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■　スタジアム観戦者調査の2019年版

Jリーグのスタジアム観戦者調査の2019年版が1月31日(金)に公表された。観戦者調査は2004年から実施されており、2017年からはJ3のクラブも調査対象になった。「Jリーグの全55クラブの年度別のホーム戦の観戦者の平均年齢」を表にまとめると以下のようになる。期間中の平均値を出すとYS横浜が35.5歳で最年少になる。YS横浜はU-18やU-15やU-12などアカデミーに所属する子供がたくさん来場する。

2019年のYS横浜の1試合平均の観客動員数は1,095人になる。どのクラブもホーム戦ではアカデミー生がたくさん来場していると思うがYS横浜はもともとの観客動員数が非常に少ない。なので「YS横浜は来場者の中のアカデミー生の割合が高いのでその結果として平均年齢は大きく下がる。」と言える。アカデミーのOBもまだ若い人ばかりなので「YS横浜の平均年齢が低いのはある意味では自然なこと」と言える。

2番目に低いのはG大阪、3番目に低いのは横浜FM、4番目に低いのは鹿島となる。表を眺めると一目瞭然であるが「強くないと中学生や高校生や大学生などの若い人は寄ってこない。」と言える。8位がC大阪、10位が名古屋、11位が川崎F、12位が浦和、14位がFC東京になるが若い人の方が結果に対するこだわりは強いと考えられる。「弱いけど見捨てられない・・・。」という思考にはなかなかならない。

逆に平均年齢が最も高いのは秋田で46.5歳となる。2位は長野、3位は八戸、4位は藤枝MYFC、5位は福島、6位は沼津、7位はSC相模原、8位は岩手、9位は北九州、10位は札幌となるので上位をほぼJ3のクラブが独占しているが「日本人全体の平均年齢やJリーグのサポーターの平均年齢は上がっているので近年になって調査が行われるようになったJ3のクラブの期間中の平均年齢が高くなるのは当然」と言える。

■　好対照と言えるのは野球

Jリーグのクラブとしてある程度以上の歴史を持ったクラブに限定すると札幌・新潟・湘南・大分・大宮・仙台・清水などの平均年齢が高い。日本は高齢化社会に突入しているので、この先、ますます高齢化が進んでいくと思われるが、「Jリーグのサポーターの平均年齢」も2004年が35.1歳だったのに対して2019年は43.8歳。右肩上がりで平均年齢は高くなっている。初めて40歳代に突入したのは2013年だった。

ネット上では年輩者を邪険にする意見は少なくない。「ネット上で老害や老人を叩くこと」を日課にしている人はたくさんいる。Jリーグのサポーターの平均年齢が上がっていることを否定的に考える人もたくさんいると思うがサッカーあるいはJリーグは特殊である。Jリーグが大ブームになったのは1993年だったが若者中心だった。「50代や60代や70代の人をなかなか取り込めない。」というのは大きな弱点だった。

好対照と言えるのは野球である。高校野球も含めて50代や60代や70代の人にも圧倒的に支持されている。相撲もかなり野球に近いと言える。もともと年齢層の高い人に支えられていた野球や相撲とは違ってサッカーは若い世代に支えられてきた競技なので平均年齢が高まることの意味は野球や相撲とは大きく異なる。「取り込めていなかった層を取り込めるようになった結果、平均年齢が上がった。」という見方もできる。

■　切り込めていないのがおじさん・おばさん世代

「Jリーグのクラブとしてある程度以上の歴史を持ったクラブの中で平均年齢の高いクラブ」として名前を挙げた中では湘南と大宮は別になるが札幌・新潟・大分・仙台はいずれも地方のクラブである。地元メディアがクラブのことをたくさん報じてきた歴史があるので年齢層の高い人がスタジアムに観戦に来てサポーターになるケースが多かった。このあたりのクラブにとって「平均年齢が高いこと」は逆に誇れる話になる。

これまでサッカーやJリーグにほとんど関心がなかった60代や70代の人がサッカーやJリーグに魅力を感じるようになった結果、スタジアムに毎度足を運ぶようになったとしたら素晴らしい話である。そういう人たちが他のクラブでも増えると平均年齢は一気に高まるが全くもって悪い話ではない。観戦者の年代に関する細かい数字も報告書にまとめられているので「平均年齢だけで良し悪しを判断するのは危険」と言える。

もともと年齢層の高い人に支えられてきた野球や相撲などの観戦者の平均年齢が徐々に上がってきているとしたら「かなりの危険信号」になるがサッカーやJリーグは野球や相撲とは事情が大きく異なる。スポーツに限らず、どんな分野でも「出来るだけ若い人を取り込みたい。」というのが関わるほとんどの人の基本的な考えだと思うがサッカー界やJリーグは「おじさん・おばさんを取り込む努力をすべき」である。

まだ10代の少年・少女を取り込むことに成功した場合、今後、何十年に渡ってクラブを支えてくれる存在になるだろう。対しておじさん・おばさん世代、おじいさん・おばあさん世代になると「何十年」というのは期待しにくい。「若者優先。高齢者は後回し」になるのはある意味では仕方がないことだと思うが「最も人数が多くて、かつ、サッカー界やJリーグが切り込めていないのがおじさん・おばさん世代」である。

表1. 年度別の各クラブのホーム戦の観衆の平均年齢 (2004年-2019年)

順位	クラブ名	平均年齢(歳)	2004年	2005年	2006年	2007年	2008年	2009年	2010年	2011年	2012年	2013年	2014年	2015年	2016年	2017年	2018年	2019年
順位	クラブ名	平均年齢(歳)	35.1	35.9	36.3	36.9	37.9	37.9	38.6	39.2	39.6	40.2	41.3	41.9	42.4	42.7	43.3	43.8
1	YS横浜	35.5	-	-	-	-	-	-	-	-	-	-	-	-	-	33.0	41.2	32.3
2	G大阪	36.5	32.0	31.0	33.8	32.1	36.5	34.5	35.4	36.2	37.7	37.1	37.0	39.7	40.2	38.4	41.0	40.6
3	横浜M	36.6	32.9	33.0	35.3	35.2	36.5	38.5	34.7	37.1	35.2	38.5	38.7	39.8	37.0	36.6	37.1	39.5
4	鹿島	37.0	31.1	35.0	35.6	35.3	36.5	36.4	37.7	36.8	39.6	37.9	39.9	36.7	37.7	38.2	37.7	39.9
5	柏	37.4	33.3	36.2	32.4	35.3	34.8	35.3	36.5	37.7	35.8	39.8	41.2	41.0	40.3	39.1	38.7	41.3
6	福岡	37.7	34.7	36.1	33.6	33.6	36.2	35.6	35.8	34.7	37.5	39.1	39.1	41.6	38.4	42.2	41.9	42.4
7	鳥栖	37.7	36.1	36.6	35.3	37.3	38.5	38.0	37.1	38.7	37.3	35.9	37.9	37.0	38.9	38.6	39.2	40.2
8	C大阪	37.7	32.6	34.1	33.5	36.6	37.4	38.0	38.3	38.6	38.7	38.9	36.9	39.3	39.2	38.9	38.4	43.9
9	千葉	38.0	32.6	33.9	34.3	33.9	35.2	36.1	35.9	38.9	37.8	40.2	41.7	40.1	41.8	42.1	42.5	41.5
10	名古屋	38.1	35.5	38.0	37.3	37.2	35.4	36.3	35.1	37.4	38.8	37.3	40.5	39.7	40.6	40.2	40.4	39.2
11	川崎F	38.1	36.8	35.9	37.3	35.4	35.8	37.7	37.5	37.4	37.9	38.8	40.1	39.7	40.7	36.9	40.3	40.9
12	浦和	38.2	32.1	33.3	35.0	34.8	35.5	36.5	38.8	38.4	36.1	40.5	36.0	40.7	44.5	45.2	40.1	43.6
13	東京V	38.4	30.7	32.4	34.8	35.0	36.3	38.9	39.9	39.3	38.9	37.3	41.0	40.8	40.6	43.7	41.3	43.1
14	F東京	38.4	32.5	31.7	35.1	34.0	37.5	38.1	38.8	37.6	37.2	39.8	43.1	42.2	40.2	42.1	42.1	42.4
15	神戸	38.5	34.2	34.8	35.8	36.4	36.0	35.5	38.5	38.3	39.8	40.3	40.1	41.7	42.5	40.9	39.7	41.8
16	広島	39.1	34.9	34.8	34.5	36.1	37.9	34.8	37.7	39.2	38.4	39.7	40.6	44.7	43.1	44.1	41.5	44.2
17	磐田	39.3	38.3	38.1	40.2	39.9	40.1	38.2	39.9	39.3	38.0	37.5	39.0	39.0	41.2	38.3	40.7	40.7
18	水戸	39.4	37.5	31.4	38.0	36.2	38.3	37.5	39.0	40.0	38.8	40.4	37.5	41.3	43.9	44.3	43.9	42.3
19	山形	39.8	31.9	35.0	36.6	35.7	37.1	34.7	37.2	39.5	41.3	40.7	42.1	42.8	44.1	44.1	47.3	46.3
20	横浜F	39.8	35.4	37.4	33.8	36.1	37.1	39.7	37.4	40.3	39.6	40.1	41.7	43.9	41.9	42.7	44.5	45.7
21	琉球	40.1	-	-	-	-	-	-	-	-	-	-	-	-	-	40.8	38.0	41.5
22	甲府	40.1	36.4	39.1	36.1	36.6	37.7	38.9	40.1	39.6	39.2	39.5	41.6	40.3	41.8	41.3	44.8	48.7
23	京都	40.1	35.8	38.0	36.8	37.4	36.8	37.0	40.1	39.7	41.2	41.7	40.9	41.8	43.9	43.6	43.8	43.5
24	群馬	40.1	-	35.2	34.2	36.0	36.8	38.2	38.1	38.1	41.3	43.0	42.6	43.9	41.5	44.5	43.3	45.5
25	栃木	40.5	-	-	-	-	-	37.1	38.7	38.3	38.7	39.9	42.1	41.6	-	42.9	41.8	43.5
26	鳥取	40.6	-	-	-	-	-	-	-	38.0	39.7	35.8	-	-	-	-	43.6	45.9
27	清水	40.8	40.2	39.9	40.9	40.7	42.4	39.8	40.2	37.5	37.6	40.4	43.6	41.1	43.3	40.8	40.6	43.5
28	FC岐阜	40.9	-	-	-	-	38.3	37.2	36.2	39.9	38.3	41.3	40.8	42.7	43.2	45.5	43.5	43.8
29	仙台	40.9	37.0	36.7	38.5	39.2	37.9	41.2	38.4	39.9	39.1	41.5	41.5	44.3	44.5	45.2	45.2	44.8
30	大宮	40.9	36.1	36.0	36.6	38.5	38.8	42.0	40.4	41.2	40.6	40.6	43.7	44.6	44.9	42.3	43.6	45.2
31	徳島	41.0	-	36.9	37.1	34.9	41.1	38.8	39.2	41.6	40.2	43.1	43.2	41.4	44.8	45.3	45.2	42.8
32	愛媛FC	41.3	-	-	35.5	38.6	40.0	40.1	39.3	40.5	41.3	40.3	43.0	41.3	43.6	43.8	45.2	45.8
33	熊本	41.4	-	-	-	-	41.4	36.5	38.1	36.0	39.4	39.7	43.8	43.7	45.6	44.4	44.7	43.7
34	岡山	41.8	-	-	-	-	-	37.4	37.0	36.9	40.4	41.3	41.2	43.1	45.4	45.7	44.6	46.9
35	富山	42.1	-	-	-	-	-	38.3	40.3	39.1	40.2	42.3	41.1	-	-	45.4	45.5	46.3
36	大分	42.1	36.4	39.0	40.0	40.5	36.7	36.9	41.6	42.1	45.0	41.5	46.4	46.6	-	45.8	47.3	45.5
37	松本	42.2	-	-	-	-	-	-	-	-	39.3	39.4	39.8	40.6	44.8	40.8	46.0	46.6
38	湘南	42.3	39.4	39.9	40.1	40.9	38.0	39.6	40.5	40.9	42.1	43.0	43.5	46.1	44.1	45.0	47.9	45.5
39	金沢	42.4	-	-	-	-	-	-	-	-	-	-	-	42.6	40.1	42.5	42.5	44.3
40	讃岐	42.8	-	-	-	-	-	-	-	-	-	-	41.8	40.7	41.9	43.2	44.5	44.5
41	山口	42.8	-	-	-	-	-	-	-	-	-	-	-	-	41.5	45.4	41.9	42.3
42	長崎	42.8	-	-	-	-	-	-	-	-	-	40.7	41.7	42.6	41.6	42.4	44.6	45.9
43	鹿児島	43.1	-	-	-	-	-	-	-	-	-	-	-	-	-	43.7	44.7	40.8
44	新潟	43.1	36.1	36.6	37.0	40.0	42.3	42.0	43.5	45.1	44.8	45.6	45.4	47.1	45.3	44.3	45.9	48.7
45	町田	43.7	-	-	-	-	-	-	-	-	40.6	-	-	-	44.3	44.3	45.7	43.5
46	札幌	43.8	40.0	39.5	41.0	43.3	44.0	41.3	44.3	45.8	45.2	45.8	43.5	44.5	46.5	46.1	44.3	46.3
47	北九州	44.4	-	-	-	-	-	-	42.5	42.6	43.7	43.5	44.7	43.2	45.1	-	46.3	48.4
48	岩手	44.6	-	-	-	-	-	-	-	-	-	-	-	-	-	46.1	42.8	44.8
49	相模原	45.2	-	-	-	-	-	-	-	-	-	-	-	-	-	43.2	46.3	46.0
50	沼津	45.8	-	-	-	-	-	-	-	-	-	-	-	-	-	45.4	46.0	46.0
51	福島	45.9	-	-	-	-	-	-	-	-	-	-	-	-	-	45.8	45.6	46.2
52	藤枝	45.9	-	-	-	-	-	-	-	-	-	-	-	-	-	44.4	48.7	44.6
53	八戸	46.2	-	-	-	-	-	-	-	-	-	-	-	-	-	-	-	46.2
54	長野	46.3	-	-	-	-	-	-	-	-	-	-	-	-	-	46.2	46.2	46.5
55	秋田	46.5	-	-	-	-	-	-	-	-	-	-	-	-	-	45.4	48.3	45.8