■ 開幕戦の中では屈指の好カード 2021年のJ3がいよいよ開幕した。全7試合が3月14日(日)に行われたがFC今治 vs 熊本、鹿児島 vs 鳥取の2つは上位候補同士の直接対決だったので特に注目を集めた。FC今治と熊本の試合はありがとうサービス. 夢スタジアムで行われたが前半21分に熊本のエースのFW浅川が決勝ゴールを挙げて1対0でアウェイの熊本が勝利した。2018年以来のJ2復帰を目指す熊本は苦しみながらも好スタートを切った。
鹿児島と鳥取の試合は白波スタジアムで行われたがいきなりの熱戦になった。前半2分にFW薗田のゴールで鹿児島が先制に成功すると後半4分にもCKからMF中原秀が決めて追加点を奪った。後半の途中までは鹿児島が攻守に相手を圧倒する展開になったが後半20分にCKから高卒ルーキーのDF石田侑が決めて鳥取が1点差に迫ると試合の流れは大きく変わった。その後はアウェイの鳥取が押し込む展開になった。
後半29分に同じく途中出場したFW田口裕が頭で合わせて2対2の同点に追いついくと後半48分にもCKからMF新井光がヘディングシュートを決めて逆転に成功する。後半のアディショナルタイムに劇的な逆転ゴールを奪った鳥取が白星スタートを切った。2013年以来のJ2復帰を目指す鳥取はサイド攻撃とセットプレーが威力を発揮した。背の高い選手が多いチームではないがCKから2ゴールを奪ったのは自信になるだろう。
後半20分に生まれたDF石田侑のゴールが試合の流れを大きく変えた。それまでの時間帯はほとんどいい形を作れなかった。市立船橋高で年代別代表にも召集されているDF石田侑はクラブ期待の星の1人になるが昨シーズンのFW田口裕に続いて「高卒ルーキーの開幕弾」となった。高卒2年目となるFW田口裕は途中出場だったが価値ある同点ゴールをゲットした。開幕戦にはめっぽう強い。「開幕男」と言えるだろう。
■ アーサー・パパス監督が就任 鳥取は波に乗れそうな価値ある逆転勝利となったがアーサー・パパス監督が就任した新生・鹿児島も大きなインパクトを残した。昨シーズンまで横浜FMでヘッドコーチを務めていたがオーストラリア出身の指揮官になる。似たような形で2020年に清水を指揮したクラモフスキー監督が成功しなかったのでアーサー・パパス監督に対しても不安視する声は少なくなかったが鳥取を相手に一時は2対0とリードを奪った。
金鍾成監督のときはベテラン主体のメンバー構成だった。ショートパスをつなぐサッカーに取り組んだが結果を残せなかった。テンポよくボールが回るシーンもあったが守備が甘くて切り替えも遅かった。どちらかというと古典的なサッカーだったが現代的なサッカーに様変わりした。あのまま2対0や3対0や3対1くらいのスコアで勝利していたら最高の船出になったが後半途中までのサッカーは内容的にも充実していた。
今シーズンは「4-2-1-3」を採用しているが運動量の多さと切り替えの早さは昨シーズンと比べると段違いである。新加入選手でスタメン起用されたのは右SBのDF衛藤とCBのDFウェズレイ・ロドリゲスの2人だけ。その他の9人は昨シーズンも鹿児島でプレーした選手になる。途中出場した5人も同じように昨シーズンも鹿児島でプレーした選手ばかりなので顔ぶれはほとんど変わっていないがスタイルは大きく変わった。
「2か月ほどの準備期間でここまでチームが変わるのは凄い。」と言えるほど後半の途中までの鹿児島のサッカーはエキサイティングで面白かった。昨シーズンはあまり出場機会がなかった野嶽兄弟が揃ってスタメン起用されている点は注目ポイントに挙げられるがどちらも運動量が多い。特にボランチで起用された弟のMF野嶽寛はまだ20歳。アグレッシブなプレーを見せた。新生・鹿児島の象徴になるかもしれない。
■ 空中戦に強い選手が少ない。 横浜FMでコーチをしていたアーサー・パパス監督の就任が決まった時点で「鹿児島のサッカーが大きく変わる可能性大」と思われていたが開幕戦を観る限りでは予想以上だった。鹿児島も今シーズンのJ3で上位候補に挙げられているが開幕戦の戦いぶりを見る限りでは「面白いシーズンになる可能性は高い。」と言える。長野・鳥取・富山・熊本・FC今治・藤枝MYFC・FC岐阜などが昇格争いのライバルになるだろう。
今後の注目点はCBをどうするか?である。開幕戦では直前に加入したDFウェズレイ・ロドリゲスがスタメンで起用されて存在感を発揮したが空中戦に強い選手はスタメン11人の中では彼くらいである。CBのパートナーを組んだDF田辺圭は本来はボランチの選手である。身長も170センチなのでCBでなくても小柄である。空中戦に強い選手がDFウェズレイ・ロドリゲスのみとなるとセットプレーは大きな弱点になる。
DF田辺圭のようなボランチの選手をCBの位置で起用すると後方からの組み立ての精度はかなり向上する。1対1の守備も粘り強いので流れの中でピンチを招く場面は少なかったがシンプルなクロスでもピンチになる確率が高まる。開幕戦は対戦相手に情報が洩れていなかったこともあって鳥取はそこまで流れの中でDF田辺圭のところを突いてこなかったが2戦目以降に対戦するチームはその部分を執拗に突いてくるだろう。
攻撃的なサッカーを標榜する青年監督がボランチやSBの選手で、かつ、サイズのない選手を最終ラインで起用するケースは少なくないが結果的には失点が重なって途中で断念せざる得ないケースが大半である。新たに獲得した186センチのCBのDFジェルソンが入国制限の影響で合流できていないのは大きな誤算と言えるが次の熊本戦(A)でアーサー・パパス監督がどういう選手起用をするのか?は興味深い。
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