中国で“防疫常備軍”の設立を求める声…医師や看護師加わる2万人規模の部隊
中国で、今回の新型肺炎のような感染症拡大に日頃から備える“防疫常備軍”への関心が広がっている。発端は西側メディア中国語版の論考だが、中国国内で禁止されない状態で各ウェブサイトに次々に転載されていることから、指導部もその必要性を認めているとみてよさそうだ。その記事は、中国人民大学重陽金融研究院副研究員の王鵬氏が『フィナンシャルタイムズ』中国語版に発表した《中国は防疫常備軍設立の必要がある》と題した論考だ。王氏は今回、人民解放軍が数千から数万規模で感染源の武漢周辺に集結、物資配送や医療補助に当たっていることを評価する一方、各地域出身部隊間の連携が上手くいっていなかった状況を指摘した。その上で、防疫常備軍を中央軍事委員会直属の形で設立する必要性に言及。総参謀部等の中央部門5000人、作戦部門1万5000人の計2万人規模とするという具体的プランにも触れた。この計画は、アメリカの公衆衛生局に設置されている医師や看護師の資格保有者で構成された士官部隊がモデルになっているようだ。
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アメリカのシンクタンクが、外国からの資金援助に依存している。『国際政策センター』というシンクタンクがこのほど発表した調査によると、2014年からの5年間で、全米50のシンクタンクが外国から総計約1億7400万ドルの資金を受け取っていた。トップは環境政策に影響力を持つ『世界資源研究所』で、6300万ドル。次いで、国際金融に強い『世界開発センター』の3750万ドル、老舗の『ブルッキングス研究所』の2730万ドルの順だ。拠出国はノルウェー、イギリス、アラブ首長国連邦が上位を占めるが、中国が第三者を介し、自国に都合の良い“研究成果”を発表させて、政府や議会に影響を与えようとするケースも指摘されている。アメリカのシンクタンクの職員は、政権が代われば政府入りする可能性も高い。この為、アメリカ議会からは、シンクタンクに資金を拠出した外国人と額を公表する義務を課す法整備を求める声が出ている。
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タイのプラユット政権は先月4日の閣議で、中国がメコン川上流で進めようとしている大掛かりな浚渫工事を認めないことを決定した。浅瀬を爆破して大型船の航行を可能にする中国の計画に対し、下流の住民や環境保護団体が「中国だけが潤って村人は暮らせなくなる」と批判していた。タイの決定に中国は沈黙を守るが、現場ではラオスやミャンマーと手を組み、粛々と作業は進行中という。メコン川はチベット高原に源流があり、雲南省を縦断してミャンマー、ラオス、タイ、カンボジア、ベトナムを流れ、南シナ海に注ぐ。中国は、雲南省から下流各国への物流量を大々的に増やす為、メコン川の浚渫を急ぎたい。実は、タイ外務省は昨年4月、複数回に亘って「中国から計画中止で同意を得た」と発表しているが、中国側の態度は不透明。実際には、上流のラオスやミャンマーで既に計画が進んでいるという。
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インド洋上の島国であるモルディブが、先月1日にイギリス連邦(※コモンウェルス)のメンバー国に戻った。これで、同国は名実共に中国寄りの姿勢を改めて、インドや西側諸国との関係強化を明確にした。イギリスの保護領であったモルディブは、アブドッラ・ヤーミン前大統領時代の2016年、イギリス等西側から「人権状況に問題がある」と批判されて、連邦を離脱した。その後に手を差し伸べたのが、インド洋に影響力を持ちたがっていた中国で、モルディブは中国から多額の経済的支援を受けた。しかし、2018年の大統領選挙で、ヤーミン氏に代わり野党のイブラヒム・モハメド・ソリ氏が新大統領に選ばれた為、今回の復帰が叶った。