■ 第13節J2の第13節。6勝3敗3分けで勝ち点「21」の大分トリニータが、ホームの大分銀行ドームでガイナーレ鳥取と対戦した。鳥取は3勝7敗2分けで勝ち点「11」。鳥取は、栃木SC(A)と富山(H)に勝利して2連勝中。J2に昇格して2年目のシーズンで、初の連勝となった。アウェーの大分戦はチーム初の3連勝を目指す試合となった。
ホームの大分は「3-4-3」。GK清水。DFイ・ドンミョン、阪田、安川。MF為田、宮沢、三平、石神。FW西、森島康、村井。怪我のため欠場が続いていたFW西は今シーズン初スタメン。18歳でリオ世代のMF為田はボランチで先発出場。6試合連続スタメンとなった。FW森島康がセンターフォワードで起用されて、日本代表経験のあるFW高松はベンチから出番を待つ。
対する鳥取は「4-2-2-2」。GK小針。DF尾崎、戸川、水本、三浦修。MF三浦旭、美尾、小井手、奥山。FW岡野、住田。ミスター・ガイナーレのMF実信は怪我で欠場。FWケニー・クニンガムとDFロイ・スミスのコスタリカコンビはベンチ外。フランスW杯の日本代表メンバーのFW岡野は3試合連続スタメンとなった。
■ トリニータが快勝!!!試合は前半3分にホームの大分が先制する。コーナーキックから相手のクリアボールをFW村井が左足のハーフボレーで狙うと相手ディフェンダーに当たってコースが変わってネットに突き刺さった。千葉から加入のFW村井は今シーズン2ゴール目となった。その後も、大分のペースで試合は進んでいく。鳥取は疲れの色が濃くて、アグレッシブなプレーができない。前半は1対0と大分がリードして折り返す。
後半も大分のペースで進む。エースのFW森島康が積極的にシュートを放って相手に脅威を与えていく。しかし、チャンスを作りながらも、なかなか追加点が決まらない。すると、後半17分にベテランのFW高松を投入。これが成功し、後半20分に左サイドのMF石神のクロスをFW高松が得意のヘッドで決めて追加点を挙げる。さらに、後半29分にも、右サイドを駆け上がったDFイ・ドンミョンのクロスをゴール前でフリーになったFW高松が、またしてもヘディングで決めて3対0とリードを広げる。元日本代表のFW高松は2ゴールの活躍で、今シーズン4ゴール目となった。
鳥取は、後半開始から投入したMF森がアクセントになって、後半はゴールに向かう姿勢も強くなったが、最後まで、決定機を作ることが出来ず。結局、3対0でホームの大分が快勝して今シーズン7勝目。6試合負けなしとなった。一方の鳥取は、チーム史上初の3連勝はならず。今シーズン8敗目を喫した。
■ 途中出場の高松大樹が2ゴールJ2は、4月27日(水)から5月6日(日)まで、中2日・中2日・中2日で4連戦が組まれている。この試合は、その4試合目で、両チームとも、運動量は少なくて、軽率なミスも多かった。したがって、ハイレベルな試合にはならなかったが、大分の攻撃陣が爆発して勝ち点「3」を獲得した。
ヒーローとなったのは、2年ぶりのチームに戻ってきたFW高松である。鳥取のディフェンスは、前半からFW森島康の対応に苦しんでいて、彼一人をマークするのも一苦労で、危ないシーンをいくつも作られていたが、そこに、途中出場のFW高松が加わるとマークが分散して、全く対応できなかった。FW西は今シーズンはスタメンで、スタミナ面に不安を抱えているので、どこかのタイミングで交代させる必要があったが、いい時間帯にFW西とFW高松とスイッチさせた田坂監督の交代策も見事だった。
言うまでもなく、FW高松はアテネ世代を代表するストライカーで、アテネ五輪にも出場している。しかしながら、近年は、怪我もあって、トップコンディションで戦うことが出来ていない。まだ30歳なので、老け込むような年齢でもないが、なかなか結果を残せておらず、不満足なシーズンが続いているが、今シーズンは、ここまで4ゴールとまずまずである。
もちろん、FW森島康もいるので、ベンチスタートも多いが、「トリニータの顔」というべき選手であり、彼がピッチに登場すると、チーム全体も盛り上がってくる。今後、彼の調子がさらに上がってきて、チームをグイグイと引っ張っていけるような状況になると、チームも、プレーオフ圏内のみならず、2位以内という順位も見えてくる。
■ 左サイドで貢献するMF石神大分の2点目のゴールをアシストしたのが、左ウイングバックのMF石神で、残念ながら、次節は出場停止となるので、記録は途切れてしまうが、ここまでは、全試合でスタメンフル出場で、移籍1年目から欠かせない存在になっている。
MF石神は、鹿島ではほとんどチャンスが与えられなかったが、2009年にC大阪に移籍してブレークすると、このシーズンは、左サイドのレギュラーに定着して、J1昇格に大きく貢献した。181センチとサイドプレーヤーにしては大柄で、「ダイナミックさ」をウリにしている選手であるが、C大阪時代から、4バックで、サイドバックで起用されたときは、持ち味を出せずに苦労することが多いが、3バックのウイングバックになると、とたんに良さを発揮する。
鹿島は、4バックがメインのチームで、4バックには慣れているはずなので、不思議な感じもするが、高い位置でプレーした方が、自分の良さを出せる選手で、4バック全盛の現代サッカーでは珍しいタイプの選手である。昨シーズンは、4バックが中心の湘南のサッカーにフィットできず、期待を裏切るパフォーマンスに終始したが、オフに、3バックの大分にレンタル移籍してきて、いいプレーを見せている。
■ 暑さに勝てなかったガイナーレ一方の鳥取は、暑さに負けてしまって、前半から運動量も少なくて、いいところを出せなかった。3試合連続スタメンとなったFW岡野も、持ち味のスピードを披露することができず、見せ場を作れなかった。中2日の試合が続いている中、吉澤監督もベテランの勢いを買って、3試合連続でスタメンに起用してきたが、ちょっと裏目に出てしまった。
したがって、前半から劣勢となったが、後半開始から、MF森を投入してボランチに入れると、MF森が運動量豊富に動いて、積極的にゴール前にも飛び出して行ったので、攻撃のリズムが生まれて、前半よりは、いい形を作るようになった。MF森は、もともと、サイドバックがメインの選手で、今シーズンはボランチで起用されているが、運動量の多さは魅力である。
鳥取のような小さなクラブが、戦力上位のクラブと対戦して、勝ち点を獲るには、「運動量で相手を上回ること。」が大前提となる。地方のクラブなので移動が大変で、移動の時間も長くなるので、ハンディを背負っているといえるが、これは、地方クラブの宿命であり、仕方がないことである。したがって、コンディション調整は非常に重要となるが、この日のMF森のような動きを、多くの選手が見せないと、アウェーで勝ち点を得るのは難しいだろう。
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