■ 名選手、名監督に非ず「名選手、名監督に非ず」というのは言い古された言葉になるが、サッカーに限った話ではない。「ミスタープロ野球」と呼ばれる長嶋茂雄さんはその典型と言える。15シーズン、巨大戦力の読売ジャイアンツを率いたが、日本一に輝いたのは2回。リーグ制覇も5回だけ。日本プロ野球史上最高のスター選手で、人気は抜群。華のある選手ならびに華のある監督だったが、指導者としてはどちらかというと平凡だった。
もちろん、「名選手が名監督になった例」もたくさんある。長嶋茂雄さんのライバルに挙げられる野村克也さんは日本プロ野球史上最高のキャッチャーと言われるが、監督としても超一流だった。戦力的に劣っているチームを率いることが多かったので勝率などは決して高くなかったが監督として采配を振るった試合数は歴代3位。プロ野球史上でも有数の監督と言われている。名選手が名監督になった好例である。
サッカー界において「名選手、名監督に非ず」の代表例に挙げられるのは釜本邦茂さんだろう。日本サッカー史上最高のストライカーであるが、草創期のG大阪を率いたときは結果を出せなかった。最近の選手では「カリオカ」の愛称で親しまれたラモス監督も「名選手、名監督に非ず」の代表例に挙げられる。ドーハ戦士の都並監督、1998年のフランスW杯に出場した秋田監督もこちらのグループに組み込まれる。