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習主席の愛娘がインターネット上で“父親礼賛”…将来は後継者となる可能性も





20180330 09
中国の習近平国家主席の一人娘である明沢さんが、SNSでペンネームを使い、国家の頂点に立つ父親の偉大さを礼賛していた――。中国のメディア関係者の間で、こうした見方が強まっている。「(習体制が進める)民主化プロセスの歩みは止まらない!」等の言葉を書き連ねていた“銘則”という削除済みのアカウントは、明沢さんのものだったというのだ。10億人近くが利用する通信アプリ『微信』に設けられていたアカウント“銘則”の中国語の発音は“ミンツァー”。一方、明沢さんの読み方もこれと全く同じだ。この為、中国共産党幹部の間では「アカウントの所有者は明沢さんではないか?」との声が上がり、第19回共産党大会を控えた昨夏までに本人と特定されたという。党関係者の注目を一気に集めてしまったせいか、アカウントは同年8月末に削除された。2010年にハーバード大学に偽名を使って極秘留学した明沢さんは、2014年に卒業し、帰国。その後、父親の個人事務所である『習近平弁公室』で局長級のポストに就いて働いているとされる。SNSを使った広報宣伝活動については、「仕事の一環だった」との観測もある。「今後、習主席の後継者になる」との見方も出ており、その一挙手一投足に中国共産党幹部らの関心が向けられている。

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中国と対立する台湾与党の民進党がピンチに陥っている。11月の台北市長選で再選を目指す、親中派で現市長の柯文哲氏が安定した人気を維持しており、対抗馬を擁立できそうにないのだ。これまでに、陳水扁政権時代に副総統を務めた超ベテランの呂秀蓮氏らが候補として名乗りを上げたが、「実際に出馬しても一蹴される」との見方が根強い。また、「呂氏らが下手に善戦すれば、柯氏と共倒れになり、柯氏以上に中国寄りの国民党候補に“漁夫の利”を与えかねない」との懸念もある。民進党内からは、「この際、柯市長を支持すればいい」(党幹部)という声も漏れる。対中政策で民進党と足並みを揃えてきた野党『時代力量』は、不甲斐ない民進党に見切りを付け、独自候補を擁立する方向で動き出したが、勝算を見い出せない。中国と距離を置く各政党の行く手に暗雲が垂れ込めつつある。

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インド人スパイやテロリストのパキスタンにおける活動が目立ってきている。中国の『一帯一路』の一部である『中国・パキスタン経済回廊(CPEC)』を監視・破壊するのが目的とみられる。アメリカのニュースサイトによると、先月、パキスタンのカラチで中国人2名を巻き込んだ銃撃戦が発生した。パキスタン当局によると、これにインド人スパイが関与した疑いが濃厚だという。過去にパキスタン内政部が摘発したインド人工作員の自白等から、スパイ網が敷かれていることが明らかになっているという。昨年12月には、CPECの重点プロジェクトであるカロット水力発電所に関わる中国人技術者が行方不明になっているが、これについてもインド人スパイの関与が疑われている。

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テーマ : 中朝韓ニュース
ジャンル : ニュース

【不養生のススメ】(12) “除菌・抗菌”はやりすぎ禁物





20180330 08
喉の痛みや咳等の症状の為に病院を受診し、「念の為に」「取り敢えず」という理由で抗生物質の処方を受けた経験はないだろうか? アメリカの『疾病対策予防センター(CDC)』によると、感染症のある20~64歳のアメリカ人の35%(※右画像)は、外来で、尿路感染症やその他の細菌感染症等の病状の為、不必要な抗生物質が処方されていた。更に、この調査によると、同年齢層のアメリカ人の70%は、病状に拘わらず、ウイルスによって引き起こされる風邪・インフルエンザ・咽頭炎・気管支炎・副鼻腔炎、そしてアレルギー等による急性の呼吸器症状に対して、外来で不必要な抗生物質が処方されていた。抗生物質はウイルス感染に効かないし、医療費の無駄遣いだ。また、抗生物質で体内の全ての細菌を一掃することは不可能だ。生き残った体内の細菌は抗生物質に抵抗し始め、将来、必要な時に抗生物質が上手く効かなくなる。CDC元所長のトーマス・フリーデン博士は、「抗生物質は命を救う薬だが、不適切な使用を続けると、私たちは生命に関わる感染症と戦う為の強力なツールを失う」と警告する。それにしても何故、医師は「念の為に」「取り敢えず」抗生物質の処方を続けるのだろうか? イギリス大手紙の『ガーディアン』によると、イギリスの開業医1004人の調査の結果、ほぼ半分の医師が「患者の治療に役に立たない」と知りながら抗生物質を処方していることが判明した。更に、28%の医師は「抗生物質が医学的に必要であるかわからない」まま週に数回処方していた。また、医師の90%は「抗生物質の処方をしなければならないと、患者からのプレッシャーを感じている」と回答している。

CDCによると、アメリカでは毎年4700万を超える不必要な抗生物質の処方で、患者は余分なクロストリジウムディフィシル感染症(CDI)のリスクに晒される。CDIは、抗生物質の使用により、正常な腸内細菌叢のバランスが崩れて起こることが多く、下痢・発熱・悪心・腹痛等の症状が起こる。病院や長期介護施設の高齢者によく見られる。CDIに罹ると、抗菌薬等の治療をしても10~30%が再発し、2回以上再発すると、その後の再発率は60%まで高まる。2011年にアメリカでは約50万人がCDIに罹り、最初の診断から30日以内に約2万9000人が死亡、その内の約1万5000人がCDIを直接起因とする死亡だった。そんな中、最近再発したCDIの患者の60~90%が治癒するような画期的な治療法が開発された。除菌ブームの時代に、まるで逆の発想の“糞便移植”という治療法だ。抗生物質により、腸内細菌叢のバランスが崩れている人に、健康な人の糞便に含まれている細菌を大腸内視鏡で腸内に注入して、正常な腸内細菌叢を取り戻すという考えだ。2017年のアメリカ医師会雑誌『JAMA』によると、カナダのアルバータ大学の研究者らはカプセル型の糞便薬の経口投与にも成功した。カプセル型の糞便薬は、便を処理して濃縮した腸内細菌のみを含み、三層のゼラチンカプセルに包まれている為、香りや味は無い。画期的な治療だが、先ずは不必要な抗生物質の使用を止めて、CDIの発症を防ぐことが重要だ。また、アメリカでは食物アレルギーが大きな社会問題になっている。その原因も、近年の除菌し過ぎた生活環境により、体の自然な細菌の組成が乱された為であることが示唆されている。2014年、シカゴ大学の研究チームは、マウスを用いた動物実験で、腸内細菌が食物アレルギーを予防することを報告した。研究者らは、腸内細菌が食物アレルギーにどのように影響するかを調査した。先ず、①生まれて無菌状態で飼育、全く常在菌を持たない無菌マウス②抗生物質で治療した、かなり腸内細菌が減少しているマウス③正常の腸内細菌を持つマウス――の3グループで、ピーナッツのアレルゲンに対する反応を確認した。

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テーマ : 医療・病気・治療
ジャンル : 心と身体

ドヤ顔で信者からカネを巻き上げる勘違い男…『キングコング』西野亮廣、そのビジネスのペラペラな中身

突然の芸人引退宣言から絵本作家に転身。最近は“レターポット”という新ビジネスを立ち上げ、ドヤ顔の表紙が鼻につくビジネス本まで発売。すっかりクリエイター気取りな“芸能界一の嫌われ男”が展開するビジネスの中身とは――。 (取材・文/編集プロダクション『清談社』 常盤泰人)





20180330 04
2018年の成人式で話題を集めた振袖レンタル会社『はれのひ』の夜逃げ事件。ニュースでは、晴れ着を着ることができずに泣き崩れる新成人の姿が全国のお茶の間に流された。そんな事件の被害者に手を差し伸べたのが、お笑いコンビ『キングコング』の西野亮廣だ。西野は事件の4日後、自身のブログで、成人式に参加できなかった人の為に“リベンジ成人式”をプレゼントする計画を発表。イベント費用は全て西野が負担し、振り袖レンタル・着付け・ヘアメイク・記念写真の撮影を提供し、2隻の船をチャーターしたクルージングディナーも予定されている。この話題には芸能マスコミだけでなく、『朝日新聞』等の一般メディアまでが飛び付き、巷には西野を絶賛する記事が溢れた。但し、ブログにも書かれていた通り、この行動は善意による美談という訳ではない。西野はブログやテレビの取材の中で、支援の理由をこう説明している。「レターポットというサービスをやっており、今回はその売り上げから必要経費を全額出させて頂きます」「余分に利益が出た場合は、被災地の復興支援や、こういった時に使うことを、前々から決めていた」。つまり、今回の支援は、西野が立ち上げた新ビジネスのレターポットを宣伝する為の“仕掛け”だったのである。レターポットとは、西野がプロジェクトの中心となって開発したウェブ上の手紙システム。1文字5円で相手にメッセージを届けることができ、受け取った人は文字数×5円の暗号通貨を受け取り、それを換金することができる。例えば、5000円で買った1000文字を送れば、相手は5000円を受け取ることができる。システムは完全に無料で利用できる訳ではなく、手紙を送るには“付箋”なるものを購入しなければならない。

西野は、このレターポットを、“恩贈り”という言葉や、“手紙と組み合わせることで感謝や善意を送ることができる”といった口当たりのいい文言で説明しているが、その実態は一種の仮想通貨である。「端的に言えば文字を仮想通貨にした送金システムです。Facebookのアカウントを利用しているので、簡単に登録でき、“いいね”を押すような感覚でお金を送ることができます。送り手も受け取り手も煩わしさや罪悪感を感じずに済むので、例えばキャバ嬢や地下アイドル等には重宝されそうですね」(ウェブビジネスに詳しいITライター)。宣伝の思惑はまんまと成功し、西野がこのリベンジ成人式をブチ上げて以降、レターポットの利用者は激増。一時はサーバーがダウンするほどの利用者が殺到した。「支援にはそれなりのお金もかかりますが、まさにこのレターポットを通じて、かなりの金額が集まったようですし、趣旨に賛同した着物レンタルチェーン店等のスポンサーや、ファンの協力も取り付けています。多少の出費があったとしても、宣伝と考えれば安いものですよ」(週刊誌記者)。これまで何かと物議を醸してきた西野だけに、インターネット上では直ぐ「他人の不幸に便乗した売名・偽善だ」という声も上がったが、西野は「宣伝なのは最初から申し上げているので批判に当たらない。売名・偽善という声もつきもので、そういうのは無視」とばっさり切り捨てている。西野にしてみれば、これも織り込み済みのこと。アンチが騒ぎ立てることで、レターポットの名前が更に拡散することまで計算していた筈だ。手際の鮮やかさは、まさに“炎上芸人”の面目躍如である。元々、お笑い芸人としてそれなりに知られていた西野ではあるが、ここ数年は芸人以外での活動ばかりが話題になっている。今回のリベンジ成人式にしても、よくある時事ネタに乗った芸人のいっちょかみではなく、明らかに仕事の一環として取り組んでいることがわかる筈だ。西野はNSCを卒業して直ぐに売れているが、芸人としては“痛い”タイプで、その癖が視聴者に浸透するに従い、人気も急落した。そこで活路を求めたのが、小説や舞台の脚本、絵本の執筆といった仕事だった。中でも力を入れていたのが絵本作家としての活動で、2009年に“にしのあきひろ”名義で初の絵本を上梓し、2012年にはクラウドファンディングで資金を募り、ニューヨークでの絵画展まで開催している。「素人としてはそれなりに上手い絵ではありますが、プロとして見れば凡庸な作品で、とても商売になるレベルではなかった。絵画展にしても、一部のコアなファンや、芸人として知り合ったタニマチを相手に小銭を集める、地下アイドルのようなビジネスモデルでしたね」(大手出版社社員)。ところが、2016年に発売した絵本『えんとつ町のプペル』(幻冬舎)が、累計32万部という絵本としては異例の大ヒットとなり、西野は「絵本作家になる」と宣言。この成功は出版業界のみならず、エンタメに関わるビジネス全般に大きな衝撃を与え、秋元康・小山薫堂・堀江貴文といった面々からも“天才クリエイター”と絶賛されるようになった。但し、注目されたのは作品のクオリティーではない。ベストセラーという結果を出してみせたビジネス手腕である。

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テーマ : 芸能ニュース
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<画像8枚> スクープ撮! 『EXILE』MAKIDAI、同棲中の恋人と結婚へ!

20180329 08
会計を済ませ、店を出るMAKIDAI。ミリオン常連の『EXILE』が庶民的なカラオケ店で歌うとは!

20180329 09
MAKIDAIに遅れること数分で、彼女がカラオケ店の出口に。携帯で連絡を取り合いながら彼の元へ。

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テーマ : 芸能ニュース
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【テレビの裏側】(16) 『サンドウィッチマン』は何故テレビに愛される?

今春、お笑いコンビ『サンドウィッチマン』が、『帰れマンデー見っけ隊!!』(テレビ朝日系)で地上波のゴールデン番組で初MCに挑戦する。ラジオやローカル局を含めるとレギュラー番組15本を誇る売れっ子だけに、初MCとは意外だが、業界内の評価はここ数年、ずっとトップクラスだ。実際、広告代理店等が実施する『テレビ局関係者が使いたい芸人』アンケートでは、常に1位の座を争っている。「キャスティング会議では必ず名前が挙がりますね。ビートたけしや松本人志も絶賛する完成度の高いネタは勿論、“強面だけどいい人”というギャップがウケています」(バラエティー番組ディレクター)。彼らがファンレター1通1通に返事を書いているのは有名な話だが、もう1つ、好感度の高さに繋がったのが、東日本大震災の直後から始めた『東北魂義援金』活動だ。チャリティーライブの売り上げやファンから集まった義援金は、累計4億円にも上る。サンドウィッチマン自身もロケ中に被災。津波や火災を目撃した経験があるだけに、仕事ができる感謝の気持ちを忘れていないという。「一見、そのスジの人風の伊達みきおは、カメラが回っていないところではムードメーカー。若手ADの名前もきちんと覚えていて、自分からよく話しかけています。スタッフ1人ひとりに敬意を払って仕事をしているのが伝わるので、一度仕事をしたスタッフは『また一緒にやりたい』と口を揃えます」(放送作家)。

地元愛も強く、『M-1グランプリ』(朝日放送・テレビ朝日系)優勝前から出演している仙台市泉区のコミュニティーラジオも、格安ギャラで続けている。利益度外視の活動を続ける背景には、所属事務所『グレープカンパニー』の理解がある。放送作家が続ける。「グレープカンパニーは、芸人のやりたいことを極力優先してスケジュールを組む。これだけ売れっ子になっても、毎年単独ライブをやるのはその為。若手のライブでも社長が自ら受付をしたり、兎に角、芸人を大事にするのです。ギャラの取り分もお笑い界で一番高いと噂されている為、他の事務所芸人も冗談交じりに『移籍したい』と言っていますよ」。実力や好感度、事務所との良好な関係に加えて、テレビでの起用に繋がっていると言われているのが、サンドウィッチマンの“安心感”だという。キー局社員が解説する。「伊達は『若し相方が死んだら芸人を辞める』と公言するほどコンビ愛が強く、プライベートでも家族ぐるみの付き合いをしています。ここ数年は不倫等でマスコミを騒がせる有名人が多い為、スポンサーもスキャンダルに敏感になっています。その点、相方と家族を溺愛しているサンドウィッチマンは、私生活面でも心配がない。実はこれ、テレビのキャスティングでは最も重要と言ってもいいポイントなんです」。業界とファンから愛される2人の活躍は、まだまだ続きそうだ。


キャプチャ  2018年4月6日号掲載

テーマ : テレビ・マスコミ・報道の問題
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【WATCHERS・専門家の経済講座】(11) M&Aは情報と事前準備――井上光太郎氏(東京工業大学教授)

20180329 07
「日本企業によるM&Aが拡大しています。企業の成長に欠かせないものですが、失敗例も多い。成功させるには、戦略に沿った事前準備等が重要です」。M&A助言会社の『レコフ』によると、2017年に公表された日本企業が関係するM&Aの件数は3050件で、過去最多を更新した。「増加の最大の要因は規制緩和です。産業保護政策の下、多くの規制が残っていた1980年代まで、日本企業のM&Aは珍しかった。1990年代後半に金融制度の抜本改革“金融ビッグバン”を受け、大手銀行の再編が相次ぎました。2000年代半ば頃には、規制緩和による競争激化を背景に、医薬品メーカーの統合等が急増します。現在、エネルギー分野で自由化が進み、電力会社やガス会社の合従連衡が続いているのも同じ流れです。M&Aは、特定の時期に、特定の産業で集中して起きる傾向がある。少子高齢化で、国内市場が成熟化していることも影響しています。日本たばこ産業(JT)が1999年にアメリカのRJRナビスコからアメリカ以外のたばこ事業を買収する等し、海外展開を加速させているのが典型例です。経済のグローバル化で、巨大企業による寡占化が世界で進んでいることも一因でしょう。例えば、ビール業界ではアンハイザーブッシュインベブが大型M&Aを重ね、シェアを高めている。後れをとった日本の大手も、M&Aで海外事業を強化しています。日本企業のM&&Aは、この先も増加傾向が続くでしょう。但し、どの企業にも必要という訳ではない。経験を積んだ企業は繰り返す一方、M&Aをやり通す準備のない企業は別の経営戦略を練ることになり、二分されていくと予想しています」。

「M&Aは必ずしも成功するとは限りません。分析結果によると、成功と失敗の割合はほぼ半々です。重要なのは情報。買収先の企業文化・取引関係・雇用制度等について、買い手と売り手では持っている情報に格差がある。国内企業同士なら格差は小さいのですが、海外企業が相手だと特に大きくなります。相手の情報が少ないままでは、企業価値の算出が曖昧になる。所謂“高値掴み”となり、失敗の可能性が高まります。それを避ける為には、徹底した事前準備が必要です。買収先となり得る企業を特定し、どういったシナジーを生み出せるかを調査する。経営者が候補先のトップと事前に接触しておくことが理想です。事前準備が周到なら、証券会社等から案件が持ち込まれ、慌てて交渉に入るのとは違う結果になる。実際、JTやソフトバンクグループ等の“M&A巧者”と呼ばれる企業は、場当たり的な買収をしません。経営者が買収先に対し、自社の戦略を語り、強く関与することも求められます。買われる企業の従業員は新しい経営者のことを知りません。買収後直ぐに戦略を共有し、浸透させないと、その後の成長は難しくなります。過去の事例では、一定の割合を出資する部分買収より、100%買収のほうが成功例が多い。投資額が膨らみ、リスクは高いのですが、相手を完全に取り込めば相乗効果が得易くなる。やはり、成功には関与が重要だということです。日本企業が抱える特有の課題もあります。海外企業と比べ、日本企業は買収先での“選択と集中”が不十分です。採算の悪い事業のリストラに手をつけず、資産規模だけ膨らんで、全体の収益性が低下するケースが少なくない。相手との融合を意識し過ぎる為でしょう。食品で世界大手のネスレは、2001年からの約10年間で大型買収を約100件手がけましたが、ほぼ同数の事業売却も実施しています。買う一方だと資産が膨張して資金が枯渇しますが、一部の事業を売りながら次々とM&Aを実現した。事業の構成を組み替えながら最適化し、世界市場で成長したのです。日本企業が相次いで海外でM&Aを仕掛ける一方、日本企業への投資はあまり進みません。最近の世界主要国の約5000件の大型M&Aを分析すると、自国企業が海外企業に買われた割合は、アメリカが18.5%、イギリスが32.1%、34ヵ国の平均は25.1%ですが、日本は僅か2.4%。リストラ等雇用調整の難しい国は、海外からM&Aの対象に選ばれないことが1つの要因です。「海外企業に呑み込まれる」等と否定的に捉えてしまう日本人の感情も影響しているようです。一見、日本の企業を守っているようで良さそうですが、そうではない。良い経営資源を持っているのに投資を受けられず、成長の機会を奪われている企業があるかもしれません。シャープは台湾の鴻海精密工業の出資を得て、スピード復活した。日本の競争力を高めるには、海外企業を買うだけでなく、海外から投資を呼び込む方策についても検討するべきだと思います」。 (聞き手/経済部 山内竜介)


⦿読売新聞 2018年3月28日付掲載⦿

テーマ : 経済
ジャンル : 政治・経済

【ニッポン未解決事件ファイル】(54) 山口組直参組長惨殺事件(2015年)――山口組分裂騒動の最中、猟奇的に殺された直参

2015年11月、山口組分裂騒動の最中に、直系組長が自宅で撲殺された。騒動後、初の殺人事件だけに、世の中の耳目を集めた。「これを機に抗争が始まるのではないか?」と危惧されたが、犯人逮捕に至らないまま、不気味なほどの静けさを見せている。 (取材・文/フリーライター 本郷海)

20180329 06
2015年11月15日、三重県四日市市内にある住宅で、『6代目山口組』の現役直参である『2代目愛桜会』の菱田達之会長が遺体で発見された。同年8月末、6代目山口組から最高幹部を含めた直系組長らが離脱し、新団体『神戸山口組』を旗揚げして以来、分裂に纏わる騒動が起きていたことから、菱田会長死亡のニュースが報道されると、ヤクザ業界は騒然となった。「事件を聞いて、直ぐに『神戸側の仕業かもしれない』と思った。いつでも仕返しできるように、所属する組織からは待機命令が下った」(関西地区で活動する6代目側傘下組織組員)。この日、菱田会長は夕方から外出の予定があった為、配下組員に迎えに来るように頼んでいたという。その後、命令通り組員は迎えに来たが、会長が姿を見せなかった為、夫人らと共にドアを壊して開けたところ、玄関傍で血塗れになって倒れている菱田会長を見つけたのだ。「部屋に残されていた鉄パイプで殴られたのか、全身が赤黒く変色し、頭・腕・肩を骨折していた。指も全て折られ、歯も抜かれている等、壮絶な暴行を受けたのは間違いない」(中部地区にある他組織関係者)。あまりにも遺体の損傷が激しい為、当初、捜査本部を設置した三重県警は、猟奇殺人も視野に入れて捜索を行なったとも聞く。一方、「菱田会長に恨みを持っていたとされる愛桜会関係者が真犯人だ」という噂が業界で流れたこともあった。「だが、その関係者には事件発生時にアリバイがあった。今年他界した為、『暗殺されたか?』との話も出たが、警察は無関係とみている。現場の住宅は愛桜会でも限られた人間しか知らなかった上、侵入経路とされる2階が、無人の可能性が高い衣裳部屋だと知っていたとすれば、菱田会長にかなり近い人物かもしれない」(業界に詳しいフリーライター)。山口組の分裂というあり得ない事態が起きたことで、ヤクザ社会の秩序が崩れた為、事件が発生したとの見方もある。だとすれば、菱田会長は分裂騒動の犠牲者に他ならない。両山口組の関係者も含め、現時点で逮捕者は出ていない。 =おわり


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テーマ : 社会ニュース
ジャンル : ニュース

【誰の味方でもありません】(45) 初めて書いた小説…

初めて小説を書いた。実は、これまでも「小説を書いてみないか?」という依頼を受けたことは何度かある。まあまあ面白いと自画自賛してしまう粗筋やテーマを思いついたこともあった。しかし、どれも最後まで書き切ることができなかった。明確な締切の不在という問題もあったが、小説というスタイルで何かを書く必然性を見出せなかったのだと思う。言いたいことがあればエッセイや評論で書けばいい。敢えて物語を介在させる理由がない――。そう思って、少しも筆が進まなかった。加えて、「折角小説家デビューをするなら、満を持して素晴らしい作品を書かないと意味がない」とも思っていた。お笑い芸人や映画プロデューサー等、他分野で活躍していた人が小説を書き始めるのは、一種のブームである。そのブームに乗ったと見做されるからには、それなりの完成度の作品を発表したかった。だが、僕が今回書いた小説は、まるで違う文脈で生まれたものだ。端的に言うと、祖母が去年の秋に他界した。春までは自分で自転車に乗って買い物へ行けるくらい元気だったのが、夏前に癌という宣告を受け、入院をしてからは数ヵ月で亡くなってしまった。その時に感じたことを、どうしてもノンフィクションで書くつもりにはなれなかった。ただひとつの結論を提示できる話題とは思えなかったからだ。

だから、創作と事実を混ぜることができ、作中で多様な意見を共存させることもできる小説というスタイルを選んだ。結果としてそれは、テレビ局に勤めるアナウンサーを主人公とした、親の死と憲法改正を掛け合わせた物語になった。本来は死だけをテーマにすればいいところに改憲を掛け合わせたのは、僕の照れもあるのだろうが、一見すると絶対的な断絶線にも、実はグレーゾーンが多いことを提示したかったからだ。憲法改正に反対する人々は、改憲が実現すると日本が軍事大国になるかのようなことを言う。しかし、若し51%の賛成と49%の反対で決まった改憲なら、政府は反対派の意見に耳を傾け続けるだろう。賛成と反対は、きっちり白黒で分けられる問題ではないのだ。生と死にも、ある種の曖昧さがあると思う。例えば、生きていても年に一度も会わない人もいれば、死んでからも毎日のように思い出す人もいる。そして、誰かが死んでからでも、一度は忘れていたエピソードを思い出し、新しい記憶にできるかもしれない。そんなことを考えながら、母の死に揺れる青年の物語を書いた。拙いながらも、一応は作品を書き切れたことに満足していた。現在発売中の『文學界』4月号に掲載されているのだが、誤算は森友問題の再燃である。政権は最早改憲どころではないだろう。本来は作品世界のリアリティーを増したかもしれない改憲に関する記述が、一気に架空の出来事になってしまった。“予言小説”と褒められる可能性もあったのに。しっかりしてよ財務省!


古市憲寿(ふるいち・のりとし) 社会学者。1985年、東京都生まれ。東京大学大学院博士課程在籍。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。著書に『希望難民ご一行様 ピースボートと“承認の共同体”幻想』(光文社新書)・『絶望の国の幸福な若者たち』『誰も戦争を教えてくれなかった』(共に講談社)等。近著に『大田舎・東京 都バスから見つけた日本』(文藝春秋)。


キャプチャ  2018年3月29日号掲載

テーマ : 文学・小説
ジャンル : 小説・文学

【この素晴らしき世界】(13) 天下を取りたい男、ダイノジ大谷②

前回の続き、ダイノジ大谷君の話です。兎に角、嫌われてしまった大谷君ですが、2006年、『ダイノジ』に大きな風が吹きました。相方の大地君がエアギターの大会で世界一になるという快挙を成し遂げたのです。大谷君の考えた漫才ではなく、エアギターで再びテレビの世界に呼ばれました。ところが、様々なバラエティー番組にゲスト出演をしても、話を振られるのは大地君だけ。心の中にはもう嫉妬しかなかったでしょう。「ネタを作ってるのは自分だ」、そう思っていたでしょう。心中察します。コンビあるあるでもありますが、コンビの内、1人だけ売れると、この“地獄”が大きな口を開けて待っている…。況してや、ネタを考えていないほうだけが売れるのは、考えているほうからすると最早無間地獄です。しかし、その地獄からは思いの外、早く抜け出せました。エアギター世界一ネタはあっという間に飽きられ、また前と同じ毎日に戻ったのです。でも、大谷君には直ぐ次のチャンスがやってきます。大谷君のクラブDJイベントを番組にできないかと吉本が動き、『テレビ東京』で深夜番組になりました。『バカソウル』です。クラブの箱を借りて、芸人が様々な音楽をネタに笑いを取る。大谷君の夢が見事、形になりました。番組発の人気芸人やユニットが出来て、大いに盛り上がりました。…大谷君以外は。蓋を開けてみたら、番組の司会は別の芸人と人気アーティストがやり、大谷君はステージ横でアフロマンというキャラクターで、出演を終えた芸人に感想を聞く役割だけだったのです。

批判している訳ではありません。世の中そんなものです。やりたい仕事と回ってくる仕事は違いますから。ある時、大谷君が私に教えてくれました。奥さんがその番組を観た感想は、「あれ? パパがずっとやってきたイベントなのに? もっとパパが観たいな」だったそう。その頃からです、私が大谷君に近付いたのは。聞く話聞く話がどれも面白くて。オセロの白がひっくり返って黒になるように、芸人の不幸な話は他では味わえない面白さに溢れています。「大谷君のツイッターを以前フォローしていたが、全国のクラブイベントの告知と大量の自分への応援コメ ントのリツイートに嫌気がさしてフォローを外しました」「そのDJイベントは毎回大盛り上がりとつぶやいていたが、実際は大きなフロアに男の子6人が踊っているだけでした」「大谷君はみんなが踊れて盛り上がれる曲を現場で上手に繋ぐことが出来ないから事前に家でテープを作って、現場ではこっそりエアDJとしてやっている」「人が話していたカッコいい話を、盗む気なく無意識に盗んで話す。一度、盗んだ相手に自信満々でその話をしたことがある」「ラジオリスナーにボスと呼ばせてる。そのラジオは熱いメッセージてんこ盛りなので番組のメールアドレスは@netsu.」「イジるのはいいがイジられるのは大嫌い」「嫁がモー娘。オタクで、散々バカにしていたのにある日急に『モー娘。が熱い』と言い出す。ニワカの知識でモー娘。愛を語り、ニワカだとすぐにバレて炎上」「写真を撮る時にロック好きをアピールしたいのか口を尖らす」「ビック谷→大谷伸彦→大谷ノブヒコ→大谷ノブ彦と4度改名している。心が不安定です」「M-1グランプリの決勝で本番直前にネタを変更した。審査員を見た瞬間に、一か八かのネタではなく置きに行った営業ネタで50点を獲りに行った」「ラジオの番組名がダサすぎる。“ダイノジのキスで殺してくれないか”」。大谷君が熟成されてきて面白いなぁ~。


東野幸治(ひがしの・こうじ) お笑い芸人・司会者。1967年、兵庫県生まれ。兵庫県立宝塚高校卒業後、『吉本興業』に入社。現在、『ワイドナショー』(フジテレビ系)・『行列のできる法律相談所』(日本テレビ系)・『教えて!ニュースライブ 正義のミカタ』(朝日放送)・『梅沢富美男と東野幸治のまんぷく農家メシ!』(NHK BSプレミアム)等にレギュラー出演中。著書に『泥の家族』(シンコーミュージック)・『この間。』(ワニブックス)。


キャプチャ  2018年3月29日号掲載

テーマ : お笑い芸人
ジャンル : お笑い

【ヘンな食べ物】(80) 昔は本当に処女が作っていた口噛み酒

“マサト”と呼ばれる口噛み酒を求めてアマゾンに辿り着いた私は、「今はもうマサトを口で噛んで作らない」という衝撃の事実を知らされた。サトウキビ等を混ぜて発酵させるという。一瞬、ショック死しそうになったが、作り方を知っている人は未だ存在する筈。探してみたら、ワチペリという先住民の村のテオフィラさんという村長夫人が知っているとわかり、特別に頼んで作ってもらえることになった。先住民の村長といっても、今では町に家を持っており、雑貨屋を経営していた。2人は週末になると、村へ帰って農作業をしたりするらしい。早速、翌日、私たちは車で約1時間のところにある村へ行き、口噛み酒を見せてもらうことにした。伝統文化に詳しいフリアンという年配の村の人も同行してくれた。マサト作りは先ず、原料であるキャッサバを調理することから始まる。テオフィラさんはマチェーテ(※山刀)で細長い芋を手際よく切り、皮を剥くと、よく洗ってから2つの鍋へ分けて入れた。分けたのは、マサトを2つの方法で作ってもらう為だ。即ち、伝統的な口噛み式と“近代的”な方法である。初めのうちは手順は同じだ。其々の鍋に水を注ぎ、屋外に熾した焚き火にかける。30分程で煮えた。煮汁を捨てるとホカホカの芋が茹で上がる。この茹でたては日本の焼き芋のようで、甘くて、実に美味しい。芋は杵のような棒で丹念に潰し、マッシュポテト状態にする。既に中々の重労働だ。この間にテオフィラさんに話を聞く。恰幅はいいが、普段は町で雑貨屋を営んでいるだけあって、どことなく垢抜けている。顔つきや柔らかい口ぶりがタイ人に似ており、何だかチェンマイ辺りのおばさんと話しているような錯覚に陥る。

58歳の彼女曰く、「つい5~6年前まで口噛みでマサトを作っていたのよ」。また、「口噛みのほうが他の近代的な方法より美味しいし、長持ちする」とも言う。現在、56歳のフリアン先生によれば、「昔はマサトを飲む機会が2つあった」という。1つは祭り、もう1つは漁。後者は大勢の人の協力を得ないとできない。特に、嘗ては毒を流して魚を獲る漁法だったので、一家族が勝手にやる訳にはいかなかった。先生が5~6歳の頃は、口噛みは「本当に処女しかやることが許されなかった」という。それも歯が綺麗な(※虫歯等が無い)娘だけ。要するに、口噛みをする人が若くて健康であるということは、飲む側の精神的な好みも然ることながら、酒自体も衛生的だということらしい。そして、娘たちは自分で作った酒を直接、男たち(※酒を飲むのは男のみ)に注いで回った。ワチペリ族の人たちは、酒を飲む前に即興で歌を歌う習慣があるという。天気のことでも狩りのことでも何でも思いついたことでいいが、この時に何か困っていることがあれば、それも歌にする。「酒を沢山飲んで吐き出すように、自分たちの悩みも吐き出す」そうだ。所謂“飲みニケーション”がもっと高度に様式化されているのだ。そんな話をしているうちに、いよいよ口噛みである。テオフィラさんは先ず「口の中を綺麗にする為」と言い、一頻りサトウキビを噛んだ。水で口を漱いだりしないのが面白い。そして芋を噛み始めた。私のイメージでは、『君の名は。』(東宝)のヒロインがやっていたように、芋の一部を楚々として噛み、そっと鍋の中へ落とすというものだったが、現実は全然違った。というより、度肝を抜かれた。「何じゃこれは!」。


高野秀行(たかの・ひでゆき) ノンフィクション作家。1966年、東京都生まれ。早稲田大学第1文学部仏文科卒。『幻獣ムベンベを追え』(集英社文庫)・『アジア未知動物紀行』(講談社文庫)・『世界のシワに夢を見ろ!』(小学館文庫)等著書多数。


キャプチャ  2018年3月29日号掲載

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