社の代表が連絡を取り合っていることが確認されたという。これらの証言からすると、ミサイル運搬に関わる特殊技術の流出は、発覚の経緯とは逆に中国経由で北朝鮮に齎されたと見るのが妥当のようだ。それにしても、経済的に厳しい北朝鮮が、何故多額の費用がかかるミサイルを頻繁に打ち上げるのだろうか。ウクライナへ侵攻を続け、武器や兵器が逼迫状況にあるロシアへのビジネスが視野にあるのでは――。そんなことが頭を過ったものの、そうではないようだ。国際情勢に通じる外事関係者が語る。「ロシアに兵器や武器を売るなんて、北朝鮮は考えていない。抑もロシアは他国にカネを払うような国ではないので、商売にならない。そのあたりは北朝鮮もよくわかっている。尤も、ウクライナ情勢が北朝鮮のミサイル乱射に関係しているのは間違いない。ただ、その理由は相変わらずで、アメリカに振り向いてほしいだけ。『ウクライナ支援ばかりに力を入れるのではなく、我々にも向き合ってほしい』というメッセージだ」。この関係者によれば、アメリカの対北朝鮮レポートでもそうした分析がなされているという。日本への警告等も、このレポートを元に発せられたとも付言したが、肝心の北朝鮮からのメッセージには応じる気はないようだ。「アメリカは、こんなことも言っている。『ミサイル発射の場に伴った金正恩の娘は替え玉で、本人ではないが、一体何故、そんなことをしてまで公に顔を晒したのか判断不能であり、こうしたことも含め、真っ当な交渉ができる状況にはない』と。つまり、金正恩は狂っているんじゃないか、というのが本音だ」。何とも厄介な国である。 (取材・文/フリージャーナリスト 時任兼作)


キャプチャ  2023年5月号掲載

テーマ : 中朝韓ニュース
ジャンル : ニュース

轮廓

George Clooney

Author:George Clooney

最新文章
档案
分类
计数器
排名

FC2Blog Ranking

广告
搜索
RSS链接
链接