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【明日への考】(64) ロビー活動、IT分野で影響力…政策に“私益”を反映することの功罪、GAFAM“巨費”各国警戒

個人や集団が特定の政策の実現を目指して政策決定者に働きかけるロビイング。デジタル分野の政策形成過程でその存在感が増している。だが、やり方によっては強者の求める私益ばかりが通り、市民の声が届かない社会になりかねない。世界では巨大IT企業の影響力を危惧し、ロビイングへの監視を強めているが、日本では規制もなく、実態すら掴めていないのが現状だ。 (編集委員 若江雅子)



20241216 02
解熱剤等の一般用医薬品をコンビニ等で受け取れるようにする――。そんな制度改正が厚生労働省の部会で議論されている。スマートフォンのアプリ等を使って薬剤師から遠隔で服薬指導を受け、最寄りの店舗で受け取るという発想で、来年の通常国会で必要な法改正を目指すという。

「夜中に急に発熱した人や近所に薬局がない人には喜んでもらえる筈」と話すのは、ロビー支援会社『ポリフレクト』の宮田洋輔代表だ。4年前にコンビニ運営会社の依頼を受け、以来、規制改革推進会議や厚労省、議員等を回り、調整を続けてきた。宮田さんは元経産官僚で、『ヤフー』の政策渉外担当を経て2018年に独立した。官僚の政策手法に精通し、霞が関や永田町に人脈もある。

「政策形成は霞が関だけに任せておけばいいものではない筈。色々な人の声を国に届ける手助けをしたい」と話す。宮田さんのような官僚からロビイストへの転身は増えているようだ。「知人だけでも69人いる」と宮田さん。ある人材紹介会社社長も、「転職を仲介した官僚の1~2割はロビイスト採用」という。中には海外プラットフォーム(※PF)の政策渉外担当になる人もいる。

デジタル化で社会が急激に変化し、ルールも大きく変わり始めた。それに伴い、これまで政府が担ってきた政策形成に外側から影響を与えようとする動きが活発化している。特にビジネスや技術の変化が激しいIT領域では官より民の情報量が多く、官側も民の知見に頼らざるを得ないのが実情だ。

ルール形成の成功例としてよく挙げられるのが、消費税の内外格差の解消だ。日本では2015年まで、海外から配信される電子書籍等のデジタルコンテンツには消費税がかからず、海外事業者が有利な状態にあったが、ヤフー等の働きかけで法改正が実現。市販薬のオンライン販売問題でも、これを禁じる厚労省の省令に通販大手のロビイスト達が反発し、最後は最高裁まで争って解禁に繋げた。

ただ、私益の追求が常に公共の利益に昇華するとは限らない。私益が私益のまま、ダイレクトに政策に反映されることも少なくないだろう。法学者の池田政章は、これを「特殊利益がパブリックを僭称している」と批判した。典型は、利用者保護の為の規制阻止の為のロビーだろう。

例えば、本人が気づかないままオンライン上の行動履歴を大量収集されている問題。個人情報保護法の個人情報の定義が狭いことが解決の妨げとなっているが、これを解消する為の2015年の法改正では、与党の事前審査の段階でIT企業のロビイングによって該当部分が法案から抜け落ちた。

PF規制でもロビイングは活発だ。一例が、2022年施行のデジタルPF消費者保護法。消費者をオンラインショッピングのトラブルから守ることが期待されていたが、蓋を開ければPF事業者に課されるのは“努力義務”だけで、行政処分も罰則もなかった。「PF事業者のロビーで骨抜きにされた」と担当者は悔しそうに振り返る。

2014年の内閣人事局設置以降、政治に人事権を奪われた官僚の“下僕化”が指摘されるが、政治に働きかければ要請が容易に実現する現状も、僭称型ロビーを生む土壌となっていると言えそうだ。

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テーマ : 政治・経済・社会問題なんでも
ジャンル : 政治・経済

【火曜特集】(806) iPhone新型機に悩む捜査当局…スマホ解析技術は外国企業頼み

20241022 06
『Apple』の『iPhone16』シリーズの発売を受け、警察等捜査当局者の表情が冴えない。新機種の解析が厳しくなるからだ。組織犯罪の捜査において、今やスマートフォンの解析は不可欠な作業。捜査当局は近年、SNS等で結びつく“匿名・流動型犯罪グループ”の実態解明に力を入れており、捜査現場からのスマホ解析依頼件数は急増している。

ただ、Appleはプライバシー保護等を理由に、捜査機関へのロック解除ツールの提供を拒絶している。国内の捜査機関や企業に独自技術はなく、その解析能力は、イスラエルの『セレブライト』とアメリカの『グレイシフト』の技術に依存しているとされる。Appleは毎年、端末のセキュリティー機能をアップデートしている。これに対応する解析ツールがリリースされるまでには数ヵ月から、下手すると数年はかかるとみられ、捜査幹部は「端末を押収しても、解析は暫くお預けとなるだろう」と頭を抱える。


キャプチャ  2024年10月号掲載

テーマ : ITニュース
ジャンル : ニュース

【WEEKEND PLUS】(548) マクドナルドの“AI美女CM”が大炎上した本当の理由

20241011 02
今年8月、『日本マクドナルド』がSNS上に公開したCMが炎上した。動画内に登場するAI美女達に「気持ち悪い」との声が殺到したのだ。問題のCMは、AIクリエイターの架空飴(※Kaku Drop)氏が手がけ、生成AIによって描かれた若い女性達が、定番商品のマックフライポテトを持って登場する内容。人工的な表情は、確かに観る人を不安にさせるものだ。

但し、他社でもAIキャラクターが登場するCMは多数あり、『伊藤園』の『お~いお茶』やマッチングアプリ『オタ恋』等は批判が起きなかった。人間に近い人工物への心理的な嫌悪感は『不気味の谷現象』と呼ばれているが、「それだけが理由ではない」と映像クリエイターの安達教顕氏が解説する。

「マクドナルドの場合、これまで家族や友人との楽しい時間を共有するテーマの広告で親しまれてきたので、温かみのないAIキャラクターがマッチし難いんです。キャラクターのデザインも特に視覚的な違和感が残っていて、これならわざわざ人間風に作らなくても、アニメキャラクターでいいのでは、と思いました。その点では、クリエイターの仕事がお粗末だった部分もあります」。

安達氏によると、批判が起きなかった『お~いお茶』は、商品に合わせたAIの用い方がマクドナルドよりも優れていたという。「例えば、赤ちゃんに食べさせる離乳食を宣伝するのに、AIキャラクターはマッチしないでしょう。広告業界でも、AIの利用は効率的な一方、人間が持つ感情やリアルな体験を伝えるのが難しいといった点は認識されています」。

だとすれば、敢えて不気味なAI画像を使った狙いが別にあるのでは、という見方も現実味を帯びてくる。何れにせよ、便利なAIも人間の知恵やセンスがあってのもの、という皮肉な結果になっているようだ。


キャプチャ  2024年11月号掲載

テーマ : ITニュース
ジャンル : ニュース

【木曜ニュースX】(548) アメリカの新興メディアが報じた“スマホが勝手に音声録音”の証拠

20241010 07
インターネット検索すらしていないのに、日常で話題にしたテーマが広告に表示され、関連動画が“おすすめ”される。まるでスマートフォンが持ち主の会話を聞いているようだ――。そんな体験を語る人は少なくない。

それらは一見、都市伝説のようでも、例えば『iPhone』の『siri』やアンドロイドの『グーグルアシスタント』等の音声操作が標準機能としてスマホに備わっているのだから、誰かがその音声を収集して利用するかどうかは、実は個人情報に関する法令遵守や企業倫理の問題でしかない。

この“スマホによる音声収集”について、今年8月、アメリカの新興ニュースサイト『404media』が“警告”というべきレポートを掲載した。アメリカのメディア複合企業『コックスメディアグループ(CMG)』が、スマホを始めとしたデバイスから収集した音声録音を使用し、利用者にマッチした広告を表示するツールを企業に売り込んでいる、という内容だ。

404mediaが入手したCMGのプレゼンテーション資料によれば、広告ツールは『アクティブリスニング』という名称。更に資料は、CMGが『グーグル』・『Amazon.com』・『メタ』等の大手プラットフォームと提携しているとも記載していた。

なお、404mediaの取材に対し、グーグルは広告パートナーからCMGを除外済みで、「全ての広告主は、適用される全ての法律と規制、及びグーグル広告のポリシーを遵守する必要があります」と回答。Amazonとメタも 「CMGとこのプログラムで協力したことはなく、今後も計画はない」等と答えている。

スマホ利用者の不安の声を受けてか、iPhoneやアンドロイドでは最近のOSのバージョンアップで、マイクやカメラの使用中に緑やオレンジの点滅が表示されるようになった。また、設定アプリのプライバシー画面等から設定を変更できる他、比較的プライバシーを重視した非グーグル系のウェブブラウザの利用等が個人情報保護に有効だと思われるものの、結局のところはそれらを信用するかどうかだ。スマホを持たない時間を確保することによってしか、安心は得られなそうである。


キャプチャ  2024年11月号掲載

テーマ : ITニュース
ジャンル : ニュース

【生成AI考】第2部(05) 観戦充実、偽動画の懸念も

https://www.yomiuri.co.jp/sports/golf/20240506-OYT1T50004/


キャプチャ  2024年5月6日付掲載

テーマ : ゴルフ
ジャンル : スポーツ

【生成AI考】第2部(04) 病気“診断”にばらつき

https://www.yomiuri.co.jp/medical/20240504-OYT1T50016/


キャプチャ  2024年5月4日付掲載

テーマ : 医療・病気・治療
ジャンル : 心と身体

【生成AI考】第2部(03) ルール曖昧、企業困惑

https://www.yomiuri.co.jp/national/20240502-OYT1T50006/


キャプチャ  2024年5月2日付掲載

テーマ : 経済
ジャンル : 政治・経済

【生成AI考】第2部(02) 架空の部署が市民に案内

https://www.yomiuri.co.jp/national/20240501-OYT1T50023/


キャプチャ  2024年5月1日付掲載

テーマ : 地方自治
ジャンル : 政治・経済

【生成AI考】第2部(01) “正解”作らせ丸写し

https://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/kyoiku/news/20240430-OYT1T50001/


キャプチャ  2024年4月30日付掲載

テーマ : 教育問題について考える
ジャンル : 学校・教育

【生成AI考】第1部(05) 無断学習、文化を侵略

https://www.yomiuri.co.jp/world/20240214-OYT1T50020/

20240911 02
■プログラムの公開は有効だ  ティム・オライリー氏(ユニバーシティー・カレッジ・ロンドン客員教授)
コンピューター業界の歴史は独占の歴史だったとも言える。初めに『IBM』がコンピューターを独占し、『マイクロソフト』が新たな独占勢力として台頭した。今のシリコンバレーのビジネスモデルも、独占を得る為の競争になっている。我々が最初に考えなければならないのは、集中の弊害だ。

AIの分野で規制整備が急ピッチで進む中で、集中は潜在的に最も大きな弊害であるにも拘わらず、見落とされている。大手企業は規制を受け入れようとしているが、それは規制のコストを受け入れる余裕がある為で、他の新規参入企業にとっての障壁を上げている。

インターネットの黎明期は、開発の為に巨額の資金を調達する必要はなく、投資家に返済する必要もなかった。しかし、今は何十億ドルも調達し、投資家に返済する必要がある。こうした短期的な利益を追求するビジネスモデルは弊害を招く。一例として、アメリカのある鎮痛剤を巡る危機があげられる。鎮痛剤は医療にとって重要だが、更に稼ごうとする製薬会社が積極的に薬を売り込み、中毒に繋がっている。

インターネットの広告ビジネスも同様だ。『Amazon.com』等のインターネット通販サイトを使うことで、私達は大量の商品を検索できるようになった。一方、インターネット通販業者は広告ビジネスで、良い製品よりも悪い製品を高い価格で目立つ場所に表示しているケースがある。AIでも利益を生み出すという動機付けが技術を支配し、暴走するリスクがある。

今求められているのは、透明性だ。世界中の企業が財務情報を開示してきたのと同様に、AI企業にもモデルの開示が必要だろう。開示を義務づけることによって、企業の独占を防ぐことができる。情報を開示させれば、市場では競争が活発化する。企業が安全性の確保に手を抜いていないかどうかも判断できる。一つの企業が全てを手に入れるのではなく、人類の集合知の基盤を作った上で、様々な人々が多様なビジネスを構築していくのが望ましい。

コンピュータープログラムの設計書を広く公開するオープンソースモデルは非常に有効だ。政府がAI開発に投資するのも、透明性を高める一つの手段だろう。昨年11月に起きた『オープンAI』の内部の混乱は、非営利団体であっても企業統治が十分でないことを示した。巨額の資金が使われ、知的資本を持つ従業員が大きな力を持っている場合、従来の企業統治の方法では限界がある。自発的な規制は役に立たない。

著作権の問題も重要だ。我々は著者と協力して価値のあるコンテンツを作成してきた。だが、AI企業が海賊版データベースを入手し、内容を訓練に使うのであれば、著者に損害を与える可能性がある。収益が全て吸い取られることになれば、オリジナルのコンテンツを制作する人々はいなくなる。コンテンツの出所を特定することが重要だ。企業が市場を支配して収益を搾取するのではなく、長期間に亘って成長が好循環で生み出されるような仕組みが欠かせない。 (聞き手/ロンドン支局 中西梓)

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テーマ : AI / AR / VR
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