fc2ブログ

【木曜ニュースX】(180) “貸株再解禁”で水野弘道カラーの一掃を図るGPIF

20220331 08
公的マネー約180兆円を運用する世界最大級の機関投資家『年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)』が、保有株をヘッジファンド等に貸し出す“貸株”を再び解禁する方向で検討していることが判明し、市場の関心を集めている。貸株を巡っては、安倍晋三政権の後押しで2015年にGPIF理事兼CIOに抜擢された水野弘道(※元英ファンドパートナー、現国連特使)が、2019年12月に「ヘッジファンドの片棒を担ぐのは公的機関として望ましくない」等として、独断で停止した経緯がある。だが、市場では、空売りについて「株式の流動性を高め、適正な株価形成に役立っている」(東証筋)と評価されている。また、貸株停止によりGPIFが年間約120億円程度の手数料収入を失ったことには、専門家から「貸株料収入を確保して運用成績を高めるのも後関投資家の受託者責任の一環。その責任を放棄している」等と批判する声も出ていた。水野が貸株停止を強引に進めた背景に、大量の空売りに悩まされていたアメリカの有名ベンチャー経営者、イーロン・マスクの強い意向があったことは公然の秘密。水野はCIO退任後の2020年4月には、マスクが経営するアメリカの電気自動車大手『テスラ』の社外取締役にちゃっかり収まり、多額の収入を得たとされ、霞が関では“新政商”と有難くない綽名まで頂戴した程だ。前理事長と水野の醜悪な内ゲバもあって体制が刷新されたGPIFでは、元『ゴールドマンサックス』日本法人取締役の植田栄治がCIOに起用された。植田は「マーケットを熟知した人物」(関係筋)といい、水野時代の“負の遺産”を一掃する意味も込めて、貸株の再解禁に情熱を燃やしているという。 《敬称略》


キャプチャ  2022年4月号掲載

テーマ : 経済ニュース
ジャンル : ニュース

【木曜ニュースX】(179) 生命保険各社に“公的保険PR”を強いる金融庁の筋違い

20220331 07
「民間の生命保険会社に国の公的保険制度までPRしろとは…。筋違いも甚だしい」。金融庁が昨年末に改正した生保営業に関わる新監督指針に、不満の声が渦巻いている。生保レディーらが自社商品の契約を勧誘する際、顧客が公的年金や健康保険でどれだけ保障が得られるかを説明せよ、と求めているのだ。民間の保険はあくまで“公的保険の保管”と明示する必要もある。生活資金や入院費用の不足等、老後の不安を強調して個人年金保険や医療保険への加入を薦める生保の“煽り営業”に釘を刺す狙いという。実際、近年は小金持ちの高齢者ら特定顧客を狙い打ちした煽り営業で多数の保険に加入させる“過剰契約”が問題化。2019年に発覚した『かんぽ生命』の不正販売を巡っては、90代女性が10年間に50件以上の保険を契約・解約した例があったのも確か。金融庁幹部は「煽り営業による不正は業界の構造的な問題」と、是正の必要性を強調する。ただ、当局が俄かに熱を上げた背景には、官邸幹部の意向が取り沙汰される。関係筋によると、41歳の若さで首相補佐官に抜擢された財務省出身の衆議院議員、村井英樹が「自分の親類も被害に遭った」として、金融庁長官の中島淳一らに是正指導を強く迫ったという。官邸をバックに付けた当局の強硬姿勢に、生保各社は渋々、営業手法の見直しに動いている。だが、少子高齢化で社会保障制度の土台が揺らいでおり、公的年金の受給開始年齢引き上げ等で老後に不安を感じる人は多い。3年前には金融庁自身が「老後資金が2000万円不足する」との報告書を纏めた。そんな過去など忘れたかのように、生保に公的保険の不安隠しの片棒を担がせるとは、まさに筋違いだろう。 《敬称略》


キャプチャ  2022年4月号掲載

テーマ : 経済ニュース
ジャンル : ニュース

【誰の味方でもありません】(242) こんな簡単に成仏ができるなんて!

https://www.dailyshincho.jp/article/2022/03310555/?all=1


キャプチャ  2022年3月31日号掲載

テーマ : 政治・経済・社会問題なんでも
ジャンル : 政治・経済

【感染症と共生するケニア】(中) 遅れるマラリア発見

20220331 06
赤茶けた道の脇に、とうもろこしの一種であるメイズの茂みが青々と連なる。ケニア西部、ビヒガの村は高温多湿で、東京の真夏を思わせる。マラリアを媒介する蚊が発生し易いこの地域は、ケニアで最もマラリア感染者の多い地域だ。『世界保健機関(WHO)』によると、昨年、世界のマラリア感染者数は延べ2億4000万人を記録し、62万7000人が死亡した。ケニアでも人口の約70%が、いつマラリアに感染してもおかしくない環境で暮らす。昨年は約270万人が感染したと推計され、死者は約1万2000人に上った。ビヒガでは『世界エイズ・結核・マラリア対策基金』(※本部はスイス)や医療NGO『アムレフ』(※本部はナイロビ)の支援で組織されたボランティアがこまめに地域を回り、マラリアを媒介する蚊を発生させないよう住民に呼びかけている。蚊が潜み易い茂みを刈る。幼虫が湧く屋外の水を捨てる。長袖を着る。そして、無償で配られた蚊帳の中で寝る――。伝える内容はシンプルで、これだけで蚊を完全に防ぐことはできない。だが、ビヒガの村の保健施設で働くデヴィッド・シンギリさんは「それでも効果はある」と力を込める。約600円の蚊帳ですら買う余裕のある人は少なく、虫よけスプレーや蚊取り線香も普及していないからだ。村には定職のある人が少なく、殆どの人は畑で野菜を育てたり家畜を飼ったりして生活する。

マラリアは発症から24時間以内に投薬等の治療をしなければ死亡する危険性が高く、早期発見の為にもボランティアの家庭巡回は重要だ。先月、8歳の息子がマラリアに罹ったという男性は「丁度、息子が悪寒を訴えた日に、ボランティアが来てくれた」と振り返る。自宅で簡易的な検査を受け、直ぐに薬も貰えた。「おかげで息子は3日で学校に行けるようになった」と感謝する(※右上画像)。だが、新型コロナウイルスの影響は各国のマラリア感染対策に及んでいる。WHOによると、世界のマラリア感染者数と死者数はこの20年間、減り続けたが、感染リスクのある国の1000人あたりの感染者数は2019年の56.3人から2020年は59.0人に増加。10万人あたりの死者数も13.8人から15.3人に増えている。ケニアでも死者が増えたと推計され、WHOは「新型コロナウイルスによる混乱の影響」と分析している。24人の住民がボランティアを買って出ているビヒガの村でも、新型コロナウイルスがケニアで確認された昨年3月以降、思うような活動ができなくなった。一般の住民でマスクを持つ人はおらず、ボランティアが拠点とする保健施設でもマスクが不足した。ボランティアのトゥルフェナ・オムランドさん(44)は、「(感染を広げる懸念から)家庭を巡回できなくなった」と振り返る。それでも明るい兆しもある。保健施設には10月にマスクが届くようになり、オムランドさんも活動を再開した。今はマラリア対策と併せて新型コロナウイルスのワクチン接種を促したり、接種後もマスクを着けるよう勧めたり、新型コロナウイルスの知識も広めている。「地域の人に『ありがとう』と言ってもらえることが嬉しいから続けられる。人の役に立てば、神様もきっと私の働きをみてくれている」。オムランドさんはそう信じて、活動に励んでいる。


キャプチャ  2021年12月25日付掲載

テーマ : 医療ニュース
ジャンル : ニュース

【感染症と共生するケニア】(上) 結核15%減の理由

結核、マラリア、エイズは世界の三大感染症と呼ばれている。コロナ禍の今、その流行地ではどんなことが起きているのだろうか。発展途上国の感染症対策に取り組む『世界エイズ・結核・マラリア対策基金』(※本部はスイス)の協力の下、ケニアで取材した。

20220331 05
トタン屋根の掘っ立て小屋が所狭しと並び、通りに面した部分で食べ物や日用品が売られている。東アフリカで最大規模のスラムが広がるケニアの首都、ナイロビのキベラ地区。住民でごった返しているが、マスクをしている人は少ない。人口が密集するスラムは感染症拡大の温床だ。結核が深刻なこの地域で、新型コロナウイルスが対策に影を落としていた。“結核をなくそう”――。身分証発行等の為の行政機関が集まる一角に、そう呼びかける張り紙が張られたテントがあり、ボランティアスタッフに促されて人々が列を作っていた(※左画像、撮影/五十嵐朋子、以下同)。中にはタッチパネルのついた1.3m程の高さの機械がある。症状の有無を確認するスクリーニング検査機だ。画面をタッチして名前や電話番号を入力し、「咳はないか?」「体重が急に減っていないか?」「寝汗をかいていないか?」等の質問に答える。「結核の可能性がある」と判定されれば、検査を勧められる。2年前に導入され、ナイロビの5ヵ所に設置されているという。検査に取り組む医療NGO『アムレフ』のアン・ムネネさんは、「検査に繋げるのにとても効果があった」と手応えを語る。

ケニアは、『世界保健機関(WHO)』によって結核が特に深刻な国と位置付けられる30ヵ国の一つだ。2020年に新たに結核と診断された人は約7万3000人。診断を受けていない感染者も同数程度いるとみられ、実際の感染者数は約14万人に上ると推計される。この為、感染者をきちんと把握することが急務だ。ボランティアに勧められて検査を受けて昨年、陽性とわかったエライジャ・オムワタさん(41)は、「咳は出ていたが疲れているだけだと思っていた。家族に伝染させる危険があると知らなかったので、治療できて感謝している」と話す。しかし、そんな取り組みはコロナ禍で打撃を受けた。ケニアでは昨年3月に最初の感染者が確認され、同月末から段階的な都市封鎖(※ロックダウン)が始まった。行政機関は閉まり、外出する人も減った。この影響で、結核のスクリーニング検査を受ける人も激減した。また、新型コロナウイルスと診断される可能性があると誤解して、結核の検査を避ける人もいる。感染しても薬を服用して通院する結核と異なり、新型コロナウイルスの場合は一定期間の隔離が必要となる。この為、「仕事ができなくなる」と心配する人が多い。ケニアの新たな結核の感染者は昨年、統計上は前年より約15%減ったが、国はその理由を「新型コロナウイルスの影響で検査を受ける人が減った為」と推定する。ムネネさんらは、新型コロナウイルスと結核の違いや、結核検査の大切さを知ってもらおうと、ラジオ番組等で懸命に訴えている。「コロナ禍で一つだけ良いことがあったとすれば、それは新型コロナウイルスへの注意を喚起する時に、結核についても知ってもらえることです」。ムネネさんは前向きに、そう語った。


キャプチャ  2021年12月24日付掲載

テーマ : 医療ニュース
ジャンル : ニュース

【ふるさと納税の今】(05) 子育て特化、奇跡の町

20220331 04
イベント終盤のトークセッション。町長がカメラの向こうに語り掛けた。「ふるさと納税の大事な寄付金が、どんな風に使われているのかをお知らせするのは当然のこと…」。北海道のほぼ中央、大雪山の麓に位置する上士幌町。先月下旬、町の魅力や取り組みを知ってもらおうと開いた特産品抽選会付きのオンラインイベントは、延べ5000人超が視聴した。コロナ禍の為、東京都で開いていた例年とは異なる趣向だったが、町の人口とほぼ同じ人数が参加する盛況ぶりで、「この町なら寄付金を有効に活用してもらえそうだと安心した」等と好意的な感想が相次いだ。町はふるさと納税に逸早く本腰を入れた。黒毛和牛や蜂蜜等の特産品人気もあり、2013年度には前年度の15倍となる約2.4億円を集めた。そこで目を向けたのが、子育て環境の整備だ。ピーク時に1.3万人余りだった人口は、5000人を割り込もうとしていた。竹中貢町長は「あれもこれもやるより、使い道で強いメッセージを発信することが大事と考えた」と振り返る。子育てに特化した基金を創設し、保育料や高校までの医療費の無料化等を進めると、その効果か、再び人口が増え始めた。2019年度までの5年間で転入が転出を244人上回り、7割以上が子育て世代だった。地方の過疎化が進む中、“奇跡の町”と呼ばれた。イベント翌日。記者は町内唯一の小学校である上士幌小学校を訪れた。教壇に立つのは理科の専任教員。町が基金で小中学校に追加配置した教職員8人の1人だ。物の温まり方を学ぶ授業が始まると、町内では日常的なバーベキューの道具を例に質問し、児童は元気よく手を挙げていた(※右画像)。教頭は、「先生の多さはゆとりを生み、子供にも良い影響を与えている」と胸を張った。

町は、こうした寄付金の使い道や金額をホームページで詳しく公開している。住民は「充実した子育て環境に共感して移住してくる人もいる」と明かす。ふるさと納税の開始前年に意義や仕組みの検討を重ねた国の有識者会議の報告書には、「地方団体は、寄付の使い途を明らかにし、それがどのような成果につながるのか説明することが求められる」とある。しかし、総務省の7月公表資料には、全国1788自治体のうち、2割に当たる364自治体が「活用状況の公表や報告をしていない」と回答した。「(使い方が定められていない)一般財源として受け入れている為」「特定の事業に対して募集していないから」。理由欄には様々な説明が並ぶ。「事務簡略化の為」「理由は特にない」とした自治体もあった。栃木県のある町は「公開する必要性を感じない」と回答した。「多くの自治体が公表している」と伝えると、「職務怠慢と言われても仕方ない。深く反省している」と声を落とした。年内にホームページ等で公表するという。有識者会議の報告書は、返礼品についても「制度を濫用する恐れへの懸念もある。良識によって自制されるべきもの」と警鐘を鳴らしていた。それから14年。懸念は現実となっている。前出の竹中町長は強調する。「大切なのは町の取り組みを理解してもらうこと。その為に外の人と繋がるイベントを続けている」。7回目となるサポーターとの交流を終えたばかりの町長は、「返礼品だけで勝ち残るのは難しい」と噛み締めるように言った。「ふるさと納税は今後も続くのか?」。そんな疑問から、使い道を慎重に検討する自治体もある。上士幌町から北に125㎞、オホーツク海に面する紋別市。ホタテやカニの返礼品が人気で、昨年度は全国2位の約134億円を集めた。これは同年度の市税予算の4.7倍に当たる。流氷砕氷船が表紙の今年度予算概要には、こう記した。「当市の財政構造は、地方交付税、ふるさと納税寄付金、ふるさと納税基金からの繰り入れが大きな収入となっており、国の政策転換に影響を受けやすい構造となっています」。歳入の内訳を示す円グラフは、“ふるさと納税関連収入がない場合”と合わせて2つ掲載した。市財政課の担当者は、「仮に国がふるさと納税を止めたら…。そんな懸念から明記した」と危機感を示す。寄付金は寄付者の意向をもとに、流氷と自然保護、医療、施設整備、子育ての4基金に割り振る。「長期に亘り、大事に有効に使いたい」。 (野呂賢治) =おわり


キャプチャ  2021年12月23日付掲載

テーマ : 地域のニュース
ジャンル : ニュース

【ふるさと納税の今】(04) 抜け穴で“3割”形骸化

20220331 03
黒毛和牛で知られる宮崎県。最上級と評される宮崎牛の一大産地、小林市は今年夏、『モリモリ増量フェア』と称してふるさと納税を呼び掛けるキャンペーンを実施した。寄付額1万円で受け取れる返礼品の牛肉の量を1㎏から1.5㎏に増量したり、同じ量が貰える寄付額を3000円下げて1万5000円にしたりすると、期間中、牛肉を返礼品とした寄付額は昨年の4倍になった。市の担当者は「昨年からの在庫が解消できた」と胸を撫で下ろした。国は2019年、返礼品は寄付額の3割までという“3割ルール”を厳格化した。そんな中で、増量や値下げをできたことにはからくりがある。農林水産省は2020年、コロナ禍で売り上げが減った農水産品を支援する事業を始めた。仕入れ費用の半額が補助される為、自治体が返礼品にする場合、これまでの倍の量を提供できる。この制度を使った返礼品が昨年度になかった小林市は、寄付額が2割減った。周辺の自治体は増えていた。担当者は「競争に後れを取った」と悔やむ。補助制度は今年度も継続され、小林市は今度は返礼品に利用した。「使わなければ埋もれてしまっていた」と振り返る。一方、この制度を使ってウナギを返礼品とした寄付件数を前年の50倍に急増させた高知県須崎市の担当者は、「(3割を逸脱するかは)グレーではないか。でも、事業者から『助かった』という声を聞くと、悪いことはしていないと思う」と複雑な心境を覗かせた。

“3割の抜け穴”を突かれた形の総務省は、「自治体の支出は3割以内なので問題ないと言わざるを得ない」と黙認する。だが、農水産物の返礼品が少ない北陸地方のある自治体は、「コロナ禍で苦しいのは他の品も同じ。倍増を売りにする返礼品を良しとしてほしくなかった」と不満を漏らした。国と自治体のいたちごっこは、これまでも繰り返されてきた。国の制度拡充を機に自治体の返礼品競争が過熱すると、国は3割ルールや換金性の高い返礼品禁止を打ち出した。だが、当時の総務大臣が一転して容認とも取れる発言をすると、競争は再燃。4市町が制度から除外される事態も起きた。初期から返礼品を出してきた販売業者は冷ややかだ。「ルールが1~2年でころころ変わり、その都度、振り回されてきた。制度が最初からアバウト過ぎたのでは」。農水省の制度をふるさと納税に使う手法を後押しした存在もあった。米どころで知られる新潟県阿賀町。ある販売業者は今年、仲介サイトから「申請を代行するから農水省の制度を利用しないか?」と誘われた。聞かれるまま売り上げ等を伝えて資料を送ると、申請が通った。昨年と同じ量でも半額のコシヒカリがこのサイトで独占的に紹介されると、注文が殺到。町への寄付額は前年同時期から倍増した。仲介サイト運営会社は取材に「申請の代行は販売業者の負担を減らす為だった」とし、「3割ルールの抜け穴になるのでは?」という質問には「回答する立場にない」とのみコメントした。全国の返礼品を紹介し、多くの人が利用する仲介サイトの収入源は、自治体からの掲載手数料だ。ただ、一部の自治体からは「仲介サイトが多額の収益を上げることで都市部にお金が戻り、地方創生になっていない」との批判も受ける。利用者の囲い込みの為、寄付額の一定割合を別の買い物に使えるポイントで還元するサイトもある。利用者の“得”は実質的に返礼品の3割を超え、ルールを形骸化させている。そんな現状を見直そうと先月、仲介サイト運営会社等約20社が特典や広告の規制について協議する協会を設立した。ただ、2年前にも総務省が対策を求め、合意に至らなかった経緯がある。総務省担当者は「返礼品競争が激しかった暗黒時代に戻らないよう要請したい」と話すが、こちらのいたちごっこの先行きも見通せない。 (原奈摘)


キャプチャ  2021年12月21日付掲載

テーマ : 地域のニュース
ジャンル : ニュース

【木曜ニュースX】(178) 新原浩朗に唆されてスタートアップ企業新興に熱を上げる岸田文雄首相

20220331 02
看板政策の“新しい資本主義”に実態が伴わず、焦りを深める首相の岸田文雄が、俄かにスタートアップ企業新興に熱を上げている。振り付けたのは“菊池桃子の夫”こと、内閣審議官の新原浩朗(※1984年に旧通商産業省入省)だ。安倍晋三政権の退陣と共に「終わった人」(霞が関筋)となった筈だったが、岸田肝煎りの『新しい資本主義実現本部』事務局長代理としてしぶとく生き残り。「古巣の経済産業省の権限を資本市場に広げようと、首相を盛んに唆している」(金融庁筋)。スタートアップ企業の新規上場を巡って、新原は予て「証券会社が株式公開価格を一方的に低く設定し、成長に必要な資金調達を妨げている」と主張。政府の成長戦略取り纏め役としての立場も利用し、昨年6月に閣議決定された『成長戦略実行計画』に是正の必要性を訴える文言をねじ込んだ。だが、スタートアッブは投資家が入手できる経営情報が少ない。この為、企業価値から一定程度割り引いて公開価格を決めるIPOディスカウントは「グローバルスタンダード」(大手証券筋)だ。しかも、東証マザーズ市場は世界でも稀な上場基準の緩さで、創業から年数が浅く、売り上げが殆ど立っていない企業でも株式公開できてしまう。こんな事情から、新原の主張はこれまで「金融庁からも証券界からも相手にされてこなかった」(日銀筋)。ところが、狡猾な新原は“新しい資本主義”の中身づくりに難渋する岸田に取り入り、公正取引委員会に調査までさせて、持論のスタートアップの公開価格の引き上げをごり押ししようと画策。岸田は起業家の声を聞く車座集会まで開く入れ込みようだが、こんな小手先の対応で有力ベンチャーが育つ筈もない。 《敬称略》


キャプチャ  2022年4月号掲載

テーマ : 政治のニュース
ジャンル : ニュース

【エドワード・ルトワックの目】(08) ウクライナが呼んだG7の“覚醒”

20220331 01
ロシアによるウクライナ侵攻を巡っては、非常に興味深く、そして予期しない重要な発見があった。それは、世界は今もG7によって率いられているという現実だ。この数十年間、専門家と称する人たちや、『世界経済フォーラム』年次総会(※ダボス会議)で講演するような経済人や政治家は、世界で“力の拡散”が進んでいると唱えてきた。日米欧等の主要国で構成されるG7が弱体化し、代わりに中国やロシア、トルコ等の新興国を含むG20の時代が到来している――という主張だ。G7の一員であるアメリカ、イギリス、ドイツ等を主体とする『北大西洋条約機構(NATO)』も、ドイツ等が国防への投資を怠ってきたことから弱体化が指摘されてきた。ロシアは、そうした現状を見越して侵攻に踏み切ったわけだが、その瞬間からNATOは逆に極めて強力な組織に変貌を遂げた。ドイツのオーラフ・ショルツ首相は国防費をGDP比2%以上に引き上げると表明した他、加盟国のポーランドやデンマーク等が今月に入って国防費の大幅増額を決めた。NATOは目を覚ましたのだ。NATOに呼応して、伝統的な中立国のフィンランドとスウェーデンもウクライナに武器を供与するという歴史的決断を下した。しかも、アメリカ、イギリス、日本、ドイツ、フランス等の国々が一斉にその気になれば、各種の制裁措置を通じてロシアを世界経済から完全に切り離すことができることも示された。その結果、モスクワ市内では『ルイヴィトン』等の高級ブランド品店が一斉に休業した他、ロシア自体がデフォルト(※債務不履行)の危機に陥っている。

これらの事態は、台湾統一の野心を抱いている中国に対しても、今の世界がG7主導であるとの教訓を突きつけたと言える。中国は着実に軍備を増強させ、習近平国家主席の側近等は「台湾有事の際、先ずアメリカの空母を1隻沈めておけば、アメリカはそれ以上介入しない」と豪語している。軍事的には正解かもしれないが、中国はロシアと同様に経済を遮断され、小さな箱に押し込められたような状態になるのは確実だ。中国は、原油等のエネルギーはロシアからのパイプラインで、ある程度は賄うことができる。鉄鉱石の輸入が止まっても死活的な影響はない。だが、大豆や小麦、家畜の飼料といった食糧の輸入がストップする事態となれば、畜産業や養鶏業が致命的打撃を受け、中国人民は深刻な蛋白質不足を経て飢餓に陥るだろう。中国は平和な時には世界経済の中で成長を続けることができるが、一度戦争を起こせば直ちに世界から切り離される。また、ウクライナ侵攻で覚醒した欧州諸国は海軍力の増強に動くとみられ、アジアでの経済権益確保の為に艦船を派遣することも想定される。その意味でも、中国が台湾に対して冒険主義的な行動を取るリスクは大幅に低下したと言える筈だ。そして、ドイツ等欧州諸国がウクライナの積極支援に転じ、G7主導の世界の復権へと導いたのは、ロシアに対して頑強に抵抗するウクライナの人々の姿に心を打たれたからだろう。侵攻前、ロシアによるウクライナの情報収集は外国情報を扱う対外情報局(※SVR)ではなく、「ウクライナは本来、ロシアだ」という理由で国内治安機関の連邦保安局庁(※FSB)が担当した。彼らがウラジーミル・プーチン大統領に上げた情報分析では、「ウクライナ軍に戦意はなく、同国のウォロディミル・ゼレンスキー大統領は直ぐに逃亡する」といったもので、見通しが極めて甘かった。プーチン氏は今や軍事的に手詰まり状態に陥った。キエフに露軍部隊を突入させても、甚大な損害を被るだけだろう。他方、ウクライナはNATOに加盟することなく、NATO諸国や諸外国からあらゆる軍事支援を引き出し、世界を味方につけた。そして、戦争の帰結がどうあれ、ウクライナ人は戦いを通じて“国民精神”と“民族的同一性(アイデンティティー)”を勝ち取ることができた。1948年の第一次中東戦争に勝利したイスラエルや、日清・日露戦争に勝った近代日本の例にもあるように、長らく他国に支配されたり、重要視されなかったりした国が大国に打ち勝てば大きな自信に繋がり、それが国を躍進させる原動力となる。ゼレンスキー氏はいつ殺害されてもおかしくない状況にあるが、若しウクライナ人が同氏を失うことがあっても、同氏によってかき立てられた士気が衰えることは決してない。 (聞き手/黒瀬悦成)


エドワード・ルトワック(Edward Nicolae Luttwak) 『戦略国際問題研究所(CSIS)』上級顧問。1942年、ルーマニア生まれ。ロンドン大学経済政治学院(LSE)卒。1972年にアメリカに移り、1975年にジョンズ・ホプキンス大学で博士号を取得。同年、国防省長官府に任用される。専門は軍事史、軍事戦略研究、安全保障論。『アメリカンドリームの終焉』(飛鳥新社)・『エドワード・ルトワックの戦略論』(毎日新聞社)・『戦争にチャンスを与えよ』(文春新書)等著書多数。


キャプチャ  2022年3月19日付掲載

テーマ : 軍事・安全保障・国防・戦争
ジャンル : 政治・経済

【水曜スペシャル】(435) 日本電産で囁かれる品質リスク…不具合製品に杜撰な対応

20220330 07
増収増益ペースにブレーキがかかり、営業利益が減少した『日本電産』。永守重信会長は原材料価格の高騰等による一時的なものと強調するが、顧客の間では製品の品質問題が囁かれている。産業機器メーカーで機器の不具合があり、搭載する日本電産製のモーターの故障が判明。担当者は日本電産に原因究明と再発防止策の報告を求めたが、回答を見て愕然とした。「遠回しな記述で誤魔化していたが、要約すると『原因は特定できなかったが、再発防止策は講じたので問題はない』という内容だった。原因がわからないのに何が問題ないのか」と憤慨する。「現場では不具合原因の究明と対策で生産計画が遅れるのを嫌い、碌に対応しなかったのでは」と関係者は推測する。業績目標の必達命令というプレッシャーが対応の軽視に繋がっているのは明らかだ。「問題を抱えた製品が続々と市場に出回る体制が放置されているとなると、何れ深刻な事故を引き起こしかねない」と関係者は危惧する。日本電産はEVへのモーター採用拡大を目指すが、「こんなモーターを使ったEVにはとても乗れない」との声も出ている。


キャプチャ  2022年3月号掲載

テーマ : 経済ニュース
ジャンル : ニュース

轮廓

George Clooney

Author:George Clooney

最新文章
档案
分类
计数器
排名

FC2Blog Ranking

广告
搜索
RSS链接
链接