■ 第26節ブンデスリーガの第26節。17勝3敗5分けで勝ち点「56」のドルトムントは、ホームでブレーメンと対戦した。ブレーメンは11勝8敗6分けで勝ち点「39」。ドルトムントはクラブ新のリーグ戦8連勝を記録したが、25節でアウクスブルクと引き分けて連勝がストップした。しかしながら、リーグ戦では19試合無敗で、9月18日(日)のハノーファー96戦以来、黒星が無い。
ホームのドルトムントは「4-2-3-1」。GKヴァイデンフェラー。DFピズチェク、スボティッチ、フメルス、シュメルツァー。MFギュンドガン、ケール、ブラスチコフスキ、香川真司、グロスクロイツ。FWレワンドフスキ。ボランチはMFベンダーがベンチスタートで、MFギュンドガンがスタメン出場となった。日本代表のMF香川は、今シーズン8ゴールを挙げている。
対するブレーメンは「4-2-3-1」。GKミリッツ。DFソクラティス、プレドル、アフォルター、ハルテジュ。MFフリッツ、イゴニョフスキ、ユヌゾヴィッチ、エキジ、トリブル。FWローゼンベリ。ペルー代表のFWピサロは怪我のため欠場。FWピサロは22試合に出場して、リーグ3位タイの16ゴールを挙げている。ドイツ代表のMFマリンも欠場となった。
■ ドルトムントが逃げ切る試合は序盤からホームのドルトムントのペースで進む。先制したのはドルトムントで、前半8分に相手のコーナーキックのカウンターからMFグロスクロイツが左サイドからクロスを入れると、逆サイドのMFギュンドガンが折り返し、ゴール前でドフリーになっていたMF香川がヘディングで合わせて、幸先よく先制ゴールを奪う。MF香川は、今シーズン9ゴール目となった。
さらに、前半24分にも、バイタルエリアでMFギュンドガンのパスを受けたMF香川が、鮮やかなボールコントロールからシュートコースを作って左足でシュートを放つが、左ポスト直撃でゴールならず。このシーンは、相手ディフェンスも揃っていたが、隙間でボールを受けて見事にシュートチャンスを作ったが、惜しくも2点目はならず。前半は1対0とドルトムントがリードして折り返す。
後半もドルトムントのペースとなる。開始早々に、右サイドのMFブラスチコフスキのパスをペナルティエリア内で受けたMF香川がボールを浮かせてから左足で決定的なシュートを放つが、相手DFにブロックされてゴールならず。さらに、後半9分にも、FWレワンドフスキの落としからMF香川が決定機を迎えるが、シュートはヒットせず。MF香川を中心にした攻撃でチャンスを迎えながら、ドルトムントは追加点が奪えない。
結局、前半8分のMF香川が挙げたヘディングでのゴールだけに終わったが、危なげない試合運びを見せて、1対0でドルトムントが勝利し、勝ち点「3」を獲得した。これで、ドルトムントは20試合無敗となって、2位のバイエルンとの勝ち点差「5」をキープした。MF香川はチャンスに決められないシーンも目立ったが、フル出場してチームの勝利に大きく貢献した。
■ 連覇が見えてきたドルトムントMFギュンドガンをスタメンで起用してきたドルトムントは、前半8分にMF香川のゴールで先制し、ゴールラッシュとなりそうな雰囲気だったが、攻撃陣が決定機に決められず、僅差の試合となった。とはいえ、ピンチのシーンはなくて、スコア以上の快勝だった。
決勝ゴールを決めたのはMF香川で、これで9ゴール目となった。他にもたくさんチャンスがあったので、1ゴールだけに終わったのは残念だったが、それでもチームで唯一のゴールを決めて、チームに勝ち点「3」をもたらした。21節のレバークーゼン戦、24節のマインツ戦でも決勝ゴールを決めており、後半戦はチームの勝利に直結するゴールを決めている。
ここ最近、2位のバイエルンは攻撃陣が大爆発しており、24節のホッフェンハイム戦が7対1、CLのバーゼル戦が7対0、今節のヘルタ戦が6対0と、ありえないようなスコアで勝利を飾っているが、ドルトムントがほとんど勝ち点を落とさないので、追い付くのは大変である。CLが残っているバイエルンに対して、ドルトムントはCLもELも残っていないので、日程的にもかなり有利な立場で、ドルトムントの連覇の可能性はかなり高くなってきた。
■ MF香川は今シーズン9ゴール目アウクスブルク戦は、MF細貝の密着マークにあって、全く見せ場を作ることができなかったが、この試合のMF香川は、ゴール前のいいところに顔を出してシュートチャンスに絡んだ。ゴールシーンは、MFギュンドガンの折り返しが完璧だったので、頭で合わせるだけで良かったが、綺麗だったのは左ポストに直撃した前半24分のシュートシーンで、決まっていれば、今節のベストゴールに選ばれても不思議ではないほどのスーパープレーだった。
ボランチのMFギュンドガンは、パスセンスのあるプレーヤーで、MF香川がバイタルエリアでフリーになったら、見逃さずに通してくる技術を備えている。判断力に難があるので、いいパスを狙い過ぎて、相手にボールを渡すシーンも多いので、試合のリズムを壊すこともあるが、レギュラーボランチの二人よりは、際どいパスを出すことができる。
決勝ゴールをアシストしたのもMFギュンドガンだったが、ポスト直撃のシュートを導き出したのもMFギュンドガンのパスで、MF香川がフリーになったところを見逃さずパスを通すと、MF香川は相手ディフェンスの届かないところにボールを持ち出して、素早いタイミングで左足を振り抜いた。シュートも完璧だったので、GKミリッツに触られてポストに当たったのは残念だったが、相手も人数をかけて守っており、隙がなさそうなところを個人技でこじ開けてチャンスを作ったスーパープレーだった。
■ 新たな可能性を感じさせたMF香川真司ドルトムントはショートカウンターが武器のチームで、日本時代のC大阪もショートカウンターが得点源になっていた。オープンな展開になるとMF香川の運動量やクイックネスが最大限に生きるのは明らかなので、何も問題はないが、相手に引かれたときに、どういう形で攻撃に関与してチャンスを作っていくかが、MF香川の残された数少ない課題の1つといえるが、ポスト直撃のシュートシーンのように、わずかなスペースの中をこじ開けていくプレーが増えてくると、さらに上のレベルに到達することができる。
「4-2-2-2」の左攻撃的MFでプレーしていたC大阪時代の2007年シーズンは、左サイドに張って、そこから相手のSBと1対1の状況を作って、縦に突破してクロスを入れるというプレーが多くて、レパートリーの一つにしていたが、中央でプレーしてゴールを狙うプレーが多くなってからは、サイドでボールを受けてドリブルで仕掛けるプレーはほとんど見られなくなった。そのため、スローな展開になると、つなぎ役になることが多くて、MF香川のスペシャルな部分を出しにくい。
もちろん、マインツ戦の決勝ゴールのシーンのように、サイドから入ってくるボールをゴール前で合わせてネットを揺らすシーンは、新たな武器として会得したが、自分の力で決定機を生み出して、シュートまで持っていけるようになると、相手に引かれることの多い日本代表の試合でも、崩しの局面で大きな力となる。ザック・ジャパンは、攻撃的なポジションにスピードのある選手を置かないケースが多いので、ドルトムントのときほど、決定機に絡むことができていないが、今後に期待を抱かせるワンシーンとなった。
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