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【移籍市場】 2020年-2021年オフの補強ポイントについて考える。 (東京ヴェルディ編) | | |　

東京ヴェルディ

→　永井監督になって2年目の東京Vは27節を終えた時点で10勝8敗9分けで勝ち点「39」。7位に位置する。2位との差は大きく広がっているので「2008年以来となるJ1復帰」はかなり難しくなっているがノーチャンスではないと言える。32節が徳島戦(H)、36節が福岡戦(H)、40節が長崎戦(H)になる。残りは15節になったが上位3チームとの直接対決を残している。いずれもホーム戦になる点はポジティブに考えられる。

とにもかくにも32節の徳島戦(H)で勝利して上位との差を自力で縮めないといけないが悪くないシーズンになっている。開幕前のキャンプ期間中の練習試合では大量失点で敗れる試合が続いて不安視された中、迎えた開幕戦はアウェイで徳島に0対3で敗れたが、新型コロナの影響でJリーグが中断した点がプラスに作用した。じっくりとチームを作り直すことが出来た。ポジティブなニュースの多いシーズンになっている。

今シーズンも若手の台頭が目立つシーズンになっている。期待と注目が集まった元・日本代表のFW大久保は16試合でノーゴール。移籍後初ゴールがなかなか生まれないが存在感は大きい。結果は出ていないがパフォーマンスはまずまずと言える。「パス数」と「ボール支配率」はともにJ2で1位、「30mライン進入回数」と「ペナルティエリア進入回数」はともにJ2で3位。J2の中では屈指の攻撃的なチームである。

魅力的なサッカーを見せているが高卒1年目ながら18歳のMF藤田譲瑠チマが中盤の要になっている。昨秋に行われたU-17W杯でも主力として活躍しているが運動量が多くて気の利いたプレーが出来る選手である。開幕前のキャンプに練習生として参加して開幕直前に本契約を勝ち取ったFW山下諒は26試合で4ゴールを記録している。「反則レベル」とも言える圧倒的なスピードを武器に多くのチャンスに絡んでいる。

「残り試合でどこまで上位に迫れるか？」が注目点になるが有望な若手は多いので今オフの移籍市場では流出に怯える必要がある。J2に再降格してからは「若手が躍動するがJ1昇格は果たせず。」→「躍動した若手が引き抜かれる。」→「穴を埋めるべく次なる若手が奮起」→「次なる若手が躍動するがJ1昇格は果たせず。」→「躍動した次なる若手が流出する。」→「・・・。」という負の連鎖が止まらない状況である。

オフの移籍市場で大きな注目を集めるのは、やはり、MF藤田譲瑠チマとFW山下諒の2人である。前者はU-17W杯で目立った活躍を見せた選手なので「欧州のクラブ」もすでに関心を持っていると思われる。MF藤本寛のように「東京Vから欧州のクラブに移籍する。」というのも考えられるがMF三竿健(鹿島)のように早い段階でJ1の有力クラブに引き抜かれることも考えられる。大きな可能性を秘めた選手である。

FW山下諒のスピードはJリーグでトップクラスである。判断力やラストの精度など課題は少なくないが絶対的な武器を持っている選手は移籍市場で人気を集めやすい。新型コロナの影響で交代枠が「5」に増えたことで「途中出場で仕事が出来る選手の価値」は大きく高まっており、FW山下諒に興味を持っているJ1のクラブはたくさんあると思われる。練習生から本契約を勝ち取ってこの半年ほどで大きく飛躍した。

他には安定感のあるGKマテウス、精度の高い左足を武器に8アシストを記録している左SBのDF福村、26試合で7ゴールを挙げているMF小池純、運動量が多くてキックの精度も高いMF佐藤優、テクニシャンのMF井上潮なども「他クラブが興味を示す可能性の高い選手」である。磐田から期限付き移籍中のDF高橋祥も含めて「来シーズンも東京Vでプレーするのか？否か？が全く分からない選手」がたくさんいる。

負のスパイラルを断ち切るためにはJ1に昇格するしかない。DF山本理やMF藤田譲瑠チマなどの世代はいい選手が揃っているので仮に今年のJ2で昇格を逃したとしても主力の多くが残留を決断するようだと来シーズンは本気でJ1昇格を目指せるチームになるだろう。J1からJ2に降格してくるチームが存在しない2021年は東京Vに限らず、多くのJ2のクラブにとってチャンスの１年になるが特に東京Vは絶好のチャンスである。

「主力の流出をどこまで抑えることが出来るのか？」が今オフの注目点になるが補強ポイントはストライカーである。先のとおり、FW大久保はまずまずのプレーを見せているがまだノーゴール。35才のFWレアンドロは1試合の出場にとどまっている。MF井上潮などアタッカーの選手をフォワードで起用するケースも多くなっており、純粋なストライカーが1人もいないケースもあるが、やはり、点取り屋は必要である。

「高さ不足」も改善したい。平均身長は175.87センチでJ2では18番目になる。　27試合で25失点というのは優秀な数字になるがそのうちの36.0%がセットプレーでの失点になる。CBのDF近藤直は空中戦に強い選手として知られているが「絶対的な高さを持った選手」はいない。フォワードやアタッカーの選手の中でサイズがあるのは180センチのMF小池純くらい。高さのあるフォワード or アタッカーを獲得したい。

パリ世代を代表するボランチのMF山本理、2017年のU-17W杯を経験したDF馬場、飛び級でトップ昇格を果たした高校2年生のMF阿野に加えて、中学生の頃から大きな期待を受けてきた高校3年生のDF佐古のトップ昇格が内定している。193センチのDF佐古は将来を嘱望されている大型CBになるが今オフの流出を最小限に抑えて、かつ、才能ある若手が期待通りに成長するようだと2021年は面白い1年になるだろう。