■ ナビスコカップの第5節ナビスコカップの第5節。2勝1敗で勝ち点「6」のセレッソ大阪が、ホームのキンチョウスタジアムで川崎フロンターレと対戦した。川崎Fは1勝2敗1分けで勝ち点「4」。グループAは、C大阪・磐田・鳥栖・仙台・浦和・川崎F・広島と、リーグで上位に位置するチームが多くて、調子のいいチームが多いが、2位以内に入ると、決勝トーナメントに進出することができる。
ホームのC大阪は「4-2-2-2」。GK松井。DF酒本、茂庭、藤本、高橋。MF山口螢、扇原、ブランキーニョ、丸橋。FWケンペス、柿谷。日本代表のMF清武と韓国代表のGKキム・ジンヒョンとMFキム・ボギョンがW杯のアジア最終予選に招集されており、欠場となった。MF丸橋は左サイドハーフでの起用で、FW柿谷がスタメンとなった。
対するアウェーの川崎Fは「4-2-2-2」。GK西部。DF田中裕、實藤、井川、登里。MF柴崎、大島、田坂、レナト。FW矢島、楠神。こちらも日本代表のMF中村憲がW杯予選のメンバーに選ばれているため、欠場となった。川崎Fは怪我人が続出しており、DFジェシ、DF森下、DF伊藤、DF小宮山、MF稲本、MF山瀬、FW小松らが怪我で欠場となった。
■ C大阪が首位に浮上!!!試合の序盤はC大阪のペースとなる。2列目で起用されたMF丸橋が積極的にシュートを放って、ゴール前のシーンに絡んでいく。一方の川崎Fも、前半20分あたりを過ぎるとパスが回り始めて、シュートシーンを作るようになる。先制ゴールが決まったのは、前半30分で、DF實藤のスルーパスを受けたFW楠神が落ち着いて決めて先制に成功する。前半は1対0と川崎Fがリードして折り返す。
後半開始から、C大阪はMF扇原に代えて、大卒ルーキーのMF吉野を投入。テコ入れを図ると、後半2分にFW柿谷を起点にMF吉野が絡んで、最後は、FWケンペスが得意の左足でシュートを決めて1対1の同点に追いつく。FWケンペスは、リーグ戦を含めると3試合連続ゴールとなった。
さらに後半13分にも、中盤で相手ボールを奪ってカウンターの形を作ると、自らドリブルで持ち運んだFW柿谷が華麗なステップで相手をかわしてから右足のアウトサイドで芸術的なシュートを決めて2対1と勝ち越しに成功する。FW柿谷は、復帰後、ホームでは初ゴールとなった。
しかし、川崎Fも後半23分にゴール前で粘ったFW矢島が意表を突いたループシュートを放つと、クロスバーに当たって跳ね返ったボールをMFレナトが決めて2対2の同点に追いつく。GL突破のために勝利が欲しいC大阪は、後半41分に右サイドでフリーキックを得ると、相手のクリアボールをFW柿谷がダイレクトで右足で強烈なシュートを決めて3対2と勝ち越しに成功する。
結局、試合は3対2でC大阪が勝利して、勝ち点を「9」に伸ばしてグループAの首位に浮上した。一方の川崎Fは、5試合を終えて勝ち点「4」。2位以内に入る可能性がなくなったのでグループリーグ敗退が決定した。C大阪は、6節はアウェーで仙台と対戦する。
■ 特大のポテンシャルを秘めるFW柿谷MF清武、MFキム・ボギョンという攻撃の軸となる選手を欠いたC大阪だったが、FW柿谷、MF丸橋、MF吉野など、若い選手が活躍して、価値ある勝ち点「3」を獲得した。立ち上がりにチャンスを作りながら決められず、FW楠神に先制ゴールを奪われたが、後半開始からルーキーのMF吉野を投入すると、攻撃でも守備でも、MF吉野が気の利いたプレーを見せて、試合の流れを変えることに成功した。
ヒーローになったのは、チームに戻ってきたFW柿谷で、3ゴール全てに絡む大活躍だった。ゴールシーン以外でも、多くの見せ場を作ったが、終了間際のカウンターから相手を軽やかにかわして、MF吉野の決定機をお膳立てしたシーンは、FW柿谷にしかできないようなプレーで、改めて、特別なポテンシャルを持った選手であることを示した。
もちろん、スピードもテクニックもあるが、相手の逆を突くプレーが秀逸で、スルスルと相手ディフェンスをかわしてゴールに向かっていく。自身の1点目のゴールは、相手をドリブルでかわしてから、右足のアウトサイドで決めるという芸術的なゴールだったが、こういったプレーを見せられると、サポーターは期待したくなる。
すでに、MF清武の移籍が決定していて、MFキム・ボギョンも、近いうちに欧州に旅立つことになるだろう。そうなると、FW柿谷がチームを引っ張って行かなければならないが、この試合のパフォーマンスが継続的に出来れば、彼等の穴を埋めるどころか、FW柿谷自身も、欧州のクラブに引き抜かれることになるだろう。この試合は、彼にとっても、彼の復帰を待ち望んでいたC大阪のサポーターにとっても、特別な夜となった。
■ 新たな可能性を示したMF丸橋FW柿谷以外では、MF吉野とMF丸橋も、いいアピールが出来た。MF扇原の出来もそれほど悪くはなかったが、前半にイエローカードを貰ったという理由もあって、MF扇原が前半だけで退いて、国士舘大出身のMF吉野が起用されたが、出場してすぐにFWケンペスのゴールをアシストし、その後も、2列目の位置で攻守に奮闘した。
京都サンガの下部組織で育った選手で、阪南大出身のMF井上とともに、期待されている大卒ルーキーであるが、この日は、守備の意識が高くて、攻撃的なプレーよりも、守備的なプレーで、今後の可能性を感じさせた。アタッカーなので、テクニックが売りの選手であるが、現代サッカーでは、しっかりと守備が出来ないと、試合で使われることはないが、MF吉野に関しては、守備の不安はない。むしろ、セールスポイントにできるレベルである。
また、MF丸橋も奮闘した。シーズン序盤は、左SBのレギュラーで起用されていたが、怪我をしたことも関係しているのか、ここ最近は、ソアレス監督の信頼を失っていて、スタメン落ちが続いているが、サイドハーフとボランチのポジションで好プレーを見せて、新たな可能性を示した。
スペシャルな左足を持っており、クルピ監督は左SBのレギュラーで固定したが、ゴールやアシストにつながるシュートやクロスがあるので、前目のポジションでも面白い。もともと、サイドハーフが本職の選手であるが、後半戦は、いろいろなポジションで起用されそうで、ロンドン五輪で抜ける選手の穴を埋める活躍が期待される。
■ 信頼を勝ち取った楠神順平一方の川崎Fは、怪我人が続出しており、苦しいメンバーとなったが、FW楠神のゴールで先制して、リードされた後も、FWレナトのゴールで同点に追いついた。「MF中村憲が不在でも攻撃の形を作ることができる。」ということをピッチ上で証明して、意味ある試合となったが、最後に勝ち越しゴールを許して、グループリーグ敗退が決定した。
これで、リーグ戦に専念することができるが、主力が欠けてもいいサッカーができるようになっていて、風間監督のサッカーが浸透していることは感じられる。「怪我人が多い。」という理由もあるが、FW楠神、MF大島など、相馬監督の頃は、あまり起用されなかった選手をスタメンで起用して、いいところを引き出している点も、見逃せないところである。
特に、FW楠神については、「即戦力アタッカー」として2010年に加入したが、これまでは、持ち味のドリブルを生かせず、途中出場したときも、流れに乗りきれなくて、チームのスタイルにマッチしていないところもあったが、風間監督になってからは、崩しの局面でチームに大きく貢献しており、風間監督の信頼を勝ち取っている。2点目のMFレナトのゴールも、FW楠神のアイディアのあるプレーがきっかけとなった。
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