■ 第10節ブンデスリーガの第10節。5勝3敗1分けのドルトムントはホームでケルンと対戦。ケルンは4勝4敗1分け。ドルトムントはCLの第3節でオリンピアコスに1対3で敗れてグループリーグ突破が厳しくなった。流れが良くないので、ホームでケルンを下して勢いを取り戻したい。
ホームのドルトムントは「4-2-3-1」。GKヴァイデンフェラー。DFピズチェク、スボティッチ、フメルス、シュメルツァー。MFベンダー、ケール、ゲッツェ、香川真司、グロスクロイツ。FWレワンドフスキ。8節、9節は出番がなかったMF香川は3試合ぶりのスタメンとなった。
■ ドルトムントが圧勝試合は前半7分にドルトムントが先制する。DFフメルスの縦パスからMFグロスクロイツが裏に抜け出すと、中を見てラストパス。これをMF香川が合わせて幸先よく先制する。MF香川は今シーズン2ゴール目となった。さらに、前半25分にもバイタルエリアでボールをMF香川からMFゲッツェがボールを受けてサイドを崩すと、最後はDFシュメルツァーがミドルを決めて2点目を挙げる。さらに、前半44分には、MFベンダーの裏への飛び出しから、折り返しをFWレワンドフスキが決めて3点目。3対0とリードして折り返す。
後半もドルトムントのペースで進む。まず、後半5分にMFグロスクロイツを起点にして最後はFWレワンドフスキが決めて4点目を挙げると、後半21分にはMFブラスチコフスキのクロスをDFケールがヘディングシュートを決めて5点目を挙げる。今シーズン2試合目のスタメンとなったMFケールは今シーズン初ゴールとなった。先制ゴールを挙げるなど、3つのゴールに絡んだMF香川は後半26分にお役御免で交代。結局、試合は5対0でドルトムントが勝利し、リーグ戦では4連勝。勝ち点を「19」に伸ばした。
■ MF香川は今シーズン2ゴール目なかなか波に乗り切れないドルトムントは、CLでも1分け2敗と追い込まれているが、リーグ戦に限定すると「4連勝」。開幕からちょっと出遅れていたが、暫定で2位に浮上。首位のバイエルンが突っ走っているが、現時点では勝ち点「3」の差となって、少し持ち直してきたといえる。
試合は久々のゴールラッシュとなったが、やはり、最初のMF香川のゴールが大きかった。ドルトムントは、昨シーズンも同じような傾向はあったが、絶対的な得点源といえる選手がいないこともあって、試合を支配しながらゴールが奪えず苦しむことがあったが、この試合は、早い時間に先制ゴールが生まれて、精神的に楽になって、落ち着いてプレーすることができた。
そのゴールシーンは、DFフメルスのパスに対して、MF香川とMFグロスクロイツが反応し、MF香川は完全にオフサイドポジションだったので、その瞬間に「オフサイド」を取られても不思議ではなかったが、笛はならずにプレーが続行されると、MFグロスクロイツがうまくボールをコントロールしたので、MF香川はラストパスに合わせるだけでよかった。
これで、MF香川は今シーズン2ゴール目。昨シーズンと比べると、全くペースは上がって来なくて、今シーズン1点目のときは「チームが逆転負け」と波に乗り切れなかったが、大勝劇の口火を切るゴールであり、浮上のきっかけになりそうな試合ではあった。
C大阪時代からそうであったが、「ゴール」に対して、強いこだわりを持つ選手なので、「ゴール」から遠ざかると、焦ってきて空回りする傾向はある。このあたりは、「貪欲さ」などと紙一重のものなので、ある程度は仕方がないが、ゴールした後は、落ち着いてプレーできており、「1つのゴール」がすべてをいい方向にもたらすことも考えられる。今後、ドルトムントは強豪との対戦が続くので、MF香川の爆発は不可欠で、乗っていきたいところである。
■ 今シーズンでは最もいい出来この試合は、ケルンの守備が甘かったこともあるが、MF香川はバイタルエリアでボールを触って、たくさんのチャンスを作っていて、今シーズンの中では、もっともいい出来だったといえる。ゴールシーンはラッキーもあったが、2点目のDFシュメルツァーのゴールシーンは、MF香川がバイタルエリアでボールを受けて起点になったことがきっかけで、3点目のFWレワンドフスキのゴールも、MF香川のプレーが攻撃の起点になった。
先制ゴールのあとは、自身のシュートチャンスはほとんどなかったので「2点目」とはいかなかったが、MFグロスクロイツの決定機をお膳立てしたラストパスなど、周りも見えていて、周囲を生かすプレーもできていた。今シーズンは、なかなかボランチからボールが出てこないので、バイタルエリアでフリーになっていてもパスが受けられず、MF香川がいい状態でボールを持つシーンが激減しているが、この日は、パスも出て来て、交代で退くまで、リズムよくプレーすることができたといえる。
コンディションに関しては、いい時と比べると「まだまだ」といえる段階であるが、先日のCLのオリンピアコス戦よりは体も切れていて、ドリブルで相手をかわすシーンが何度か見られた。今シーズンは、開幕前後はキレがあって、日韓戦でもいいプレーを見せたが、その後、コンディションも落としていて、「キレ」が悪かったが、少し上がってきたのかもしれない。「キレ」が命の選手なので、このまま上がっていくと、ゴールチャンスも増えていくだろう。
■ ベストのボランチコンビは?ドルトムントは、レアル・マドリーに移籍したMFサヒンの穴を埋め切れておらず、MFベンダー、MFギュンドガン、MFケール、MFライトナーと、いろいろな選手をボランチで起用している。今のところ、MFベンダーとMFギュンドガンが起用されることが多いが、MFギュンドガンがフィットしきれておらず、MF香川とも合っていなかった。スタメン落ちするケースも増えており、クロップ監督も悩むところであるが、個人的には、MFベンダーとMFケールのコンビがベターではないかと思う。
MFベンダーは「守備」に持ち味のある選手で、ビルドアップは得意とはしていないので、MFベンダーのところに負担がかかるとドルトムントとしては苦しくなるが、MFケールはパスを出せる選手なので、MFベンダーの負担も軽減される。実力的にはMFギュンドガンも捨てがたいが、ゲームを作る能力は高くないので、ボランチとしては危ういところが多い。攻撃参加が持ち味だが、これまでのところ、上がり過ぎて前のスペースを消しているだけで、有効ではないことが多い。
そのため、消去法になってしまうが、MFベンダーとMFケールのコンビを基本にするのがいいのかと思う。MFケールがベテランの域に入っており、コンディション面で不安はあるが、高さもあって、守備もできるので、MFベンダーとMFケールのコンビは、成熟していくといいボランチコンビになるのではないか。
■ DF槙野は出番なし一方で、前節、今シーズン初出場を飾ったDF槙野は、ベンチ入りを果たしたが、こういう展開になったので、最後まで出番はなかった。守備が総崩れになったので、ライバルたちの評価が下がったと思われることは、DF槙野にとって「プラス」であるが、なかなか、出場機会に恵まれず、苦しいシーズンになっている。
日本代表には継続して呼ばれており、そのときのプレーを見ると、守備面に関しては進歩しているように感じるので、まずまず充実した練習が出来ていると想像できるが、これだけチャンスが無いと、平常心を保つのも難しくなる。180センチそこそこの身長なので、長身選手の多いブンデスリーガに行って出番があるのか?と言われていたが、その通りになってしまった。
個人的には、そろそろ、ケルンというチームを離れた方がいいように思う。今年の冬に移籍したので、1年が経過するが、センターバックでプレーする機会はほとんどなく、ベンチ入りできるかどうか、という段階である。このままでは「移籍失敗」の部類に入ってしまうが、「合う・合わない」はあるので、別に恥ずかしいことではない。こうなったら、スパッと諦めて、次の挑戦先を探すのも大事なことである。賢明な判断を期待したいところである。
関連エントリー 2008/06/21
【広島×福岡】 驚異的な成長を見せる槙野智章 2008/10/27
DF槙野智章が破壊する既成概念と常識 2010/05/16
【C大阪×神戸】 シンジ 旅立ちの日 (生観戦記 #4) 2010/09/24
香川真司はドイツでどんな評価をされているのか? 2010/12/20
槙野智章の海外移籍に関して 2011/08/23
Jリーグとブンデスリーガの違いについて 2011/10/04
Jリーグを彩ったドリブラーたち(上) (リティ、前園、本山、永井、アレックスetc.) → J3+(メルマ) 2011/10/09
Jリーグを彩ったドリブラーたち(下) (玉田、田中達、水野、家長、香川、乾etc.) → J3+(メルマ)
- 関連記事
-