■ JALチャレンジカップJALチャレンジカップの日本代表とウズベキスタン代表の試合は東京スタジアムで開催された。普段は「味の素スタジアム」と呼ばれているが、国際試合のときはもともとの「東京スタジアム」という名前で呼ばれることになる。ハリルホジッチ監督になって2試合目となるが、初陣となったチュニジア戦(@大分スタジアム)は後半にFW岡崎慎とMF本田圭がゴールを決めて日本が2対0で勝利している。
日本は「4-2-3-1」。GK川島。DF内田篤、昌子、森重、酒井高。MF今野、青山敏、本田圭、香川、乾。FW岡崎慎。チュニジア戦のメンバーからは総入れ替えとなって、GK川島、DF内田篤、MF本田圭、MF香川、FW岡崎慎などがスタメン出場となった。鹿島のDF昌子はこれまでに何度か日本代表に召集されていたが、国際Aマッチ初出場となった。MF宇佐美、FW川又、MF柴崎岳などがベンチスタートとなった。
■ 5対1で大勝して2連勝試合は開始6分に日本が先制する。CKから相手キーパーがパンチングではじいたボールを拾ったボランチのMF青山敏がかなり距離のあるところからロングシュートを放つと、これが鮮やかにネットに吸い込まれて日本が先制に成功する。広島のMF青山敏は代表初ゴールとなった。その後はウズベキスタンにボールを回されて攻め込まれる時間帯もあったが、1対0と日本がリードして折り返す。
迎えた後半9分に日本はカウンターから左SBのDF太田宏がピンポイントクロスを上げると、ファーサイドに待っていたFW岡崎慎が代名詞と言えるダイビングヘッドを決めて2点目を挙げる。さらに後半34分には相手のCKの流れから途中出場のMF柴崎岳が相手キーパーが大きく飛び出している隙を見逃すことなく超・ロングシュートを決めて3対0とリードを広げる。MF柴崎岳は代表通算3ゴール目となった。
後半37分にCKからDFトゥフタフジャエフに決められて1点を返されるが、直後の後半38分にMF大迫のパスを受けたMF宇佐美が中央をドリブルで切り裂いてから右足で決めて4点目を挙げると、後半45分には同じく途中出場のFW川又がヘディングシュートを決めて5点目。MF宇佐美とFW川又は嬉しい代表初ゴールとなった。結局、5対1でウズベキスタンに大勝した。ハリルジャパンはこれで2連勝となった。
■ 守備はあまり機能しなかったが・・・。相手のウズベキスタンもかなりチャンスを作った。持ち味の技術の高さを駆使して、しっかりとボールを保持して日本の守備の穴を突いてきた。ウズベキスタンがシュートチャンスを迎える場面は多かったので、「内容的には5対1という大差がつくほどの差はなかった。」と言えるが、チュニジア戦と同様で途中出場の選手が活躍。6月にスタートするW杯予選に向けて弾みの付く試合になった。
前回のチュニジア戦は途中出場したMF本田圭、FW岡崎慎、MF香川などずっと日本代表を支えてきた選手の活躍が目立ったが、この日は一転して新戦力あるいは若手選手の活躍が目立った。チュニジア戦の後は「新しい選手が出てこないのは問題だ。」、「経験のある選手が活躍しただけ。」と苦言を呈する人もいたが、この日はMF宇佐美、MF柴崎岳、FW川又などが活躍。収穫の多い試合になった。
結果は文句なしで、スコアも文句なしと言えるが、守備があまり機能しなかったのは気になるところである。チュニジアと比べるとウズベキスタンはテクニックのある選手が多くて、「日本のプレスがはまるのか、はたまた、ウズベキスタンが日本のプレスをかいくぐってチャンスを作るのか。」がこの試合の見どころの1つだったが、残念ながら後者だった。日本のプレスがはまらないシーンが多かった。
相手側の事情であったり、日本の選手のコンディションの問題もあるので、単純には比較することはできないが、前線からの守備ならびに中盤の守備に関してはチュニジア戦のスタメン組の方がかなり良かったと言える。速い攻撃を仕掛けるためには中盤でいい守備をしてボールを奪わないと話にならないが、FW岡崎慎とMF本田圭とMF香川とMF乾の組み合わせて守備がなかなか機能しなかったのは誤算と言える。
■ 圧巻だった宇佐美貴史のゴール結局のところ、いい守備ができなかったので、なかなかいい攻撃にはつながらなかった。前半6分にMF青山敏のゴールで先制した後は、どちらかというとウズベキスタンのペースだった。ヤキモキする展開になったが、この日はいいところで日本のゴールが生まれた。いいリズムで攻撃をしているにも関わらずゴールが遠い試合もあるが、この日は全く逆で、苦しい時間帯にチームを楽にするゴールが生まれた。
「チャンスシーンを確実に仕留めた。」という点は評価できる。「5ゴール全てがいいゴールだった。」と言えるが、圧巻だったのは後半38分のMF宇佐美のゴールである。MF大迫のパスを受けたMF宇佐美は相手DFが3・4人ほどいる中をドリブルで割って入って記念すべき代表初ゴールを記録した。ドリブルがまず見事で、最後のシュートも正確だった。MF宇佐美らしいゴールだったと言える。
今回の2連戦はハリルホジッチ新監督の選手起用や采配にもっとも注目が集まったが、個々の選手ではMF宇佐美に期待する声が多かった。「ダントツで彼に期待する人が多かった。」と言えたが、この2試合は期待通りか、それ以上の活躍を見せたと言える。MF乾やMF武藤嘉やMF永井謙などがライバルとなるのでポジション争いは熾烈であるが、今回の2連戦でもっともアピールできた選手の1人と言える。
■ 守備力や運動量に問題を抱えている宇佐美貴史多くの人が指摘するとおり、MF宇佐美は守備力や運動量に問題を抱えている。ユースの頃からあまり動くタイプではなかったが、スタミナが豊富とは言えないので、意図して動き回ろうとすると攻撃の部分に力を注ぐことができなくなる。結果として攻撃面でのクオリティーが落ちてしまう。(バイエルン時代は仕方がないとして、)この点がホッフェンハイムでも活躍できなかった理由の1つと言える。
アスリート能力が低いはずはないので、試合をこなす中で体力が付いてくると「運動量や守備の面でも問題ない。」と言えるレベルに到達できると思うが、G大阪の中ではそれほどガムシャラに動かなくても大丈夫な役割や立場で、もっと言うと、必要以上に守備をすることなく前目に残っていたほうが相手の脅威になることもあって、試合の中で体力面などをレベルアップさせるのが難しい環境だった。
ということもあって、リーグ戦やカップ戦でゴールを量産していたにも関わらず、アギーレ監督には認められなかった。なかなかフル代表に招集されなかったが、幸いにして、本人は変わろうとする意識があるので、徐々にではあるが、体力面も、守備面もレベルアップしている。少なくともこの2試合に関しては(途中出場ということも大いに関係していると思うが、)運動量や守備力の問題はほとんど感じられなかった。
■ 宇佐美貴史は代表のエースになることはできるか?当然のことながら、爆発的な攻撃センスはスーパーサブでも生きると思うが、これだけ才能を持った選手なので、「できる限り、長い時間プレーしてもらいたい。」と誰もが思うだろう。今回の2連戦は途中出場で大きな存在感を示したが、次はスタメンで、しかも、普段のG大阪のときは異なる左サイドハーフというポジションで起用されてどこまでできるのか?が大きな注目ポイントになる。
今回の2連戦はいずれも途中出場だった。いろいろな見方ができると思うが、個人的には「(ハリルホジッチ監督が)大事に使っている。」という印象を持った。MF武藤嘉であったり、MF永井謙であったり、MF乾と比べると(現時点では)運動量や守備意識でかなり見劣りする。今の時点で長い時間プレーさせるとある程度はボロが出たと思うが、途中出場になるとそういったマイナス要素は見えにくくなる。
ハリルホジッチ監督は「まずは代表の雰囲気に慣れさせて、活躍しやすいシチュエーションで起用して、少し自信がついたところで長時間プレーさせる。」という考えを持っているのではないかと思うが、今のところは順調に来ている。仮に次の日本代表の試合がW杯予選になった場合、MF宇佐美をスタメンで起用するのはかなりの勇気が必要になるが、この2試合で彼に賭けてもいいくらいのプレーは見せた。
ザックジャパンとアギーレジャパンではFW岡崎慎とMF本田圭とMF香川の3人が攻撃の中心だった。(怪我等がない限り、)ほとんどの試合でスタメンで起用されており、「彼らのポジションはほぼ安泰」と言えたが、今後、この3人と並び立つか、この3人を上回るような若手アタッカーが出てこないと日本代表がさらに上にレベルに達することはできないし、2018年のロシアW杯への希望が見えてこない。
ただ、ハードルはかなり高い。欧州リーグと日本代表での実績で、「この3人を確実に上回っている。」と言える選手は歴代の日本人選手を思い出してもほとんどいない。いい勝負ができるのはMF中田英とMF中村俊の2人であるが、この2人でさえ、「確実に上回っている」とは言えない。高い壁と言えるが、MF宇佐美はこれらの選手たちを上回る可能性を秘めた数少ない日本人アタッカーと言える。
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