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【WEEKEND PLUS】(570) 幸せな日常が一変、ある40代兄妹の死…「この選択は間違っている」、途絶えた家族写真



20241220 09
有名企業でチームリーダーを任されていた女性は、毎日同じような服で出勤していた。昼食は菓子パン一つ。仕事を終えると、決まって自宅に1本の電話を入れ、家路を急いだ。残暑厳しい昨年9月25日。東京都奥多摩町の山間にある湖の傍で、その女性が遺体で見つかった。女性は軽ワゴン車の後部座席に横たわり、運転席では男性が息絶えていた。

警視庁の発表文は、40代の男女が死亡したという記載だけ。2人の名前や関係性は記されていなかった。死因は一酸化炭素中毒。警視庁は自殺とみていた。心中だろうか。私(※岩崎)はそう思った。全国の自殺者数は2003年に3万5000人に迫り、警察庁が統計を取り始めて以降最多となった。その後、減少傾向になり、近年は2万1000人台で推移するが、少ない数字とは言えない。

自殺に関するニュースを報じる際は、プライバシーへの配慮や、誘発防止等に注意を払う必要があり、全てを記事化するわけではない。この2人の死も記事にならなかった。それでも、未だ働き盛りの年齢の男女がどんな苦悩を抱え、人目を避けるように最期を迎えたのか。それが気になり、取材を始めた。

捜査関係者への取材を重ねると、亡くなった女性は当時46歳だった会社員の美里さんで、男性は兄の哲夫さん(※当時48歳、共に仮名)だとわかった。名前を知り、2人が生きていた重みが心の中で増した。女性は大企業に勤めていた。そこから“安定した生活”を想像した。そんな女性が何故、兄と死を選んだのか。最期に何を思ったのか。私は親族や知人らを訪ねた。

兄妹は、多摩地区に佇む築約40年の戸建ての賃貸住宅に2人で暮らしていた。約20年前に両親と一家4人で、都心から移り住んでいた。私が大家の男性の元に何度か足を運ぶうちに、室内の片付けに同行することを了承してくれた。大家の男性によると、家賃の滞納はなかったという。「いつの間にか両親も亡くなっていたが、何も知らされていなかった。2人の身の上に何があったのか」と気にしていた。

兄妹の死から3週間ほど経った日、大家と一緒に兄妹の自宅の玄関を開けた。黴臭さが鼻を突く。カーテンや窓は閉め切られていた。2階建てで3LDKの間取り。廊下や階段にも所狭しと段ボールや衣類が積み重なり、足の踏み場もない。それまでの知人らへの取材では、美里さんに対して“しっかり者”との印象を抱いていた。しかし、目の前の光景は、それとは正反対のものだった。

布団が敷きっ放しのリビングには、コンビニ弁当の空き容器やビニール袋、公共料金の請求書が散乱していた。台所の流し台には、長く使われていないであろう食器がたまっていた。不整脈の薬や向精神薬の袋が手つかずのまま残され、美里さんの名があった。女性物の衣類は殆ど見当たらず、洗面台に化粧品類や整髪料は無い。美里さんの部屋の床には、仕事の工程表がびっしりと書かれたノートや資格取得に向けた参考書が落ちていた。

兄妹は、地方から上京してきた両親の間に生まれた。父は結婚を機にリフォーム業で独立し、母も従業員として家業を手伝った。2020年に他界した父は書斎に、サインペンで“アルバム”と書いた段ボール箱を残していた。大家の許可を得て、箱にあった数冊のアルバムを手に取った(※左上画像、撮影/尾籠章裕)。

美里さんの七五三で、家族揃って渋谷の明治神宮を訪れた時に写した一枚。千歳飴を両手で握る美里さんの隣で、背筋を伸ばしてはにかむ哲夫さん。その後ろで、母が優しい微笑みを浮かべて2人を見守る。小学生の時の運動会では、哲夫さんが選手宣誓し、美里さんがフラフープや縄跳びをしていた。父親の実家に帰省した際の写真もあり、親子4人が食卓を囲み肩を寄せ合う姿をレンズが捉えていた。どのページにも、何気なくも幸せな家族の日常が写っていた。

親戚の女性は、「どこに行くにもいつも一緒で仲の良い家族だった。哲夫も美里も“お母さんっ子”で、小さい頃は傍から離れようとしなかった」と振り返る。しかし、父の書斎には、美里さんが高校生になってから後のアルバムは残っていなかった。アルバムが途絶えた理由を知ったのは、更に取材を進めてからだった。

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テーマ : 政治・経済・社会問題なんでも
ジャンル : 政治・経済

【テレビの裏側】(311) 倒産続出! 芸能事務所に求められる“実力”

https://friday.gold/article/303456


キャプチャ  2025年1月3・10・17日号掲載

テーマ : 芸能ニュース
ジャンル : ニュース

【LEADERS・経営者に聞く】(184) 「“学び”を広げて未来のリーダーを育成」――永瀬昭幸氏(『ナガセ』社長)

予備校の『東進ハイスクール』を運営する『ナガセ』は、人口減社会を見据え、事業を広げてきた。教育の機会均等と、世界レベルの人材育成を掲げる永瀬昭幸社長に、創業からの歩みと今後の展望を聞いた。 (聞き手/東京本社教育部 上田詔子)



20241220 07
〈4人きょうだいの長男で、父は高校の数学教師。鹿児島の私立ラ・サール高校から東京大学を目指したものの、現役では不合格だった〉
高校では学費を滞納することが何度かありました。家計を考えると「予備校に行きたい」とは言い出せません。でも、親父が「本気でやるなら東京へ行け」と言ってくれ、上京して『駿台高等予備校』(※現在の『駿台予備学校』)で浪人生活を送ることになりました。

駿台の授業は目から鱗の連続でした。化学が苦手でしたが、講師の説明は名人の落語のよう。楽しく学べ、原理原則がよくわかりました。1浪して1968年に東大に入学しましたが、その頃、東大紛争が本格化。私も学生運動に加わり、2年留年しました。親父はカンカンに怒って、仕送りがストップ。学費と生活費を稼ぐ為に始めたのが家庭教師です。

幸い、「教えてほしい」という生徒は次々に現れました。最初は自宅に招いていましたが、保育園の教室を夜に借りて、1971年に小中学生向けの『ナガセ進学教室』を始めました。数年で100人を超える生徒が集まるようになり、私を含む10人ほどで指導。教室の収益で、鹿児島から上京した弟や妹の学費の面倒もみることができました。

1974年に東大を卒業。塾の経営は妹に任せ、『野村証券』に入社しました。1日10人の社長の名刺を貰うことを目標に、飛び込み営業も重ねました。取引先の開拓を苦とは思いませんでしたが、中には損失が出て事業が立ち行かなくなる顧客もいました。仕事を一生懸命すればするほど、そうした光景を目にすることに、ジレンマを感じるようになりました。

その頃、取引先の社長が「君は起業するほうが向いている」と5000万円の出資を申し出てくれました。野村証券を2年で退社し、教育事業に戻ることにしました。

〈1976年にナガセを設立。小中学生向けの塾を11校まで増やし、1985年には現役高校生が対象の東進ハイスクールの運営を始めた〉
当時の予備校は基本的に浪人生向けで、「現役高校生の需要があるのでは」と考えました。読み通り、優秀な生徒が順調に集まりました。ですが、数学の授業では、私が教えた解き方よりも優れた方法を見せてくれる生徒もいた。質の高い授業をするには、やはりレベルの高い講師が必要だと痛感しました。

そこで、浪人生に教えているエース級講師を他の予備校からスカウト。1988年には浪人生向けの授業を東進でも始めました。有名講師陣を揃え、テレビCMにも力を入れたおかげで、1990年には首都圏を中心に7校を構え、生徒は1万人を超えました。ですが、事業拡大で運営のほうが追いつきませんでした。

この年に進出した大阪校には約3000人の生徒が一気に集まりましたが、人気講師の授業は直ぐ満席となり、立ち見も続出。教科書を配りきれないケースもあり、授業料の返還を求められました。“宣伝に偽り”という見出しで記事にもなりました。

一方、1991年には“生徒3万人”を目指し、一流講師の授業を東進の各校舎へリアルタイムで配信する衛星授業を始めました。広告を大量に打って勝負に出たのですが、この年は生徒が7000人しか集まらず、借金だけが残ってしまいました。

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テーマ : 経済
ジャンル : 政治・経済

【第二次トランプ政権に備えよ!】(11) 「温暖化対策に負の影響の恐れ」――亀山康子氏(東京大学大学院教授)

20241220 06
第二次ドナルド・トランプ政権は先ず、確実に気候変動対策の国際枠組み『パリ協定』から再離脱するだろう。国連は来年2月までに、2035年までの各国の温室効果ガス排出削減目標を提出するよう求めているが、恐らくアメリカからは出てこない。国際交渉の焦点となっている途上国の気候変動対策に対する資金支援についても、トランプ政権は拠出しないだろう。

一次政権の時と同様、アメリカの気候変動に関する研究予算も大幅に削られる筈だ。海洋大気局(※NOAA)は解体の危機すらある。研究機関が担ってきた温暖化予測やモニタリングはダメージを受けるだろう。世界第二の温室効果ガス排出国であるアメリカのこうした態度が、他の国々の排出削減対策のやる気を削ぐ、負のメッセージとして波及することが懸念される。

アメリカ国民の特に若い世代の間では、党派を問わず気候危機に対する不安が増えている。ただ、大統領選では危機そのものへの不安より、気候変動の影響で増えた移民・難民がアメリカ国内に流入することへの不安が勝った。大統領選の最中、フロリダ州でハリケーンによる大きな被害が出たが、気候危機が顕在化しても「運が悪かった」と弱者を切り捨てるような考え方が広がる恐れがある。

一方、変わらないと予想されることもある。トランプ氏は石油・ガスの増産を訴えており、化石燃料の利用はある程度拡大するだろう。だが、同時に再生可能エネルギーへの移行も続く。脱炭素に積極的な企業や州は、誰が大統領になろうと排出削減を進めると宣言している。

ジョー・バイデン政権が2022年に成立させたインフレ抑制法に絡む再エネ補助金の支出先は、約8割が共和党寄りの地区とされる。既に再エネ産業に移行した州は今更、石炭産業に戻れない。核融合や次世代原発の技術開発も進むとみられ、結果的にアメリカのエネルギー部門の排出量は減っていく可能性もある。

日本はアメリカの顔色を窺いながら政策を決める傾向がある。2017年にトランプ政権がパリ協定からの離脱を表明した際、日本でも排出削減に消極的な言説が強まった。その影響で、2020年に漸く菅義偉政権が2050年までのカーボンニュートラル実現を打ち出すまで、他の主要国の脱炭素に向けた決断より時間的ロスがあったとみている。

石破茂政権は年内にも新たなエネルギー基本計画を纏める方針だ。輸入化石燃料に依存しない社会の実現は、日本のエネルギー安全保障上も重要だ。今回、また同じ轍を踏んではならない。 (聞き手/東京本社くらし科学環境部 阿部周一)


キャプチャ  2024年11月15日付掲載

テーマ : 環境・資源・エネルギー
ジャンル : 政治・経済

【第二次トランプ政権に備えよ!】(10) 「関税マンは引き上げに本気だ」――マシュー・グッドマン氏(『外交問題評議会』フェロー)

「タリフ(※関税)マンは本気だ」――。日米貿易問題等に詳しいアメリカのシンクタンク『外交問題評議会』のマシュー・グッドマン氏は、大統領への返り咲きを決めたドナルド・トランプ氏の自称を引き合いに、こう警告する。前政権期以上の猛威を振るう恐れもある“トランプ旋風”。どう備えればいいのか、詳しく聞いた。 (聞き手/ワシントン支局 大久保渉)

20241220 05
――関税引き上げの影響をどう見ていますか?
「全ての国に10~20%、中国からの全輸入品に60%を課すという言葉を真剣に受け止める必要がある。通常、こうした戦略は相手国から何らかの譲歩を引き出す交渉材料に使われるが、トランプ氏の言動を吟味すると、彼は関税引き上げが有効な戦略と考えており、本気で実行する可能性が高い。日本も例外ではない」
「トランプ氏の世界観は“貿易赤字は悪”ということ。そして、貿易赤字を減らす最も効果的な手法として、関税引き上げを挙げている。前政権で対中関税を引き上げても貿易赤字が減らなかったように、現実的には効果は薄い。だが、トランプ氏の世界観は現実からかけ離れている。トランプ氏が好んで使うタリフマンという言葉が象徴するように、関税引き上げ自体が目的化している可能性もある」
――現実問題として、トランプ氏は実行できるのでしょうか?
「合衆国憲法上、関税引き上げは連邦議会の権限だが、実際には大統領がいくらでも関税引き上げを決められる法律がある。トランプ前政権は、他国による不公正な貿易慣行への措置(※通商法301条)、国家安全保障上の脅威がある場合の措置(※通商拡大法232条)を使って関税を引き上げた。だが、この他にも経済的な緊急事態に大統領権限で関税引き上げを発動できる法律もある。ジミー・カーター政権で1970年代に成立させた国際緊急経済権限法(※IEEPA)だ。新政権でトランプ氏は同法も使うのではないか」
「最初に狙うのは、連邦議会で超党派の合意ができている中国。次にトランプ氏が『経済的に利用されている』と信じ込んでいる欧州だ。日本が標的になるのは、その後ではないか。関税引き上げにストップがかかるのは、アメリカ国内のインフレでトランプ氏を支持してきた有権者から怒りの声が噴出するケースだけと考えるべきだ。それまでは、経済の国際秩序を無視して引き上げを試みるだろう」
――多くの日本の自動車メーカーが進出するメキシコには「100%の関税を課す」とも述べています。
「メキシコに対する関税引き上げに込めるトランプ氏の狙いは、①メキシコを経由した中国の“迂回輸出”防止②メキシコに生産拠点を築いてアメリカ輸出を増やす中国メーカーへの牽制③メキシコからアメリカに入ってくる不法移民の取り締まり強化――の3つだ。予断を許さないが、日本の自動車メーカーが狙われているわけではないので、政治的に交渉する余地があるのではないかと思う」
――日本にはどんな要求が突きつけられるでしょうか?
「アメリカの対日貿易赤字は前政権時代に比べて減ったとはいえ、未だに大きな額だ。貿易赤字縮小を求め、先ずは農産物の輸入増加等、アメリカからの輸入拡大を要求するだろう。但し、人口減少が続く日本が輸入を大幅に増やすのは無理がある。日本からの輸出制限や、製造拠点をアメリカに移すことを求めてくるだろう」
――国際協調への影響はどうみますか?
「トランプ氏は二国間交渉を好み、多国間で協調する国際的な枠組みを嫌う。日米欧で構成するG7の結束には、前政権時代と同じく罅が入るだろう。ウクライナ支援や、対中国を念頭に置いた経済安全保障強化等、G7の結束が極めて重要な時期だけに、足並みの乱れの影響を懸念している」
「トランプ氏は、ジョー・バイデン政権と日本が主導した経済圏構想〈インド太平洋経済枠組み(IPEF)〉も、即刻廃止するだろう。IPEFの柱の一つである重要物資の供給網(※サプライチェーン)整備等は形を変えて残る可能性があるが、IPEF自体は消滅する」
――『日本製鉄』による『USスチール』買収はどうなりますか?
「トランプ氏に阻止される可能性が極めて高い。自国の鉄鋼労働者を守る為に自らの判断で阻止したと宣言することで、“タフな男”を演出できる為だ。実際にはUSスチールで働く労働者にとって不利益になる。彼らが猛烈に反対し、連邦議会を動かす事態になれば覆るかもしれないが、その可能性は低い」
「バイデン大統領が買収に難色を示したのは、大統領選で買収に反対する全米鉄鋼労働組合の支持を得る為だった。選挙に負けた今、バイデン氏が敢えて買収の可否を判断するメリットはなく、結論を先送りしてトランプ政権に委ねることになる」


キャプチャ  2024年11月14日付掲載

テーマ : 経済
ジャンル : 政治・経済

【第二次トランプ政権に備えよ!】(09) 「国益を譲らない勝負が必要だ」――今井尚哉氏(『キヤノングローバル戦略研究所』研究主幹)

20241220 04
安倍晋三元首相とドナルド・トランプ氏のやり取りの最中を見てきた。一期目の当選直後に安倍氏がしたことは、トランプ氏の自宅(※トランプタワー)の訪問だった。

当時は軍事化を進める中国、北朝鮮のミサイル等アジアの安全保障を巡る環境が非常に厳しかった。安倍氏は、北朝鮮のミサイルが届くようになればアメリカ自身の脅威であることや、アジアの安全保障にアメリカの関与が欠かせないこと等を逸早く伝えたかった。結果的に、この日の説明がトランプ氏にも理解され、その後の自身の訪朝等の動きにも繋がったと思う。

安倍氏がトランプ氏をゴルフや相撲観戦でもてなして「おべっかばかり使っている」とも言われたが、ビジネスマンであるトランプ氏にディール(※取引)ができる相手だと思ってもらう為にも、互いの趣味も通じた人間同士のケミストリー(※化学反応)を大事にする必要があった。

トランプ氏の経済戦略は、基本的にはアメリカ国内で雇用を作り、製品の輸出を増やしたいのが狙いだろう。先ずは海外から国内に工場を呼び込み、それに応じない国に高い関税をかけていくのではないか。

これから自動車や農産品の貿易や安全保障等を巡るトランプ氏とのディールが始まることが予想される。交渉に当たっては、互いが“ウィンウィン”なら協力するが、“ゼロサム”になるなら日本も自国の国益を譲らない、という勝負に持ち込んでいくことが必要だ。

ただアメリカ側に従うだけの外交になれば、足元を見られてしまう恐れがある。例えば、トランプ氏が「我が国の液化天然ガス(※LNG)をもっと買え」と迫ってくる可能性がある。政府内や産業界等が連携を深めながら、様々な損得を計算したプランを作り上げて交渉に臨んでほしい。

二国間での交渉が基本のトランプ氏は、一期目と同様、G7等の場を重視していないと思われる。これまで引っ張ってきたG7は、世界勢力の中で相対化が段々進んでいくだろう。

日本の外交は、各国の価値観や意見の対立も踏まえ、各国と同心円の関係を意識して向き合っていくべきだ。米中関係の冷え込みで対中貿易がし難くなれば、日本にとって不利益を被る。その場合はG20の場で欧州や中国と組んで歩調を合わせて防がないといけない。時にはアジアの一員として利益の代弁者になる等し、国際協調の場をよりよい方向に導くことも必要だ。 (聞き手/東京本社経済部 竹地広憲・浅川大樹) (撮影/幾島健太郎)


キャプチャ  2024年11月14日付掲載

テーマ : 経済
ジャンル : 政治・経済

【第二次トランプ政権に備えよ!】(08) 対米通商摩擦、EU警戒



20241220 03
“アメリカファースト”と自国第一主義を志向するドナルド・トランプ氏の次期大統領就任は、世界最大規模を誇る米EU間の貿易・投資に影を落としそうだ。自由貿易体制は崩れて、元々成長の鈍化に苦しんでいた欧州経済は更なる重荷を抱えるのか。現地からは「解決の糸口は日本との協力にある」との声も出ている。

「大西洋を挟んだ貿易と投資と雇用は、米EUの経済関係の力強さと安定に依存している」。EUの行政執行機関である欧州委員会トップのウルズラ・フォン・デア・ライエン氏は、トランプ氏勝利を祝う声明の中でこう釘を刺し、米EU間の貿易摩擦を避けたい意向を滲ませた。

EUによれば、2021年の米EU間の貿易額は過去最高の1兆2000億ユーロ(※約200兆円)に達している。対外投資分も合わせると940万人の雇用を直接支えており、世界最大の交易関係と言っていい。だが、トランプ次期政権が始まれば、これまで通りEUが自由貿易の恩恵を受け続けられるかは見通せない。

第一の懸念は、トランプ氏の主張通りに中国に対して60%の高関税がかかり、行き場をなくした中国製品が欧州に押し寄せる可能性だ。その際に対中関税の引き上げ等で対処しようとすれば、中国との貿易戦争に引きずり込まれかねない。

第二の懸念は、EU自体がアメリカの関税引き上げの対象になることだ。貿易赤字解消を目指すトランプ氏は「中国以外の国や地域に対しても10~20%の関税を課す」と訴えている。アメリカの対EUの貿易赤字(※エネルギーを除く)は右肩上がりで増えており、今や対中と同規模になっている。欧州自身も、貿易赤字に注目する次期トランプ政権の“標的”にされるリスクはある。

では、EUはどう動きそうなのか。関係者によると、欧州委員会は今年初め頃から、トランプ氏が返り咲いた場合の対応を検討するチームを作り、対応を検討してきた。

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テーマ : 経済ニュース
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【WEEKEND PLUS】(569) “安住淳予算委員長”誕生の裏で…自民・森山裕幹事長との蜜月に懸念の声

20241220 02
衆院選惨敗に伴う自公の少数与党への転落で新たに衆院予算委員長に就任した立憲民主党の安住淳元財務大臣(※左画像)。長年国会対策委員長を務め、自民党国対族の森山裕幹事長とは付き合いが深く、立憲民主関係者は2人の“蜜月”を危惧している。

時の政権の存亡を握る予算案を審議する予算委の運営を野党が仕切ることは、与党にとって脅威だ。森山氏は、旧知の安住氏が予算委員長に就く前提で野党に譲ったとされ、両者は“裏取引”をしたと囁かれる。2021年の衆院選で安住氏は、旧宮城5区でグラビアタレントの森下千里氏と争い、苦戦した。今回の衆院選では森下氏は比例代表で出馬し、安住氏は新宮城4区から立候補し、大勝した。閣僚経験者は、「安住氏の依頼を受けた森山氏が、森下氏を比例に回した結果ではないか」と言う。

無闇に予算成立を遅らせれば批判が野党に向く可能性もあり、舵取りは難しいが、立憲民主関係者は「厳しい運営で裏取引説を払拭してくれると信じたい」と語る。


キャプチャ  2024年12月号掲載

テーマ : 政治のニュース
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【WEEKEND PLUS】(568) 創価学会の政治部長に批判殺到! 衆院選惨敗で女性部が退任を要求

20241220 01
公明党の衆院選惨敗で、支持母体である『創価学会』の政治部長である佐藤浩副会長(※右画像)に、選挙を支えてきた学会女性部(※旧婦人部)から退任要求が突き付けられた。

敗北の一因は、“裏金”関係議員として自民党非公認となった候補を公明党が推薦したこと。佐藤氏はそれを主導したとされる。落選した石井啓一前代表についても、選挙戦途中で「もう大丈夫だろう」と判断し、慢心を生んだ。関係者によると、女性部は原田稔会長に佐藤氏退任を迫ったが、原田氏は何も答えなかったという。その後も佐藤氏は来年の東京都議選や参院選に向け、公明党への“指令”を続けている。衆院選敗北について、「責任を取って辞めるのは自民党の森山裕幹事長じゃないか」と嘯いているという。

佐藤氏は2021年に学会職員を定年退職し、政治部長の地位は原田会長から一任を受けているだけで、抑も辞めさせる役職がない。学会関係者は“無職の人”と揶揄している。公明党関係者は、「“無職の人”を辞めさせられないのは確かだが、アドバイザー的ポジションから外すことはできる。学会の無責任体質を表している」と嘆息する。


キャプチャ  2024年12月号掲載

テーマ : 政治のニュース
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【木曜ニュースX】(570) 最高裁決定後も神社本庁の混乱収まらず…“総長問題”長期化に広がる懸念

20241219 08
『神社本庁』の内部混乱は来年に持ち越される雲行きだ。10月の定例評議員会で、本庁のトップである統理の鷹司尚武氏(※左画像)は、総長問題について異例の発言を行なった。同月に最高裁判所は、鷹司氏が指名した芦原髙穂理事について「総長ではない」という判断を下した。

鷹司氏側が敗訴した格好だが、評議員会で同氏は「芦原氏は総長ではないが、田中恆清氏が総長ということも認めないという主旨の発言をした」(本庁関係者)のだ。田中氏は一連の不動産不正取引等で騒動を起こしてきた渦中の人物。しかし、内部にシンパが多く、役員会は田中氏を総長に推挙して鷹司氏側と対立してきた。

鷹司氏が名指しで田中氏を拒否した格好であり、最高裁決定を受けても正常化しないことが明らかになった。鷹司氏を支援する宮司らのグループは、引き続き田中氏の退任を求める構え。混乱が越年することは確実で、来年に行なわれる役員選挙の結果を待つまで正常化は棚上げとなる。「鎌倉の鶴岡八幡宮のように、新たに離脱する神社が出かねない」(同)という危惧が広がる中で、新年を迎えることになる。


キャプチャ  2024年12月号掲載

テーマ : 社会ニュース
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