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【火曜特集】(348) 東芝に一層強まる外資の圧力…子会社切り売り説が相次ぎ浮上

20210831 10
6月の株主総会で永山治取締役会議長の再任が否決された『東芝』。アクティビスト等株主の声が大きくなり、より株主目線での経営を強いられる中で、“選択と集中”に伴うグループ会社の切り売り戦略が浮上している。筆頭格は連結子会社の『東芝エレベータ』。『東芝テック』等の上場子会社と違って、「非上場の為、売却交渉もし易く、邪魔も入らず、さっさと売ることができる」(東芝関係者)というのがその理由だ。エレベーター世界大手のフィンランド『KONE』も出資している。売却先として「当然ながら最有力」(同)とされる。それだけではない。中国家電大手の『美的集団』に8割の株を売却し、残り2割を保有している白物家電の『東芝ライフスタイル』についても、「株の全てを売却する可能性がある」(証券会社幹部)という。エレベーターやエアコン等、消費者が日々目にしてきたTOSHIBAブランドが次々に外資の手に渡っていく公算が大きい。経済産業省は外為法を盾に東芝を守ろうとして下手を打ったが、そうこうしているうちに東芝はどんどん痩せ細っていくばかりだ。


キャプチャ  2021年8月号掲載

テーマ : 経済ニュース
ジャンル : ニュース

【火曜特集】(347) 混戦の横浜市長選を前に京急電鉄がカジノ事業参入を断念へ

20210831 09
横浜市長選のドタバタの影で、『京浜急行電鉄』がひっそりとカジノ事業から撤退しようとしている。京急は6月29日、新規事業企画室の廃止を明らかにした。横浜市のカジノを含む統合型リゾート(IR)誘致政策もあり、同社は2014年8月、グループ戦略室内にIR事業を担う新規事業担当を設置。後に企画室に格上げした。それが消滅するというのだ。原田一之社長は、『横浜商工会議所』が2016年5月に発足させたIR研究会の座長も務め、旗振り役の一人だったが、今回の決定で完全撤退したとの見方が広がる。横浜のIR誘致で現在残っているカジノオペレーターは、マレーシアとシンガポールを拠点とする『ゲンティン』とマカオの『メルコ』。京急は「ゲンティンと組む目論見だったが、交渉が物別れに終わった」(情報筋)とされる。10人もの候補が乱立する予定の横浜市長選で、誘致を掲げるのは実質的に林文子市長くらいになっている。但し、「林氏はゲンティンをオペレーターに目論んでいた為、仮に当選しても京急が撤退したら、計画自体が暗礁に乗り上げかねない」(同)という。


キャプチャ  2021年8月号掲載

テーマ : 鉄道関連のニュース
ジャンル : ニュース

【火曜特集】(346) トヨタ自動車の再エネ企業買収で“高値掴み”を危惧する声

20210831 08
『ゴールドマンサックス(GS)』等が、太陽光発電や風力発電等の開発を手掛ける『ジャパンリニューアブルエナジー』を入札で売りに出している。世の中はSDGsで盛り上がっており、「今が売り時」(GS関係者)というわけだ。入札で価格は上がり、「今では4000億円規模と言われる」(国内証券会社幹部)。多くの金融機関や投資ファンド、電力会社、石油会社等が手を上げたが、「高くなり過ぎて金融機関やファンドは、もうほぼ撤退した」(大手銀行関係者)という。そんな中、『ENEOS』や『東京ガス』、各電力会社をさしおいて最有力候補と言われるのが『トヨタ自動車グループ』だ。再エネとあって、世間受けや見た目を重視する豊田章男社長の好きそうな案件だが、「ジャパンリニューアブルエナジーの利益面で見ると、2000億円でも回収できるかどうか。このままではトヨタが相当な高値掴みをする可能性がある」(同)との指摘も。カイゼンの名の下、下請けを締め付けて利益を吸い上げているトヨタがM&Aで散財すれば、下請けからの怨嗟の声が上がるだろう。


キャプチャ  2021年8月号掲載

テーマ : 自動車バイクのニュース!
ジャンル : ニュース

【彼ヲ知リ己ヲ知ル】(11) 中国経済“死に至る病”(下)

https://hanada-plus.jp/articles/811


キャプチャ  2021年8月号掲載

テーマ : 中国問題
ジャンル : 政治・経済

【金属バットのヤカラ電話相談室】(19) “裏の仕事”とは手を切ったけど…五輪チケット払い戻し詐欺に関心あり!



Q. いつも楽しく読んでいます。地元の先輩たちが「オリンピックで儲けようぜ」と言って騒いでいるんですがどうもチケット払い戻し詐欺をやるって話なんです。これから流行るみたいで。自分は裏の仕事とは手を切ってクリーンなんですが、ちょっと興味はありまして…。でも、本当にオリンピックってやるんですか? (福岡県・29歳・会社役員・PN.タフまん)

友保「北九州のほうやろなぁ」
小林「何で決めつけんねん」
友保「こないだ、あっちのほうで元ヤンキー町議が捕まっていたやん。『兄さんに恥かかすんか!』ってヤクザの名前出してカネ請求して」
小林「ニュースで見たわ。人相ゴリゴリやったな」
友保「わし、画像保存したもん。今日日、スナックで揉めるんかいな。もう令和よ?」
小林「タフまんも『裏の仕事とは手を切ってクリーン』言うてるけど…」
友保「切れてへんねん。だから自分も詐欺やろうと思ってんねん。抑々、チケット払い戻し詐欺って何なん?」
小林「警視庁によれば、払い戻しを口実として、電話やメールで口座や暗証番号を聞き出す手口らしいで」
友保「情弱の老人が狙われるいつものやつやな。ナンボでもおるなぁ、悪いヤツは」
小林「購入してへんわしは勝ち組や!」
友保「お前、陸上大好きやなかったっけ? 何で応募しなかったん?」
小林「100m走にしか興味ないけど、決勝30万円すんねん…」
友保「買えへんだけやん、貧乏で」

小林「中抜きしまくる吉本が全部悪いんや…ハッ! わかったで!」
友保「何がいな」
小林「わしらが吉本やから、オリンピックに絡んでいるって思って聞いてきているんちゃうか?」
友保「知るか! 誰に聞いてんねん」
小林「ん? あれ? わしら聖火ランナーの話けぇへんかったっけ?」
友保「ラリってんのか? わしら、吉本で一番不健康なコンビやねん。来ても絶対やりたないわ」
小林「正気か? 聖火ランナーやぞ!?」
友保「ああ? わし、森脇健児さんみたいなマラソンドカタとはちゃうねん」
小林「(※スマホを見ながら)森脇健児、ほんまに聖火ランナー走っているやん! 吉本やと寛平兄さんが走りそうやけど…うわ、事件や!」
友保「何や何や!?」
小林「リンゴ姉さんが走ったんやって!」
友保「あかんてぇ…それはあかんて! 世界中の男がミニスカートで悩殺されてまう!」
小林「が、コロナ自粛の為、大阪城ホールの周りを走っただけやって」
友保「危ねぇ危ねぇ。世界中の男が鼻血出して医療崩壊起こすとこやったわ」
小林「お、おい!」
友保「今度は何や!?」
小林「自粛で中止なったけど、大阪の聖火マラソン、堺市から走るんやったらしいぞ」
友保「それはもっとあかんて! 危なっ。堺の闇が世界中に発信されてしまうとこやったわ~」

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テーマ : お笑い芸人
ジャンル : お笑い

【基礎からわかる欧州連合】(02) コスモポリタン、生い立ち故

20210831 07
EUの概念を先取りしたとも言えるリヒャルト・クーデンホーフ・カレルギーの欧州統合論。その底流にあるのは、民族や国家に囚われないコスモポリタン(※世界主義者)としての思想だ。「彼の考えには、その生い立ちや当時のウィーンで過ごした学生生活等が大きな影響を与えているのだと思います」。クーデンホーフ・カレルギーの姪で、フリージャーナリストのバーバラさん(89)はそう語る。クーデンホーフ・カレルギーは明治中期の1894年、ハプスブルク帝国の駐日代理公使だったハインリヒと、牛込の骨董商の娘だった青山光子(※旧名みつ)の2人目の子供として、東京に生まれた。光子は国際結婚をした日本人女性の草分け的な存在で、「欧州の貴族と日本女性の結婚は前代未聞だったので、世界中に伝わり、新聞にも書かれました」と手記に残している。光子は1896年、ハインリヒに連れ添って、彼の故郷である帝国領内のボヘミア地方(※現在のチェコ)に渡るが、その際に当時の皇后と面会し、「ヨーロッパに行っても決して日本の名誉を忘れぬようにとのお言葉を賜った」(※クーデンホーフ・カレルギーの自伝より)という。一家がボヘミアに移り住んだ時、クーデンホーフ・カレルギーは1歳。そこで欧州貴族として育てられる。自伝では、「ヨーロッパの男性と、アジアの女性との間に生まれた子供として、我々(※自身ときょうだい)は国家的観念をもってものを考えないで、アジア及びヨーロッパという大陸的な考え方をしていた」と振り返っている。

進学の為、13歳で移り住んだウィーンは、その思想形成に更なる影響を与えた。当時はハプスブルク帝国の末期にあたる。この帝国は中世以降、名門一族のハプスブルク家が支配した国家の総称だ。広範な地域を一族で統治する多民族国家で、最盛期の16世紀には欧州の大部分を版図に収めた。帝都ウィーンは、様々な民族や言語が混じり合う欧州随一の国際都市だった。クーデンホーフ・カレルギーは“テレジアーヌム”と呼ばれるエリート校で学ぶ。女帝マリア・テレジア(1717-1780)が創設したこの学校は、帝国の上流社会の縮図で、ドイツ人、ハンガリー人、ポーランド人、チェコ人、トルコ人等あらゆる民族の生徒が「一つ屋根の下で、模範的な友愛精神をもって生活していた」(※自伝より)という。卒業後もウィーンにとどまり、大学で哲学を専攻するが、当時の街の雰囲気について、自伝にはこう記されている。「コスモポリタンであることは高貴であることと見做され、国粋主義は小市民的であると見做されていた」。ただ、欧州全体では1789年からのフランス革命を経て民族主義が広がっていた。民族に基づいた国民国家が各地で形成されていく近代化のうねりの中で、ハプスブルク帝国は1918年、第一次世界大戦の敗北によってハンガリーやチェコスロバキアの独立を許し、崩壊する。その5年後にクーデンホーフ・カレルギーが『パンヨーロッパ』で訴えた欧州統合論には、失われた“古き良き時代”への郷愁が滲む。しかし、国民国家による対立は激しさを増し、欧州は世界を巻き込んだ二度目の大戦へと突き進んでいく。バーバラさんは言う。「彼は、欧州が統合への道筋を見つけられなければ二度目の大戦が起きると指摘していました。そして、この“予言”は後に正しかったことが証明されたのです」。欧州は戦後になって漸く統合を具現化させる。“民族なき平和”を訴えたクーデンホーフ・カレルギーの思いが実を結んだ形だ。ただ、歴史は一直線には進まない。近年、各地ではEU懐疑派が存在感を強め、“一つの欧州”に異を唱えている。


キャプチャ  2021年4月29日付掲載

テーマ : 国際政治
ジャンル : 政治・経済

【基礎からわかる欧州連合】(01) 1世紀前に欧州統合構想

『欧州連合(EU)』の母体となる『欧州石炭鉄鋼共同体』の設立を決めた1951年4月18日の『パリ条約』調印から70年となった。EUの源流を形作ったリヒャルト・クーデンホーフ・カレルギーの人生を辿りながら、欧州統合の今を見る。



20210831 05
「多くの人々は唯一のヨーロッパを望んでいる」――。1923年。今から1世紀近くも前に『パンヨーロッパ(汎欧州)』と題した著作を発表し、欧州を一つに統合すべきだと訴えた思想家がいた。リヒャルト・クーデンホーフ・カレルギー(※右画像)。父は、現在のオーストリアを拠点とするハプスブルク帝国から駐日代理公使として派遣された貴族のハインリヒ。母は、牛込の骨董商の娘だった青山光子。日本人の血が流れる欧州人で、青山栄次郎という日本名もある。その欧州統合論は当時、国際的な反響を呼び、ドイツやフランス等各国の政治指導者が現実の国際政治の場で議論するまでになった。関税同盟や共通通貨による単一市場、仲裁裁判所の設置、共通の外交・安全保障政策――。『パンヨーロッパ』で示された構想は、今のEUの姿と多くが重なっている。だが、ここ数年、クーデンホーフ・カレルギーは奇妙な形で注目されている。インターネット上でEUの寛容な移民・難民政策等を巡り、“カレルギー計画”と呼ばれる陰謀論が拡散している為だ。陰謀論は「アジアやアフリカから大量の移民を流入させることで、欧州の人種を抹消するエリートたちの計画が進められている」と訴え、その立案者がクーデンホーフ・カレルギーだと指摘する。エリートらは、この計画で「混血によって作られた均質な奴隷を支配する」のだという。カレルギー計画は元々、ネオナチ思想を持つオーストリア人作家が2005年に著作で唱えたという。反移民を訴える排外主義者やEU懐疑派の間で実しやかに語られ、欧州の様々な言語のサイトに投稿され続けている。国家や民族を超えた平和を訴えたクーデンホーフ・カレルギーは何故、荒唐無稽としか思えない陰謀論の標的とされているのか。

「EUのエリートは、大量の移民を流入させることで欧州の国々を破壊しようとしています。祖国の誇りもキリスト教の価値観も持たない人々は、グローバリストが構築しようとする新たな全体主義の世界に簡単に支配されてしまう」。チェコ下院副議長で『自由と直接民主主義(SPD)』党首のトミオ・オカムラ氏(48)はメールで取材に応じ、移民・難民の受け入れに寛容なEUの政策に、こんな批判を展開した。移民流入とエリート支配を結び付ける主張は、まるでカレルギー計画をなぞったかのようだ。オカムラ氏の父親は日本人と韓国人との間に生まれ、母親はチェコ人。東京出身だが、チェコに渡り、児童養護施設等で育った。「黄色い」等と苛めを受け、10代後半で日本へ。ごみ回収等のアルバイト生活を送ったが、そこでも「変な外国人」と差別を受けた。その後、チェコに戻り、観光業で成功。テレビ番組等で人気を集め、2012年に上院議員に初当選した。2015年にSPDを創設し、2017年10月の下院選で第三党に躍進させた。クーデンホーフ・カレルギーが幼年期を過ごしたボヘミア地方は、現在のチェコにあたる。同じように日本とチェコを所縁の地としながら、オカムラ氏の生い立ちは、エリートだったクーデンホーフ・カレルギーとはかけ離れている。クーデンホーフ・カレルギーについて質問すると、オカムラ氏は「特に強調すべき意見はありません」と素っ気なかった。だが、SPD議員の一人はチェコのウェブメディアで、カレルギー計画を引き合いにクーデンホーフ・カレルギーを批判。対抗するリーダーとしてオカムラ氏への支持を表明し、「2人の日系人が戦っている」と訴えている。イタリアの極右政党『同盟』のマッテオ・サルビーニ党首ら他の反EU政治家からも、カレルギー計画の陰謀論と似た主張を聞くことが多い。反EUを掲げるポピュリスト政治家の主張に共感する人の多くは、経済的、社会的にグローバル化から取り残された人々といわれる。ポピュリストらは欧州統合を進めるEUを、人々が拠り所とすべき国家や民族の威信を奪う“エリート官僚の集まり”と批判し、“人民vsエリート”の構図を描こうとするが、その主張は時に虚実を綯い交ぜにしている。クーデンホーフ・カレルギーは“民族主義に敵対する混血の貴族”として、対立を煽る架空の物語の悪役にされたとみられる。オカムラ氏にはイスラム教徒への差別的な言動も目立つ。しかし、この政治家がチェコの一定数の人々から強い支持を得ているのも確かだ。チェコはEU市場へのアクセス等の経済的恩恵を受けていながら、EUに懐疑的な加盟国だ。昨年10月に発表されたEUの世論調査(※ユーロバロメーター)では、EUを「信頼しない傾向にある」と答えた人の割合はEU平均48%に対し56%で、加盟27ヵ国中4番目に高かった。この国の人々は周辺国に翻弄されたその歴史故、国家としての存立への拘りや、自国の文化への誇りが強いとされる。

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テーマ : 国際政治
ジャンル : 政治・経済

【大火砕流30年】(下) “火山と生きる”、次代へ

20210831 03
昨日午前、長崎県島原市立第三中学校の運動場に、校舎から飛び出した生徒たちが整然と並んだ。雲仙・普賢岳の大火砕流から30年となる6月3日を前に、被災自治体の連携を強化しようと初めて実施された、島原、南島原両市による合同避難訓練。同中は被災した安中地区にあり、生徒は約1㎞離れた市管理の避難施設に移動した。母校の生徒を誘導した同中教論の山下譲治さん(43)は、訓練を終えると、亡き父に誓った。「これからも、子供たちにあの日のことを伝えていくよ」。30年前、島原市上木場地区で農家を営みながら消防団員も務めた父・日出雄さん(※当時37)は、土石流の警戒中に大火砕流に襲われた。当時、山下さんは中学2年生。病院に駆けつけ、翌朝、苦しみながら亡くなった父の姿は、今でも脳裏に焼き付いている。優しかった父親も家も農地も奪い去った“6月3日”。思い出すのはつらく、成人してからは追悼式典への出席も辞退してきた。転機は20年の節目の年。母・睦江さん(65)に後押しされて出席し、遺族代表の挨拶をしたことで、徐々に自分の体験と向き合えるようになった。その数年後、勤務先ではない市立第二中の追悼行事に招かれ、生徒たちに初めて体験を話した。「実体験を持たない子供たちの役に立つのなら」と引き受け、大火砕流で父を失ったこと等を伝えた。父のことを話すと、感情がこみ上げて言葉に詰まった。その後も、第三中等中高生を対象にした追悼行事で話を重ね、体験者の言葉で伝えることの重みを実感するようになった。「大切な家族を失ったけど、同級生や恩師の支えがあったからこそ、今の自分がある」。必ず伝えるメッセージだ。

20210831 04
「この地域は、世代を超えて火山と共に生きるしかない。自然の恵みと火山の危険性を知り、遺族の思いを感じ取ってくれれば、次世代に語り継がれ、必ず教訓となる」。そう信じて、これからも語り続ける。焼き尽くされ、錆びて骨組みだけになった車体の残骸が、大火砕流の猛威を時を超えて物語る。“定点”と呼ばれる報道陣の取材拠点だった一帯は今年3月、地元の安中地区町内会連絡協議会が災害遺構として整備した。堆積土に埋もれ、草むらとなっていた場所から、報道機関の車や記者が利用したタクシーを掘り起こして設置した。今月15日、この地を訪れた東京都目黒区の会社員・矢内美春さん(31)は、車両の惨状に言葉を失った。『NHK』のカメラマンだった父・万喜男さん(※当時31)も巻き込まれた場所。「複雑な気持ちになったけど、父に何が起きたのかを知ることができた」。当時1歳だった矢内さんは、思い出のない父親との距離を、残されたホームビデオ等を通じて縮めてきた。だが、大人になるにつれ、避難勧告区域で取材を続けた報道陣への厳しい声もあることを知り、遺族としての立ち位置がわからずに悩んだこともあった。それでも、「私なりに命の重みを伝えていくことができれば」と、父が最後まで使っていた遺品のテレビカメラ等の写真を趣味のカメラで撮り溜め、節目となる今年、『雲仙岳災害記念館』で写真展を開催中だ。30年の年月を経て、大火砕流を知らない多くの人たちの目に触れることになった遺品や遺物。災害遺構について、同協議会は地元の学校や企業等の見学受け入れを検討中で、学びの場として活用する予定だ。阿南達也会長(83)は言う。「危機意識を持ち、素早い避難行動を取ることの大切さが伝わる物言わぬ証人で、何よりの教訓になる。次の世代に災害の脅威を伝える拠点にしたい」。

                    ◇

受田至弘・甲斐也智が担当しました。


※本文由李的博多居民提供。谢谢。
キャプチャ  西部本社版2021年5月31日付掲載

テーマ : 社会ニュース
ジャンル : ニュース

【大火砕流30年】(上) 溶岩ドーム、脅威に

雲仙・普賢岳の大火砕流から、来月3日で30年を迎える。災害への備えと継承の動きを追った。

20210831 02
今月27日夕、長崎県雲仙・普賢岳を取り囲む約20の地震計が小刻みな揺れを捉えた。今月22回目の火山性地震だ。「火山は死んでいない。今も地底で活動している」。30年前、43人の死者・行方不明者を出した大火砕流発生時も観測に携わり、今年3月まで九州大学地震火山観測研究センター長を務めた同大の清水洋特任教授(64、火山物理学)は言う。観測結果はデジタルデータとして瞬時に蓄積される。時代と共に様変わりした地震計。あの日は、6分間に亘って針が振り切れ、記録紙を黒く埋めた。1991年6月3日午後4時頃。「ドーン!」という轟音の後、もくもくと沸き起こった黒煙が杉林を呑み込みながら、斜面を一気に下ってきた。山を監視していた消防団員や避難所から一時帰宅していた住民たちは、「危ない!」「逃げろ!」と怒声を上げた。麓の住宅は次々と炎に包まれ、車は吹き飛ばされて激しく炎上した。“髭の市長”と呼ばれた元島原市長の鐘ヶ江管一さん(90)は当時、自然の力の前に呆然としつつも、翌朝には避難所で「力を合わせて戦っていくしかありません」と呼びかけた。1990年11月に198年ぶりに始まった普賢岳の噴火活動は、大火砕流という形で甚大な爪痕を残した。その後、1996年6月に同センターの前身である島原地震火山観測所の太田一也所長(※当時)が活動終息を宣言した。

現在、火口の浅い部分へのマグマの供給は止まっており、次の噴火がいつかは予想がつかない。ただ、短期間で供給が活発化することもある。清水特任教授は、「地下の奥深くでマグマは溜まり続けている。危険は去っていない」と指摘する。国土交通省によると、1991年5~1996年5月に観測した火砕流は9432回。急峻な山肌には、東京ドーム約80杯分もの溶岩が固まって、不安定な溶岩ドーム(※平成新山)を形成した。今、この巨大な遺物が地域の脅威となっている。自らの重みで四半世紀にずり落ちた幅は約1.4m。方角は市街地がある東南東だ。直下型地震が起きれば、岩の塊が高速で崩れ落ちる“岩屑雪崩”が発生する恐れがあり、最悪の場合、島原市安中地区の半分程度(※約1600世帯)、隣の南島原市深江町の一部(※約1100世帯)で被害が出るとも試算されている。清水特任教授が危機感を抱くのが、九州中北部を襲う豪雨だ。昨年7月の九州豪雨では、島原市で1時間に最大49.5ミリの雨量を観測。「地盤が雨水で不安定になり、地震も加われば、岩屑雪崩はいつ起きてもおかしくない」と警告する。課題は、この30年で薄れた危機意識の共有だ。島原市では1992年から1993年にかけて全町内会に自主防災会が設置され、定期的に避難訓練を行なった。ところが、終息宣言後は防災会長を町内会長が兼務するケースが目立つようになり、2018年時点で兼務は196町内会と全体の87%に上った。市の担当者は、「専従者がいないと活動が萎み、市主催の年1回の訓練に参加するだけになっていた」と話す。「失った危機感を取り戻したい」。先月下旬、島原市白山地区に新設された地区自主防災会の会長に就任した荒木修さん(68)が決意を語った。市は町内会の防災会を管理する組織として、7地区で設置を進める。大火砕流当時、荒木さんは消防団員。被災した隣の安中地区の避難者を誘導しながら、「こんなことが起きるのか」と足が竦んだ。「訓練もないまま無我夢中だった」と振り返る。早速、避難所の合鍵を住民が持てるよう、市と交渉。避難訓練の立案にも動き始めた。30年前の被害は、市が避難勧告を出した地域で発生し、危機感の薄さが問題とされた。「災害が忘れられようとしている」。鐘ヶ江さんは、当時と重なる現状に不安を拭えないでいる。


※本文由李的博多居民提供。谢谢。
キャプチャ  西部本社版2021年5月30日付掲載

テーマ : 社会ニュース
ジャンル : ニュース

【佐々木チワワの「歌舞伎町ぴえん日記」】(01) パパが連れ歩く女のレベルを気にするように、こちらだってパパのレベルには気を遣う

20210831 01
歌舞伎町でホストにお金を落とす女の子の仕事は様々だ。普通の女子大生から会社員、夫婦仲の悪い人妻から、漫画に出てくるようなお嬢様もいる。ホストに会って普通に話すのなら5万円程度で事足りるが、シャンパンにテキーラに…等とやっていたら会計は青天井である。最近でこそ原稿料で細々とホストクラブに通う私だが、ドーンと大金を稼いで潔く使うほうが、やっぱりホストクラブは楽しいと常々思っている。財布に8万円しかないのに30万円の支払いをし、借金の証明である“青伝票”を“運命の青い糸”だとか言って、誇らしげに財布に入れていた。そんな私以上に豪勢なお金の使い方をする歌舞伎町の“ホス狂”の女の子たちの大半は夜の仕事をしていて、何かしら消耗しながらお金を稼いでいる。その手段はキャバクラから風俗、愛人等が主だったが、ここ数年のトレンドは、やはりパパ活女子なのだろう。パパ活女子の稼ぎ方も様々で、アプリ等で出会い、お試しに1時間会う時の“顔合わせ”のお手当1時間1万円をひたすら回す“茶飯乞食”、最初から大人の関係で3万円前後で身体を売る“割り切りタイプ”、顔合わせから徐々に育てて会う度に数万円を貰う“都度パパ”を抱えるタイプから、先程の彼女のように毎月いくらかの金額設定をして、お互いに空いている日に月に何回か会う“月極パパ”を持つタイプまでいる。一番恐ろしいパパ活女子は“育成型パパ”である。ホストの色恋営業よろしく、パパを恋させて育てて、自分にお金を使うことが生き甲斐となるまで育て上げるのだ。そんな育成パパを育てまくり、半年以上1回も会わないで、『LINE』と電話だけで毎月100万円以上を振り込ませているパパ活女子まで存在する。

ホストにガチ恋しているパパ活女子には、同じくガチ恋パパがつきもののようだ。出会い系アプリで出会ったホストに入れ上げて、半年程で1000万円を使った女の子のパパは、彼女がホストと出会ったのと同じようにパパ活アプリで知り合った人で、忽ち彼女の虜となり、毎月50万円を使い続け、遂に彼女に婚約指輪を渡したらしい。周りの友人には「今度結婚する」と吹聴して回り、「友だちに紹介する日取りを決めよう」と連絡をしてくる。こうした距離感のバグっている話を聞くと、いくら資金があっても女にモテてこなかった背景をうっすらと窺うことができる。彼は彼女に今まで、借金の返済、奨学金、友だちの中絶費用の肩代わり等、様々な理由で定額の50万円だけではなく、都度高額を渡してきたらしい。ホス狂の彼女とパパの決定的な違いは、自分のことをカネだと自覚しているかどうかだ。私自身も、様々な自称パパと出会ってきたが、中には凄く良い人もいたし、滅茶苦茶こちらを見下してきて女をモノとして消費したいだけのおじさんもいた。生命保険を解約していきなり数十万を渡してきたパパは、結婚するまで女性と手を繋がないと決めていたプロ童貞だったし、初めて会った日に25万円をくれた学童の教師パパは、一緒に水族館に行ったら「引率以外で初めて水族館に来た」と嬉しそうだった。そういうパパたちと普通に話している分には問題ないけど、手を繋いだりすると年絡差を余計に感じた。去年の今頃は、コロナ禍で仕事が暇で時間を持て余したおじさんがパパ活アプリに溢れ返っていて、私が当時かなりお気に入りだったパパもそこで出会った。彼は70歳を越えているけれど、50代くらいに見える黒光りした若々しいお爺ちゃんで、毎回付け替えているスカーフがおしゃれだった。舞台のプロデューサーで、本当にコロナ禍に振り回されていて、上映中の舞台から公演予定の分まで、幾つもの舞台を中止していた。年齢が年齢で新型コロナウイルスに罹るリスクは重々承知している筈だし、実際、知り合いで亡くなったお年寄りもいる中、それでもパパ活アプリで若い女の子に会うのが不思議だった。私とは始めから割と会話が盛り上がって、いつも美味しいものを食べさせてくれて、一緒にお酒を嗜んで、あっさり解散した。「新学期が始まったばかりで授業の本が高い」と愚痴をこぼしたら、いつもよりかなり多めにお手当をくれたこともあった。お洋服も、「一緒にいる時はもっと可愛くしていたい」と言ったら、似合う可愛いピンクのワンピースをプレゼントしてくれたし、一人暮らしで憧れていたプロジェクター、壊れていた『surface』のキーボードも買ってくれた。お店に入る度に自前のアルコールスプレーで消毒はするけど、お酒をよく飲んで、よく笑うお爺ちゃんだった。何度も会って、色々買ってくれるうちに、「私は大人の関係を求められるのか?」と不安になっていた。只の1時間の食事代として1万円を貰うだけじゃない、それ以上のプレゼントを貰っていた。誰にでもお金をばらまいているのなら安心できるけど、彼は私に会ってからパパ活アプリを辞めていた。本来の正しいパパ活は、こういうのかもしれない。けれど、恋愛感情だとかわかり易い性欲みたいなものに値札を付けてくれたほうが、何を消費されているかはっきりしていて単純でいいのかな、とも少し思う。パパたちが一緒に連れ歩く女のレベルを気にするように、こちらだって連れ歩くパパのレベル、連れて行かれる食事には少し気を遣う。周りの視線が痛いからだ。身形を小綺麗にして、チェーン店じゃないお店に連れて行ってくれたほうが楽しく過ごせる。けれど、『サイゼリア』で1時間で3万円くれるパパと、『ジョエルロブション』のディナー2時間で1万円くれるパパだったら、ホス狂なら殆どの女子がサイゼリアパパを選ぶのであるが。


佐々木チワワ(ささき・ちわわ) フリーライター。2000年、東京都生まれ。高校1年生から執筆活動を始め、各種コラムや芸能人インタビュー等を担当。歌舞伎町で働く夜職の人々に惹かれ、自身も一通りの職種と幅広い夜遊びを経験。歌舞伎町で幅広い人脈を持ち、大学では繁華街の社会学を専攻している。


キャプチャ  第15号掲載

テーマ : 不倫 婚外恋愛
ジャンル : 恋愛

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