■ 残留争いに巻き込まれているチーム同士J1の2ndステージの第13節。年間順位で13位と残留争いに巻き込まれているジュビロ磐田はホームのヤマハスタジアムで最下位の湘南ベルマーレと対戦した。試合前の時点で13位の磐田と16位の名古屋の差は「8」。次の次の15節がアウェイでの名古屋戦になることを考えると決して油断の出来ない差である。一方の湘南は裏天王山と言われた福岡との直接対決で0対2の敗戦。ついに最下位に転落した。
ホームの磐田は「4-2-3-1」。GKカミンスキー。DF石田崚、藤田義、森下俊、中村太。MF川辺、宮崎智、太田吉、松井大、アダイウトン。FWジェイ。最近は3バックを採用することが多かったが最終ラインに怪我人が出ていることもあって4バックを採用。トップ下には元日本代表のMF松井大が起用された。得点源のFWジェイは怪我の影響もあってわずか17試合の出場にとどまっているが12ゴールを挙げている。
対するアウェイの湘南は「3-1-4-2」。GK村山。DF岡本拓、アンドレ・バイア、三竿雄。MF石川俊、奈良輪、菊池大、齊藤未、下田。FW山田直、大槻周。結果が出ていないこともあってメンバーを大幅に入れ替えてきた。MF石川俊がアンカーの位置に入って高校3年生のMF齊藤未が2列目の位置で起用された。17歳のMF齊藤未は2年後に行われたU-19アジア選手権が目標となるU-17日本代表の主力選手となる。
■ どちらにとっても痛いドローどちらにとっても勝ち点「3」の欲しい試合だったがアウェイの湘南ペースで進んでいく。キャプテンのMF高山薫をベンチスタートにするなどかなりメンバーを入れ替えてきてフレッシュなスタメンとなった湘南が攻守両面でアグレッシブなプレーを見せて主導権を握る展開になる。前半19分にはカウンターからFW山田直のパスを受けたDF三竿雄が押し込んでネットを揺らすがオフサイドの判定でゴールは認められず。
0対0で迎えた後半は磐田がボールを支配して攻め込む展開になる。湘南はMF齊藤未のポジションを下げてWボランチに変更。FWジェイに対してはDFアンドレ・バイアがしっかりと対応して自由を与えていなかったが後半の終盤になるとFWジェイが2つ決定機を迎える。後半43分にはMF川辺のクロスからFWジェイが決定的なヘディングシュートを放ったがキーパーのGK村山が好セーブを見せてゴールを許さない。
結局、試合はスコアレスドローに終わった。10連敗中だった湘南は勝利を手にすることは出来なかったがようやく連敗が止まった。これをポジティブに考えたい。一方の磐田は2ndステージは1勝6敗6分け。勝ち点「32」となったが当面のライバルとなる16位の名古屋が勝利して勝ち点「26」となったのでその差は「6」。15節に名古屋との直接対決を残していることを考えるとプレッシャーのかかる状況になって来た。
■ U-17日本代表としても期待されるMF齊藤未月同じ1994年にJリーグ昇格を果たした磐田と湘南の同期生対決はともに残留争いに巻き込まれているのでピリピリした雰囲気もあったが内容的にはアウェイの湘南が上回った。前半31分のFW大槻周の決定的なヘディングがGKカミンスキーに防がれるなどこの日も決定機をものにできずにノーゴールに終わったが「湘南らしさ」という点ではここ最近の試合の中ではもっとも発揮された。一歩前進と言える。
それほど出場機会が得られていない選手を何人かスタメンで起用してきたがモチベーションの高い選手たちが持てる力をフルに発揮しようとピッチ上を走り回った。「3-1-4-2」を採用してFW山田直を2トップの一角で起用してきたが「FW山田直は非常に出来が良かった。」と言える。3度ほど決定機に絡んでおり、豊富な運動量を生かして自由に動き回るFW山田直を磐田の選手たちは捕まえきれなかった。
今シーズン4試合目の出場で初スタメンとなった17歳のMF齊藤未の活躍はインパクトが大きかった。2列目でプレーしたがFW山田直と同様で豊富な運動量を武器に動き回って相手の守備陣をかく乱した。1999年1月10日生まれなのでU-17日本代表の対象となるが17歳の高校3年生とは思えないほど堂々とプレーした。チームが苦しい状況でスタメンのチャンスを得たが期待に応えるプレーを見せたと言える。
年代別代表のときから光るプレーを見せていたがこれだけ攻守両面でアグレッシブにプレーできる選手はなかなかいない。J1初スタメンの試合でこれだけプレーに絡めるというのは有望な選手であることの証である。165センチという身長なのでサイズ的には恵まれていないが公称では61キロ。身長の割には体重があって重心がしっかりとしているので球際に激しくいくこともできる。身長の低さはあまり気にならない。
最初は2列目の位置でプレーして途中からWボランチの一角でプレーしたが、将来的に2列目で活躍する選手になるのか?、ボランチで活躍する選手になるのか?については何とも言えない。この点はチーム事情に左右されるがどちらのポジションがメインになるにせよ、近い将来、湘南の中心選手になることは間違いないだろう。U-17日本代表のみならず、東京五輪代表チームに絡んでくることも十分に考えられる。
■ お尻に火が付いた状態になったジュビロ磐田一方の磐田は「10連敗中の湘南を相手にホームで勝利できればJ1残留はほぼ確実」と言える状況になったがドローに終わったことで分からなくなってきた。この時期なので勝ち点「1」であってもプラスできたことは良かったが、16位の名古屋との差は「6」に縮まった。アウェイでの直接対決を残しているのは相当に厄介である。次もホームで新潟と対戦するが監督交代直後の試合というのは磐田にとって大変である。
2ndステージはここまでわずか1勝のみと不振にあえいでいるがこの日も内容的には今一つだった。湘南の決定力不足とGKカミンスキーの好セーブに助けられたが狙い通りのサッカーが出来たのは明らかに湘南の方だった。最近の試合は「3-4-1-2」を採用することが多かったがこの日は「4-2-3-1」を採用。システムを元に戻してきたが過去数試合と同様で攻撃に関してはFWジェイとMFアダイウトン頼みだった。
現状では14位の甲府や15位の新潟と比べるとまだ余裕のある状況と言えるので「J2降格」を過剰に意識するのは良くないと思うが、仮にJ1に残留することができたとしても来シーズン以降が不安になってくる。特にクラブOBである名波監督に対して手腕を疑問視する声も出始めている。残り4試合。できるだけ早い段階でJ1残留を決めることが第一となるが、来シーズンへの期待を感じられる試合を見せたい。
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