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【誰の味方でもありません】(123) 最大幸福か最小不幸か

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キャプチャ  2019年10月31日号掲載

テーマ : 政治・経済・社会問題なんでも
ジャンル : 政治・経済

【ドクターXは知っている】第4部(09) 血圧の特効法⑤…酢生姜と甘酒は天然の降圧薬

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酢生姜は、酢に刻んだ生姜を入れ、蜂蜜を加えた合わせ調味料。それが血圧に効果を発揮する。「生姜の辛味成分であるジンゲロールには、血管を広げて血液を流れ易くする効果があります。また、お酢にも血管拡張効果がある為、ダブルで高血圧に効果があるのです」と『イシハラクリニック』の石原新菜副院長は語る。他にもジンゲロールには、血小板の粘りを抑えて血栓を防いだり、体温を上げる効果もある。「更に効果を上げたい場合は、酢に合わせる前に、生姜をレンジで5分程加熱して下さい。ジンゲロールがショウガオールという成分に変わり、全ての効果が更にアップします。料理に使うのが面倒という人は、お茶に加えるだけでもよいですよ」。

                    ◇

飲む点滴と呼ばれるほど栄養価の高い甘酒。近年、甘酒のペプチドが高血圧の原因となる酵素を抑制する効果があることがわかってきた。石原医師は、「甘酒に含まれるペプチドには、血圧を上げるホルモンを作る酵素をブロックする働きがあります」と語る。その働きで血管の収縮を防ぐのだという。また、塩分の排出を促して血圧の上昇を抑制。降圧薬程の効果こそないものの、同様の働きをするというのだ。更に、「甘酒に生姜を加えると、生姜に含まれるジンゲロールの毛細血管拡張効果も期待できます」(同)。甘酒は酒粕を使ったものではなく、米麹を使ったものを選ぶこと。アルコール分を含まない為、妊婦や子供にもおすすめだ。 (取材・文/フリーライター 浅羽晃・小川隆行・久保田龍雄・二平絵美)


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テーマ : 医療・健康
ジャンル : ニュース

【人生で必要な英語は全て病院で学んだ】(49) “rule of thumb”

先週もやりましたが、今週も日本食の話題。日本食が好きというアメリカ人は沢山いますが、本当の意味でよくわかっている人は未だ少なく、そんなに美味しくなくても「日本食はそんなものだ」と思って食べている人が多いです。本当に美味しい店を教えてあげると凄く喜ばれます。但し、あまり本格的過ぎると逆にダメなこともあり、アメリカ人にある程度人気の店の中から美味しいところを選んで教えてあげるのがコツです。扨て、今週の表現は“rule of thumb”。直訳では“親指のルール”ですが、“(経験に基づく)大まかな原則”・“大雑把なルール”という意味になります。由来ははっきりしませんが、仕立て屋が親指の幅を使って大体の長さを測っていたことからきているという説があります。因みに、昔のイギリスで棒の太さが親指の太さを超えなければ、棒で奥方を叩いてもよいという法律があったことからきているという俗説がありますが、これは間違いです。誰かが家庭内暴力の歴史的な側面を話した際に、そんなようなことを言った言葉が一人歩きして出来上がったようです。“rule of thumb”の使い方の例は、“As a rule of thumb, you should not expect to see any effect of the ad for at least a month.(経験則では、広告の効果は少なくとも1ヵ月は現れない)”や、“A good rule of thumb is to fill half of your plate with vegetables every meal.(良い大雑把なルールは毎食お皿の半分を野菜にすることです)”等です。


加藤友朗(かとう・ともあき) コロンビア大学医学部外科学教授。1963年、東京都生まれ。東京大学薬学部卒。兵庫県市立伊丹病院研修医やマイアミ大学医学部等を経て現職。著書に『赤ちゃんを救え!移植病棟24時』(集英社文庫)・『“NO”から始めない生き方 先端医療で働く外科医の発想』(ホーム社)等。


キャプチャ  2019年10月31日号掲載

テーマ : 英語
ジャンル : 学問・文化・芸術

【寝言は寝て言え!】(123) 韓国頼みは危険過ぎる

全くと言っていいほど改善の糸口が掴めない日韓関係。ニュースを見ると、「9月の韓国人旅行者58%減少、日韓関係悪化の観光影響が鮮明に」(NHK)等、訪日旅行者にも相当な影響が出ていることが窺えます。しかし、見出しに惑わされずに本文を読むと、意外と深刻に捉える必要もないのだろうと思います。というのも、9月に日本を訪れた外国人旅行者は全体で227万2900人であり、これは前年同月比で5.2%の増加です。つまり、韓国人は滅茶苦茶減っているのに、全体では増えているという話です。ラグビーW杯の影響もあり、イギリス、ロシア、フランス等からの訪日旅行者が増える一方で、全体のトップはやはり中国です。その次に台湾、そして韓国と続きます。韓国人旅行者は、数は多けれど消費が少ないということが指摘されています。対馬は韓国から近いこともあり、フェリーで多数の韓国人旅行者が押し寄せますが、対馬の人に聞くと、数の割に消費は少ないといいます。飲食店で食事をするでもな く、安宿の部屋で辛い即席ラーメンを啜るする人もいて、地域経済にとってどうなのかと。それは実際にデータに現れています。観光庁のサイトで昨年の訪日外国人旅行消費額を見ると、韓国は5881億円であり、台湾の5817億円と同水準です。やはり訪日人数が多いので、全体の金額も多いですが、一人あたり旅行支出の平均を国別で見ると、韓国は唯一10万円を切る7万8084円となっています。

「日本と距離が近く、日帰りも出来る為、支出が減っている」との見方もありますが、同様に地理的に近い台湾は平均12万7579円となっており、驚きます。データが示すのは、韓国人旅行者は他国の人より日本でお金を使わないという事実です。全体の平均は15万3029円(※クルーズ客を除く)であり、比べると韓国はほぼ半分です。訪日客数で一番多いのは中国人で、昨年は838万人にもなります(※韓国からは約754万人)。中国人は嘗て爆買いと持て囃されたように、今でも日本にお金を落としています。一人あたりの旅行支出は22万4870円で、韓国人の約3倍です。勿論、韓国人旅行者が来てくれるのは、日本の観光業界にとってプラスですから、是非今後もお願いしたいところですが、単価が低いのと政治リスクを常に抱えているという性質上、韓国頼みは危険過ぎます。先述の対馬は、抜本的に戦略を見直す必要があるでしょう。中韓以外のアジア圏や欧米からの旅行者数は伸びている為、政治リスク的にはこちらを重視したほうがよさそうです。日本人の国内観光を活性化させる為にも、いっそ全国一律の税率を止めて、離島や地方の税負担を軽減する形で活性化を図るのも一手でしょう。来年は東京五輪も開催されますし、多くの外国人旅行者が見込まれます。政府は来年4000万人の訪日外国人旅行者を目指していますが、重要なのは数ではなく、如何に効率的に稼ぐかということを念頭に考えるべきです。人が多すぎると交通も観光地も混み合って疲れますよ…。


KAZUYA YouTuber。1988年、北海道生まれ。2012年、『YouTube』に『KAZUYA Channel』を開設。著書に『日本一わかりやすい保守の本』(青林堂)・『バカの国 国民がバカだと国家もバカになる』(アイバス出版)等。近著に『日本人が知っておくべき“日本国憲法”の話』(ベストセラーズ)。


キャプチャ  2019年10月31日号掲載

テーマ : 韓国について
ジャンル : 政治・経済

【解剖財界】第7部・中小地方(05) 企業城下町、半減

20191031 07
地方経済の主役である中小企業とは異なる形で大企業が支える町がある。企業城下町――。中心に位置する企業の存在感をお城に例えた。先月25日の都市対抗野球大会決勝戦は、3年ぶりに企業城下町を本拠とするチーム同士の頂上決戦となった。『JFE東日本』(千葉市)が『トヨタ自動車』(愛知県豊田市)を6-4で破り、本戦出場23度目の名門が悲願の初優勝を果たした。都市対抗参加チームの変遷は、製造業を主とする企業城下町の盛衰を映し出す。『日本野球連盟』によると、高度成長期の1963年には本社や工場の立地都市等で活動する企業チーム数は237。バブル崩壊やリーマンショックを経て2011年には83まで減り、景気拡大で盛り返した現在でも96(※5月時点)にとどまる。『三菱重工業』の造船所がある長崎市、『TDK』の主力工場があった長野県佐久市――。都市対抗に出場経験がある城下町だったが、グローバル化や人口減を背景にした内需縮小で、企業が工場の規模縮小や撤退を進め、都市対抗からも退いた。企業城下町に詳しい下関市立大学准教授の外枦保大介(37)の調査によると、企業城下町の数は1960年の101都市から2001年は46都市に半減した。「2008年のリーマンショックを経て更に減った」と外枦保は見る。企業城下町は、多くの住民が中心となる企業やその下請けで働き、企業の業績がその町の税収や住民の生活を大きく左右する。大企業の安定を享受出来る一方、一つの企業に寄りかかる脆さがある。最近でも、今年3月に『JXTGエネルギー』が室蘭製造所を閉め、2021年度を目途に『ホンダ』が狭山工場を、2020年に『日野自動車』が本社に隣接する日野工場を閉める方針を示した。城下町の消滅は止まらない。“パジェロの町”も揺れる城下町の一つ。岐阜県坂祝町という難読の町名よりも、『三菱自動車』の代表車種の名で呼ばれる。人口約8000人の小さな町の中心部には、三菱自動車の子会社『パジェロ製造』が本社と工場を構え、これまで国内向けは延べ64万台のパジェロを出荷した。町のウェブサイトに掲載する特産物には、トマトや日本瓦とパジェロが並ぶ。販売不振を理由に今月いっぱいで特産物の国内向け生産は終了し、今後は海外向けと他の車種の比重を高めることになった。

昨年度の町税収約11億円の16%をパジェロ関連が占め、法人税に限るとすると34%となる。約30年間勤めたパジェロ製造から城下町の町長に転じ、今年4月まで3期12年間を務めた南山宗之(63)は、古巣からの税収を頼りに城下町行政を司った。老朽化した道路の補修、様々な公共工事選挙の際も、会社関係者や労組の支援を受けたという。南山は言う。「企業が発展して地域が潤う。小さな町が生き残れたのはパジェロ製造があってこそ。その構図は今後も変わらない」。パジェロ製造は、生産台数を当面維持する方針を示した。ただ、先行きは読めない。2004年、リコール隠し問題をきっかけに経営が悪化した三菱自動車は、パジェロ製造の閉鎖を柱とした再建計画を一旦纏め、町に衝撃が走った。「リコール問題、燃費不正、『日産自動車』の傘下入り――。三菱自動車が傾く度に、『パジェロの町は大丈夫か?』と心配になる。今後も存続できるよう祈るばかりだ」。町内で自動車整備工場を経営する男性(63)は憂う。大企業依存からの脱却を模索する動きもある。旧『住友金属工業』(※現在の『日本製鉄』)の製鉄所を抱える和歌山市。典型的なシャッター街だった中心街『ぶらくり丁商店街』を再生させるまちづくりに取り組む。高度成長期には有数の企業城下町の一つに数えられ、1970年頃には家族を含めれば人口36万人の3割近くを占めたとされる。その後、2度の石油ショックや、鋼材価格が下落し製鉄業が低迷する“鉄冷え”により、生産能力の縮小に伴う雇用減や機能移転の波が城下を襲った。都市対抗出場21回、1982年には全国優勝した名門の社会人野球チームも、1999年度で休部した。今、街に活気を取り戻す為に行なう年1回程のイベントには、約6000人が詰めかけ、商店街をリビングルームに見立てて並べたソファに座ると、地元のクラフトビールが振る舞われる。空き店舗にカフェや寿司屋が構えられた他、起業希望者に貸し出すビジネスも始まった。イベントを主導したのは、地元で設計事務所を営む小賀善樹(44)。「企業城下町という意識は最早無い。自分たちの日常が先ず豊かになり、街を作ることが必要だ」。昨年、国の地方再生モデル都市に選ばれ、遊休不動産を活用して大学を誘致する等、官民挙げて街の再構築を加速する。外枦保が指摘する。「国内の製造拠点がどんどん減って、大企業の頭脳にあたる研究開発部門しか残らなくなれば、企業城下町という街の形は無くなる」。大企業が地方経済を先導する時代が終わろうとする中、地方都市其々の知恵が問われている。 =おわり 《敬称略》


キャプチャ  2019年8月18日付掲載

テーマ : 経済ニュース
ジャンル : ニュース

【解剖財界】第7部・中小地方(04) 商議所・商工会、再編遅れ

20191031 06
商工会法が制定された1960年以前から活動していたとして、“商工会発祥の地”を自負する新潟県。政府が1999年から10年に亘り主導した“平成の大合併”を経て、県内の市町村数は30と3分の1以下に減ったが、商工会の数は103、商工会議所も含めれば4倍近い119に上る。中小企業の支援を担う商議所と商工会。共に設置の根拠となる法律は、商議所は市、商工会は町村に設置されることと定め、“1市町村1商工団体”を原則としてきた。2004年までに商議所、商工会其々の再編を後押しする法改正が行なわれた。きっかけは大合併。自治体の数が1999年の3232市町村から、現在は47%少ない1718となった。だが、新潟県の商工会内部では「統合すれば県内の商工会全体が得られる補助金が減る」との意見が大勢で、再編を進めなかった。『新潟県商工会連合会』は採用サイトでこう掲げる。「市町村合併後も統廃合することなく存続し、より地域に密着したサービスを実現している」。商工会全体の数は1999年度の2806から今年4月時点で約40%減の1652となったものの、商議所は大合併前の521から現在は515と殆ど減っていない。更に、商工会が商議所と併存している自治体は全国約250に上る。2011年に旧鳩ヶ谷市と合併した埼玉県川口市。『川口商議所』と『鳩ヶ谷商工会』が併存し、鳩ヶ谷地域の事業者は川口商議所による経営支援の一部を受けられない事態に陥っている。川口商議所の児玉洋介(76)は昨年7月、『日本商工会議所』の政策懇談会で会頭の三村明夫(78)に訴えた。「同じ川口市内にある商工業者にも拘わらず、拠点地域によってサービスに格差が生じている」。現行法では、商議所と商工会が合併することはできない。どちらかが解散して吸収されるしか手段がなく、特に商工会の抵抗が強い。

商工会や商議所のトップは、地方経済界の名士だ。「再編・合併が進めばその分、ポストの数が減る。順番が近付いた有力経営者ほど猛烈に反対する」(経済産業省幹部)。商議所の専務理事には県や市幹部が就任することが多い。役人の天下り先となっていることも再編の足枷との見方もある。県庁から西日本の商議所に天下った専務理事は言う。「補助金を出す側、受ける側両方を知る事務方トップのほうが、組織運営はし易い」。再編が求められている背景には、大合併に加え、会員数の減少がある。中小の数は、1999年の約480万から2016年に約360万と約25%減った。会員数が減れば、団体の主たる収入である会員の会費や、会員数等に応じ給付される自治体からの補助金も先細る。再編で組織運営の効率化や財務基盤の強化を図る必要に迫られている。商議所の収入源として存在感を高めているのが、『アクサ生命保険』から得る手数料収入だ。フランスの保険大手『AXAグループ』の日本法人が2000年、商議所向け共済保険を主力とする『日本団体生命保険』を吸収して傘下に入れたことがきっかけとなった。『長野商工会議所会頭』の北村正博(72)は、アクサのトップ級営業マンを自任する。商議所の会員企業を自ら訪問し、電話をかけて共済保険への加入を呼びかける。昨年度は長野商議所の収入の2割弱を占めた。北村は、「会費、行政からの補助金、アクサの手数料が収入の3本柱だ」と話す。全国の515商議所のうち、99%にあたる511がアクサと保険販売で提携する。営業所や支社の8割は商議所ビルに入居し、家賃面でも商議所運営を支える。全国の商議所会員が支払う保険料収入は約2000億円(※2017年)、アクサの保険料収入全体の3分の1を占め、商議所がアクサから受け取る手数料は数十億円単位に上る。会員企業や社員に対する福利厚生という位置付けだが、「会費収入や補助金が減る中でアクサ依存が強まれば、商議所本来の運営の在り方から逸脱する」との指摘もある。会員数減は中小企業の減少だけが理由ではない。組織率は商議所が33.6%、商工会57.2%で低下傾向にあり、入会の意義を見い出せない企業が増えている。関東地方の商議所は、職員が管内の商工事業者を手分けして訪問し、入会を勧誘するが、会員はここ10年で3割弱減少した。関係者は、「経営指導員が多様化する経営課題に対応出来ていない」と見る。「団体によって、提供する支援内容やサービスの質にばらつきがある」との声も多い。曲がり角を迎えている商議所と商工会。全国の商議所を取り纏める日商の三村は、この秋から異例の3期目を託された。中小企業のニーズをきちんと代弁し、政策面で支援を図る体制をどう作るのか。今後の3年が問われる。 《敬称略》


キャプチャ  2019年8月17日付掲載

テーマ : 経済ニュース
ジャンル : ニュース

【解剖財界】第7部・中小地方(03) 最低賃金、政治力及ばず

20191031 05
神奈川県西部にある機械メーカーの社長(48)は最近、従業員50人の一部を減らす策を練っている。理由は一つ。賃金の下限を定める同県の最低賃金が、10月から1011円と初の4桁水準になるからだ。「人件費が増えれば社会保障費負担も膨らむ。これ以上賄えないよ」。今年、国が示す最低賃金の目安を巡り、政府と『日本商工会議所』等中小企業3団体の対立が鮮明となった。5月14日、政府の経済財政諮問会議。『サントリーホールディングス』社長の新浪剛史(60)が口火を切った。「早期に(全国平均)1000円を目指すべきだ。インパクトを持たせる為に5%程度の引き上げを目指す必要がある」。これに官房長官の菅義偉(70)が同調した。「私が言いたいことは全部、新浪議員が言ってくれた」。政府は年率3%程度の引き上げを目標に掲げ、2018年度まで3年連続で目標を達成してきた。狙いは、地方の所得水準を引き上げ、安倍内閣の経済政策『アベノミクス』の勢いを加速させること。夏の参院選もにらんでいた。引き上げは働き手には朗報だが、中小企業には重い負担としてのしかかる。「最低賃金の全国平均が1000円になったら、労働者1人あたり年30万円近くの負担増になる。中小企業に重大な影響がある」(日商会頭の三村明夫、78)。日商は5月末、『全国商工会連合会』、『全国中小企業団体中央会』との3団体連名で見直しを求める意見書を公表し、三村自ら、それを手に永田町の国会議員会館を行脚した。6月1日に閣議決定された『経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)』では、前年には盛り込まれた“3%程度をめど”との文言が消え、3団体の意向が反映されたかにみえた。それから1ヵ月後の先月31日。厚生労働省の中央最低賃金審議会は、今年度の最低賃金の引き上げ率の目安を平均3.09%とする答申を纏めた。突然の卓袱台返し。中小3団体は政治的敗北を喫した。「(政府の)予定通りだったんじゃないか」。三村は周囲に漏らした。中小企業が最低賃金の見直しに期待したのは、3団体の働きかけに加え、参院選での勝利があった。審議会答申の10日前にあたる先月21日のことだ。

商工会幹部らで組織する政治団体『全国商工政治連盟』の組織内候補である自民党の宮本周司(48)が、比例選で約20万票を得て再選した。6年前の初当選から約2万票を上積みし、比例選での順位も特定枠を除き9位と4つ上げた。石川県能美市で社員3人の造り酒屋を営む宮本は、全国連の青年部会長等要職を歴任した。選挙戦は商工会関係者らが実動部隊となり、全国を回って投票を呼びかけた。全国80万社に上る商工会会員の8割超は、従業員5人以下の小規模事業者だ。全国連会長の森義久(62)は振り返る。「全国連の組織をかけた闘いだった」。日商幹部らで作る政治団体『日本商工連盟』が、異例とも言える推薦に踏み切ったことも再選に繋がった。日本商工連盟は比例選での推薦や支援を控えるのが通例。だが、前回参院選で組織内候補が落選したことに危機感を強めた森が、日商首脳に直談判した。「政治は大事なんです。是非ご支援を」。森は宮本が初当選して以降、小規模企業振興基本法等中小企業を支える法律が制定され、政治の力を実感していた。全国連が5月末に開いた総会の懇親パーティー。首相の安倍晋三(64)は参院選に言及し、語気を強めた。「強い経済の為には何が大切か。政治の安定の為に何が大切か。もう皆さん、よくおわかりでしょう」。会場にいる商工会幹部約130人に、参院選での奮起を促した。合わせて安倍が表明したのが、中小企業の事業承継時、後継者へ企業債務の個人保証を求めない仕組みの導入。長年、中小企業が強く実現を求めていた。現職の首相が総会や関連イベントに出席したのは、1989年、商工会出身の宇野宗佑以来。「会の数日前、官邸側から出席の打診があった」(幹部)という。結局、アベノミクスの一丁目一番地である最低賃金引き上げを阻止することが出来なかったことで、中小3団体関係者から「政治への関与を一段と強めるべきだ」との声が上がる。今回の参院選で『全国郵便局長会』が支援した柘植芳文の得票は約60万、『全国建設業協会』が推した佐藤信秋が約23万。選挙でその政治力を示す業界団体に、集票力でも追いついてきた。商工会幹部が言う。「農協や垂便局の勢いには陰りが見える。民主党政権時代も一貫して自民党を支持した我々の存在感は、更に高められる」。今月9日夕、霞が関の経済産業省で開かれた産業構造審議会総会。三村は夏休みで静養中だった軽井沢の別荘から駆けつけ、熱弁を振るった。「骨太の方針には、最低賃金引き上げに際して、中小企業の生産性向上への支援を講じると記載している。是非、早急に具現化させることを望む」。早くも次の駆け引きが始まっている。 《敬称略》


キャプチャ  2019年8月16日付掲載

テーマ : 経済ニュース
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【解剖財界】第7部・中小地方(02) 黒字でも後継げない

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東京都大田区の町工場が大企業に技術力で対抗する姿を描いたテレビドラマ『下町ロケット』(TBSテレビ系)。主演の阿部寛(55)が社長を務める『佃製作所』のロケ地となった『桂川精螺製作所』も、生き残りにもがく。精密なネジを意味する精螺を、主に自動車部品用に製造する。昨年、ドラマに登場した同区にある工場を取り壊し、人件費の安い静岡県内にある工場を増強して、生産能力の多くを移した。自動車産業を縁の下で支えるネジ業界は元々、利益率1~2%という薄利商売だ。グローバル競争の激化で、大手からのコスト削減の圧力は一段と強まる。バブル期に60億円あった売上高が約25億円に縮小し、600人いた従業員は約150人に減った。1990年代のバブル崩壊や2008年のリーマンショックは技術力で乗り切ってきたが、それにも限界がある。取締役の大鳥達士郎(41)は、「業績は決して良くない。やれることをやるしかない」と話す。生産能力の移転に加え、数年前には太陽光発電事業を始め、今後は不動産事業にも注力する計画だ。こうした生き残り策を加速させたのは、急逝した先代社長の後を長男で現社長の石井昌景(45)が継いだことがきっかけだった。世代交代やデジタル化を進め、生産性を上げる。桂川精螺だけでなく、どこの中小企業にも求められる動きだが、その足枷となっているのが後継者難だ。少子化で身内の後継ぎが減り、事業の将来性への不安から、高齢の経営者は後を継がせることを躊躇する。2014~2016年に中小事業者は23万減り、休廃業を選んだ企業の半数は黒字決算だった。休廃業した経営者の年齢は60代以上が8割を占める。関東地方の商工会議所では、3年に1回、“幽霊会員”を訪ね歩く。会員の内、電話連絡がつかなかったり、会費が未納のままとなったりしている企業の経営者を訪問して、所在を確認する。所在地が更地になっていたり、近所の人にも行方知れずになっていたり――。「中小企業がどんどん溶けてなくなっていくようだ」。商議所幹部は呻く。

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中小企業庁等によると、2025年頃までに70歳を超える経営者は245万人に達し、その半数は後継者がいない。何ら手を打たなければ、650万人の雇用とGDP22兆円が失われると試算する。廃業が広がれば、中小企業が部品を供給し、大企業が製品を組み立てるという製造業の分業体制も、維持することが難しくなる。危機感を募らせた政府が動く。「事業承継時の相続税や贈与税をゼロにする異次元の措置を講じました」。首相の安倍晋三(64)は5月、『全国商工会連合会』通常総会のパーティーでこう強調した。安倍内閣は、2014年に小規模企業振興基本法を制定したのを始め、事業承継の促進策を相次ぎ打ち出し、ここ10年程度を“事業承継の集中実施期間”と位置付ける。実は、事業承継の支援策は、商議所等が半世紀以上前から政府に要望していた。経済産業省幹部の一人は、「これまで中小企業政策は資金繰り支援や補助金ばかりで、如何に企業を存続させるか、経営者が事業を引き継ぎやすくするかという視点が欠けていた」と振り返る。金融機関もメガバンクから地方銀行まで、地方における大きな商機とみて力を入れ始めた。政府は地銀による企業への出資規制を緩和し、後継者探しの間、地銀が事業の継続を支えることも検討している。政府の対応をよそに、承継問題を抱える中小を虎視眈々と狙うのが中国勢だ。彼らにとって、高い技術力を持ちながら廃業寸前の中小は、宝の山にも映る。名古屋市のコンサルティング会社『名南M&A』のアドバイザーである黄頴俊(33)の元には、年間20件程、東海地方に集積するメーカーの買収を目指す中国企業からの相談が相次ぐ。EV用バッテリー等の先端技術や、工作機械といった業種や社名に興味を示すケースが目立つ。5年程前まで相談件数はゼロだった。買われる側の日本企業も、中国資本への抵抗感が和らいでいるという。「巨大な中国市場への足場が魅力となっている為だ」(黄)。M&A助言会社『レコフ』によると、中国企業による日本の未上場企業の買収は、2018年に25件と過去最多になった。廃業か、存続か、外資による買収か――。中小企業の在り様が大きく変わろうとしている。 《敬称略》


キャプチャ  2019年8月15日付掲載

テーマ : 経済ニュース
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【渡辺正行の「待たせたなぁ!」】(22) コント赤信号の代表作となった伝説のコント『ササニシキ』



俺たち『コント赤信号』は、1981年に入ると、平日お昼の人気番組『笑ってる場合ですよ!』(フジテレビ系)を始め、テレビのネタ番組に数多く出演するようになった。それに比例して、新しいネタも増えていった。恐らく、ネタ数は150本は超えていたのではないか。そのうちウケたのは50本くらい。今でも再現できるのは3本くらいといったところだ(笑)。俺にしても小宮孝泰にしても、石井章雄(※ラサール石井)にしても、兎に角、自分たちが面白いと感じたネタを作っていたに過ぎない。ただ、当時としては斬新な内容が多く、視聴者には新鮮なものとして受け入れられたようだ。それはどういうことかというと、俺たちのコントには、一般的なコントとは違い、“ボケとツッコミ”という方法論がなかったのである(笑)。全ての台本を書いていた俺は、基本的に“ボケとツッコミ”の感覚を持っていなかった。更に、3人とも元々役者志望で同じ劇団出身だったが、芝居の稽古の中でそんな感覚を学ぶこともなかった。だから、コント赤信号のデビュー作である暴走族コントにしても、ツッコミではなく、リアクションで応えるという流れが普通だった。例えば、暴走族役の俺と小宮、そして学生服姿の石井が、こんな会話をするシーンがある。「俺と小宮は明治大学出身だ。お前はどこだ?」「早稲田です」「う、う~ん…」。何かツッコミを入れるわけでもなく、ただたじろぐ。そこに間髪入れず、「明治の人間が早稲田を見たら目が潰れる~」等という自虐的なセリフを続けて、ウケを狙っていたのである。こうした学歴ネタや、学校の授業で学んだ内容を生かしたネタも、好んで入れるようにしていた。

コントの中で時代を移動して、歴史の現場に行き、「あぁ、これが大化の改新なのかぁ…。でも、よくわからない~」といったリアクションをする、それこそよくわからないタイムトラベルものも作ったりした。こうした数々のコントのベースにあったのが、演劇的要素だった。『つかこうへい事務所』や、柄本明さんが座長の『東京乾電池』、佐藤B作さんが座長の『東京ヴォードヴィルショー』等、笑いを土台にした演劇に憧れ、大いに影響を受けていたのだ。ただ、演劇的要素はあるが、決して完全な演劇ではない。コントではあるが、それまでの一般的なコントとは一線を画していた。つまり、演劇と一般的なコントの中間に位置する、謂わば“演劇的コント”であり、それが斬新だったのだろう。実はその中に、コント赤信号の知名度を一気に高めることになった名作コント(笑)がある。その名も『ササニシキ』だ。因みに、ササニシキは宮城県産のブランド米で、当時、コシヒカリと人気を二分していた。だからこそネタにもしたのだが、今やすっかり主流ではなくなっているのは、何とも隔世の感があるものだ。コントの設定は、田舎を捨てて都会に出ようとする農業青年役の石井を、仲間の俺とお婆さん役の小宮が引き止めるというもので、これまた演劇的だった。何しろ、冒頭でいきなり『オフコース』のヒット曲『さよなら』が流れるのだ。そして、俺は石井をこう言って引き止める。「俺たちの黄金の米、水でもぬるま湯でもお湯でも美味しく食べられる“全温度ササニシキ”を作ろうと誓い合ったじゃないか!」。その頃、どんな温度の水でも高い洗浄力を発揮するという触れ込みで、『全温度チアー』という洗濯用洗剤が流行っていたのだ。

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【水曜スペシャル】(91) 上海髙島屋営業続行の思惑…再出店にらみ中国政局に恩を売る

20191030 08
業績不振で8月25日に閉店の予定だった『上海髙島屋』が、閉店2日前になって一転、営業続行となった理由は、日本は勿論、中国の小売り業界でも大きな謎だった。表向き、建物の賃料が下がり、髙島屋の負担が減った為と言われているが、「経営実態は賃貸料が軽減された程度で立ち直れるようなものではない」(日本の百貨店関係者)という。上海市政府関係者は、「市政府のトップも務めた韓正副首相が上海経済のイメージ低下を懸念し、撤退の延期を強く要求した」と語る。“中国消費のエンジン”とも言われ、注目度の高い上海で日本の有名デパートが撤退するのは時期的に拙いという判断が、韓副首相にあった為という。では、髙島屋側は何故この要請を呑んだのか? 髙島屋としては将来、別の場所で再度の中国進出の為、「中国と上海市に貸しを作る狙いで、半年から1年の閉店延期を承諾した」と現地では噂が出ている。遠くない将来の髙島屋閉店後の新たなテナントには、9月に上海市閔行区にオープンし、驚異的な集客力を示している『コストコ』が、早くも候補に挙がっているという。


キャプチャ  2019年10月号掲載

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